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2016(H28)入試分析 算数 愛光中学校

2016.03.29 17:40|入試問題分析(算数)
今回は愛光中学校の問題を見てみましょう。

まずは、受験者関連の数字から。
本校会場で受験する場合と県外会場で受験する場合で合格最低点が変わるので、第一志望として受験される方は
本校まで出向いて受験される方がほとんどでしょう。
今年は、本校(県内生)が225/400、本校(県外生)が226/400、県外会場が257/400となりました。
受験者数/合格者数の倍率は、本校(県内生)で1.85倍、本校(県外生)で1.57倍、
東京会場で1.84倍、大阪会場で1.53倍、福岡会場で1.66倍 となりました。
去年と比べて、算数と国語の全体平均が10点ちょい下がっています。
去年は理数系で圧倒的な強さを見せた大阪会場が、算数で差をつけることができず、
突き出ることができなかったという結果になりました。

では、各問題にざっと目を向けてみましょう。
大問1番
(1)(2)計算問題。落とすべからず。
(3)流水算と比を絡めた問題。当然落とすべからず、と言いたいのですが、苦手な子が多い・・・。
(4)和と差の文章題の典型題。落とすべからず。
(5)図形の内部を円が転がる問題。愛光受験生レベルならば、計算間違えしなければできるはずですが・・・?
(6)点の移動問題。移動の向きが重なるたびに変わるので、苦手な子にとってはパニック状態への入り口。
(7)紙の折り返し問題。よく見る問題のように見えて、ちょっと問いかけ方がいやらしいので、正解率は低いと思われる。
(8)場合の数。答えがずれがちなところですが、ここは点数を積み重ねておきたい。
大問2番
倍数算と倍数変化算の組み合わせ。ここはがっちり取りましょう。
大問3番
年令算の典型題。これもがっちり取りましょう。
大問4番
速さの問題。これは全滅の子が結構多いかも?

つまり、大問1でパニックになって後ろも全く取れないというのが最悪のパターン、
大問1をかなり後回しにし、大問2,3をテンポよく解けたものの、大問4が全然わからなくてパニックになり、
前に戻って得点できなかったというのが次のダメパターン。

いずれにしても「自分が難しいときは他の人も難しい」という鉄の心をもって、取れるものを必死で拾っていくことが大切です。
全体の平均点が低かったのを見て、「パニックになる必要なかった…」なんて後から言っても意味ないですからね。

では、今回は4番の速さの問題を見てみましょう。

(問題)H28 愛光中学校 算数 大問4番
太郎君,次郎君,三郎君の3人が10km走をしました。3人は同時に出発し,最初,太郎君と次郎君は同じ速さで,
三郎君は2人より遅い速さで走りました。太郎君と次郎君がスタート地点から8kmのP地点を通過したとき,
三郎君はQ地点を通過しました。太郎君はゴールまで同じ速さで走りましたが,次郎君はPから,三郎君の
Qまでの速さと同じ速さに下げてゴールまで走り,三郎君はQから速さを上げてゴールまで走りました。
その結果,太郎君と三郎君は同時にゴールし,次郎君はPを通過してから6分後に三郎君にぬかれ,
2人より30秒遅れてゴールしました。
2016aiko_4_01.png
(1) もし,三郎君が最初の速さのまま走ったとすると,QからPまで何分かかりますか。
(2) 速さを変えた後の次郎君と三郎君の速さの比を,最も簡単な整数の比で表しなさい。
(3) 太郎君が出発してからゴールするまでの時間を求めなさい。

2016aiko_4_04.png

問題の内容を状況図に表すとこんな感じ。
(1) P~ゴールの2kmに注目すると,実線と点線でかかる時間の差が0.5分です。
  ということは、スタート~Pの8kmでの実践と点線でかかる時間の差は4倍の2分のはず。
  これが,そのまま上の図の「もしも」のところにあたります。よって答えは2分
(2) Q~Rに注目すると,点線では2+6=8分,二重線では6分かかります。よって、速さは逆比で6:8=3:4
(3) (2)より、▶~★の次郎君と三郎君の進んだ距離は③,④と置くことができます。
  R~ゴールでは点線と二重線でかかった時間の差が0.5分ですが,Q~Rでは点線と二重線でかかった時間の差が2分なので、
  2÷0.5=4倍になっています。つまり、◆~▶の次郎君と三郎君の進んだ距離は③×4=⑫,④×4=⑯となりますね。
  ここまでが下の図です。
  2016aiko_4_03.png
  点線で⑫の距離に6分かかっていて、点線の◆~★は⑮の距離なので7.5分ですね。
  ここで太郎君に目を移すと、◆~★は2kmで7.5分,つまり、10kmには7.5×5=37.5分かかります。

(1)から速さの図の中でも皆が見つけにくい,「かかる時間差の比=道のりの比」という出題でした。
こういう問題を解けるようになるには、正確な状況図を描けるようにしておく必要があります。
ダイヤグラムでも解けなくはないですが、縦軸と横軸のバランスが非常に取りにくい問題だったので,
どちらも使えるというのがベストなのですが、なかなか難しいですね・・・(^^;
(池)
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2016(H28)入試分析 算数 神戸海星女子学院中学校(B日程)

2016.03.28 16:28|入試問題分析(算数)
今回は神戸海星女子学院中学校(B日程)の問題を扱います。

学校HPの入試情報を見てみると,200点満点のテストで合格者平均が127.5点,合格最低点が108点です。

問題の難易度は去年に比べて少し上がりましたが,いずれの大問も(1)から全滅してしまうほどの難易度ではありません。
(1)の中では6番が一番きつそうなので,ここが取れなければ他のところで稼がなければいけません。

大雑把な目標としては,1番で3問,2番で2問,3番4番で1問ずつ,5番で2問,6番で1問取れれば最低ライン。
1番2番の残りと4番(2)6番(2)で稼ぐことが出来ればその分だけ楽になるという感じです。

今回は,5番の問題を取り上げてみます。

(問題)H28 神戸海星女子学院(B日程) 算数 大問5番
右の図のような1辺の長さが2cmの立方体があります。A,B,Cは立方体の頂点で,D,E,F,G,H,I,Jは
辺の中央の点とします。3点D,F,Gを通る平面をア,点Cを通りアに平行な平面をイ,点Eを通りアに平行な
平面をウ,点Bを通りアに平行な平面をエ,点Hを通りアに平行な平面をオとするとき,次の問いに答えなさい。
(1) この立方体を平面ア,イ,ウ,エ,オで切るとき,この立方体はいくつの部分に分かれますか。
(2) この立方体を平面ウで切ったときにできる切り口はどのような図形になりますか。
(3) 3点G,I,Jを通る平面をカとし,(1)で切った立方体をさらに平面カ,および平面カに平行で点A,F,C,Eを通る
  平面キ,ク,ケ,コでそれぞれ切ると,この立方体はいくつの部分に分かれますか。2016_kobekaisei_5_01.png


(1) 平面ア,イ,ウ,エ,オを実際に立方体に書き込んでみると,下の図のようになります。
2016_kobekaisei_5_03.png
平行な5枚の平面で切断されているので,5+1=6つの部分に分かれているのがわかりますね。

(2) 平面ウは,先ほどの図に書き込んだ平面のうちのまん中の平面,つまり,切り口は正六角形です。

(3) 先ほどの図に長方形AKLBを書き込んでみましょう。
2016_kobekaisei_5_05.png
平面ア,イ,ウ,エ,オによって,長方形AKLBが下の図のように6つに切断されているのがわかりますね。
これが(1)の答えにあたるものです。
2016_kobekaisei_5_06.png
今度は,平面カ,キ,ク,ケ,コの切断を考えます。見取図に書き込むとこんな感じ。
2016_kobekaisei_5_07.png
さらに先ほどと同じように長方形AKLBの切断図にかきこむとこんな感じ。
2016_kobekaisei_5_08.png
22個に切断されているのがわかります。

見取図に10個の切断面を書き込んだりすると,間違いなく図がぐちゃぐちゃになって解けません。(^^;
立体の問題はいかに平面図での処理にもちこむかが勝負になるということを頭に置いておきましょう。
※(3)については,正解までたどり着けなくても合否にはおそらく影響ないですけどね。
(池)
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2016(H28)入試分析 算数 神戸海星女子学院中学校(A日程)

2016.03.26 10:52|入試問題分析(算数)
今回は神戸海星女子学院中学校(A日程)の問題です。

学校HPの入試情報を見てみると,360点満点のテストで合格者平均が199.9点,合格最低点が165点です。
一昨年までは,きつい問題が1,2問入っていて100点満点ではなく6,70点満点のテストという感じだったのですが,
去年はそれがかなり緩和され,今年もきちんと算数の勉強をしてきた子であれば高得点が狙えるテストになっていました。
その中から,実際の難易度よりも子供たちが混乱して点数を落としそうな問題を取り上げます。

(問題)H28 神戸海星女子学院中学校・算数(A日程) 大問3番
次のように,整数を1から順に同じ数を5個ずつ並べて,前から3個ずつ線で区切って組を作ります。次の問いに答えなさい。

1 1 1 | 1 1 2 | 2 2 2 | 2 3 3 | 3 3 3 | 4 4 4 | 4 4 5 | 5 ・・・・・

(1) | 62 63 63 | は初めから何番目の組ですか。
(2) 59番目の組はどんな数の組ですか。答のらんに3つの数を書きなさい。


3個区切りの群数列と5個区切りの群数列が混在しているので,実際の問題の難易度よりも正解率が下がったと思われます。
|で区切るのではなく,こんな区切り方にしてみると見やすいかもしれませんよ。
2016_kobekaisei_3_01.png
○の区切りが,問題の|の区切りと一致しています。
一気に2種類の区切りに注目しなくても,上と下に分けてあげることで混乱しにくくなりそうです。

(1) | 62 63 63 | は[63]組の2番目まで並んでいるので,5×62+2=312番目の数ですね。
つまり,○の方で考えると,312÷3=104番目の組ということになります。

(2) 59×3=177番目の数まで並んでいるので,[ ]の方で考えると177÷5=35組・・・2こ
つまり,[36]組目の2個目まで並んでいます。[35]組の最後の数から書けばよいので, | 35 36 36 | が答えです。 

解いてしまうとすごく簡単ですね(^^;

<別解>
(1) 3個区切りと5個区切りなので,L.C.M.の15個ごとに注目してみましょう。
  5番目の組が | 3 3 3 | ,10番目の組が | 6 6 6 | ,15番目の組が | 9 9 9 | ,・・・となっています。
  つまり, | 63 63 63 | は63÷3×5=105組目なので, | 62 63 63 | はその1つ前の104組目です。

(2) 60番目の組は60÷5×3=36なので, | 36 36 36 | です。その1つ前の組は | 35 36 36 | ですね。

どちらの解き方でもかまいませんが,混乱しそうなときにどのようにすれば混乱しないかを考える習慣をつけていきましょう。
(池)
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2016(H28)入試分析 算数 関西学院中学部 第2日

2016.03.23 16:35|入試問題分析(算数)
今回は関西学院中学部(第二日)の問題です。

今回は小問を2つほど取り上げてみましょう。

(問題)H28 関西学院中学部・算数(第2日) 大問2番
次の□の中に適当な数を入れなさい。
(1) 図のように,長方形ABCDを7つの長方形に分けました。①の面積は41cm^2,②の面積は10cm^2,
③の面積は□cm^2,④の面積は36cm^2,⑤の面積は3cm^2でした。
kangaku2_2(1).png

わかる辺の長さを地道に出していってもいいですが、ちょっと工夫をすれば計算がかなり楽になる問題です。
2016kangaku_2_01.png
①の面積を上の図のような点線で区切ると、下の部分の面積が5×6=30cm^2,上の部分の面積が41-30=11cm^2
となります。

30㎠と10㎠に注目すると÷3になっているので、☆の面積は36÷3=12cm^2。

ピンク色のところと水色のところに注目すると15÷10=1.5倍になっているので,11×1.5=16.5cm^2と出せますね。

最近はやりの「面積迷路」というパズルの出題です。




(3) ある整数のすべての位の数字をかけて積を作ります。例えば,234のすべての位の数字の積は24になります。
このようにして,すべての位の数字の積が2016になる整数のうち,最も小さい数は□です。


「最も小さい数」ということですから,けた数は少ない方がよい,つまり,できるだけ少ない個数の,
1けたの数の積になおしましょう。

2016を素因数分解すると2×2×2×2×2×3×3×7です。

7は他のものと組み合わせると2けたになってしまいますので単独で使います。
2は単独で使うか,2個組み合わせて4とするか,3個組み合わせて8とするかの選択ができます。
3は単独で使うか,2個組み合わせて9とするかですね。
あと,2と3を1個ずつ組み合わせて6とすることもできます。

そうすると,4数の積になる
(2×2×2)×(2×2)×(3×3)×7=8×4×9×7 か (2×2×2)×(2×3)×(2×3)×7=8×6×6×7 のいずれかです。

前者であれば最小の数は4789,後者であれば最小の数は6678ですから,答えは4789となります。

いずれの問題も難易度的にはそれほどではないのですが、ちょっと面白い問題ですね。
(3)のような「積の問題は素因数分解する」という考え方はよく出てきますから、しっかりできるようにしておきましょう。(池)
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2016(H28)入試分析 算数 関西学院中学部 第1日

2016.03.20 17:08|入試問題分析(算数)
前回の記事からちょっと期間があいてしまいました。すみません。

関西学院中学部(第一日)の問題を今回は取り上げてみます。

入試関連数値の推移は,
■倍率
男1.7倍⇒2.1倍⇒1.7倍⇒1.6倍⇒1.6倍
女1.4倍⇒1.8倍⇒1.9倍⇒1.9倍⇒2.0倍
■合格最低点
男275点⇒315点⇒322点⇒298点⇒290点
女270点⇒317点⇒337点⇒323点⇒332点
■算数平均点
男90点(42点,48点)⇒114点(60点,55点)⇒124点(61点,63点)⇒106点(53点,53点)⇒109点(59点,51点)
女90点(41点,49点)⇒111点(58点,53点)⇒122点(61点,60点)⇒107点(53点,54点)⇒108点(57点,51点)

変わらず女子の人気が高く、合格最低点で42点差がついていますが、例年通り算数の平均点では男女差がそれほどありません。

(問題)H28 関西学院中学部・算数(第1日) 大問6番
1辺1cmの立方体を125個ぴったりはりつけて,1辺5cmの立方体を作りました。
図のように,この立方体の影をつけた部分を反対の面までまっすぐくりぬきました。
のこった立体の体積を求めなさい。
2016kangaku_6_01.png

頭の中でくりぬいた後の立体をイメージできる人はそのままやればいいのですが,ほとんどの子はそうはいきません。
そこで頭をよぎるのが「立方体を積み上げた問題は,段ごとの図を描いて考える」という手法です。
ただ、三角柱をくりぬいた部分をどのように処理すればよいかでちょっと悩んだかもしれません。
が、下のように「三角柱になっているところ=立方体の半分が残っているところ」を△で表すとあっさりいけてしまいます。
2016kangaku_6_02.png
よって,23+16+13.5+15+23=90.5cm^3となります。

聞いて理解するのは簡単ですが,
①実際に図を描く作業を面倒くさがらずできるかどうか
②更に三角柱になっているところを図の上でどのように処理するか
の2段階のハードルをクリアしないといけない問題です。

まずは①をしっかりクリアしましょう。(クリアできていない人のなんと多いことか!)
その上で、普段の学習の中でも難問にあたってつまづいたときに、「何とか自分の知っていることを利用できないか」
という発想をもって手がかりをさがす習慣を身につけていきましょう。(池)
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