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2013(H25)年度入試分析 大阪星光学院 算数 PART1

2013.01.31 14:21|入試問題分析(算数)
焦って足元をすくわれた,そんな受験生が多かったのではないか。今年の大阪星光の算数の問題を解いた,筆者の第一印象です。
決して難問があるわけでもなく,むしろ一つ一つの問題はどちらかというと易しめで,落ち着いて処理できれば十分高得点を狙える問題でした。
しかし,1枚目の大問1の(1)の計算問題で浮足立ち,(3)の割合の問題での数字設定に苦しみ,解けそうで解けない
(4)の図形問題で焦る。入試という独特な緊張感の中で,十分実力が発揮できなかった受験生も多かったのではないか。いや,入試本番で実力が発揮できないことも含めての実力のあるなしなのだろうか,などと考えてしまいました。
受験生の心理的弱点をたくみについたかのような作問に,なるほど,こうきたか,という思いを強く持ちました。(時々,星光はこういう問題作りをしてきますね。)

さて,何度かに分けて,この大阪星光学院の算数の問題を取り上げたいと思います。
第1回目は,大問1の(4)の図形問題。


(問題)H25 大阪星光学院・算数 大問1番(4)
右の図は,たて3cm,横4cm,対角線の長さが5cmの2つの長方形を,対角線が重なるように置いたものです。2つの長方形が重なった斜線部分の面積は□cm^2です。

大阪星光2013 1(4)


初めて見ると,多少戸惑いますね。3:4:5の直角三角形の比が使えそうなのに,どこで使えるのだろう…
そこで,まずは対角線(図でACとEF)を引いてみましょう。
勘のいい子はここで,4つに分かれた三角形がいずれも3:4:5の三角形と気づくでしょう。
四角形AECFは向かい合った2組の辺が平行なので,まずは平行四辺形ということが分かります。
しかも,三角形ABEと三角形AHFは合同(角B=角H=直角,AB=AH,角BAE=角HAF)なので,AE=AFとなり,
四角形AECFはひし形となります。これにより,対角線ACとEFは垂直に交わります。●印の角も等しくなり,
4つに分かれた三角形はどれも三角形ABCと相似になるので,3:4:5の三角形となりますね。
大阪星光2013 1(4)解説

AG=5÷2=2.5(cm)なので,AF=2.5×5/4=25/8(cm)となり,四角形AECFの面積は,25/8×3=75/8(cm^2)

ところで,平成元年のラサール中学校(鹿児島)の入試問題に,次のような問題がありました。

右図のような長方形ABCDがあります。頂点AとCがちょうど重なるように折り曲げたとき重なる部分(斜線の部分)の面積はいくらですか。ただし,AB=3cm,BC=4cm,AC=5cmとします。
ラサールH1

よく問題集などで取り上げられている問題です。答えは,もちろん星光の解答の1/2です。受験生の中には,見たことがあるなあ、などと思いながら解いた人もいるのではないでしょうか。
まちがい直しの大切さが分かる問題でもあったように思います。(道)
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2013(H25)入試分析 灘中学校(第1日) 算数 PART3

2013.01.27 19:55|入試問題分析(算数)
今年の灘中1日目シリーズ,最後の問題は7番です。

おそらく,試験中にはごそごそと数字をいじくっていたら,偶然正解しちゃったという子が
多いのでしょうが,きちんと理詰めで解くとどうなるのかを見てみましょう。

(問題)H25 灘中学校・1日目算数 大問7番
2けたの整数ABがあります。間に0を入れて3けたの整数A0Bを作ると,この数はABで割りきれます。
また,両端と間に数字Cを入れて5けたの整数CACBCを作ると,この数もABで割りきれます。
このとき,5けたの整数CACBCは□です。
ただし,A,B,Cはすべて異なる数字で,どれも0ではないとします。




A0BがABの倍数⇒A0B-AB=A×100-A×10=A×90がABの倍数…ア
          ⇒AB×10-A0B=B×10-B×1=B×9がABの倍数・・・イ


イを満たすのはAB=15,45,18のいずれかに限られます。
いずれの場合もアの条件は満たすので,ここから得られる情報はこれでおしまいです。



CACBCがABの倍数⇒CACBC-A0B×10=C0C0C=C×10101=C×3×7×13×37がABの倍数


C×10101が15の倍数になるためには,C=5でないといけません。AB=15なので,5が重なりアウトです。
C×10101が45の倍数になるためには,C=15となってしまうのでアウトです。
C×10101が18の倍数であるためには,C=6でないといけません。AB=18なので,これは題意を満たします。

よって,CACBC=61686となります。

試験中に数字をいじくってたまたま正解するためにも,何の手がかりもなしにというのは無茶なことです。
この手の数の問題は,拒否反応を示してしまう子が結構いますが,ちょっとでも手がかりになるものを
試験会場で発見できるよう,普段の授業の解説で言われていることをじっと我慢して理解しようとするように
努めてほしいものです。(池)

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2013(H25)入試分析 灘中学校(第1日) 算数 PART2

2013.01.27 16:10|入試問題分析(算数)
さて,4番に引き続き,今回は6番を扱いましょう。

制限時間を考えると,後回しにしてもいいかとは思いますが,ちょっとしたことに気付くと
結構シンプルに解くことができますよ。

(問題)H25 灘中学校・1日目算数 大問6番
A町とB町を結ぶ一本道の途中に,230mの間隔で交差点が4か所あります。
どの交差点にも信号があり,青が28秒間,黄と赤が合わせて32秒間点灯することをくり返します。
A町からB町に向かって毎秒11.5mの一定の速さで進む車は,最初の信号を青から黄になる瞬間に
通過すると,残りの3つの信号も青から黄になる瞬間に通過します。
B町からA町に向かって一定の速さで進む車が,一度も止まらずにどの信号も青で通過するには,
車の速さは最も速くて毎秒□mです。
ただし,赤から青になる瞬間と,青から黄になる瞬間は,青が点灯している時間に含めます。


2013灘1日目6番

点線の進み方が問題文に載っている,AからBへの進み方です。
この時点で20秒ずつずれているなぁという感覚を持つ人は多いのですが,
逆から進むときに40秒ずつずれているというのが直感ではとらえにくいですね。

灘を受験するレベルの子であれば,「信号に引っかからずに進むには」というような問題には
触れたことがまず間違いなくあると思いますが,グラフを描きながら,直線の傾きや
信号のずれ方など,色々なところに意識を張りながら取り組んでいるかどうかの差が試されたと
言えるのではないでしょうか。

普段から,単純に問題を解くのではなく,アンテナを張りながら取り組みましょう。
(池)

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2013(H25)入試分析 灘中学校(第1日) 算数 PART1

2013.01.25 19:33|入試問題分析(算数)
今年もこの時期がやってまいりました。
入試分析を少しずつ進めていきたいと思います。

問題数は大問13問,小問数15問とボリューム的には例年と変化なく,
テスト時間内で脳味噌をフル回転させてテンポよく問題を解いていくことが
求められるテストとなっています。

去年は合格者平均が1日目79.4点,2日目86.2点と例年になく高かったので,
今年はどのようになるかと注目していましたが,やはり1日目は厳しい問題が
並びました。合格者平均が58.6点とここ5年で最も厳しく,問題の並びも
前半にキツ目の問題が並び,生真面目に前から順に取り組んだ生徒は,
精神的にもしんどい試験になったのではないでしょうか。

今年はその中でも前から順に解いていったときにはじめに出てくる壁となるであろう,
4番の問題を取り上げてみたいと思います。

(問題)H25 灘中学校・1日目算数 大問4番
分母,分子がともに整数で,これ以上約分できない分数のうち,0.5より大きく0.51より小さいものを
すべて考えます。ただし,ちょうど0.5または0.51になる分数は除きます。この中で,分母が100以下の
分数は□個あります。


0.5と0.51を数直線上で表してみると下の図のようになります。
2013灘1日目01
のところが分母が100のときにちょうど表すことのできる目盛りになりますね。
この赤いところにが乗ってくるような分数を見つければよいわけです。

では,分母が偶数の場合と奇数の場合に分けて考えましょう。
なぜ偶数と奇数に分けるかというと,50/100のところは1/2なので,
分母が偶数の場合は必ずここにが重なり,
分母が奇数の場合はここを挟んで左右対称にが配置されるからです。

2013灘1日目02

分母が偶数の場合は,上の図のように①/②の次のが1/②だけ右に移動しますので,
51/100を飛び越えてしまうのが分かりますね。つまり,分母が偶数の場合はありえないということです。

次に,分母が奇数の場合を見てみましょう。

先ほどと違い,1/2にあたるところにが来ません。
ここは無理に表現するならば(①+0.5)/(②+1)を示しており,実際にで表せる場所は
左右に0.5/(②+1)ずつ離れたところになります。

2013灘1日目03

分数のままで考えるのが得意な人はこの解き方でよいかと思いますが,分数のままで考えるのが
ちょっと苦手な人のために別解を。

<<別解>>
50/100と△/○と51/100を,分母が○×100になるように通分すると,50×○<100×△<51×○
となるので,50×○より大きく51×○より小さい100の倍数が存在しないといけません。
★○が偶数の場合
50×○が100の倍数になり,51×○が次の100の倍数を超えることができないのであり得ません。
★○が奇数の場合
50×○は下2桁が50となるので,51×○が次の100の倍数を超えるには○は少なくとも51は必要です。
よって,51以上100以下の奇数なので50÷2=25個

いずれの解き方でも分母が偶数の場合と奇数の場合で分けて考えていますね。
時間がたっぷりあって余裕をもって解ける状況であればともかく,限られた時間の中で
場合分けをして,それぞれ整理して考えるとなると,かなり高い壁だったのではないかと思われます。
(池)

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ダイオウイカ

2013.01.14 13:18|雑談
 昨日のNHKスペシャル,ご覧になられた方も多いかと思いますが,
世界初の深海に棲むダイオウイカの映像に感動!!

<=:ミ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

金色に光る外套膜,でっかい目玉…
あまりに神秘的で,画面にくぎ付けです。

>(・)>>>< ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ちょっと前に違う番組で,シーラカンスを生きたまま捕獲するのに3億円
かかるということで,プロジェクトが断念されたままになっているという話を
TVで見たのですが,今回のような貴重な映像に刺激されて,
スポンサーがついて実現してくれるといいなぁと思ったりしました。

(池)

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2013(H25)大阪桐蔭入試プレテスト

2013.01.04 17:58|算数雑談
さて,いよいよ今日から関西では前受験が始まりました。
ちょっと時間ができたので,1カ月弱前に行われた,大阪桐蔭中学校のプレ入試問題から1つ。

【3番】次のように,ある決まりに従って分数が並んでいます。
2013大阪桐蔭プレ3番問題
次の問いに答えなさい。
(1)初めから数えて30番目の分数を答えなさい。ただし,約分できるときも約分せずに答えること。
(2)約分すると1になる分数は,1/1,3/3,5/5,…の順に出てきます。約分したときに1になる分数が5回目に
出てくるのは,初めから数えて何番目ですか。
(3)初めの分数から70番目までの分数をすべてかけると,いくつになりますか。ただし,約分できるときは
約分して答えること。

----------
まずは区切りの線を入れてグループごとに区切り,各グループ番号をつけます。

2013大阪桐蔭プレ3番

A:各グループにはグループ番号と同じ個数の分数があり,
B:先頭の数の分母はグループ番号×2-1で,
C:奇数グループにはグループ番号を分子,分母とする分数が登場します。

これを押さえてしまえば,あとは解くだけ。

(1)
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
1+2+3+4+5+6+7+2=30個 なので,⑧グループの2番目
⑧グループの分母は8×2-1=15から始まるので,1/15,3/13が答えです。
(2)
1/1,3/3,5/5,7/7,9/9が5番目なので⑨グループ
⑨グループの分母は9×2-1=17から始まるので,分母が9になるのは,17,15,13,11,9で⑨グループ内の5番目
.    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨
よって,1+2+3+4+5+6+7+8+5=41番目となります。
(3)
70番目ということは,
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨. . . 
1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11+4=70なので,⑫グループの4番目までかけるということになります。
①~⑪グループは,各グループ内でかけると1になるので,⑫グループのことだけを考えればOK。
⑫グループの分母は12×2-1=23から始まるので,
1/23 × 3/21 × 5/19 × 7/17 = 5/7429となります。

で,なぜ今さらこの難易度の問題を取り上げるかというと,
「ケアレスミスを防ぐために最大限の注意を払ってもらいたい」
からです。
・線で区切る
・グループ番号をつける
・グループ毎の個数をかく
・分母=グループ番号×2-1になっていることを明記する(分子+分母=グループ番号×2でも可)
・約分すると1になる分数に印をつける
・計算式の上にグループ番号をつける(今回はグループ番号=個数なのでまだマシですが…)
・何グループの何番目を求めればよいかを明記する。
問題を解く上で,式をきちんと書くということ以外にこれだけのことができます。

規則性の問題では1つずれたとかいうことがよく発生しますが,それを防ぐために
これだけのことができるのです。時間がもったいないと言って手を抜く人がよくいますが,
速解き競争をしているのであればともかく,制限時間内で解いて,見直しまですることを
目標にしているのであれば,逆に時間が短縮できるはずです。
1つケアレスミスをすれば,その問題を解くために費やした時間が全てパーになると肝に銘じ,
ミスを減らす工夫をしっかりとやって下さい。

実力以上のものを出すのではなく,実力の範囲内のものを落とさず取ることが合格への近道です。
がんばれ,受験生!!!!
(池)

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大人のピタゴラスイッチ

2013.01.04 13:30|雑談
 皆様,明けましておめでとうございます。
受験生はまだお正月気分とはいかないでしょうが,もう一頑張りですね。
一緒に頑張っていきましょう。

さて,1/2,1/3の2日間にわたって,Eテレで大人のピタゴラスイッチというのをやっていました。

1/3に生徒から「見た?」と聞かれて1/2分を見ていないことに気づき,
ちょっとしょんぼりしながら1/3分を観たのですが,かなり面白かったです。

「機構」「認知科学」というテーマで,それだけ聞くと非常に難しそうなのですが,
機構の話はピタゴラ装置や工場の機械を作るときに利用されている仕組み,
認知科学の話はサッカー場のグラウンド(ゴール横の地面など)に描く広告の仕組み
など,普段目にするものと直結しており,とても分かりやすく見せてくれました。

1/6の16:00~17:00に2日分を再放送するようなので,見逃した方は是非どうぞ。
私は出勤しているので見れませんが…(T T

しかし,今時,録画機能が全く家に無いというのもどうなんだろう…
しょんぼり…(池)
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