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栄光学園中学校 算数 問題 解説&入試分析★2015年(H27年)

2015.07.16 16:14|入試問題分析(算数)
今回は栄光学園中学校を取り上げます。
東大へ多くの合格者を輩出する神奈川県の進学校ですが、算数の問題がかなり難しいことでも有名ですね。

受験者数は640人で合格者数278人の実質倍率2.3。

合格最低点150/240、合格者平均点163.1/240

各教科の平均点は(受験者平均点,合格者平均点)の順で
国語70点満点(37.6,42.3)
算数70点満点(40.8,47.8)
理科50点満点(34.5,38.4)
社会50点満点(32.2,34.6)

算数は7割が目標です!


【各問寸評】

大問1、pとqが互いに素な時にq,2×q,3×q,…,(p-1)×qをpで割った余りは、1,2,3,…,p-1がすべて出るという問題です。
しかしそれを知らなくても解けるので、書き下して整理するという基本的なことが大切です!
(1)は実際に実験してみて10回ですべてひっくり返り、20回で元に戻る周期性を発見すればよいですね。
(2)はどのようにひっくり返っていくか過程を見たいので、白から黒へを○、黒から白へを×として20回書き上げると
××○○×○○××○○○××○××○○×
で○が3個続くところで一番増えるなど整理の仕方を工夫しましょう!
(3)は50回目なので25回目で全て裏返ります。
すると25の約数を考えて1,5,25の3つしかないので5枚と25枚です。
(3)が少しだけ難しいですが全て正解したいです。

大問2、水量の問題です。
仕事算のようにやれば問題ないですね。
(1)(2)(3)とよく練習する問題なので確実に点数をとりましょう!

大問3、消費税の問題です。
(1)は1.08で割ればよいですが切り捨てなので9999円にならないように注意しましょう。
(2)は消費税分の8%が影響を及ぼさないときなので、1÷0.08=12.5円未満、つまり1円から12円までです。
(3)と(4)は(2)がちょっと誘導になっていて周期性に注目します!
8%の場合は2÷0.08=25円より、12円25円37円50円、…で消費税が1円高くなる、変則の25円周期です。
10%は10円ごとに消費税が1円あがります。
だから(3)は1円から9円まで、13円から19円まで、25円から29円まで、38円から39円
(4)は5000円がちょうど10%と8%の差が100円なので、この5000円に(3)で求めた金額を足しても引いても100円の差はかわりません!
少し難しいですが、(3)まではとりたいですね。

大問4、(1)(2)を今回解説します。
(3)ポイントは2つ。①「12等分ではイチゴあり・イチゴなしが交互なので、13等分以上は2個以上連続でイチゴが乗っていない部分ができるはず。」②「イチゴの24°よりは小さくできない」です。
①より、中心角は36÷2=18°以下でないといけないので、360°÷18°=20等分以上でないといけないのですが、②より、360÷24°=15等分よりは多くできないので、この2つを同時に満たすことはできません。」
(4)6等分ではすべてイチゴあり、12等分ではイチゴあり・イチゴなしが交互です。これを踏まえて、場合分けをすると。
・7等分以上11等分以下の場合
①2個連続でイチゴが乗っている部分ができるので、中心角は(24×2+36)÷2=42°以上でないといけません。
②ですが、イチゴなしもあるはずなので、中心角は36°以下でないといけません。
この2つを同時に満たすことはできませんね。

・5等分以下の場合
イチゴが2個乗ってるケーキが必要なので、中心角は24×2+36=84°以上でないといけません。よって、5等分(中心角72°)はアウト。
4,3,2等分は実際に線を引いてみれば切れるとわかります。
この大問4でいくらか稼げることができれば、差がつくと思います!


それでは問題を見ていきましょう。
(問題)H27 栄光学園中学校 大問4(1)(2)

図1のように底面の半径が10cmの円柱状のケーキがあります。ケーキの上には同じ形のイチゴが6個のっています。図2はこのイチゴを拡大したもので、もっともふくらんだ部分は半径1cmの円になっています。
eikou2015m1.jpg
ケーキの中心から5cmの距離(きょり)にイチゴの中心がくるように、等間隔(とうかんかく)にイチゴを置きます。上から見ると図3のように見えます。
eikou2015m2.jpg
このケーキを十分離(はな)れたところから見ます。

(1)このケーキを図3の右側の矢印の方向の真横から見たとき、イチゴの位置はどのように見えるか、(あ)~(う)から選びなさい。
eikou2015m3.jpg

(2)このケーキを様々な方向の真横から見たとき、見ることができるものを(え)~(け)から2つ選びなさい。

eikou2015m4.jpg

(3)(4)略


[解説]
(1)選択肢を見ると、端のイチゴが半径5cmの円よりも内側か、ちょうど上か、外側かを聞いています。
eikou2015k1.jpg
図3の矢印の方向から見る図は、図のように矢印に垂直な直径である赤い線に正射影をして考えましょう!

イチゴは水色の点のところに見えます。
これは半径5cmの円よりも内側で(あ)ですね。


(2)
問題の選択肢の(え),(お),(か)を見るとどれも、半径5cmの円上にイチゴがあります。
eikou2015k2.jpg
ですから、図のように2個のイチゴを通る直径である赤い線に、正射影して考えたらいいですね。

図の緑の相似に注目すると②=5cm、①=2.5cmですから
・端2つのイチゴは2.5-1×2=0.5cm離れている
・中にあるイチゴは5cmの半径の真ん中に位置する
ということがわかります。
つまり(か)が答えですね。


今度は(き),(く),(け)の三つです。

と、その前に…
ちょっと理科の話をしてみましょう。

皆さんはなぜ太陽が球形であるとわかるのかを考えたことはありますか?
いくつかの判断材料がありますが、黒点の動く速さが中の方にあると速く動き、端の方にあると遅く動くということから球とわかります!

さて、本題に戻ります。

eikou2015k3.jpg
例えば図のような角度から見るとイチゴが3つに見えます。「ここから少し回転させるとどう見えるか?」と考えてみましょう。


黒点の話と同じで
eikou2015kk4.jpg
上の図を見ると、同じ角度だけ回転しても、正射影すると中の方ははたくさん動きますが、端はあまり動かないことがわかります。

よって端のイチゴのずれが小さく、中のイチゴのずれが大きい(き)が答えですね!


※注意
(き),(く),(け)も全て中心から5cmのところにイチゴが見えているので、厳密には(き)も違います。
しかしそれでは答えが1つになるので、きっと(き),(く),(け)は端のイチゴを中寄りに書いてこの中から選ばせたかったのだと思います。


着眼点が斬新な問題ですね。栄光の算数は多様な切り口で攻めてきますので、たくさんの問題にあたって経験豊富な栄光生を目指しましょう!(畠)
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慶應義塾中等部 算数 問題 解説&入試分析★2015年(H27年)

2015.07.02 20:54|入試問題分析(算数)
今回は慶應義塾中等部を取り上げたいと思います。

女子にとっては最難関の一つです!

二次の面接と体育実技を含めた総合得点で合格を判断することもあり、合格最低点は非公表ですが、問題の難易度はそれほど高くないので男子なら8割5分、女子なら9割を目標にしましょう。


【各問寸評】
大問1、計算問題です。確実にあわせないとさすがに話になりません。
大問2、(1)相当算の基本問題(2)歩幅と歩数の速さの問題(3)年齢算(4)差集算。何度も練習してきた問題なのでこれも満点狙いですね。
大問3、図形問題です。特に難しい問題もないので早く正確にあわせていきましょう!
大問4、<x,y>は,xをy個足した値としますと何やら凄いことを書いてるようで、掛け算するだけです。
(2)は2×8×15×28=42×□の掛け算の形のまま約分して□を求めると楽ですね。
大問5、船が川を上下に往復する問題です。ダイヤグラムから(1)は何時間で着くのか読み取り、(2)は周期性と相似な三角形を見つけて確実に解きましょう。
大問6、(1)10の位の影響力が大きいので10の位が3と4であればいいですね。(2)かく乱順列になります。すべて書き下して判断すればよいです。
大問7、今回はこの問題を解説します。

それでは問題を見ていきましょう!


(問題)H27 慶應義塾中等部 大問7

[図1]のようにAB=4cm,AD=8cm,AE=2cmの直方体の辺の上を3つの点が動きます。点Pは長方形ABFEの辺の上をA→B→F→E→A→・・・の順に秒速1cmで、点Qは長方形ADHEの辺の上をE→H→D→A→E→・・・の順に秒速2cmで、
点Rは長方形DCGHの辺の上をD→C→G→H→D→・・・の順に秒速0.5cmで動きます。点P,Q,Rが同時にそれぞれ点A,E,Dを出発するとき、次の□に適当な数を入れなさい。

keiouchutou2015m1.jpg

(1)点Pと点Qが2回目に出会うのは出発してからkeiouchutou2015m2.jpg秒後です。

(2)3つの点が初めて同じ辺の上に並ぶのは出発してから□秒後です。


[解説]
(1)点PとQは辺AE上で出会います。
それぞれの点が辺AE上に何秒後から何秒後までいるのか、周期性に注意して調べてみると

点Pは(4+2+4+2)÷1=12秒で1周、点Qは(8+2+8+2)÷2=10秒で1周
12と10の最小公倍数は60なので、60秒後に最初の状態に戻ります。

60秒後までにおいて辺AE上にいる時間は
P(E⇒A):10-12,22-24,34-36,46-48,58-60
Q(A⇒E):9-10,19-20,29-30,39-40,49-50,59-60

同時に辺AE上に存在した期間は赤と青の部分で、二回目の出会いは青の部分ですね。
赤の部分ではEで出会っています。

59秒後に点PはEAの中点にいるから…と考えてもできますが
60秒後の状態(スタートと同じ状態)から逆再生させると、点PがAからEへ、点QがEからAへと動くので
2÷(1+2)=2/3秒前と簡単にわかりますね!

60-2/3=59と1/3秒後です。


(2)3つの点が初めて同じ辺の上に並ぶのは辺EH上か辺AD上のどちらかになります。

(i)点Pが点A、点Rが点Dに同時に到達
(ii)点Pが点E、点Rが点Hに同時に到達
の2つのパターンに限定されます。

点Pは1周12秒、点Rは(4+2+4+2)÷0.5=24秒で1周
12と24の最小公倍数は24なので24秒で最初の状態に戻ります。

24秒後までにおいて
(i)のパターン
点Pは点Aに12,24秒、点Rは点Dに24秒に到着するので、24秒後に同時に到達します。
(ii)のパターン
点Pは点Eに10,22秒、点Rは点Hに20秒に到達するので、同時に到達する場合はありません。

PとRは24秒周期で同時に点Aと点Dに到達するので、残りの点Qが
24,48,72…秒後にAD上にあればよいわけです。

点Qが点Dを通るのは5秒後、点Aは9秒後で…とAD上にある時刻全部調べてもよいですが
順に24秒後、48秒後、72秒後…と点Qの位置だけを調べていけば楽ですね!

24秒後は、2×24=48cmで2周と8cm進むのでEH上
48秒後は、2×48=96cmで4周と16cm進むのでAD上

よって48秒後になります。


慶應義塾中等部では難問はありませんが、早く正確に解き高得点をとる必要があるので要領よく解く練習も心がけて華麗に合格しましょう!(畠)
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