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灘中学校 算数(2日目)2019(H31)入試分析 その2

2019.02.16 18:37|入試問題分析(算数)
前回の灘中学校、2019年度算数2日目大問1と大問2に続いて大問3をとりあげます。

ただ単に頂点を通った光はどこに到達するか考えて結べばいいだけの問題ではなく,辺を通った光がどう到達するか考えないといけない問題なので,曖昧な理解を明確な理解にレベルアップさせてくれる非常に良い問題です。
きちんとした論理の組み立てとしては算数に役立つ数学的な空間図形で勉強になります。


○大問3
右の図のように,板①と板②が垂直に置かれています。板①と板②のつなぎ目の直線をXYとします。板①にかかれた正方形ABCDは一辺の長さが10cmです。また,直線ADと直線XYは平行で,ABとXYが交わる点をEとすると,AEの長さは10cmです。BFは長さが10cmで,板①に垂直であり,点Fに電球が置かれています。電球の大きさは考えないものとします。
H31nada2-3-m1.jpg

(1)
一辺の長さが10cmの正方形の板を,板②と平行に,1つの辺がADと重なるように置きます。板①と板②にできるこの正方形の板の影の面積の和は
[   ]cm^2です。ただし,板は光を通さず,板の厚さは考えないものとします。
H31nada2-3-m2.jpg

(2)
底辺の長さが10cmで高さが10cmの二等辺三角形の板を,板②と平行に,底辺がADと重なるように置きます。板①と板②にできる二等辺三角形の板の影を,例にならって右ページの上の図にかきいれなさい。
H31nada2-3-m3.jpg


H31nada2-3-m4.jpg


H31nada2-3-m5.jpg
解答欄

(3)
一辺の長さが10cmの正方形を底面とし,高さが10cmである四角すいの石像を,底面が正方形ABCDと重なるように置きます。この四角すいのA,B,C,D以外の頂点をOとすると,OA,OB,OC,ODの長さはすべて等しくなっています。この四角すいの石像の影が板①と板②にできます。
H31nada2-3-m6.jpg

(ア)板①と板②にできる四角すいの石像の影を,(2)の例にならって右の図に書きいれなさい。
H31nada2-3-m5.jpg
解答欄

(イ)板①と板②にできる四角すいの石像の影の面積の和を求めなさい。ただし,正方形ABCDは含めません。



[解説]
(1)は図のように真上から見た図でFとA,FとDを結んで直線を引いてXYとの交点E,E'をとり,AとDとEとE'と板②のFの影の2点の各点を結べばよく図のようになります。
H31nada2-3-kaisetu1.jpg

これで面積は20×20-10×10÷2=350cm^2と出せます。

ただ(2)と(3)では板①や②に垂直または平行ではない辺が出てくるので,影はどう求めればいいかできるもう少しはっきりさせる必要があります。

そこで辺による影が影の境界になるので
その辺の両端の点と点Fの3点を通る平面を考えて,その平面と板①や,その平面と板②の交線(平面が交わって出来る直線)が影の境界になります。

(2)
H31nada2-3-kaisetu2_201902161841476bb.jpg
二等辺三角形の頂点Gとして辺GAによる影は,3点F,G,Aを通る平面との交線になると考えます。すると直線FGと板①は平行なので板①にできる境界は点Aを通り直線FGと平行な直線上になります。
同じように考えて辺GD側による境界も,点Dを通り直線FGと平行な直線上になります。
H31nada2-3-kaisetu3.jpg
板②の方は板①に出来た影の境界とXY上の交点と,光が点Gを通って板②に到達した点をそれぞれ結んでこのようにできあがります。

(3)同じように辺OAによる影は,3点F,O,Aを通る平面との交線になると考えます。すると直線FOと板①は平行なので板①にできる境界は点Aを通り直線FOと平行な直線上になります。
辺OD側も同じです。
H31nada2-3-kaisetu4.jpg

板②の方も同様にしてこのようにできあがります。

面積はマス目14個分より5×5×14=350cm^2とわかります。


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灘中学校 算数(2日目)2019(H31)入試分析 その1

2019.02.15 14:30|入試問題分析(算数)
数理教育研究会の畠田です。

灘中学校、算数2日目をとりあげます。

【入試量分析】
今年の算数2日目の特徴は1日目と同じで平均点がここ10年でも一番低いことです。
受験者平均,合格者平均の差はそんなに大きいわけでもありませんでした。
そして大問の数が4から5に減りました。

受験者平均
(H24)71.4,(H25)54.9,(H26)49.7,(H27)52.7,(H28)50.8,(H29)48.4,(H30)54.8,(H31)44.5
合格者平均
(H24)86.2,(H25)70.3,(H26)63.9,(H27)64.6,(H28)61.2,(H29)62.4,(U30)69.2,(H31)56.8

ただし問題の内容としては去年にかなり近く,近年の試験を中心に傾向を分析し対策をすればそれだけ成果が出やすかったと思います。
今年も高校数学の考え方が背景にある問題がほとんどです。
大問1は合同式(mod)
大問2は群数列
大問3は空間図形
大問4は数と式,整数問題
大問5は積分の体積の問題で使う断面を考えて体積を求める
これは高校数学を勉強すればよいという極端な話ではなく,過去問などの算数の問題を通してどのような数学的背景があるか考察,研究しましょう。
そのためには何度か解いてみたり,類題や他の難関校の問題などもたくさん練習するなど対策の仕方はシンプルです。
努力が合格点につながっていきます!


【問題分析】
○大問1
4桁の整数Aは百の位の数字が0です。Aの十の位の数字と一の位の数字を入れ替えて4桁の整数Bを作ります。4018と4081のようにAもBも7の倍数となるようなAは全部で何個ありますか。次のヒントを参考にして答えなさい。ただし,4018と4081の2個も含め,AとBが等しい倍も含めます。
ヒント
4081-4018=63=9×(8-1)
4082-4028=54=9×(8-2)
1000=7×143-1

[解説]
前回の灘1日目の大問4でも解説したように高校数学で並ぶ合同式の考え方を勉強していると安定して解けます。
もはやヒントが合同式の考え方に誘導しています。

合同式は
NとN'をそれぞれPで割った余りが等しいということを
N-N'=(Pの倍数)
で扱ってこれを
N≡N' (mod P)とあらわします。

これを考えることにより何が便利になるのかというと
N+M≡(NをPで割った余り)+(MをPで割った余り)
N-M≡(NをPで割った余り)-(MをPで割った余り)
N×M≡(NをPで割った余り)×(MをPで割った余り)
のように足し算,引き算,掛け算をしたものの余りを考えるときは,それぞれの整数の余りで足し算,引き算,掛け算をして考えればいいところです。

まず
4081-4018=63=9×(8-1)
4082-4028=54=9×(8-2)
の使い方はAとBは7で割った余りが等しくないといけません。
このことをA-B=(7の倍数)で扱います。

AとBが7で割り切れなければならないのを,まずはAとBを7で割った余りが等しい,つまりA-Bが7の倍数って考え方に至るには合同式の考え方を練習したかどうかが大きく差が出てしまいます。

ヒントから(AとBの差)=9×(下2桁の二つの数の差4)なので,AとBが7で割った余りが等しくなるには下2桁の二つの数の差が0も含めて7の倍数であればよくなり

00,11,22,33,44,55,66,77,88,99,07,18,29
の場合しかないことがわかります。

次に4桁の整数が7の倍数でないといけませんがヒントの
1000=7×143-1
は1000は7で割ると1不足する(余り6になる)数として扱います。
なので千の位をNとすると
N×1000は1×N=N不足する数として扱えばよくなります。

すると4桁の整数
1000×N+(下2桁)

(7で割るとN不足)+(下2桁を7で割った余り)
として扱えばよく,これが7で割り切れるようになればよくなります。

つまり
(Nを7で割った余り)=(下2桁を7で割った余り)
となればよくなります。

下2桁は7で割ると
余り0は00,07,70,77の4つ
余り1は22,99,29,92の4つ
余り2は44の1つ
余り3は66の1つ
余り4は11,88,18,81の4つ
余り5は33の1つ
余り6は55の1つ

千の位Nを7で割ると
余り1は1,8の2つ
余り2は2,9の2つ
残りは全部1つです。

4桁の整数の個数は
4×1+4×2+1×2+1×1+4×1+1×1+1×1=21個
とわかりました。


○大問2
1から52までの数が書かれたカードが,左から数が小さい順に次のように並んでいます。
[1] [2] [3] [4] … [51] [41]
これらのカードを次の手順で並べ替えます。

2の倍数が書かれたカードが左にあるものから順にすべて取り出し,取り出した順に左から並べます。その並びの右側に,取り出していないカードを順番を変えずにすべて並べます。このとき次の(A)のような並びになりました。
(A)[2] [4] [6] … [52] [1] [3] [5] … [51]

(A)の状態のカードについて,3の倍数が書かれたカードを左にあるものから順にすべて取り出して同様の手順で並び替えました。そのときの状態を(B)とします。
(B)の状態のカードについて

(1)左から1番目,2番目,3番目にあるカードに書かれた数を答えなさい。

(2)[1]は左から何番目にありますか。

(B)の状態のカードについて,4の倍数が書かれたカードを左にあるものから順にすべて取り出して同様の手順で並べ替え,次に5の倍数が書かれたカードを左にあるものから順にすべて取り出して同様の手順で並び替え,さらに6の倍数が書かれたカードを左にあるものから順にすべて取り出して同様の手順で並び替え,最後に7の倍数が書かれたカードを左にあるものから順にすべて取り出して同様の手順で並び替えました。

(3)左から1番目,2番目,3番目にあるカードに書かれた数を答えなさい。

(4)[31]は左から何番目にありますか。

(5)左から31番目にあるカードに書かれた数を答えなさい。



[解説]
群数列のような問題です。
グループ(群)にわけて考えて
1、まずどのグループに入るか
2、そのグループの中で何番目か

が基本的な方針になります。

(1)まずは具体的にやってみましょう
1,2,3,4,…,52
2の倍数を取り出すと
(A)2,4,6,…,52,1,3,5,…,51
3の倍数を取り出すと
(B)6,12,18,…,3,9,15,…,2,4,8,…,1,5,7,…
となります。

(2)
(B)は
[3の倍数または2の倍数][3の倍数でないかつ2の倍数でない]
とグループ分けできる順番になっていて1は[3の倍数でないかつ2の倍数でない]のグループの一番左です。
[3の倍数または2の倍数]のグループの個数を考えて
52÷6=8余り4,52÷3=17余り1,52÷2=26より
17+26-8=35個
よって35+1=36番目です。

(3)
グループに分類して,どのグループに入っていて,その中で何番目か細かく見ます。

一番左に並ぶものは[7の倍数]のグループなので
7,14,21,28,35,42,49
が並んでいます。
このうち6の倍数の42が一番左にあることになります。
その次に5の倍数の35,その次に4の倍数の28の順番に並んでいることになります。

(4)31は素数なので一番右の
[7,6,5,4,3,2の倍数でない]のグループのところに入ります。
このグループに入る数を書き下すと素因数が7より大きい素数だけで出来た数(11×11=121の時点で52をこえるので結局11以上の素数)と1になります。
1,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47
この順番のまま並ぶことになるので31は右から5番目
つまり左から52-5+1=48番目とわかります。

(5)左から31番目と言うことは右から52-31+1=22番目です。
右から数えた方が早いかもしれません。
一番右のグループ
[7,6,5,4,3,2の倍数でない]は(4)より12個
それより一つ左にあるグループ
[2の倍数かつ7,6,5,4,3の倍数でない]は
2×1,2×11,2×13,2×17,2×19,2×23の6個
この時点で12+6=18個です。
もう一つ左にあるグループ
[3の倍数かつ7,6,5,4の倍数でない]は
3×1,3×3,3×9,3×11,3×13,3×17
の6個
で順番もこのままです。
だからこの二義から22-18=4番目の3×9=27となります。

一応最後の状態を書くと
42,35,28,21,14,7,49 | 30,12,24,36,48,6,18 | 20,40,15,45,10,50,5,25 | 4,8,16,32,44,52 | 3,9,27,33,39,51 | 2,22,26,34,38,46 | 1,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47
となります。
ただ,この問題の場合は細かく全て順番を知ることでなく,まず大きくグループ分けするという大局的な見方を練習しているか問われてると思います。

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灘中学校 算数(1日目)2019(H31)入試分析 その3

2019.02.14 13:34|入試問題分析(算数)
数理教育研究会の畠田和幸です

今回は灘中学、算数1日目の大問7をとりあげたいと思います。
一見N回目の出会いの問題に見えますが,出会いの度に折り返すし,速さも遅くなります。
文字など置いて力技で解くこともできて,それはそれで大事なことですが,算数の速さの問題としてもアプローチの仕方
『時間、距離、速さ、何が一定か』
『和と差を考えてみる』

に注目するという勉強になる良い問題と思います。



(問題)2019年度 灘中学校 算数第1日目 大問7
A地点とB地点を結ぶ道を,太郎君はAからBへ,次郎君はBからAへ向かって,それぞれ一定の速さで同時に走り始めました。2人の間の距離は3分間に1kmの割合で縮まりました。途中,2人はC地点で出会うとすぐに折り返し,速さをそれぞれ時速1kmだけおとして,来た道を戻りました。2人はそれぞれA,Bに到着してすぐに折り返し,Cよりも130mだけAに近いD地点で再び出会いました。Dで出会った2人はまたすぐに折り返し,速さをさらにそれぞれ時速1kmだけおとして,来た道を戻りました。そして,2人はそれぞれA,Bに到着してすぐに折り返し,Dよりも[   ]mだけAに近いE地点で出会いました。



[解説]
まず和を考えてみると

折り返してから出会いまでの太郎と次郎の進んだ長さの和が、AB二つ分で一定
→速さの和と時間が逆比

走り始めてから最初の出会いまではAB一つ分ですが二人ともC地点から太郎はAに次郎はBに向かって同時にスタートして折り返してきて1回目の出会いになったと考えれば太郎と次郎の進んだ長さの和がAB二つ分になるので扱いやすくなります。

H31nada1-7kaisetu1.jpg
二人の速さの和は
○~△:1÷3 km/分=1000/3 m/分
△~☐:1 km/時=1000/60 m/分=50/3 m/分ずつ遅くなるので1000/3-50/3×2=900/3 m/分
☐~●:300-50/3×3=800/3 m/分

距離が一定なので(○~△),(△~☐),(☐~●)の時間の比は

1000/3:900/3:800/3=10:9:8
なので速さの比は
9×8:8×10:10×9=36:40:45
となります。


次に差を考えてみると

太郎と次郎の速さの差は常に一定
→太郎と次郎の進んだ距離の差と時間が比例

太郎と次郎は1km/時ずつ遅くなっても,差はかわりません。
ということは太郎と次郎の進んだ距離の差は時間に比例します。

ABの中点をMとしてC,D,EをMについて対称移動した点をC',D',E'とすると太郎と次郎の進んだ距離の差は
○~△:CC'2つ分
△~☐:DD'2つ分
☐~●:EE'2つ分
それぞれ時間に比例するので36:40:45になります。

よって差の半分である図の青い線の部分も36:40:45になるのでそれぞれの長さを[36],[40],[45]とおくと
CM=[36÷2]=[18]
CD=[40]-[36]=[4]
ED=[45]-[40]-[4]=[1]
よってCD:ED=4:1よりED=130÷4=32.5m

とわかりました。

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灘中学校 算数(1日目)2019(H31)入試分析 その2

2019.02.13 18:03|入試問題分析(算数)
数理教育研究会の畠田和幸です

今回は灘中学、算数1日目の大問4をとりあげたいと思います。
大問4では表面上は高校数学で習う合同式を道具として使わなかったとしても根本的な考え方,解法の原理は合同式になります。
灘でもよく出題され,合同式の考え方に慣れていれば大きく有利になるのでぜひ考え方を勉強してください。


(問題)2019年度 灘中学校 算数第1日目 大問4
A=377×377×377×377×377×377とするとき,Aの約数の中で14で割ると1余るものは,1を含めて全部で[ ① ]個あります。また,Aの約数の中で15で割ると1余るものは,1を含めて全部で[ ② ]個あります。

[解説]
このような余りの問題が出たとき
(A+BをPで割った余り)=(((AをPで割った余り)+(BをPで割った余り))をPで割った余り)
(A-BをPで割った余り)=(((AをPで割った余り)-(BをPで割った余り))をPで割った余り)
(A×BをPで割った余り)=(((AをPで割った余り)×(BをPで割った余り))をPで割った余り)

を使います。
和,差,積は余りにおきかえて計算してしまったらよいわけです。


377=13×29よりAは13の素因数が6個と29の素因数が6個の積です。
14で割った余りで考えると
29は14で割ると余り1です。
13は14で割ると余り12ですがこれを1不足しているということで余り-1として扱います。
余りで掛け算を考えると
1×1=1 ←余り1になるもの同士をかけると余り1の整数になる
(-1)×(-1)=1 ←1不足しているもの同士をかけると余り1の整数になる
このルールで考えればよいことになる。

なので(余り1の整数である)29は何個使ってもよくて,
(1不足の整数である)13は偶数個使えばよいことになります。

29の使い方は0個から6個の7通り,13の使い方はは0個,2個,4個,6個の4通りより
7×4=28通り



29は15で割ると余り-1
13は15で割ると余り-2

と考えて扱います。

13の個数で場合分けすると
0個の時…1のことなので余り1
1個の時…2不足
2個の時…(-2)×(-2)=4で余り4
3個の時…4×(-2)=-8で8不足
4個の時…(-8)×(-2)=16で余り1
5個の時…1×(-2)=-2で2不足
6個の時…2個と同じで余り4
よってAの約数が余り1になるには,13が0個または4個で余り1,29が偶数個で余り1の時の1×1=1の場合しかない。
13の使い方は0個または4個の2通り,29は0,2,4,6個の4通りで
4×2=8通り

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灘中学校 算数(1日目)2019(H31)入試分析 その1

2019.02.12 19:25|入試問題分析(算数)
数理教育研究会の畠田和幸です。

今年も入試問題解説をすることになりました。
よろしくお願いします。

最初は灘中学校の1日目です。

【入試資料分析】
まず今年の実質倍率は2.70です。
これはほぼほぼ例年程度でした。
(H24)2.81(H25)2.81(H26)2.97(H27)2.61(H28)2.67(H29)2.76(H30)2.88(H31)2.70

次に平均点ですが注目すべきは算数です。
第1日目,2日目ともにここ数年で平均点が一番低く
平均点が高かった去年に比べて合計で30点ほど低くなっています。

(教科,受験者平均点,合格者平均点)の順に
(国語1日目,60.0点,63.6点)
(国語2日目,69.1点,75.1点)
(国語合計,129.1点,138.7点)
(算数1日目,38.5点,49.8点)
(算数2日目,44.5点,56.8点)
(算数合計,83.0点,106.6点)
(理科,64.5点,73.2点)
(総合,276.6点,318,6点)

全体的に難易度の高い問題が並びましたが,これは解くのに無理があるであろうというような問題はありませんでした。
算数をよく勉強してきた人にとっては,差をつけることが出来た試験であったと思われます。


【問題分析】
○大問1
(17-[   ]×77) × 2019/5 = 31+3/5-7/13



[解説]
計算問題です。
31+3/5-7/13 = 2019/65
2019/65 ÷ 2019/5 = 1/13
17-1/13 = 220/13
220/13÷77 = 20/91
素因数に注意して約分されることを意識することで素早く正確に解けます。



○大問2
[ア]/[イ] × [ウ]/[エ] = 1/[オ] の[ア]~[オ]に2,3,4,5,6,7,8,9の数から1つずつ当てはめて式を完成させました。ただし,同じ数を2回以上使うことはできません。また,[ア]/[イ]と[ウ]/[エ]は仮分数でもよく,これ以上約分できない分数です。このとき,[オ]に当てはまる数は[   ]です。



[解説]
5,7は5,7を約数に持つ整数が他にないので使えません。
残りの整数2,3,4,6,8,9において6だけ2と3の両方を約数に持つので[ア]/[イ],[ウ]/[エ]がこれ以上約分できない分数ということなので使えないので,入るとしたら[オ]だけです。
[ア]/[イ],[ウ]/[エ]がこれ以上約分できない分数となるには3の倍数を[ア]か[イ]のどちらか,[ウ]か[エ]のどちらかに入れることになるが,残りの3の倍数は3と9だけです。
つまり3の倍数は約分されずに残ることになるので[オ]は6以外ありません。
[オ]だけわかればよいので素早く6と答えられたら要領が良いですね。



○大問3
A,B,C,D,E,F,G,Hはどの2つも異なる2から9までの数字です。3桁の整数ABCとDEFを足すと4桁の整数10GHになり,この足し算で繰り上がりは百の位から千の位にだけあるとき,GとHの和は[ ① ]です。さらにこのとき,AがDより大きいとすると,ABCとして考えれる3桁の整数は全部で[ ② ]個あります。


[解説]
各桁の数に関する問題のアプローチは筆算や,各桁の数の関係式を作るなどが考えられます。
この問題は足し算で繰り上がりが百の位から千の位にだけあると書いてあるので各桁の数の関係式がたてやすいです。
百の位A+D=10,十の位B+E=G,一の位C+F=H
またA,B,C,D,E,F,G,Hは2から9のどれかですが、このことはよく全部足すと2+3+4+5+6+7+8+9=44で
A+B+C+D+E+F+G+H=44であるという使い方をよくします。
すると10+G+G+H+H=44でG+H=17とわかり,しかも(G,H)は(8,9)か(9,8)の場合しかありません。
A+D=10,A>Dより(A,D)=(7,3),(6,4)
(A,D)=(7,3)の時,残り2,4,5,6で和が8と9になる組み合わせは
2+6=8,4+5=9
よって(G,H)=(8,9)の時は(B,E)=(2,6),(8,6)の2通り,(C,F)=(4,5),(5,4)の2通り
(G,H)=(9,8)の時は(B,E)=(4,5),(5,4)の2通り,(C,F)=(2,6),(6,2)の2通り
で合計2×2×2=8個
(A,D)=(6,4)の時,残り2,3,5,7で和が8と9になる組み合わせは
3+5=8,2+7=9
よって同様に8個で
8+8=16個となります。
灘の1日目でよくある問題なので練習しておきましょう。



○大問4
これはこちらの記事で解説したいと思います。
http://edupastaff.blog82.fc2.com/blog-entry-545.html


○大問5
ある品物を仕入れ,利益を見込んで1個400円で売りました。しかし,いくつか売れ残ったため,売値を半額の200円にして残りをすべて売りました。その結果,売上高は26000円,利益は11600円になりました。品物1個の仕入れ値は1円未満の端数はありません。また,400円で売れた品物の個数は仕入れた品物の個数全体の6割より多く,7割より少ないことがわかっています。このとき,品物1個の仕入れ値は[ ① ]円で,400円で売れた品物の個数は[ ② ]個です。



[解説]
合計の仕入れ値は26000-11600=14400円で
合計の仕入れ値と売上高がわかっています。
よって品物1個の仕入れ値と品物1個の平均の定価の比がわかるのがポイントです。
(仕入れ値):(平均定価)=14400:26000
=36:65
よって仕入れ値が整数より仕入れ値と平均定価はそれぞれ36と65を整数倍した値です。
400円が6割,200円が4割の時,平均定価は400×0.6+200×0.4=320円
400円が7割,200円が3割の時,平均定価は400×0.7+200×0.3=340円
よって平均定価は320円と340円の間で65×5=325円に決まります。
このとき仕入れ値は36×5=180円
合計の品物の個数は14400÷180=80個
400円で売れた品物の個数はつるかめ算より(26000-200×80)÷(400-200)=50個
算数として何か勉強になるように算数的に解きましたが,本番は数式で力技で計算して答えを出すことも大切です。



○大問6
89の倍数と113の倍数を,
89,113,178,226,……
のように小さいものから順に並べるとき,50番目の倍数は[   ]です。



[解説]
50番目までの(89の個数)と(113の個数)は
89×(89の個数)=113×(113の個数)で目星を付けると
(89の個数):(113の個数)=113:89
(89の個数)+(113の個数)=50

より
(89の個数)=50×113/(113+89)=27.97…,(113の個数)=50×89/(113+89)=22.02…
なので89の27倍と113の22倍付近を調べると
89×27=2403,89×28=2492
113×22=2486,113×23=2599
より50番目の数は2492
89-1=8×11,113-1=8×14で11と14では綺麗に50×14/(11+14)=28,50×11/(11+14)=22番目と綺麗に求まることから,89と113の比を考えて最後に調整しろというのがこの問題の意図なのかもしれません。



○大問7
これはこちらの記事で解説したいと思います。
http://edupastaff.blog82.fc2.com/blog-entry-546.html


○大問8
右の図のような点Oを中心とする円について,斜線部分の面積の和は[   ]cm^2です。

H31nada1-8shukushou.jpg


[解説]
まず図のように長さがわかります。
H31nada1-8kaisetu1.jpg

円の半径をAとすると
A×A=5×5×2=50
二つの直角三角形の面積の和
12×4÷2+6×2÷2=30cm^2

H31nada1-8kaisetu2.jpg

図の斜線部の面積○+☐+△×2は円から2cm×10cmの長方形をのぞいた半分になっているので
斜線部の面積は137
(A×A×3.14-2×10)÷2=68.5cm^2
よって求める面積は斜線部の面積から直角三角形を2つ取り除いて
68.5-30=38.5cm^2
今年(2019年度)の甲陽学院の算数第1日目の平面図形でも使われたよくある処理です。
きっちり典型問題を勉強しておくということと,似たような問題と同じように解けないかアプローチの練習をしておきましょう。



○大問9
右の図で,三角形ABCは正三角形で,面積は1cm^2です。PBの長さがPAの長さの2倍のとき,三角形CPAの面積は[   ]cm^2
H31nada1-9.jpg


[解説]
正三角形の面積の問題なので正三角形のマス目が何個あるかということになるので正三角形方眼紙で考えます。
H31nada1-9kaisetu.jpg

図より三角形APBの形をした三角形は正三角形のマス目4個分の半分よりマス目1個分の面積を[1]とすると三角形ABCの面積は[4]÷2×3+[1]=[7],三角形CAPの面積はマス目1個分の面積より[1]で三角形ABCの1/7倍。よって1/7cm^2となります。



○大問10
表面が青色で塗られている正四面体を,底辺に平行な2枚の平面で高さを3等分するように切り,残りの3つの面についても同様に切ります。このとき,もとの正四面体はいくつかの正四面体といくつかの正八面体に分かれます。2つの面に色が塗られている立体は全部で[ ① ]個あり,3つの面に色が塗られている立体は全部で[ ② ]個あります。
ただし,正四面体とは,右の図1のような,どの面も合同な正三角形でできている三角すいです。また,正八面体とは,右の図2つのような,どの面も合同な正三角形でできている,8つの面をもつ立体です。
H31nada1-10.jpg


[解説]
まず2等分の場合は正四面体4個と正八面体1個ができました。
H31nada1-10kaisetu1.jpg

それを参考にして図のように3等分の上の2段だけで考えると,3面塗られている正四面体1個,3面塗られている正八面体1個,2面塗られている正四面体が3個あります。
3面塗られている正方形と正八面体は1個の頂点に1セット対応(○で表す),2面塗られている正四面体は1つの辺に1個対応(△)であわらします。
H31nada1-10kaisetu2.jpg
すると全体では2面塗られいるのは辺が6つより6個
3面塗られいてるのは頂点が4つより2×4=8個とわかります。


H31nada1-10kaisetu3.jpg
問われてはいませんが○と△を取り除いていくと,上から3段目に図のように太い線を面とした塗られている面のない正四面体が1個残ります。
灘や難関校でよくある問題で,知っているものを使って解きましょう。



○大問11
展開図が右の図のような立体の体積は[   ]cm^3です。ただし,実線で囲まれた三角形は3つの大きな直角二等辺三角形,3つの正三角形,3つの小さな直角二等辺三角形です。また,3本の破線は小さな直角二等辺三角形の2本の辺の真ん中を結ぶ直線です。折り方は,直角の印以外の実線が山折りで破線が谷折りです。

H31nada1-11.jpg


[解説]
図のように四面体の中に四面体の穴があり,更にその四面体も頂点で内側に四面体状に折られています。
H31nada1-11kaisetu1.jpg
これらの四面体は全て3面が直角二等辺三角形で相似です。

H31nada1-11kaisetu2.jpg

直角二等辺三角形の1辺が1cmの四面体の体積は1×1÷2×1÷3=1/6 cm^2
体積の比は大きい順に
4×4×4:2×2×2:1×1×1=64:8:1より
(64-8+1×2)×1/6=29/3cm^3
展開図の問題は定番で,この形は立方体から切り落としたもの,基本的な立体を組み合わせたものなどよくあるパターンを過去問で慣れておけばやりやすい問題です。



○大問12
右の図の六角すいは,底面が正六角形でOはその中心です。頂点Pと点QはどちらもOの真上にあり,PQの長さはQOの長さの2倍です。3点A,B,Qを通る平面でこの六角すいを切り2つの立体に分けるとき,頂点Pを含む方の立体の体積はもとの六角すいの体積の[   ]倍です。

H31nada1-12.jpg


[解説]
問題の図を見ると底面の正六角形が正三角形に分割されているのでPを頂点とした6つの三角すいを考えて,それらを切断して頂点Pを持つ3辺の比がそれぞれa倍,b倍,c倍になると体積はa×b×c倍になることを使うことが考えられます。
H31nada1-12kaisetu1.jpg
図のようにABの中点M,DEの中点Nとすると三角形PMNにおいてA,B,Qを通る切断面とPNの交点RはPNの中点になっています。
H31nada1-12kaisetu2.jpg
よって一つの三角すいの体積は全体の1/6より
1/6×2/3×(2/3×1+1×1+2/3×1+2/3×1/2+1/2×1/2+2/3×1/2)13/36倍
難問ではなく標準的な問題を組み合わせた問題でしたが,よくある処理が使えないかを考えて,それを使うためには何がわかれば良いのか解法の過程が問われる良い問題です。

テーマ:中学受験
ジャンル:学校・教育

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