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開成中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.30 14:04|入試問題分析(算数)
今回は開成中学をとりあげたいと思います。
御三家の一つと言われる有名進学校で、東大合格者数は全国一です。

受験者数1131人、合格者数396人、実質倍率2.86
で平均点をみてみると

教科別平均は,(合格者平均、受験者平均)の順で
国語(48.4,41.0)/85
算数(53.7,39.7)/85
理科(61.4,56.9)/70
社会(51.0,46.2)/70
合計(214.5 183.8)/310
となります。
算数が合格者平均と受験者平均の差が大きく、算数の出来がかなり合否を左右することがわかります。


各問題を見てみますと

大問1 速さの問題です。坂の傾きにより速さが変化します。
斜面になるので移動する距離が長くなることに注意しましょう。
「距離の比÷速さの比=時間の比」の関係をしっかりと理解していれば得点することができますが、速さの比を読み取るところで苦労しそうです。

大問2 仕事算と鶴亀算が組み合わされた問題です。
ある仕事量を[1200]と置いて
Aは1日あたり仕事[2]、仕事[1]あたり3000円、
Bは1日あたり仕事[3]、仕事[1]あたり3000円、
Cは1日あたり仕事[6]、仕事[1]あたり5000円
というように,各人の1日当たりの仕事量や,仕事[1]あたりの賃金を出しておきます。
AとBは仕事[1]あたりの賃金が同じなので,セットで使うと考えばよいですね。
(2)は(AとB)とCで210日で[1200]の仕事で鶴亀算
(3)は(AとB)とCで420万円で[1200]の仕事で鶴亀算
ですが、日数を軸にした鶴亀算と金額を軸にした鶴亀算は理屈は同じでも正解率は変わります。
(2)まではしっかりと取っておきたいところです。

大問3 今回はこの問題をとりあげます。

大問4 図形問題です。(1)では同じ半径の円が交わると共通な弦で線対称になることを利用して角度を求めたりなどして解きます。
(2)は等積移動をして(1)で求めた△AEFを16個作ります。図形問題をしっかりと練習してきた人は結構取れたかもしれません。


全体的に解き方自体はそんなに難しいわけではないですが,合格者平均点はそれほど伸びていません。
おそらく問題の意味を理解するのに苦労したのだと思われます。

(問題)H28 開成中学校 算数 大問3
kaisei20161.jpg
図の正五角形は直線lに関して線対称です。いま、点Aが正五角形の頂点①,②,③,④,⑤を、操作1、操作2、操作3のいずれかに従い移動します。

操作1:時計回りに2つ移動する。
操作2:時計回りの反対の方向に1つ移動する。
操作3:直線lに関して線対称な頂点に移動する。

たとえば②からスタートして、操作1、操作2、操作3、操作3、操作1の5回の操作による点Aの移動は、次の例のように表記します。操作3、操作2、操作3、操作3、操作1による移動も同じ表記になります。
kaisei20162.jpg

以下の問いに答えなさい(答えのみでよい)。

(1)点Aが②からスタートして2回の操作の直後にいることができる頂点をすべて書きなさい。

(2)1回の操作の直後に点Aが④にいられるような頂点をすべて書きなさい。

(3)点Aが②からスタートして5回の操作の直後に④にいる移動の表記は全部で何通りありますか。さらに、その表記を上の例にならってすべて書き上げなさい。


[解説]
(1)
操作1で②→⑤
操作2で②→③
操作3で②→⑤
なので1回の操作で
②→③か⑤
と移動します。

同様にして
③→①か④
⑤→①か②か③

となるので①と②と③と④になります。

(2)
(1)より1回の操作で
②→③か⑤
③→①か④
⑤→①か②か③
でした。
同様にして①と④は
①→①か②か④
④→②か③か⑤
よって④に移動するものは①と③になります。

(3)
問題文にも書いてるように、操作ではなく表記が何通りかを求められてるので移動のことだけ考えればいいことに注意しましょう。

(2)のように,どこから移動してくるのかを各番号についてまとめると,
①か③か⑤→①
①か④か⑤→②
②か④か⑤→③
①か③ →④
②か④ →⑤
となります。

これを移動回数と移動先の表にまとめるとこのようになります。
(④に移動するのは①,③からなので4回目は①と③の数字だけ計算しています。)

kaiseim1kk.jpg

したがって15通りとなります。

ここでどこに移動するか整理をしておくと
①→①か②か④
②→③か⑤
③→①か④
④→②か③か⑤
⑤→①か②か③
となります。

すべて書きあげるには表から3回目までの移動は全通りを書けばよいことがわかります。
なので3回目までの移動をすべて書きあげると

1回目の操作で②→③の時、2回目3回目の操作による移動は
③→①→①
③→①→②
③→①→④

③→④→②
③→④→③
③→④→⑤
1回目の操作で②→⑤の時、2回目3回目の操作による移動は
⑤→①→①
⑤→①→②
⑤→①→④

⑤→②→③
⑤→②→⑤

⑤→③→①
⑤→③→④

3回目4回目5回目の操作は4回目で①と③に移動する場合だけなので
①→①→④
②→③→④
③→①→④
④→③→④
⑤→(①か③)→④

これを使って3回目が⑤だけ2通りあることに注意して3回目までの並びとつなげると

②③①①①④
②③①②③④
②③①④③④
②③④②③④
②③④③①④
②③④⑤①④
②③④⑤③④
②⑤①①①④
②⑤①②③④
②⑤①④③④
②⑤②③①④
②⑤②⑤①④
②⑤②⑤③④
②⑤③①①④
②⑤③④③④

となります。

この問題に関しては複雑な計算が要求されるわけではありません。
スマートに解けるかよりは、問題文を正確に読み取り、地道な作業をいかにミスすることなくできるかが大切です。
そのためには読み取った内容をどのようにメモしておくか、また、それらを元にどのように問題を整理していけばよいかを意識する癖をつけましょう。
頑張ってください!
(畠田)
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慶應義塾中等部 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.22 22:05|入試問題分析(算数)
今回は慶應義塾中等部を取り上げます。
合格最低点は非公表。
問題の難易度はそれほど高くないので男子なら3問(悪くても4問)、女子なら2問(悪くても3問)間違いに抑えたいところです。
倍率は
男子1次 801人→364人(2.2倍) 男子2次 263人→155人(1.7倍)
女子1次 320人→134人(2.4倍) 女子2次 129人→58人(2.2倍)
となっています。
 
【各問寸評】
大問1 小問集です。
 (1) 計算の工夫の問題。何度も見てきているはず。必ず合わせましょう。
 (2) 逆算の問題。難易度は低いです。必ず合わせましょう。
 (3) 日暦算。2016年はうるう年であることに注意。
 (4) 時計算。直角になる時刻が180÷5.5=360/11分ごとであることから解いてもよいですが,
   短針と長針のなす角のグラフを書くと山が22個できるので,22×2=44回と出せるようにしておくと何かと便利です。

大問2 こちらも小問集。
 (1) 倍数の問題。典型題ですので1分かからず合わせましょう。
 (2) 倍数算(和一定)の典型題。これも1分以内で合わせられるようにしておきましょう。
 (3) 相当算。3段の図で,多く読んだり少なく読んだりしているので,図をちゃんとかけない子はしんどいですが,
   かける子にとってはなんてことない問題です。
 (4) 速さの鶴亀算。一定レベルに達していない子が苦手とするので,足切り問題として出しているんでしょうね。
   苦手としていない子は,計算ミスに気をつけましょう。

大問3 平面図形の小問集。
 (1) 角度の問題。正方形と正三角形を組み合わせたよくある形です。
 (2) 長方形の重なりの問題。3:4:5の直角三角形の相似から解くこともできますが,2つの長方形の面積が
   等しいことに気づけば,12×9÷15で出すことができます。
 (3) 底辺比と面積比の関係+相似の利用。これもそんなに難易度は高くないです。
 (4) 回転体の表面積。4本の直線の作る面積をそれぞれ出せばよいだけです。

大問4 速さ(ダイヤグラム)の問題。
 (1) かかった時間と進んだ距離を読み取るだけ。正解して当たり前。
 (2) 「ダイヤグラム→相似」という発想があれば解ける問題。これも簡単です。

大問5 点の移動の問題。
 (1) 単なる出会いの問題なので正解して当然です。
 (2) 頂点に着いたときに面積の増減の仕方に変化が出るので,それを元にこんな感じの大まかなグラフを作成すると楽。
2016keio_5_01.png

   正解すると差をつけることができる問題。

大問6 場合の数(カード並べ)。
 (1) 場合の分け方はいくつか考えられます。苦手な子はここからつまずくかも。
 (2) 更に場合分けが複雑に。じっくりと時間をかけて、丁寧に解きたいところです。

大問7 今回はこの問題を扱います。

(問題)H28 慶應義塾中等部 算数 大問7
図のような縦3行・横3列の正方形のマスに数字が書かれています。この中から縦2行・横2列の正方形のマスを選び,
その中のすべての数字を1ずつ増やす操作をA,縦1行・横3列の長方形のマスを選び,その中のすべての数字を
1ずつ減らす操作をBとします。すべてのマスには,最初は0が書かれています。次の[ ]に適当な数を入れなさい。
(1) 操作Aだけを[ ]回行うと,マスに書かれた数字は[図1]のようになります。
2016keio_7_01.png
(2) 操作Aを[ア]回,操作Bを[イ]回行うと,マスに書かれた数字は[図2]のようになります。
2016keio_7_02.png

マスに書かれた数はA,Bの操作回数によって決まるわけですが,操作Aは下のA1~A4の4パターン,
操作Bは下のB1~B3の3パターンに分けられます。これをふまえて式を作れば,あとは簡単。
2016keio_7_04.png
(1) 今回は操作Aだけを行なったということが重要です。
  左上の「5」という数の位置はA2~A4が関係していないので,そのままA1を行った回数になります。
  同様に,右上の「4」はA2,左下の「7」はA3,右下の「3」はA4の回数になりますので,全部合わせて
  5+4+7+3=19回ということになります。

  ちなみに,上の「9」はA1+A2=5+4=9,左の「12」はA1+A3=5+7=12,右の「7」はA2+A4=4+3=7,
  下の「10」はA3+A4=7+3=10,真ん中の「19」はA1+A2+A3+A4=5+4+7+3=19となっています。
  最初から仕組みがわかっていれば,真ん中の19をそのまま答えにすればよいですね。(^ ^

(2) 今回は操作Bも混ざっていますので,慎重に式を作りましょう。
  左上:A1-B1=5 上:A1+A2-B1=8 右上:A2-B1=0 ⇒ A1=8-0=8 A2=8-5=3 B1=3
  左下:A3-B3=1 下:A3+A4-B3=10 右下:A4-B3=5 ⇒ A3=10-5=5 A4=10-1=9 B3=5-1=4
  真ん中:A1+A2+A3+A4-B2=8+3+5+9-B2=24 ⇒ B2=1
  よって,Aの回数は8+3+5+9=25回,Bの回数は3+1+4=8回となります。
  使っていない,左:A1+A3-B2=8+5-1=12 右:A2+A4-B2=3+9-1=11 もつじつまが合いますね。

  ※ A1+A2+A3+A4=真ん中×2-左-右=25,B1+B2+B3=(A1+A2+A3+A4)×2-上-真ん中-下=8
   などとも出せますが,まぁ,時間内に見つけ出すというのは実戦的ではありません(^^;

この手のパズル系の問題は,(必ずそうだというわけではないですが)式をうまく作って消去算にもっていくことができるか
ということが問われるケースが多いです。とっかかりが見つからないときに「式を作ってみる」ということを試してみましょう。
(池)
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浦和明の星女子中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.16 16:11|入試問題分析(算数)
さて、女子校シリーズも最終回です。
今回は浦和明の星女子中学校を見てみましょう。

受験者数1899人に対して,合格者数は965人。実質倍率は2.0倍。
合格最低点は197/300ということですので,目標得点率は7割です。

各問題に目を通していくと・・・
大問1 小問集です。1個間違え(最悪でも2個)にはおさえたいところです。
 (1) 計算問題。当然落とすべからず。
 (2) 仕事算の基本問題。これも落とすわけにはいきません。
 (3) 倍数算と年令算の組み合わせ。とはいえ,難易度は低く,正解しないといけません。
 (4) 円の転がり移動の問題。怖いのは計算ミスだけ。(ですよね・・・?そう言えるようにしておかないとだめですよ。)
 (5) 群数列の問題。「区切る→グループ番号をつける」等の基本作業ができれば正解して当たり前レベル。
 (6) よく見る問題…のように見えますが,特定の方法しか習っていない子にはさっぱりだったかも。
   両方20個ずつ買った場合に2160+2040=4200円となることを利用したり,
   {(2160-1800)+(2040-1800)}÷20=30円が1個の値段の差であるというところから解いたりします。
 (7) 立体の切断問題。
   よく見る問題ですし,2×2×2の立方体で小さいのでこれは合わせないといけません。
大問2 ダイヤグラムを与えられた速さの問題。
 (1)(2)は距離・速さ・時間の情報整理ができるだけで取れる問題なので,正解して当たり前。
 (3)は「ダイヤグラム→相似」という発想があれば解ける問題。これも簡単な部類です。
大問3 みんなが苦手なニュートン算♪
 (1)から結構きついです。(1)ができれば(2)もスッといけそうなんですけどね・・・
 ここで取れない人は他のところでしっかりと稼がなくてはいけません。
大問4 論理・論証の問題。今回はこの問題を扱います。
 (1)は順に問題文に書かれている操作をするだけなので合わせなくてはいけません。
 (2)はきれいにできる人とできない人が分かれそうです。このあたりをできるようにしておきたいですね。
大問5 規則性の問題。
 規則に気づいてしまえば全問正解もそれほど難しくありません。
 時間切れで最後の問題まで手が回らなかったなどという悲しいことのないように,
 普段からテストの受け方を意識しておきましょう。

では,大問4番です。
(問題)H28 浦和明の星女子中学校 算数 大問4
図1のように,机の上に5枚のカードが置いてあります。これらのカードの両面には,足すと6となるように数が書かれて
います。一方,明子さんは5個の球が入った袋を持っていて,そのうちの1個の球には◎の記号が,それ以外の球には
それぞれ2の倍数,3の倍数,4の倍数,5の倍数と書かれています。◎の記号がかかれた球を袋から取り出したときは
すべてのカードを裏返し,それ以外の球を取り出したときは,その倍数が見えているカードを裏返します。例えば,図1
の状態で,「2の倍数」の球を取り出せば,2と4が見えているカードが裏返されて,図2のようになります。
明子さんは図1の状態から始めて,袋から1個ずつ球を取り出す度にカードを裏返していきます。5個の球をすべて
取り出した後,5枚のカードの見えている数について考えます。次の問いに答えなさい。
ただし,例えば,◎,2の倍数,3の倍数,4の倍数,5の倍数の順番に5個の球を袋から取り出すことを,
◎→②→③→④→⑤と表すことにします。
2016_urawaakenohoshi_4_01.png

(1) 明子さんは,図1の状態から始めて,◎→②→③→④→⑤と球を取り出しました。
  このとき,5枚のカードの見えている数の合計を求めなさい。
(2) 明子さんは,再び図1の状態から始めて,5個の球を下の順番で取り出したところ,最初に2と4が見えていた2枚の
  カードは,ともに4となり,1と5が見えていた2枚のカードは,ともに5となりました。
  このとき,下の[ア]~[ウ]に当てはまる記号を入れなさい。
  ③→[ア]→[イ]→⑤→[ウ]


(1) まずは問題文の内容がきちんと理解できているかを試す問題です。また,(2)でも活かせるように,この段階で
  どのように整理すればいいかを研究しておきたいところですね。
2016_urawaakenohoshi_4_02.png

裏返ったところを赤の○太字にしています。実際のテストのときは○字にするだけで十分でしょう。
答えは1+2+3+2+1=9となります。

(2) 準備段階として,問題で書かれている内容で埋めることのできる部分を埋めておきましょう。
  (3は表裏とも3なので,先にすべて3を書き込んでいます。)
2016_urawaakenohoshi_4_03.png
まず,5の球[ウ]の球に注目します。
5の球を取り出すと,5のカードは1になり,それ以外のカードはそのままです。
つまり,[ウ]の球を取り出す直前は,5と書かれたカードはどちらも1になっているはずですが,
[ウ]の球を取り出すことでどちらも5になっています。
5の球以外に1のカードを5にすることができる球は◎の球しかありませんので,下のように埋めることができます。
2016_urawaakenohoshi_4_04.png
また,残っている球は2の球4の球なので,これらは1や5のカードをひっくり返すことはできません。
更に,5の球では2や4のカードをひっくりかえすことはできません。
よって,これらをまとめて,下のように埋めることができます。
2016_urawaakenohoshi_4_05.png
あとは,([ア],[イ])を(2の球4の球)とするか(4の球2の球)とするかです。
後者の場合だと,5の球を取り出す直前に1,4,3,4,5が見えている状態になってしまいます。
前者の場合だと,下のようになりますのでバッチリ。
2016_urawaakenohoshi_4_06.png
よって,[ア]=②,[イ]=④,[ウ]=◎が答えです。

解説を見てしまえばなんてことはありませんが,自力ではなかなか整理できないという人が結構います。
ただただ「解ければいい」ではなく,「どのように整理するか」を意識しながら,普段の学習に取り組みましょう。(池)
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フェリス女学院中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.10 10:00|入試問題分析(算数)
今回はフェリス女学院中学校です。

数値関連に目を向けてみると,
受験者数433人に対して合格者数200人。実質倍率は2.17倍ですね。

各教科の受験者平均は
国語:68/100 算数:50/100 理科:40/60 社会:44/60
となっており,算数が取りにくいというのが見て取れます。

逆に言えば,点数的には算数が一番伸びしろがあるので,取れればものすごく武器になるということですね。

では,各問題について見てみましょう。

大問1 小問集です。
 (1) 計算問題。当然落としてはいけません。
 (2) 角度の問題。(あ)は簡単ですが,(い)は意外とできないのかな・・・
 (3) 速さの問題。①は必ず取りましょう。②の正解率は低そうです。
 (4) 論理・論証の問題。情報を混乱しないように整理することができれば,十分満点を狙えます。
 (5) 角度と面積の問題。解ける子はサッと解けそうなので,差がつきそうな問題です。
小問集のわりに結構きついですね。(4)(5)あたりをしっかり取れる子が受かっていきそうです。

大問2 比の文章題。
 (1)は簡単。(2)は比のわり算の基本的な仕組みがわかっていれば取れるでしょう。
 (3)も比のわり算なのですが,正解までの道が長いので,正解率はグッと下がるでしょう。

大問3 図形の平行移動の問題。
 この手の問題はこれまでたくさん解いてきたでしょうから,(1)~(3)はしっかり取っておきたいところです。
 (4)はちょっと難しいですね。

大問4 立体図形の展開図の問題。
 (1)は簡単です。(2)(3)は両方できる人とどちらもできない人に分かれそうです。

大問5 平均の問題。
 (1)は何となくでも正解したいところ。実は(2)を飛ばして(3)を解いたほうが点数が取りやすいかも?
 今回はこの問題を扱います。

(問題)H28 フェリス女学院中学校 算数 大問5
ある学年の男子の人数と女子の人数は等しいです。この学年をAグループとBグループに分け,テストをしました。
それぞれのグループの男女の人数の差は7人です。各グループの男女の平均点は,表のようになりました。
この学年の男子の平均点は,女子の平均点よりも低くなりました。次の問いに答えなさい。
2016ferris_5_01.png
(1) 各グループの男女の人数について述べた①~④の中から正しいものを1つ選びなさい。
 ① どちらのグループも男子が女子より7人多い。
 ② どちらのグループも男子が女子より7人少ない。
 ③ Aグループでは男子が女子より7人多く,Bグループでは男子が女子より7人少ない。
 ④ Aグループでは男子が女子より7人少なく,Bグループでは男子が女子より7人多い。

(2) この学年の人数は最も少ない場合で[ア]人,最も多い場合で[イ]人です。
 [ア],[イ]にあてはまる数をそれぞれ求めなさい。

(3) この学年の人数が60人であるとすると,学年全体の平均点は最も低い場合で何点ですか。


まず,この問題の主文を読んで,「あれっ?」と感じてほしいですね。

どちらのグループを見ても男子の平均点が女子の平均点よりも高い。
にもかかわらず,男子全体の平均点が女子全体の平均点よりも低い・・・?

この違和感を解き明かすカギになるのが、
「男子の人数と女子の人数は等しい」「各グループの男女の人数の差は7人」
というこの2つの条件です。

(1) 上の2つの条件から,どちらかのグループで男子の人数が7人,他方のグループで女子の人数が7人多いことが
  わかります。どちらのグループでも男子が(女子が)7人多ければ,全体では男子が(女子が)14人多いことになって
  しまいますからね。この時点で解答は③か④に絞られます。

  また,「男子の人数と女子の人数は等し」く「男子全体の平均点が女子全体の平均点よりも低い」ということは,
  男子の合計点が女子の合計点よりも低くなっていればよいということです。

  あとは簡単な例を考えてみましょう。
  ③の場合の例
   男子:70点が8人 40点が1人 女子:65点が1人 35点が8人
   男子の合計点が600点,女子の合計点が345点になるのでダメ。
  ④の場合の例
   男子:70点が1人 40点が8人 女子:65点が8人 35点が1人
   男子の合計点が390点,女子の合計点が555点となりOK。
  よって,答えはとなります。

  ※厳密には下のおまけ解説の面積図のようなもので,全体の人数は多くなりすぎてはいけないということが
  理解できた上での簡単な例になるのでしょうが,なかなかそこまでは難しいかな・・・?

(3) を先に解いてみましょう。
  学年全体が60人なので,男女とも30人ずついることになります。また,学年全体の平均点が最も低いということは,
  Aグループの人数が少なく,Bグループの人数が多いということになります。
  つまり,Aグループの男子を最小の1人,Aグループの女子を1+7=8人,
  Bグループの男子を30-1=29人,Bグループの女子を30-8=22人とすればよいですね。
  (70×1+65×8+40×29+35×22)÷60=42点が全体の平均点です。

(2) さて,今回の最難問です。
  先ほど(1)で考えた例が最も少ない場合ですね。よって,[ア]は(1+8)×2=18人です。
  この場合,男子の合計点が女子の合計点よりも555-390=165点少ないのですが,
  ここから女子が男子に追いつかれない範囲で,どこまで人数を増やすことができるのかと考えましょう。

  もし,Aグループの女子を1人増やすと,Aグループの男子を1人増やさなくてはいけません。
  このとき,全体の人数は2人増えますが,点数差は70-65=5点縮まります。
  また,Bグループの女子を1人増やすと,Bグループの男子を1人増やさなくてはいけません。
  このときも,全体の人数は2人増えますが,点数差は40-35=5点縮まります。

  いずれにしても人数が2人増えると5点縮まるということです。この操作を1回とすると,
  165÷5=33回の操作では追いつかれてしまいますので,33-1=32回まではできますね。
  18+2×32=82人,これが最も多い場合で[イ]の答えとなります。

  平均算といえば「面積図」や「天秤図」と考えてしまうと,かなりしんどかったのではないかなと思います。
  (かくいう私も天秤図と面積図で,どう解説したものかと悩みましたが・・・^^;)
  鶴亀算などの表解法にも繋がりますが,極端な状態から少しずつずらしていくという手法は困ったときの
  解決策として使えますので,頭の片隅に置いておきましょう。(池)

※※※おまけ 面積図※※※
縦軸を点数,横軸を人数とした面積図を考えます。
上半分が男子,下半分が女子となりますので,上2つの長方形の面積の和が下2つの長方形の面積の和よりも
小さくなるということです。
2016ferris_5_02.png
面積を比較するため,下半分を上に折り返してみましょう。
2016ferris_5_03.png
ピンクが女子のはみ出し部分,水色が男子のはみ出し部分なので,ピンク>水色となればよいわけです。
455>5×□+280 なので,5×□が455-280=175より小さければよいわけです。

最も少ない場合は,図より□=2で,(2+7)×2=18人…[ア]
最も多い場合は,□=175÷5-1=34で,(34+7)×2=82人…[イ]

この図を描くのが難しいですね…(^^;

天秤図でも解けなくはないのですが,かなりハードルが高いので,今回は省略します。

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雙葉中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.08 18:40|入試問題分析(算数)
御三家のひとつである雙葉中学です。
定員100人に対して,受験者数345人,合格発表数は118なので実質倍率は2.92倍となります。

合格最低点は195/300で6割5分。
ひとまずは7割を目標としたいですね。

大問1は小問群。
 基本的な計算と文章問題なので,ここは落とせません。
大問2は水入れの問題。
 水入れ問題の難易度としては難しくないのですが,ケアレスミスが発生しないよう,問題にかかれている情報を
 きちんと整理してから取り組みましょう。
大問3は図形の規則性の問題。
 今回はこれを取り上げます。
大問4は平面図形。
 計算ミスさえしなければ,雙葉中を受けるレベルの子であれば取れるはずです。
大問5は規則性の問題。
 6時、7時、8時と進めて考えずに、全て「6時」に統一して考えるのがよさそうです。 (例)7時11分→6時71分
 同じタイプの問題にあたった時に、どのように整理するかを身につけていなかった子は、
 試験本番では正解するのが難しそうです。

1,2,4番は全部合わせて,3番5番での失点を3問以下(悪くても4問)に抑えられるかというところです。

では,今回は3番と5番で迷いましたが,3番を取り上げたいと思います。
 
(問題)H28 雙葉中学校・算数 大問3
たくさんある黒と白の碁石を図のように並べていきます。1回目は,黒の碁石を1個置きます。
2回目は白,3回目は黒,4回目は白,・・・・・・
と,正六角形の形になるように加えていきます。
2016futaba_3_01.png
(1) 3回目までに並べた碁石は全部で15個です。32回目までに並べた碁石は全部で何個ですか。(式と計算と答え)
(2) 黒の碁石が白の碁石よりも93個多くなるのは,何回目まで並べたときですか。(式と計算と答え)
(3) このように並べた碁石を,1段目に1個,2段目に2個,3段目に3個,・・・・・・と,正三角形の形になるように並べかえます。
  例えば,2回目までに並べた碁石を並べかえると,右の図のようになります。100回目までに並べた碁石を並べかえると,
  何段の正三角形ができますか。(式と計算と答え)
2016futaba_3_02.png

図形の規則性の問題は,「表形式に整理して規則性を見つけ出す」というのが鉄則です。
今回の問題も,基本に忠実に取り組んでみましょう。
(1) 回数と碁石の総数を表にまとめると,次のようになります。
2016futaba_3_03.png
個数の増え方に目を向けると,4ずつ増えている等差数列になっていることがわかりますね。

31回目から32回目への増加量は5+4×30=125ですから,32回目までに並べた碁石は
1+5+9+13+……+125=(1+125)×32÷2=2016 となります。
※最初の1も含めると,1から始まって4ずつ増えている,32個の等差数列です。

<別解> 縦線を引いて,並んでいる碁石を串刺しにすると,
1回目の図は 1×1=1個
2回目の図は 2×3=6個
3回目の図は 3×5=15個
4回目の図は 4×7=28個
となっているのがわかります。
32回目の図の場合,前の数が32,後ろの数が32×2-1=63なので,32×63=2016個となります。
単発の問題であれば,これで解いてしまってもよいですね。

(2) 今度は白と黒の個数の差を聞かれていますので,それを調べるための欄を追加しましょう。
4回目の図まででは規則が見つけにくければ,5回目,6回目辺りまでつけたしてみてもよいでしょう。
2016futaba_3_04.png
太枠のような2回ずつに区切って見てみましょう。
・色に注目すると,前が「黒」で後ろが「白」となっています。
・個数の差に注目すると,後ろが「□回目×2」で前がその数より3個少なくなっています。

今回は「黒」で「93個」になっているところを探せばよいですから,
後ろの個数は93+3=96個,後ろの回数は96÷2=48回目なので,
前の回数は48-1=47回目 となります。

(3) 最後は正三角形の形に並べたときの段数です。2016futaba_3_05.png
個数のところが三角数になっているのがわかりますね。段数は1から始まる奇数列になっています。
100回目の段数は100番目の奇数ですから,100×2-1=199段 となります。

解説を見てしまうと,「あ~,確かにそうなってるね~」という感想かもしれませんが,入試では自分でこれに気づかなければ
いけません。気づく可能性を最大限まで上げるために,面倒くさがらずに表形式の整理を普段からしっかりと心がけましょう。
(池)
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女子学院中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.05 13:50|入試問題分析(算数)
今回も女子御三家の一つ,女子学院中学校を取り上げます。

出願者数695人に対して,実受験者数が673人,合格発表数が270人。

問題の分量は大問6問(小問24問)。正確な配点がわかりませんが,18か19問くらいは取っておきたいですね。

各問題に目を通していくと…
1番 小問集。
  (1)の計算は必ず合わせましょう。
  (2)は演算記号の問題。慎重に解かないとミスしてしまいそうな演算になっています。
  (3)は速さの問題。情報整理がきちんとできない子はうっかりミスが発生しそうです。
  (4)は角度の問題。わかる角度を書き込んでいけば,それほど難しくはありません。
  (5)は図形の周長。定番の押し出し方式で,必ず合わせましょう。
  (6)も正六角形の面積問題としては初級レベル。1つも落とせません。
2番 平面図形の作図と求積問題。
  作図はできるはずなので,慎重に計算しましょう。
3番 比を少し利用する文章題。
  最後の詰めのところでミスをしないよう,慎重に。
4番 水問題。
  正面からの図を描く練習をきちんとしてきたかが試されます。
5番 変則的な日暦算。
  J子さんが独自のカレンダーを考えるという甚だ迷惑な問題です。(笑)
  日暦算を解くときに何気なく立ててきた式の意味が本当に理解できていなければ正解するのは難しいでしょう。
  今回はこの問題をあつかいます。
6番 平均算(天秤法や面積図)。
  問題文の表現はあまり目にしないもので,「おもしろい!」と思いながら解いたのですが,
  通学に50分以上60分未満かかる生徒たちの平均通学時間が30分になってしまうという,
  残念な数値設定ミスがありました。一応,その部分に関して目をつぶってしまえば答えを出すことはできます。

こうやって見ると,前半に「ミス」や「慎重に」という言葉が目立ちます。
解き方がわかっているのに,問題文の意味を取れなかったり,計算ミスをしたり,落ち着いて取り組めなかったりして
失点してしまうというのが最も悔しいパターンです。後半にたどり着くまでに挑戦権を失わないような心構えが必要です。

では,今回は5番の問題を見てみましょう。

(問題)H28 女子学院中学校 算数 大問5
J子さんは,次のようなカレンダーを考えました。1週間は月曜日から天曜日までの8日で,1年は1月から10月
までの10か月です。奇数月は37日まで,偶数月は36日まであります。ただし,2016年のように2月29日がある年は,
J子さんのカレンダーでは2月37日があり,2016年1月1日はJ子さんのカレンダーでも2016年1月1日です。
この規則に従うと,2026年1月のカレンダーは下のようになりました。
2016_joshigakuin_01.png
J子さんのカレンダーでは,
・2026年1月より後で,木曜日から始まる月は一番早くて□年□月です。
・2026年で,木曜日以外の同じ曜日から始まる月は□月と□月です。
・2027年1月1日は□曜日で,
・2028年3月1日は□曜日です。
・2028年11月25日は,J子さんのカレンダーでは□月□日になります。

問題をざっと見ていただくと,2026年1月1日を基点として,曜日がどれだけずれていくかを問う問題だということがわかります。
解き始める前に,よく使うと予想されるものだけ計算しておきましょう。
★1か月後に曜日がいくつずれるか
 ①37日後の場合 37÷8=4あまり5 なので,曜日は後ろに5つずれます。
 ②36日後の場合 36÷8=4あまり4 なので,曜日は後ろに4つずれます。
★1年後に曜日がいくつずれるか
 ①365日後の場合 365÷8=45あまり5 なので,曜日は後ろに5つずれます。
 ②366日後の場合 366÷8=45あまり6 なので,曜日は後ろに6つずれます。
こういう準備をしておけば,問題を解くときに混乱しにくくなりますよ。

では,まずは1つ目。
2026年1月より後で,木曜日から始まる月は一番早くて□年□月です。
2026年1月1日(木曜日)を基点として,37日後,36日後,37日後,36日後,・・・なので,曜日は5つ,4つ,5つ,4つ,・・・ずれます。
カレンダーの曜日をしっかりと指で押さえながら,慎重にメモを残していきましょう。
2026/1/1 木
2026/2/1 月
2026/3/1 金
2026/4/1 火
2026/5/1 土
2026/6/1 水
2026/7/1 日
2026/8/1 木
2026/9/1 点
2026/10/1 金
となるので,20268月が答えです。
偶数月は偶数月だけで,奇数月は奇数月だけでみると,曜日が1個ずつずれていることに偶然気づいたりすると,
自分のメモした曜日の間違い探しに役立ったりするかもしれませんね。

では次の問題。
・2026年で,木曜日以外の同じ曜日から始まる月は□月と□月です。
これは先ほどの一覧の中から,同じ曜日になっているものを探すだけです。
3月と10月が金曜日になっていますね。

さらに次の問題。
・2027年1月1日は□曜日で,
2026/10/1(金曜日)から4つずらしても,2026/1/1から(木曜日)から5つずらしてもかまいません。答えは曜日です。

もう少し。次の問題です。
・2028年3月1日は□曜日です。
2028/1/1は,2027/1/1(月曜日)から5つずらして土曜日です。
2028/3/1はここから2ヶ月後ですが,この年はうるう年なので,曜日は5つ,5つとずらしましょう。曜日となります。

やっとたどり着きました。最後の問題。
・2028年11月25日は,J子さんのカレンダーでは□月□日になります。
ここまで通り,2028/1/1の何日後かというように考えてもよいですが,後から戻った方が早そうなのでそちらでやってみます。
※戻るのが苦手な人は必ずこれまで通りのやり方でやりましょう。自分の弱点を知り,そこを避けることはとても大切です。
普通のカレンダーの2028/11/25は,2028年の中で,後ろから数えて31+30-25+1=37日目。
37日はJ子さんカレンダーの最終月である10月の日数(36日)+1日ですから,9月の最終日である937日が答えとなります。

普段解いている日暦算と曜日,日数,月数の設定が異なるため,かなり頭の切り替えが難しく,混乱したと思います。
「少しでも混乱を避けるための準備をする」というようなことを普段から心がけておけば,本番で正解する確率は
他の人と比べてグッと高くなりますよ。日々の勉強の中で意識を高く持ちましょう。(池)
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桜蔭中学校 算数 問題 解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.03 13:01|入試問題分析(算数)
さて,今回は女子御三家の一つ,桜蔭中学校を取り上げます。

出願者数538人に対して,実受験者数が523人,合格発表数が266人。
実質倍率は1.97倍と例年並みでした。

問題の分量は大問5問(小問16問)ということで、こちらも例年並み。
各問題に目を通していくと…
1番 小問集です。
  (1)の計算2題は必ず合わせましょう。
  (2)は規則性の問題です。図形のままで解かず,
  1|2,3,4,5|6,7,8,9|10,11,12,13|14,15,16,17|・・・
  というように単なる群数列の問題としてとらえることができれば2題とも正解できるでしょう。
  (3)よく見る円の転がり問題です。計算ミスのないよう,慎重に取り組みましょう。
2番 およその数の範囲の問題。
  問題そのものはそれほど難しくはありません。が,計算が面倒。
3番 回転体の問題です。πの計算はまとめてやることで少しでも手間を省きましょう。
  よく見る問題なので,ここはしっかりと点数を確保したいところです。
4番 水量の問題ですが,純粋な水量の問題というよりも計算力と根性と単位換算能力が求められます。
  m^3とL,mとcmとmmが混在しており,集中力が切れた状態だと,解いている途中で訳が分からなくなりそうです
  (^^;
5番 速さの問題です。
  今回はこれを取り上げます。

全体的に見ると,難しすぎて取り組めないという問題はほぼありません。
が,計算がややこしくて最終的に答えが合わないというケースが多発しそうです。
そういう意味でも、計算が比較的簡単な1番,3番,5番をしっかり取って,
2番,4番は小問を拾うというような感じでしょうか。

皆にチャンスがあるが,当日に折れない心をもって入試に挑めた子が強かったテストだと思われます。

では大問5を見てみましょう。
(問題)H28 桜蔭中学校 算数 大問V
ある公園の遊歩道は1本道で,そこには自転車専用道路も作ってあります。この道には,等間隔に①,②,…,⑨の
番号のついた地点があり,各地点で自転車を借りたり返したりすることができます。
 A,B,Cの3人がこの公園に遊びに来ました。3人の歩く速さ,走る速さ,自転車の速さはそれぞれ等しく一定で,
歩く速さは自転車の速さの1/3倍,走る速さは自転車の速さの5/8倍です。
また,どの番号の地点からも,隣の番号の地点へ行くには自転車で25秒かかります。
このとき,次の問いに答えなさい。
ただし,自転車を借りたり返したりするのにかかる時間は考えないものとします。
2016ouin_5_01.png
(1) Aは10時に①地点から歩き始め,途中で,ある番号の地点から走って⑨地点へ向かいました。
 ⑨地点に着いた後は1分休み,自転車を借りて自転車で①地点にもどりました。
 Bは10時に①地点を自転車で出発し,⑤地点に着いたら自転車を返して4分45秒休み,
 その後は歩いて①地点にもどりました。2人が①地点にもどった時刻が同じであるとき,
 Aが走り始めた地点の番号を答えなさい。
(2) (1)のとき,Cは10時に⑧地点から自転車で①地点に向かいました。①地点に着く途中でA,Bとすれちがいました。
 Bとすれちがった後,何秒後にAとすれちがいましたか。


今回、各区間の距離が等しいので、1区間を進むのにかかる時間から整理していきましょう。
自転車:問題文に書いてある通り25秒
歩き:25×3=75秒
走り:25×8/5=40秒
これをもとに,問題を解いていきます。
(1) Aが□区間歩いて,△区間走ったとすると,①に戻るのにかかった時間は
 75×□+40×△+60+25×8=75×□+40×△+260秒です。(□+△=8)
 Bが①に戻るのにかかった時間は
 25×4+285+75×4=685秒です。
 これらが等しいので,75×□+40×△=685-260=425秒。□+△=8と組み合わせて鶴亀算or消去算で解けますね。
 □=3,△=5となるので,①から3区間進んだが走り始めた地点です。

(2) すれちがいが複数ありますので,ざっとダイヤグラムにまとめてみましょう。
2016ouin_5_02.png

 Bのすれちがいは青の相似(相似比1:1)に注目して,75+25×1/2=87.5秒,
 Aのすれちがいは赤の相似(相似比1:3)に注目して,125+25×1/4=131.25秒,
 よって,131.25-87.5=43.75秒後となります。

今回の解法のポイントは2点。
①距離や速さを設定することにこだわらず,1区間にかかる時間だけで整理する。
②ダイヤグラムへの情報整理。
 ※通過する時刻を,一番下の横軸ではなく,グラフの交差点に記入することで,ものすごく見やすくなりますね。

特に速さの問題は,問題によって解きやすい整理の仕方が異なるので,そこに意識を置いて学習することで
学習効果は高まります。状況図・ダイヤグラム・規則性の問題への読み替え,その場に応じた方法を選びましょう。
(池)
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筑波大学附属駒場中学校 算数 問題 解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.01 11:45|入試問題分析(算数)
自由が丘校の畠田です。
今年度もよろしくお願いします!

今回は筑波大学附属駒場中学校の問題です。
受験者数786人で合格者127人の倍率6.19倍
算数、国語、理科、社会、調査書、各100点ずつの500点満点
最高394点、最低329点
算数は大問4問40分です。

その場で規則性を見つける問題がよく出題され、典型問題であっても短い時間でも複雑な計算や整理をすることを
求められています。どの問題もよく考えられて作られていますね。


それぞれの問題を見ていくと

○大問1 位によって繰り上がり数が違う問題(7進法と5進法と3進法と2進法の混合)です。(1)(2)は確実に得点し、
(3)からが勝負の分かれ道です。
8の倍数は下3桁が8の倍数になるときです。まず、一の位は偶数なので0に決定。一の位が0である8の倍数の十の位は
偶数なので0か2のいずれかです。□00となる8の倍数は200と400、□20となる8の倍数は120と320ですから、千の位まで
含めると最も大きい数は6400、最も小さい数は120となります。
(4)はこれを踏まえると、 ※( )内は10進法になおした数です。
120(=10)→200(=12)に2回
200(=12)→320(=22)に10回
320(=22)→400(=24)に2回
400(=24)→1000(=30)に6回
1000(=30)→1120(=40)に10回、
で以下、2回、10回、2回、6回、10回のくりかえしになるのですが、0は8の倍数に含まないという条件があるので、
6400(=204)→120(=10)のところは6+10=16回となることに注意しましょう!

○大問2 今回はこの問題を取り上げます。

○大問3 Pは反時計回りに60°/分、Qは反時計回りに120°/分、Rは時計回りに180°/分、進むとできます。
Pから見るとQは反時計回りに120°-60°=60°/分,Rは時計回りに180°+60°240°/分進みますね。
よくある速さの問題なので練習をよくしておきましょう!

○大問4 図形の比の問題です。
面積の比で考えましょう。
(1)
tukukoma2016s1.jpg
全体から青の三角形4つを引くと求められます。
(2)
tukokoma2016k2ak.jpg

△ADEより③+[2]=24、△AFGより①+[4]=16
ここから消去算で⑤+[5]を求めて全体から引きましょう。
(3)
tukukoma2016k3aka.jpg
直角を利用するには30°60°の直角三角形の辺の比が2:1になる性質ぐらいしかなさそうです。
△AGEより[2]+③+①=32、△ADFより[2]+[3]+[1]+③=72
ここから同じように消去算で⑤+[5]を引くと求められます。


それでは大問2を見ていきましょう。

(問題)H28 筑波大学附属駒場中学校 大問2

正多角形の内側にいくつか点があるとき、正多角形の頂点やこれらの点をまっすぐな線で結び、正多角形の内側を
できるだけ多くの三角形に分割します。ただし、頂点や内側の点を結ぶ線は交わってはいけません。
また、内側の点が3個以上一直線に並ぶことはありません。
正三角形の内側にいくつか点があるとき、たとえば図のように三角形に分割できます。
なお例1では、内側にできた三角形の個数は7個です。
tukukoma2016m1.jpg
次の問いに答えなさい。

(1)次のそれぞれの場合で、内側にできる三角形の個数を求めなさい。

(ア)正方形と4点
(イ)正五角形と5点

(2)正2016角形と28個の点のとき、内側にできる三角形の個数を求めなさい。

(3)正多角形の頂点の個数と内側の点の個数が等しいとき、内側に2016個以上の三角形ができました。
このような正多角形のうち、最も頂点の数が少ないものは正何角形ですか。


[解説]
(1)
分割の仕方は色々あるので、例を2つ紹介します。

例1,
まず内側に1点を書いて全ての頂点と結ぶ。

tukukoma2016k1.jpg

次にどこかの三角形に1点を追加して頂点と結ぶのを繰り返す。

tukokoma2016k2.jpg

例2,
まず内側に正多角形を書き、外側と内側のそれぞれの頂点を結んで三角形にする。

tukokoma2016k3.jpg

内側の多角形を対角線で三角形に分割する。

tukokoma2016k4.jpg

どちらでも(ア)は10個、(イ)13個となります。

(2)
例1の分割の仕方では

まず内側に1点を書いて全ての頂点と結ぶ→2016個に分割
次にどこかの三角形に1点を追加して頂点と結ぶのを繰り返す→三角形が2個ずつ増える
2016+27×2=2070個

例2の分割の仕方では
外側と内側のそれぞれの頂点を結んで三角形にする→外側と内側の辺の数2016+28=2044個だけ三角形に分割
内側の多角形の対角線で三角形に分割する→28-2=26個に分割
2044+26=2070個

どちらでも2070個になります。


本番ではこのように規則性を見つけて、そのまま答えとして書いてしまってもよいでしょう。

ただ本当にこれで最大値と言えるのか疑問ですよね。
そこをきちんと詰めたい場合は次のような論法を使います。

最大値が□であることを言うには

1、□以下であることを言う
2、□になる例を一つ言う


算数オリンピックでよく使われていますね。


例えば(1)の正方形に4点であれば

tukukoma2016k5.jpg

角度に注目してみましょう。
元々の四角形の内角360°に加えて、内側の1点につき360°ずつ使われるので
合計で360°+4×360°=1800°の角度が分割された三角形に使われています。
三角形1つの内角の和は180°ですから
1800÷180°=10
から10個以下となります。
そして実際に10個の場合ができていましたので、10個を答えとすればよいわけです。

(2)では、同様に考えて
{(2016-2)×180+28×360}÷180=2070個以下となり、
上で予想した2070個が最大になることがわかりますね。


(3)
同じように考えて□多角形の時は
{(□-2)×180+□×360}÷180が2016以上になればよい
つまり
3×□-2が2016以上
3×□が2018以上
より
これを満たす最小の□は
2018÷3=672あまり2
より正673角形です。


2016角形のような大きな数のものを考えるには、(1)のような手で書くことができる小さい数で試してみて
規則性をつかむ姿勢で問題に取り組むと、後半の小問での得点率も上がってきます。がんばってください!
(畠)
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