2014(H26)入試分析 東大寺学園中学校 算数 PART1
2014.01.28 21:00|入試問題分析(算数)|
東大寺の問題分析をします。
去年も結構なボリュームで,単に枚数が増えただけでなく,問題の難易度レベルもかなり上がったという印象でしたが,今年は時間も60分に増えて,さらにパワーアップしたという印象です。
実際解いてみると,難易度の高い問題がこれでもかと並んでいて,さすがの東大寺受験生も苦しめられたのではないかと思います。
受験者平均は43.1点。受験生の得点分布をみても,6割取れていたのが受験生約900人中100名ほど。
こういう問題に対しては,押さえるべき問題を確実に得点にできるか,ミスはないかという視点を冷静に持てるかどうかも非常に大切でしょう。大問1,大問2は絶対にと言っていいほど外せません。残る大問3つは取れるところを徹底的に取りに行く。問題としての難易度はかなり高いですが,小問を一つでも二つでもきちっと取っておきましょう。
(問題)H26 東大寺学園中学校 算数 大問4番
下の図のような三角形ABCと半径1cmの円Pがあります。円Pを三角形ABCの辺にそって離れることなくその内側を一周させると,三衛形ABCの内部で円Pが通らなかった部分は,頂点A,B,Cの近くと中央の三角形DEFの,合わせて4つあり,その面積は全部で47.86cm^2でした。次に,円Pを三角形DEFの辺にそって離れることなくその外側を一周させたところ,三角形ABCの内部で円Pが通らなかった部分の面積は全部で53.44cm^2でした。このとき,次の問いに答えなさい。ただし,円周率は3.14とします。

(1)①三角形ABCの内側を一周させたときに,円Pが通らなかった4つの部分のうち,頂点Aの近くの部分を,解答欄の図に斜線で表しなさい。
②三角形DEFの外側を一周させたときに,円Pが通らなかった4つの部分のうち,頂点Aの近くの部分を,解答欄の図に斜線で表しなさい。
(2)三角形DEFの面積を求めなさい。
(3)三角形ABCのまわりの長さは,三角形DEFのまわりの長さに比べてどれだけ長いですか。
⑴解答欄は,①も②も次のようになっています。

そして解答図です。

①の図ではAGHの部分,②の図ではAJKの部分が答えの斜線部分です。ところで,図には円の中心や頂点Dから三角形ABCの辺まで垂線をひいていますが,これはできれば一緒に記入しておいた方が良いと思います。(記号は後の解説で使うために記入しました。)
さて⑵です。解答図で,四角形AGIHと四角形AJDKは相似で,辺の比はGI:JD=1cm:2cm=1:2です。
したがって,面積比は1×1:2×2=1:4となります。ということは円の通過しないすみっこ(それぞれ3か所あります)の面積の比も1:4となります。それぞれ[1],[4]とすると
三角形DEF+[1]=47.86cm^2 …㋕
三角形DEF+[4]=53.44cm^2 …㋖
ですから,㋕㋖を比べて,[3]=53.44-47.86=5.58cm^2より,[1]=1.86cm^2
よって,三角形DEF=47.86-1.86=46cm^2です。
⑶では,円Pを三角形DEFの辺にそって離れることなくその外側を一周させた方の図で考えます。
次の図を見てください。

図の太線部分の長さの合計が,求める三角形の周囲の長さの差です。
網目をつけた3つの四角形㋐,㋑,㋒を合わせると,太線部分が周囲になる三角形ができ,その中に半径2cmの円がぴったりと入ります。(これの円を「内接円」と呼びます。中学校で習います^_^;)
この三角形(三角形A´B´C´とします)の面積は,円Pを三角形DEFの辺にそって離れることなく外側を一周させたときの,三角形ABCの内部で円Pが通らなかったすみっこの部分の面積(㋗)と,半径2cmの円の面積(㋘)の合計です。
㋗は53.44-46=7.44cm^2,㋘は2×2×3.14=12.56cm^2なので,三角形A´B´C´は20cm^2ですね。
A´B´×2÷2+B´C´×2÷2+C´A´×2÷2=(A´B´+B´C´+C´A´)×2÷2=20cm^2となるので,
太線部分の長さの合計(A´B´+B´C´+C´A´)=20cmです。
東大寺の算数の問題は,従来,易しい→難しい→易しい→難しい→…を繰り返してきたようなところがありますが,昨年かなり難易度が高かったにもかかわらず,今年はそれに輪をかけて難問ぞろいとなりました。
実は,これは意外なことではなく,学校説明会で,時間が60分になることと併せてすでに説明されてていたことです。
来年,本校の受験を考えている人は,どのように対応したらいいのでしょうか。
東大寺の算数の方向が変わらなければ、今年度の出題のような難問対応力を徹底的に鍛えていくということも考えられます。しかし,入試は3教科または4教科の戦いです。特に本校では,理科よりも社会の点数が出やすい入試であることは周知の事実です。ですから,難問対応力を磨くのに時間を割き過ぎることは得策ではないでしょう。国語や社会といった文系の教科でも確実に得点できる力を養いながら,算数では,難しいと思ってもとれるところをしっかり押さえる(今年でいえば55点くらい)という方針も十分考えられますね。
(蛇足ですが,今年の例では,国70算45理45社70取っていれば,合計230点で合格最低点228点を超えます。)
(道)
去年も結構なボリュームで,単に枚数が増えただけでなく,問題の難易度レベルもかなり上がったという印象でしたが,今年は時間も60分に増えて,さらにパワーアップしたという印象です。
実際解いてみると,難易度の高い問題がこれでもかと並んでいて,さすがの東大寺受験生も苦しめられたのではないかと思います。
受験者平均は43.1点。受験生の得点分布をみても,6割取れていたのが受験生約900人中100名ほど。
こういう問題に対しては,押さえるべき問題を確実に得点にできるか,ミスはないかという視点を冷静に持てるかどうかも非常に大切でしょう。大問1,大問2は絶対にと言っていいほど外せません。残る大問3つは取れるところを徹底的に取りに行く。問題としての難易度はかなり高いですが,小問を一つでも二つでもきちっと取っておきましょう。
(問題)H26 東大寺学園中学校 算数 大問4番
下の図のような三角形ABCと半径1cmの円Pがあります。円Pを三角形ABCの辺にそって離れることなくその内側を一周させると,三衛形ABCの内部で円Pが通らなかった部分は,頂点A,B,Cの近くと中央の三角形DEFの,合わせて4つあり,その面積は全部で47.86cm^2でした。次に,円Pを三角形DEFの辺にそって離れることなくその外側を一周させたところ,三角形ABCの内部で円Pが通らなかった部分の面積は全部で53.44cm^2でした。このとき,次の問いに答えなさい。ただし,円周率は3.14とします。

(1)①三角形ABCの内側を一周させたときに,円Pが通らなかった4つの部分のうち,頂点Aの近くの部分を,解答欄の図に斜線で表しなさい。
②三角形DEFの外側を一周させたときに,円Pが通らなかった4つの部分のうち,頂点Aの近くの部分を,解答欄の図に斜線で表しなさい。
(2)三角形DEFの面積を求めなさい。
(3)三角形ABCのまわりの長さは,三角形DEFのまわりの長さに比べてどれだけ長いですか。
⑴解答欄は,①も②も次のようになっています。

そして解答図です。

①の図ではAGHの部分,②の図ではAJKの部分が答えの斜線部分です。ところで,図には円の中心や頂点Dから三角形ABCの辺まで垂線をひいていますが,これはできれば一緒に記入しておいた方が良いと思います。(記号は後の解説で使うために記入しました。)
さて⑵です。解答図で,四角形AGIHと四角形AJDKは相似で,辺の比はGI:JD=1cm:2cm=1:2です。
したがって,面積比は1×1:2×2=1:4となります。ということは円の通過しないすみっこ(それぞれ3か所あります)の面積の比も1:4となります。それぞれ[1],[4]とすると
三角形DEF+[1]=47.86cm^2 …㋕
三角形DEF+[4]=53.44cm^2 …㋖
ですから,㋕㋖を比べて,[3]=53.44-47.86=5.58cm^2より,[1]=1.86cm^2
よって,三角形DEF=47.86-1.86=46cm^2です。
⑶では,円Pを三角形DEFの辺にそって離れることなくその外側を一周させた方の図で考えます。
次の図を見てください。

図の太線部分の長さの合計が,求める三角形の周囲の長さの差です。
網目をつけた3つの四角形㋐,㋑,㋒を合わせると,太線部分が周囲になる三角形ができ,その中に半径2cmの円がぴったりと入ります。(これの円を「内接円」と呼びます。中学校で習います^_^;)
この三角形(三角形A´B´C´とします)の面積は,円Pを三角形DEFの辺にそって離れることなく外側を一周させたときの,三角形ABCの内部で円Pが通らなかったすみっこの部分の面積(㋗)と,半径2cmの円の面積(㋘)の合計です。
㋗は53.44-46=7.44cm^2,㋘は2×2×3.14=12.56cm^2なので,三角形A´B´C´は20cm^2ですね。
A´B´×2÷2+B´C´×2÷2+C´A´×2÷2=(A´B´+B´C´+C´A´)×2÷2=20cm^2となるので,
太線部分の長さの合計(A´B´+B´C´+C´A´)=20cmです。
東大寺の算数の問題は,従来,易しい→難しい→易しい→難しい→…を繰り返してきたようなところがありますが,昨年かなり難易度が高かったにもかかわらず,今年はそれに輪をかけて難問ぞろいとなりました。
実は,これは意外なことではなく,学校説明会で,時間が60分になることと併せてすでに説明されてていたことです。
来年,本校の受験を考えている人は,どのように対応したらいいのでしょうか。
東大寺の算数の方向が変わらなければ、今年度の出題のような難問対応力を徹底的に鍛えていくということも考えられます。しかし,入試は3教科または4教科の戦いです。特に本校では,理科よりも社会の点数が出やすい入試であることは周知の事実です。ですから,難問対応力を磨くのに時間を割き過ぎることは得策ではないでしょう。国語や社会といった文系の教科でも確実に得点できる力を養いながら,算数では,難しいと思ってもとれるところをしっかり押さえる(今年でいえば55点くらい)という方針も十分考えられますね。
(蛇足ですが,今年の例では,国70算45理45社70取っていれば,合計230点で合格最低点228点を超えます。)
(道)
スポンサーサイト
