2015(H27)入試分析 算数 洛星中学校(前期)
2015.02.28 20:06|入試問題分析(算数)|
さて,今日は洛星中学校(前期)を見てみます。
受験者平均の遷移を見てみると,
55.4→70.0→54.9→42.2
となっています。
このことによって,3科受験の子はひどく割を食いました。
4科受験における受験者数/合格者数の倍率が1.74倍に対して,3科受験では2.37倍ですから,
かなり不利だったことがわかりますね。
受験者平均が42.2点ですから,60.0点(5割)がとりあえずの目標点となるかと思いますが,
実際に出題された問題を分析してみましょう。
大問1の(1)計算問題(2)角度の問題は絶対に落としてはいけません。
大問2の回転体の問題は正解すれば他の人に差をつけることはできるでしょうが,
小問に分かれていないので,できなくてもそれほど影響はないでしょう。
大問3のニュートン算は(1)では確実に取っておきたいところです。(2)は苦手な人は後回しでしょうか。
大問4の速さの問題は苦手とする子が多いリフトですが,問題を読んだ時点で気持ちが折れなければ
(1)は得点できるはずです。(2)まで取れればまぁよしでしょうか。
大問5は数表に見せかけて約数の問題ですが,小問が4つあるので,ここでいくつ取れるかが
合否を分けたと言えるでしょう。難易度的にも全問正解を狙ってほしい問題です。
とはいえ,この受験者平均ですから実際は取れていないのでしょうが…
大問6は影の問題,(1)は洛星を受験するのであれば合わせなければいけません。
理想は(2)まで取れることですが,こちらはガクッと正解率は下がるでしょう。
(3)(4)は限られた時間の中では正解する必要のない問題です。
特に(4)に関しては,ほぼ間違いなく正解率は0%だと思われます。
小問数17問に対して,
1番で2問,3番(1)で1問,4番(1)で1問,5番で4問,6番(1)で1問
これで合計9問,5割を超えます。
2番,3番(2),4番(2),6番(2)の中から1,2問とれば合計10問か11問。
この数字だけ見ると何とかなりそうですが,5番で思い通りに取れなければ一気に苦しくなることが
わかりますね。やはり5番がカギとなりそうです。
では,今回はその問題を見てみましょう。
(問題)H27 洛星中学校(前期) 算数 大問5番
整数1,2,3,・・・を次のようにマス目に並べます。
マス目の縦に並ぶ部分を「列」と呼び,その列を左から1列目,2列目,3列目,・・・とします。
ただし,マス目は縦にはどこまでも続いているものとします。

列の数をいろいろ変えて整数を並べることを考えますが,整数をマス目に並べる規則は同じです。
ただし,列は2列以上あるものとします。
(1)12の3つ下の数が33でした。このとき,列の数はいくつですか。また,12と33は何列目にありますか。
(2)7と22が同じ列に並ぶようなマス目を作るとき,列の数をいくつにしたらよいですか。
考えられるものをすべて答えなさい。
(3)Aを70以上90以下の整数とします。Aと50が同じ列に並ぶようなマス目を作ろうとしたところ,
そのような列の数の決め方はただ1通りしかありませんでした。このようなAをすべて答えなさい。
(4)あるマス目を作ったところ,91と235が同じ列に並びました。その列をx列目とすると,xは10以上20以下でした。
列の数はいくつですか。考えられるものをすべて答えなさい。
規則性の問題では,例から規則を見つけることが問題解決の第一歩になります。
今回は「同じ列に並ぶ」ということに注目された出題ですから,縦方向に並ぶ数の規則に注目すると,
【4列のときは,1つ下に降りるごとに数が4ずつ大きくなり,5列のときは1つ下に降りるごとに数が5ずつ大きくなる】
という規則がありますね。「列の数」と「上下の差」が等しくなっていることに気付きます。
(1)列の数を★列だとすると,12の3つ下の数である33は
33=12+★×3
と表すことができますので,列の数は(33-12)÷3=7列となります。
また,12も33も,
12÷7=1あまり5
33÷7=4あまり5
といずれも5あまるので,5列目だとわかりますね。
(2)7から22まで15増えていますが,列数はこの15の約数になっていないといけませんね。
1,3,5,15のうち,1のみ列数として不適当なので,3列,5列,15列が答えです。
(3)(2)でも見たように,列数はA-50の約数になっていることがわかっていますので,
もしもAが56だったりすると56-50=6の約数 ⇒ 1,2,3,6 ⇒ 2列,3列,6列 のように3通りできてしまいます。
1通りしかできないということは,1以外に約数が1個しかない,つまりA-50が素数だと良いわけです。
Aは70以上90以下ですから,A-50は20以上40以下。
この範囲にある素数は23,29,31,37なので,Aはこれらに50を加えた,73,79,81,87になります。
(4)91から235まで144増えていますので,列数は144の約数(1,2,3,4,6,8,9,12,16,18,24,36,48,72,144)
のうちの1以外のものすべてが考えられます。
ありそうな間違いとして,この段階で10以上20以下に絞ってしまうというのがあります。
しかし,例えば列数が36列でも,91や135が10以上20以下の列に並べばよいわけですから,20以上の約数も
考えないといけませんね。逆に9以下の列数は考えられませんから,10以上の列数について調べてみましょう。
12列の場合 ⇒ 91や235を12で割ると7あまる ⇒ 10以上20以下に入らないので×
16列の場合 ⇒ 91や235を16で割ると11あまる ⇒ 10以上20以下に入るので,16列はOK!
18列の場合 ⇒ 91や235を18で割ると1あまる ⇒ 10以上20以下に入らないので×
24列の場合 ⇒ 91や235を24で割ると19あまる ⇒ 10以上20以下に入るので,24列はOK!
36列の場合 ⇒ 91や235を36で割ると19あまる ⇒ 10以上20以下に入るので,36列はOK!
48列の場合 ⇒ 91や235を48で割ると43あまる ⇒ 10以上20以下に入らないので×
72列の場合 ⇒ 91や235を72で割ると19あまる ⇒ 10以上20以下に入るので,72列はOK!
144列の場合 ⇒ 91や235を144で割ると91あまる ⇒ 10以上20以下に入らないので×
難易度は
(1)■
(2)■■
(3)■■■
(4)■■■■
と緩やかに上がっているので,(4)まで無理なく取り組みやすい状態です。
難易度だけを見ると,簡単なはずの
(1)■
(2)■
(3)■■
(4)■■■■
のような出題のされ方よりも今回の場合の方が(4)までの得点を求められます。
※ただし,後者のような場合は(3)までをしっかりと確保しておかないといけない度合いが高まります。
取れるところ(難易度が低いところ)をしっかりと取るということは当然のことながら,
前問で問われたことを次の問題に活かすということもしっかり意識して,得点できる幅を
少しでも増やすことが大切ですね。(池)
受験者平均の遷移を見てみると,
55.4→70.0→54.9→42.2
となっています。
このことによって,3科受験の子はひどく割を食いました。
4科受験における受験者数/合格者数の倍率が1.74倍に対して,3科受験では2.37倍ですから,
かなり不利だったことがわかりますね。
受験者平均が42.2点ですから,60.0点(5割)がとりあえずの目標点となるかと思いますが,
実際に出題された問題を分析してみましょう。
大問1の(1)計算問題(2)角度の問題は絶対に落としてはいけません。
大問2の回転体の問題は正解すれば他の人に差をつけることはできるでしょうが,
小問に分かれていないので,できなくてもそれほど影響はないでしょう。
大問3のニュートン算は(1)では確実に取っておきたいところです。(2)は苦手な人は後回しでしょうか。
大問4の速さの問題は苦手とする子が多いリフトですが,問題を読んだ時点で気持ちが折れなければ
(1)は得点できるはずです。(2)まで取れればまぁよしでしょうか。
大問5は数表に見せかけて約数の問題ですが,小問が4つあるので,ここでいくつ取れるかが
合否を分けたと言えるでしょう。難易度的にも全問正解を狙ってほしい問題です。
とはいえ,この受験者平均ですから実際は取れていないのでしょうが…
大問6は影の問題,(1)は洛星を受験するのであれば合わせなければいけません。
理想は(2)まで取れることですが,こちらはガクッと正解率は下がるでしょう。
(3)(4)は限られた時間の中では正解する必要のない問題です。
特に(4)に関しては,ほぼ間違いなく正解率は0%だと思われます。
小問数17問に対して,
1番で2問,3番(1)で1問,4番(1)で1問,5番で4問,6番(1)で1問
これで合計9問,5割を超えます。
2番,3番(2),4番(2),6番(2)の中から1,2問とれば合計10問か11問。
この数字だけ見ると何とかなりそうですが,5番で思い通りに取れなければ一気に苦しくなることが
わかりますね。やはり5番がカギとなりそうです。
では,今回はその問題を見てみましょう。
(問題)H27 洛星中学校(前期) 算数 大問5番
整数1,2,3,・・・を次のようにマス目に並べます。
マス目の縦に並ぶ部分を「列」と呼び,その列を左から1列目,2列目,3列目,・・・とします。
ただし,マス目は縦にはどこまでも続いているものとします。

列の数をいろいろ変えて整数を並べることを考えますが,整数をマス目に並べる規則は同じです。
ただし,列は2列以上あるものとします。
(1)12の3つ下の数が33でした。このとき,列の数はいくつですか。また,12と33は何列目にありますか。
(2)7と22が同じ列に並ぶようなマス目を作るとき,列の数をいくつにしたらよいですか。
考えられるものをすべて答えなさい。
(3)Aを70以上90以下の整数とします。Aと50が同じ列に並ぶようなマス目を作ろうとしたところ,
そのような列の数の決め方はただ1通りしかありませんでした。このようなAをすべて答えなさい。
(4)あるマス目を作ったところ,91と235が同じ列に並びました。その列をx列目とすると,xは10以上20以下でした。
列の数はいくつですか。考えられるものをすべて答えなさい。
規則性の問題では,例から規則を見つけることが問題解決の第一歩になります。
今回は「同じ列に並ぶ」ということに注目された出題ですから,縦方向に並ぶ数の規則に注目すると,
【4列のときは,1つ下に降りるごとに数が4ずつ大きくなり,5列のときは1つ下に降りるごとに数が5ずつ大きくなる】
という規則がありますね。「列の数」と「上下の差」が等しくなっていることに気付きます。
(1)列の数を★列だとすると,12の3つ下の数である33は
33=12+★×3
と表すことができますので,列の数は(33-12)÷3=7列となります。
また,12も33も,
12÷7=1あまり5
33÷7=4あまり5
といずれも5あまるので,5列目だとわかりますね。
(2)7から22まで15増えていますが,列数はこの15の約数になっていないといけませんね。
1,3,5,15のうち,1のみ列数として不適当なので,3列,5列,15列が答えです。
(3)(2)でも見たように,列数はA-50の約数になっていることがわかっていますので,
もしもAが56だったりすると56-50=6の約数 ⇒ 1,2,3,6 ⇒ 2列,3列,6列 のように3通りできてしまいます。
1通りしかできないということは,1以外に約数が1個しかない,つまりA-50が素数だと良いわけです。
Aは70以上90以下ですから,A-50は20以上40以下。
この範囲にある素数は23,29,31,37なので,Aはこれらに50を加えた,73,79,81,87になります。
(4)91から235まで144増えていますので,列数は144の約数(1,2,3,4,6,8,9,12,16,18,24,36,48,72,144)
のうちの1以外のものすべてが考えられます。
ありそうな間違いとして,この段階で10以上20以下に絞ってしまうというのがあります。
しかし,例えば列数が36列でも,91や135が10以上20以下の列に並べばよいわけですから,20以上の約数も
考えないといけませんね。逆に9以下の列数は考えられませんから,10以上の列数について調べてみましょう。
12列の場合 ⇒ 91や235を12で割ると7あまる ⇒ 10以上20以下に入らないので×
16列の場合 ⇒ 91や235を16で割ると11あまる ⇒ 10以上20以下に入るので,16列はOK!
18列の場合 ⇒ 91や235を18で割ると1あまる ⇒ 10以上20以下に入らないので×
24列の場合 ⇒ 91や235を24で割ると19あまる ⇒ 10以上20以下に入るので,24列はOK!
36列の場合 ⇒ 91や235を36で割ると19あまる ⇒ 10以上20以下に入るので,36列はOK!
48列の場合 ⇒ 91や235を48で割ると43あまる ⇒ 10以上20以下に入らないので×
72列の場合 ⇒ 91や235を72で割ると19あまる ⇒ 10以上20以下に入るので,72列はOK!
144列の場合 ⇒ 91や235を144で割ると91あまる ⇒ 10以上20以下に入らないので×
難易度は
(1)■
(2)■■
(3)■■■
(4)■■■■
と緩やかに上がっているので,(4)まで無理なく取り組みやすい状態です。
難易度だけを見ると,簡単なはずの
(1)■
(2)■
(3)■■
(4)■■■■
のような出題のされ方よりも今回の場合の方が(4)までの得点を求められます。
※ただし,後者のような場合は(3)までをしっかりと確保しておかないといけない度合いが高まります。
取れるところ(難易度が低いところ)をしっかりと取るということは当然のことながら,
前問で問われたことを次の問題に活かすということもしっかり意識して,得点できる幅を
少しでも増やすことが大切ですね。(池)
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