開成中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)
2016.04.30 14:04|入試問題分析(算数)|
今回は開成中学をとりあげたいと思います。
御三家の一つと言われる有名進学校で、東大合格者数は全国一です。
受験者数1131人、合格者数396人、実質倍率2.86
で平均点をみてみると
教科別平均は,(合格者平均、受験者平均)の順で
国語(48.4,41.0)/85
算数(53.7,39.7)/85
理科(61.4,56.9)/70
社会(51.0,46.2)/70
合計(214.5 183.8)/310
となります。
算数が合格者平均と受験者平均の差が大きく、算数の出来がかなり合否を左右することがわかります。
各問題を見てみますと
大問1 速さの問題です。坂の傾きにより速さが変化します。
斜面になるので移動する距離が長くなることに注意しましょう。
「距離の比÷速さの比=時間の比」の関係をしっかりと理解していれば得点することができますが、速さの比を読み取るところで苦労しそうです。
大問2 仕事算と鶴亀算が組み合わされた問題です。
ある仕事量を[1200]と置いて
Aは1日あたり仕事[2]、仕事[1]あたり3000円、
Bは1日あたり仕事[3]、仕事[1]あたり3000円、
Cは1日あたり仕事[6]、仕事[1]あたり5000円
というように,各人の1日当たりの仕事量や,仕事[1]あたりの賃金を出しておきます。
AとBは仕事[1]あたりの賃金が同じなので,セットで使うと考えばよいですね。
(2)は(AとB)とCで210日で[1200]の仕事で鶴亀算
(3)は(AとB)とCで420万円で[1200]の仕事で鶴亀算
ですが、日数を軸にした鶴亀算と金額を軸にした鶴亀算は理屈は同じでも正解率は変わります。
(2)まではしっかりと取っておきたいところです。
大問3 今回はこの問題をとりあげます。
大問4 図形問題です。(1)では同じ半径の円が交わると共通な弦で線対称になることを利用して角度を求めたりなどして解きます。
(2)は等積移動をして(1)で求めた△AEFを16個作ります。図形問題をしっかりと練習してきた人は結構取れたかもしれません。
全体的に解き方自体はそんなに難しいわけではないですが,合格者平均点はそれほど伸びていません。
おそらく問題の意味を理解するのに苦労したのだと思われます。
(問題)H28 開成中学校 算数 大問3

図の正五角形は直線lに関して線対称です。いま、点Aが正五角形の頂点①,②,③,④,⑤を、操作1、操作2、操作3のいずれかに従い移動します。
操作1:時計回りに2つ移動する。
操作2:時計回りの反対の方向に1つ移動する。
操作3:直線lに関して線対称な頂点に移動する。
たとえば②からスタートして、操作1、操作2、操作3、操作3、操作1の5回の操作による点Aの移動は、次の例のように表記します。操作3、操作2、操作3、操作3、操作1による移動も同じ表記になります。

以下の問いに答えなさい(答えのみでよい)。
(1)点Aが②からスタートして2回の操作の直後にいることができる頂点をすべて書きなさい。
(2)1回の操作の直後に点Aが④にいられるような頂点をすべて書きなさい。
(3)点Aが②からスタートして5回の操作の直後に④にいる移動の表記は全部で何通りありますか。さらに、その表記を上の例にならってすべて書き上げなさい。
[解説]
(1)
操作1で②→⑤
操作2で②→③
操作3で②→⑤
なので1回の操作で
②→③か⑤
と移動します。
同様にして
③→①か④
⑤→①か②か③
となるので①と②と③と④になります。
(2)
(1)より1回の操作で
②→③か⑤
③→①か④
⑤→①か②か③
でした。
同様にして①と④は
①→①か②か④
④→②か③か⑤
よって④に移動するものは①と③になります。
(3)
問題文にも書いてるように、操作ではなく表記が何通りかを求められてるので移動のことだけ考えればいいことに注意しましょう。
(2)のように,どこから移動してくるのかを各番号についてまとめると,
①か③か⑤→①
①か④か⑤→②
②か④か⑤→③
①か③ →④
②か④ →⑤
となります。
これを移動回数と移動先の表にまとめるとこのようになります。
(④に移動するのは①,③からなので4回目は①と③の数字だけ計算しています。)

したがって15通りとなります。
ここでどこに移動するか整理をしておくと
①→①か②か④
②→③か⑤
③→①か④
④→②か③か⑤
⑤→①か②か③
となります。
すべて書きあげるには表から3回目までの移動は全通りを書けばよいことがわかります。
なので3回目までの移動をすべて書きあげると
1回目の操作で②→③の時、2回目3回目の操作による移動は
③→①→①
③→①→②
③→①→④
③→④→②
③→④→③
③→④→⑤
1回目の操作で②→⑤の時、2回目3回目の操作による移動は
⑤→①→①
⑤→①→②
⑤→①→④
⑤→②→③
⑤→②→⑤
⑤→③→①
⑤→③→④
3回目4回目5回目の操作は4回目で①と③に移動する場合だけなので
①→①→④
②→③→④
③→①→④
④→③→④
⑤→(①か③)→④
これを使って3回目が⑤だけ2通りあることに注意して3回目までの並びとつなげると
②③①①①④
②③①②③④
②③①④③④
②③④②③④
②③④③①④
②③④⑤①④
②③④⑤③④
②⑤①①①④
②⑤①②③④
②⑤①④③④
②⑤②③①④
②⑤②⑤①④
②⑤②⑤③④
②⑤③①①④
②⑤③④③④
となります。
この問題に関しては複雑な計算が要求されるわけではありません。
スマートに解けるかよりは、問題文を正確に読み取り、地道な作業をいかにミスすることなくできるかが大切です。
そのためには読み取った内容をどのようにメモしておくか、また、それらを元にどのように問題を整理していけばよいかを意識する癖をつけましょう。
頑張ってください!
(畠田)
御三家の一つと言われる有名進学校で、東大合格者数は全国一です。
受験者数1131人、合格者数396人、実質倍率2.86
で平均点をみてみると
教科別平均は,(合格者平均、受験者平均)の順で
国語(48.4,41.0)/85
算数(53.7,39.7)/85
理科(61.4,56.9)/70
社会(51.0,46.2)/70
合計(214.5 183.8)/310
となります。
算数が合格者平均と受験者平均の差が大きく、算数の出来がかなり合否を左右することがわかります。
各問題を見てみますと
大問1 速さの問題です。坂の傾きにより速さが変化します。
斜面になるので移動する距離が長くなることに注意しましょう。
「距離の比÷速さの比=時間の比」の関係をしっかりと理解していれば得点することができますが、速さの比を読み取るところで苦労しそうです。
大問2 仕事算と鶴亀算が組み合わされた問題です。
ある仕事量を[1200]と置いて
Aは1日あたり仕事[2]、仕事[1]あたり3000円、
Bは1日あたり仕事[3]、仕事[1]あたり3000円、
Cは1日あたり仕事[6]、仕事[1]あたり5000円
というように,各人の1日当たりの仕事量や,仕事[1]あたりの賃金を出しておきます。
AとBは仕事[1]あたりの賃金が同じなので,セットで使うと考えばよいですね。
(2)は(AとB)とCで210日で[1200]の仕事で鶴亀算
(3)は(AとB)とCで420万円で[1200]の仕事で鶴亀算
ですが、日数を軸にした鶴亀算と金額を軸にした鶴亀算は理屈は同じでも正解率は変わります。
(2)まではしっかりと取っておきたいところです。
大問3 今回はこの問題をとりあげます。
大問4 図形問題です。(1)では同じ半径の円が交わると共通な弦で線対称になることを利用して角度を求めたりなどして解きます。
(2)は等積移動をして(1)で求めた△AEFを16個作ります。図形問題をしっかりと練習してきた人は結構取れたかもしれません。
全体的に解き方自体はそんなに難しいわけではないですが,合格者平均点はそれほど伸びていません。
おそらく問題の意味を理解するのに苦労したのだと思われます。
(問題)H28 開成中学校 算数 大問3

図の正五角形は直線lに関して線対称です。いま、点Aが正五角形の頂点①,②,③,④,⑤を、操作1、操作2、操作3のいずれかに従い移動します。
操作1:時計回りに2つ移動する。
操作2:時計回りの反対の方向に1つ移動する。
操作3:直線lに関して線対称な頂点に移動する。
たとえば②からスタートして、操作1、操作2、操作3、操作3、操作1の5回の操作による点Aの移動は、次の例のように表記します。操作3、操作2、操作3、操作3、操作1による移動も同じ表記になります。

以下の問いに答えなさい(答えのみでよい)。
(1)点Aが②からスタートして2回の操作の直後にいることができる頂点をすべて書きなさい。
(2)1回の操作の直後に点Aが④にいられるような頂点をすべて書きなさい。
(3)点Aが②からスタートして5回の操作の直後に④にいる移動の表記は全部で何通りありますか。さらに、その表記を上の例にならってすべて書き上げなさい。
[解説]
(1)
操作1で②→⑤
操作2で②→③
操作3で②→⑤
なので1回の操作で
②→③か⑤
と移動します。
同様にして
③→①か④
⑤→①か②か③
となるので①と②と③と④になります。
(2)
(1)より1回の操作で
②→③か⑤
③→①か④
⑤→①か②か③
でした。
同様にして①と④は
①→①か②か④
④→②か③か⑤
よって④に移動するものは①と③になります。
(3)
問題文にも書いてるように、操作ではなく表記が何通りかを求められてるので移動のことだけ考えればいいことに注意しましょう。
(2)のように,どこから移動してくるのかを各番号についてまとめると,
①か③か⑤→①
①か④か⑤→②
②か④か⑤→③
①か③ →④
②か④ →⑤
となります。
これを移動回数と移動先の表にまとめるとこのようになります。
(④に移動するのは①,③からなので4回目は①と③の数字だけ計算しています。)

したがって15通りとなります。
ここでどこに移動するか整理をしておくと
①→①か②か④
②→③か⑤
③→①か④
④→②か③か⑤
⑤→①か②か③
となります。
すべて書きあげるには表から3回目までの移動は全通りを書けばよいことがわかります。
なので3回目までの移動をすべて書きあげると
1回目の操作で②→③の時、2回目3回目の操作による移動は
③→①→①
③→①→②
③→①→④
③→④→②
③→④→③
③→④→⑤
1回目の操作で②→⑤の時、2回目3回目の操作による移動は
⑤→①→①
⑤→①→②
⑤→①→④
⑤→②→③
⑤→②→⑤
⑤→③→①
⑤→③→④
3回目4回目5回目の操作は4回目で①と③に移動する場合だけなので
①→①→④
②→③→④
③→①→④
④→③→④
⑤→(①か③)→④
これを使って3回目が⑤だけ2通りあることに注意して3回目までの並びとつなげると
②③①①①④
②③①②③④
②③①④③④
②③④②③④
②③④③①④
②③④⑤①④
②③④⑤③④
②⑤①①①④
②⑤①②③④
②⑤①④③④
②⑤②③①④
②⑤②⑤①④
②⑤②⑤③④
②⑤③①①④
②⑤③④③④
となります。
この問題に関しては複雑な計算が要求されるわけではありません。
スマートに解けるかよりは、問題文を正確に読み取り、地道な作業をいかにミスすることなくできるかが大切です。
そのためには読み取った内容をどのようにメモしておくか、また、それらを元にどのように問題を整理していけばよいかを意識する癖をつけましょう。
頑張ってください!
(畠田)
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