2013(H25)年度 入試分析 算数 東大寺学園中学校 その2
東大寺学園の算数は,前に書いたように,大問数こそ変わらないものの,枚数が4枚と増え,
受験生を見かけで圧倒しました。今回はそのうち大問3をみていきましょう。
この問題も,これで問題用紙1枚を使っていました。大作の感があります。
(問題) H25年 東大寺学園中学校 算数 大問3
AB=2cm,AD=1cmの長方形ABCDと,対角線の長さEG=FH=2cmの正方形EFGHがあります。
ABの真ん中の点をM,CDの真ん中の点をNとします。
さらに,CとMを通る直線をℓ,Dを通りℓに平行な直線をmとします。
【図1】のように正方形EFGHをEFがm上に,GHがℓ上にあるように動かすとき,次の問いに答えなさい。

(1)2つの四角形の重なる部分が五角形になる場合に,重なる部分の面積が最も大きくなるとき,
その部分の面積を求めなさい。
(2)2つの四角形の重なる部分が三角形になる場合に,重なる部分の面積が最も大きくなるとき,
その部分の面積を求めなさい。

(3)【図2】は正方形EFGHが点線部分の正方形から太線部分の正方形E'F'G'H'まで移動した図です。
ただし,AはFG上,NはEH上にあるものとし,F'G'とDAが交わる点をP,
F'G'とABが交わる点をQ,E'H'とDCが交わる点をRとします。
三角形AQPと四角形NHH'Rの面積が等しくなるとき,三角形AQPの面積を求めなさい。
この問題は,正方形が「斜めに」進んでいきますから,図がかきづらく,
受験生を悩ませたのではないかと推測できます。
こういった問題で大切なことは,図が動く様子をしっかりイメージするための作図です。
かきづらいですが,何とかがんばって,大ざっぱでいいので,その様子をイメージしておきましょう。

正方形を左下の状態から少しずつ右上に動かしていくことで,重なる部分がどう変化していくか図にしてみると,
上の図のように,直角二等辺三角形→五角形→六角形→直角二等辺三角形 と変化していくことはつかめますね。
この様子がつかめたら,(1),(2)はさほど難しくはありません。
(1) 下の図のように,六角形になる寸前(FGが点Aに重なったとき)に五角形の面積が最大になります。
正方形EFGHから3つの合同な三角形を引けば重なった部分の面積が求められます。

2×2÷2-1×0.5÷2×3=2-0.75=1.25(cm^2)
(2) 下の図のように,点Fが点Dと重なった場合に重なる三角形の部分の面積が最大になります。
このとき三角形CDMは底辺2cm,高さ1cmの直角三角形になります。

2×1÷2=1(cm^2)
(3) 三角形AQPと四角形NHH'Rの面積が等しくなるとき,三角形PASと三角形RNTの面積も等しくなります。
すると,三角形QASと長方形THH'Rの面積も等しくなります。(図の☆印)
GG'=HH'=②とすると,三角形QASの等辺の長さは②になります。

三角形QASと長方形THH'Rを高さ②の等高図形と考えると,面積が等しいので(上底+下底)も等しくなります。
三角形QASの(上底+下底)は②なので,長方形THH'Rの(上底+下底)も②,よってTH=①となります。
NT=②なので,NR:RC=NT:TH=2:1
これよりNR=AP=1×2/3=2/3(cm)
よって三角形AQPの面積は,2/3×2/3÷2=2/9(cm^2)
さすがに(3)は少し難しく,受験生を戸惑わせる問題だったように思います。
ですが,(1)(2)については,正方形の動く様子をしっかりイメージし,落ち着いて丁寧に作図すれば
十分対処可能だったのではないでしょうか。
(道)
