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豊島岡女子学園中学校 算数 問題 解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.05.29 18:45|入試問題分析(算数)
女子校の記事,1校,書きもらしがありました。
失礼しました。

豊島岡女子学園中学校です。

受験者数1009人、合格者数403人で倍率は2.50倍です。

受験者平均は189.73/300
合格者平均は220.95/300

各教科の平均点は(受験者平均点,合格者平均点)の順で

国語(62.05,69.37) 100点満点
算数(63.86,79.06) 100点満点
社会(33.04,36.70) 50点満点
理科(30.78,35.81) 50点満点

やはり算数での点数差が大きくなっていることがわかりますね。

各問題に目を通すと,
大問1 小問集です。
(1)(2) 共に単なる計算問題。軽くあわせましょう。
(3) 仕事算の基本問題です。これも落とせません。
(4) 地道に出していけば答えは何とか出せるかな…という問題です。
  題材として面白いので,今回はこの問題をあつかいます。

大問2 やはり小問集です。
(1) 速さのつるかめ算。この学校の受験生なら楽にあわせましょう。
(2) 3種類の食塩水を混ぜる問題。順に混ぜるもよし,天秤で一気に混ぜるもよし。
(3) 魔方陣系のパズル問題です。今回はこの問題も見てみましょう。
(4) 三角定規と角度の問題。角ア=①,角イ=④とおいて考えましょう。

大問3 筆算を書いてみて規則性をつかむ問題です。
(1) 実際に書いてみれば簡単にあわせられます。
(2) (1)から規則性をつかんでしまえば,それほど難しくありません。

大問4 直角三角形の相似を利用した問題です。
(1) ○×直角の印をしっかりと書き込めば簡単です。
(2) 難易度は上がりますが,決して無茶なレベルの問題ではありません。このあたりまでできるようにしておきたいですね。

大問5 峠越えのよくある速さの問題です。
(1) 状況図が正しく描ければ,あっさり解けるレベルの問題です。
(2) 解法は何通りか考えられます。①まではよく見るパターンですので,取りたいところです。
  ②は時間がなさそうなら後回しでもよいでしょう。

大問6 影問題です。
(1) 横から見た図を描けばよいということに気づきさえすれば簡単。
(2) 上から見た図の作図ができるようになっているかということが試されます。
  この系統の問題としては難易度は低いのですが,影というだけで放棄してしまう人が多いですね・・・(--;

平均点と上記の寸評から見て分かるように,この学校の受験生であれば簡単であろうと思われるレベルまで取れて
6割ちょい。つまり,受験者平均です。その先のちょっとしんどいなぁと他の人が思うレベルまで挑めないと安全ゾーン
まではもっていけませんね。

では,今回の問題解説です。
(問題)H28 豊島岡女子学園中学校 大問1(4)
3÷□を計算したとき,小数第1位でちょうど割り切れました。このとき,□に当てはまる整数は全部で何個ありますか。


実際の試験中には,計算結果が1以上の場合と1未満の場合に分けて地道にやってもいいと思います。
3÷1=3 ⇒×
3÷2=1.5 ⇒○
3÷3=1 ⇒ ×
3/□=1/10 ⇒ □=30
3/□=2/10 ⇒ □=15
3/□=3/10 ⇒ □=10
3/□=4/10 ⇒ ×
3/□=5/10 ⇒ □=6
3/□=6/10 ⇒ □=5
3/□=7/10 ⇒ ×
3/□=8/10 ⇒ ×
3/□=9/10 ⇒ ×      なので,□=2,5,6,10,15,30の6個です。

ただ,小数第2位までとなったときや割られる数が大きくなったときに,これでは対処できませんので,
次のようなやり方を見ておきましょう。

3÷□=(小数第一位までの数) ということは,□は3の約数ではありません。(わり切れてしまってはまずいので)
ただし,答えが10倍になるように3も10倍して30÷□=(整数)と考えると,□は30の約数ということになります。
つまり,□は30の約数のうち,3の約数ではないものということになるので,
1,2,3,5,6,10,15,30のうちの1,3を除いたもの。
2,5,6,10,15,30の6個です。

「小数第△位で割り切れる」というような問題は,10倍,100倍,1000倍,…して整数になるようにするとよいですね。
これを利用すれば,
24÷□を計算したとき,小数第2位でちょうど割り切れました。このとき,□に当てはまる整数は全部で何個ありますか。
みたいな問題も2400の倍数のうち,240の倍数でないものということで,
(5+1)×(1+1)×(2+1)-(4+1)×(1+1)×(1+1)=16個と出すことができます。

更に,今回はもう一問見てみましょう。
(問題)H28 豊島岡女子学園中学校 大問2(3)
下の図のように,3つの円によってできるア~キの7つの場所に,0,1,2,3,4,5,6の7つの数をそれぞれ1回ずつ
使って入れます。オに6,カに1を入れ,それぞれの円に入っている数の合計がすべて同じになるようにします。
このとき,キに入る数として考えられるものをすべて答えなさい。

2016toshimagaoka_0203_001.png
オとカに関係する,上の円と左下の円だけに注目しましょう。
ア+イ+ウ+オ=ア+イ+エ+カ ですから,重なっていない部分である
ウ+オ=エ+カ の関係も成り立ちます。(このタイプのパズル問題ではよくある注目の仕方ですので覚えておきましょう。)
つまり,ウ+6=エ+1ですから,エはウよりも5大きいはずなので,エ=5,ウ=0に決まります。

次に左下の円と右下の円だけに注目しましょう。
これが成り立てば,「上の円の和=左下の円の和」「左下の円の和=右下の円の和」より,
「上の円の和=左下の円の和=右下の円の和」ということができます。
先ほどと同じように重なっていない部分に注目すると,
イ+カ=ウ+キです。
イ+1=0+キですから,キはイよりも1大きいはず。残っている数は2,3,4なので,キとして考えられるのは3と4です。


これも類題を紹介しておくと,2006年に東大寺学園中学校で出題された問題です。
以下のような図で,4つの円でできた10個の場所に,0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の数をそれぞれ1回ずつ入れ,
(4と5はすでに入っています)それぞれの円に入っている数の合計が等しくなるようにしなさい。

2016toshimagaoka_0203_002.png
上の円と真ん中の円で重なっていない部分に注目すると,(A,B)=(1,0)か(0,1)
真ん中の円と右下の円で重なっていない部分に注目すると,C+Dは最小でも2+3=5なので,(C,D,E)=(2,3,9)か(3,2,9)
真ん中の円と左下の円で重なっていない部分に注目すると,D+F+Bは最小でも2+6+0=8なので,
(D,F,B,G)=(2,6,0,8) ここから芋づる式にA=1,C=3,E=9,H=7が決まります。

今回のテストで合格者平均に達するには,小問数が18ですから,3,4個しか間違えられません。
それをどこにもってくるかというと,おそらく4番か5番か6番の後ろの方でしょうから,小問はしっかりと取らなければいけません。
今回取り上げたようなレベルの問題はぱっと対処できるようにしておきたいですね。(池)
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武蔵中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.05.28 14:04|入試問題分析(算数)
武蔵中学をとりあげます。

受験者数590人、合格者数183で実質倍率3.2

教科別の平均点は(満点 合格者平均点 受験者平均点)の順に
国語(100 51.3 45.2)
算数(100 68.1 48.6)
社会(60 43.5 39.0)
理科(60 39.1 34.3)
合計(320 202.0 167.0)
合格最低点184/320
です。

算数は合格者平均点と受験者平均の差がおよそ20点あり、大きく差がついています。

武蔵の算数は勉強の成果が直結しやすい典型問題の出題が多いです。8割ぐらいを目指しましょう!


大問1
(1)定番の整数になる分数のかけわりの計算です。(14と16の最大公約数)/(15と21の最小公倍数)ですが、わり算になると正解できないという人は、問題分の整理の仕方がまずい可能性が高いです。
(2)台形ペケポンのよくある面積比の問題ですね
確実に点数をとりましょう。

大問2
(1)5%の食塩水100gと7.5%の食塩水400gを混ぜる問題ですね。
(2)フローチャートを書いて整理します。最初のCに含まれる食塩量を[5]とすると、最後のAの食塩量は15+(30+5)/25+[5]/5、Cの食塩量は[4]+(30+5)×4/5+0.6で、最後のAとCは濃度が等しいので4:5になります。
きちんと整理すれば難しくないと思います。

大問3
(1)女子が学校~A間を歩いた時間と、車が学校→B→Aと移動するのにかかった時間(乗り降りの1分を含む)が等しいことから車がAB間の往復にかかった時間を出しましょう。
(2)歩く男子と車の、B地点を出発した時間やプールに着いた時刻がどれだけずれているかが手掛かりになります。
(3)(1)と(2)が解けた人は、各区間の距離がわかりますからサラッと正解しましょう。
典型問題ではありますが、なかなか点数に結びつかないことが多いです。
しっかり自分で図をかいて、自力で正解までたどり着くように練習しておきましょう!

大問4
今回はこの問題をとりあげます。


(問題)H28 武蔵中学校 算数 大問4
<図1>のように、長方形に並べたます目のそれぞれに○か×のどちからを書き入れます。このとき、次の[規則]で点数の合計を考えます。
musashim1.jpg
musashim2.jpg

[規則]
・○が縦、横にひとつながりになっている「かたまり」を考える。(点だけで接するものはつながっていないとする)
・それぞれの「かたまり」の中の○の数によって<表>にしたがって点数を決め、それらを合計する。

例えば<図1>の場合、○が5個、2個、1個、1個の「かたまり」があるので点数は順に0点、3点、1点、1点となり合計は5点です。(○は5個の「かたまり」を3個と2個などと分けて考えてはいけません)
 次の問に答えなさい。

(1)<図2>の点数の合計は何点ですか。
musashim3.jpg

(2)<図3>の空いたます目に○か×を書き入れて、点数の合計を最も大きくするにはどうすればよいですか。<図3>に書き入れなさい。
musashim4.jpg

(3)<図4>のように並んだます目に○を7個、×を5個書き入れる場合を考えます。点数の合計が4点、9点、11点になる場合の例を1つずつ下の<図5>、<図6>、<図7>に書き入れない。
musashim5.jpg
musashim6.jpg



[解説]
かたまりが
1個は、○1つあたり点数は1÷1=1
2個は、○1つあたり点数は3÷2=1.5
3個は、○1つあたり点数は6÷3=2
なので出来るだけ3個のかたまりが多く、その次に2個のかたまりが多くしていくと点は高くなります。

(1)かたまりが
5個,3個,2個なので0点,6点,3点で合計して9点ですね。

(2)
新たに書く×の個数により場合わけします。

×が1つ以下ではどうやっても0点です。
×が2つでは
musashik1.jpg
点数をもっとも高くなるように書き入れるには、図のように○のかたまり3個3個の場合になるときで得点は6+6=12点となります。

これ以上×を増やすと、○の数も減り、かたまりが3個のものの○が一番点数高いので12点が最高となります。

(3)
4点になるには
かたまりが2個、1個のとき
残りの○は7-3=4個で4個のかたまりを作れば0点です。
よって例としては次のようになります。
musashik2.jpg

9点になるには
かたまりが3個、2個のとき
残りの○は7-5=2個で0点にできない。
かたまりが3個、1個、1個、1個のとき
残りの○は7-3-1-1-1=1個で0点にできない。
かたまりが2個、2個、2個のとき
残りの○は7-6=1個で0点にできない。
かたまりが2個、2個、1個、1個、1個のとき
残りの○は7-2-2-1-1-1=0個で使い切りました
よって例としては次のようになります。
musashik3.jpg

11点になるには
かたまりが3個、2個、1個、1個のとき
残りの○は7-3-2-1-1=0個で使い切りました。
よって例としては次のようになります。
musashik4.jpg


最大値や最小値の考え方、場合分けして整理など算数のよく使う道具をしっかり使いこなせるようにしておけば、パズルのような要素があっても見通しがよくなります。
がんばりましょう!(畠田)
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渋谷教育学園渋谷中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.05.23 18:45|入試問題分析(算数)
渋谷教育学園渋谷中学校をとりあげます。

第1回受験者数は男子183名、女子266名の合計449名
合格者数は男子44名、女子66名の合計110名
実質倍率は男子4.18、女子4.03で合計は4.08です。

合格最低点は
男子161/300 女子170/300
女子が高いことが多いですね。

各問題を見ていくと

大問1
(1)計算問題です。確実にあわせてください。
(2)食塩水の等量交換問題です。濃度の10%は使わないですね、一瞬で終わらせて下さい。
(3)角度の問題です。正三角形が二つ重なって108°になっているので120-108=12°ですね。
(4)約数の個数の問題です。素数の二乗ですね。
(5)比の問題です。長方形Aのたて=①、よこ=②などとし、決まる長さをどんどんうめていきましょう。
(6)4進法です。222222は0に対応するので2015を4進法で表します。
ここまでは全問しっかりと点を取りたいところです。

大問2
今回はこの問題を取り上げます。

大問3
(1)三角形の相似比を利用して、サラッと正解しましょう。
(2)下側がはみ出すことに注意しましょう。
(3)はみ出した部分をもう一度BCで折り返して回転するとわかりやすいですね。
底面の半径6cm,高さ8cmの円すい2つ分で192π
底面の半径3cm,高さ8cmの円柱2つ分で144π
の336π=1055.04cm^3となります。
(3)はみ出すところを忘れてしまいそうですが、(1)(2)はそれほど難しくないので確実にとりたいですね。

大問4
下のような表で整理すれば十分です。
水泳1500m自転車40000mマラソン10000m
A50m/分 30分(9:00-9:30)500m/分 80分(9:30-10:50)500/3m/分 60分(10:50-11:50)
B④m/分 [3]分(2)m/分 【2】分(1)m/分  【1】分
C③m/分 [4]分500m/分 80分+7分250m/分  40分

(1)Aさんは水泳に30分、マラソンに2倍の60分、ゴールまで170分なので自転車40kmに170-30-60=80分かかっています。なので40000÷80=500m/分とわかります。
(2)Bさんは自転車40kmとマラソン10kmを時間2:1で進みます。よって速さの比は(40÷2):(10÷1)=2:1。下見で10kmを自転車で進むのにかかる時間と、当日10kmをマラソンで進むのにかかる時間は、逆で1:2となります。マラソンだと25×2=50分、自転車は25分かかります。求める速さは10000÷25=400m/分ですね。
(3)水泳1.5kmはBさんとCさんの速さの比が4:3より、時間は逆比でBさん[3]分、Cさんは[4]分とすることができます。Bさんが自転車にかかった時間はマラソンの2倍で50×2=100分なので、スタートからゴールまでかかった時間は[3]+100+50=[3]+150、
Cさんがマラソンにかかった時間は、Aさんとの速さの逆比を利用して60×2/3=40分なので、スタートからゴールまで[4]+(80+7)+60×2/3=[4]+127。
Aさんのかかった時間=BさんとCさんのかかった時間の平均より、([3]+150+[4]+127)÷2=170。よって、[1]=9となり、Cさんは36+127=163分かかったことがわかります。
問題を整理して把握することができれば(2)まではとれると思います。

まずは6割5分を目標にしましょう!

(問題)H28 渋谷教育学園渋谷中学校 第1回 大問2

正方形の頂点を、時計まわりの順にA,B,C,Dとします。点Pは、初め頂点Aにあります。
サイコロを投げ、点Pをこの正方形の辺にそって時計まわりに進めるゲームを行います。点Pは出た目の数が1,3,5のときは隣りの頂点まで進んで止まり、2,4,6のときは隣りの頂点に止まることなく、その次の頂点まで進んで止まります。ゲームを始めたあと、点Pが最初に頂点Aに止まったところでゲームを終了とします。
 次の問いに答えなさい。

(1)点Pがちょうど1周してゲームが終了しました。途中、点Pは頂点Cに止まりました。このとき、サイコロの目の出方は何通りありますか。

(2)点Pがちょうど1周してゲームが終了しました。このとき、サイコロの目の出方は何通りありますか。

(3)点Pがちょうど2周してゲームが終了しました。このとき、サイコロの目の出方は何通りありますか。



[解説]
1つ移動または2つ移動…といって思い浮かぶのは、階段を上がるときに一度に1段ずつ、または一度に2段ずつ上がる問題がありましたね。
同じように考えてみます。

1つ移動する(例えばAからB)のは奇数の3通りです。
2つ移動する(例えばAからC)のは
(奇数)(奇数)または(偶数)で
3×3+3=12通りです。

すると3つ移動するのは
(1つ移動して偶数)
または
(2つ移動して奇数)で
3×3+12×3=45通り

同じように4つ移動するのは
(2つ移動して偶数)
または
(3つ移動して奇数)で
12×3+45×3=171通り

一般的に○だけ移動するのは
(○-2だけ移動)×3+(○-1だけ移動)×3通り

だとわかります。

(1)AからCで2つ移動してから、CからAの2つ移動なので
12×12=144通り

(2)ちょうど1周の4つ移動なので171通り

(3)AからDの3つ移動、DからBに偶数を出して移動、BからAの3つ移動なので
45×3×45=6075通り


問題に取り組むときは今回ならフィボナッチに数列になることで有名な階段の問題など、似たような問題と同じような考え方で解けないのか?と考えてみましょう。
1問でも素早く解けると、他の問題に時間を回せます。こういうことで算数は点数の差がつきやすいので、合格にぐっ!と近くなります。がんばりましょう!(畠田)

テーマ:中学受験
ジャンル:学校・教育

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聖光学院中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.05.20 17:24|入試問題分析(算数)
今回は聖光学院中学校です。

2回の日程がありますが,第1回のデータです。
受験者数は703人で合格者数241人の実質倍率2.92倍。
合格最低点318/500、合格者平均点346.3/500

各教科の平均点は(受験者平均点/合格者平均点)の順で
国語150点満点(89.4/103.4)
算数150点満点(63.5/84.7)
理科100点満点(76.7/83.6)
社会100点満点(68.0/74.5)

算数は6割が目標です!

【各問寸評】

大問1 小問群。
(1)は単なる計算問題ですから取れないといけません。
(2)は「21との最大公約数が1となる3ケタの整数」というのを「3や7で割り切れない3ケタの整数」と読み替えられるか
 が試されています。機械的な作業しかできない人はこの手の問題は対応できません。
(3)は展開図を組み立てる問題。9個の小正方形が前後左右上下のどの方向を向くかということだけでも書きこめれば
 答えは出せますが、頭の中で組み立てることが苦手な人は後回しにした方がいいでしょう。

大問2 今回はこの問題を扱います。

大問3 点を移動させる場合の数の問題です。
場合分けと計算をうまく組み合わせて、いかに素早く処理できるかの勝負です。
正解率も、地道に1つずつコマを移動して考えた人の方が低くなりそうですね。

大問4 2人の進んだ距離の和や差に注目しながら解く、旅人算の問題です。
(1)(2)は速さの和と差が分かればまとめて解けてしまいます。
(3)は速さそのものを使うのではなく、比にして考えたほうが解きやすそうです。
いずれにしても、まずは長ーーーーーーーい問題文からしっかりと必要な情報を読み取ることが大変ですね(^^;

大問5 二等辺三角形の回転移動の問題です。
(1)の(ア)(イ)は与えられた図の中で、相似を利用して解き進めればあっさり正解できるでしょう。
ただ、(イ)の図は正しくない(回転後のACは回転前の頂点Bを通らない)ので、それを元に解くとえらいことに・・・
(2)はきちんと作図できないと解けません。が、正しく作図できるレベルの人にとっては得点することは難しくないでしょう。

各問題、クリアしてほしいハードルがそれぞれいくつかあるのですが、1つ目のハードルが結構高い問題が多いです。
大問まるまる全滅ということを避けるためにも、普段から、解いている問題のハードルがどういうところにあるのか
ということを意識するようにしましょう。相手が狙ってくるところを知っておくことが何にも勝る対策となります。

では大問2番です。
(問題)H28 聖光学院中学校 大問2
0から6までの数字のみで作られる整数を、下のように1番目に0、2番目に1、3番目に2、・・・と小さい方から
順に並べた整数を考えます。

0,1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,・・・,65,66,100,101,・・・

このとき,次の問いに答えなさい。

(1) 2016は何番目の整数ですか。
(2) 2016番目の整数はいくつですか。
(3) 上の数列から6が1回も使われていない整数を取り除いてできる数列を考えます。

6,16,26,36,46,56,60,61,62,63,64,65,66,106,116,・・・

このとき,2016は何番目の整数ですか。


0,1,2,3,4,5,6の7つの数字で表されていますので,7進法を使って考えましょう。
ただし,1番目の数が0になっていますので、□番目の数は□-1を7進法で表した数となります。

(1) 7進法の2016は
7×7×7×2+7×7×0+7×1+1×6=699ですので、
699+1=700番目の整数です。

(2) 2016-1=2015を7進法になおすと,
2015÷7=287…6
287÷7=41…0
41÷7=5…6
なので,5606となります。

(3) 0から6までの数字のみで作られる整数の数列から、0から5までの数字のみで作られる整数を取り除けばいいのですから
6進法で表せる分を取り除くと考えればよいですね。
0,1,2,3,4,5,10,11,12,・・・,2015
は(1)と同様に考えると,全部で6×6×6×2+6×6×0+6×1+1×5+1=444個の数が並ぶので,
700-444=256個の数が残ります。
つまり、答えは256番目ですね。

<別解>
ちなみに、N進法を知らない人や苦手な人でも、きちんと解くことができますよ。
(1) 1けたの数が7個、
2けたの数が6×7=42個、
3けたの数が6×7×7=294個、
4けたのうち、千の位が1のものが1×7×7×7=343個、千の位が2のものが7×2=14個あるので、
7+42+294+343+14=700番目の整数です。

(2) 千の位が4のものまでで、7+42+294+343×4=1715個なので、あと2016-1715=301個。
50□□となるものは7×7=49個あるので、5000~5566で49×6=294個で、あと301-294=7個。
5600~5606で7個あるので、答えは5606となります。

(3) 残った数をけた数ごとに分けて考えましょう。
1けたの数は元の数列に7個あり、取り除くのは6を含まない6個なので7-6=1個だけ残ります。
2けたの数は元の数列に6×7=42個あり、取り除くのは6を含まない5×6=30個なので42-30=12個残ります。
3けたの数は元の数列に6×7×7=294個あり、取り除くのは6を含まない5×6×6=180個なので294-180=114個残ります。
4けたの数のうち、千の位が1のものは元の数列に7×7×7=343個あり、取り除くのは6を含まない6×6×6=216個なので
よって、343-216=127個残ります。
千の位が2のものは2006と2016の2個、よって、1+12+114+127+2=256番目の整数ですね。

N進法は理解できる人とできない人の差がものすごく出る単元です。
苦手だという人は、別解のような小刻みに計算して出していくという作業をきちんとできるようにしておきましょう。
また、苦手ではないという人も、このような整理作業は場合の数などにも繋がるものですので、軽んじることなく、
できるようにしておきましょう。
(結局,どちらにしてもできるようにしておかなあかんのかい! という突っ込みは禁止です(^^;)
(池)
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駒場東邦中学 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.05.16 12:58|入試問題分析(算数)
今回は駒場東邦中学校をとりあげます。

受験者数 589名、合格者数 278名で実質倍率2.12です。
教科ごとの点数は(平均点 合格者平均点 配点)の順に
国語(67.1 74.1 120)
社会(48.4 52.0 80)
算数(58.3 72.6 120)
理科(48.7 52.1 80)
合計(222.6 250.7 400)

合格最低点は228点

算数はかなり平均点と合格者平均の差が大きいので、合否に影響が大きいですね。
計算もあまり複雑でないので、解法が身についてる人との差が出やすかったと思います。
6割とれると合格者平均なので、7割目指しましょう!


各問題を見ていくと

大問1 (1)素因数分解から「約数の個数」と「全約数の和」を求める問題ですが,知っている人と知らない人で大きく差がついてしまったと思います。
(2)パターンは少ないので表などにしてまとめましょう。
(3)Aが60分進むとBは48分進むので速さの比は5:4です。Aの長針と短針のつくる角度が⑤開くと、Bは④開くので360-⑤=④を解いて時刻に直せばいいですね。
全て素早く答えてあわせましょう!

大問2 「割られる数=割る数×商+余り、商は余りより大きい。」この関係式と、「A=623+B」を使います。
(1)は計算するだけですね。間違えないでください。
(2)は623+B=B×□なのでBは623の約数です。623=7×89より2桁の約数は89だけです。
(3)623+B=B×□+5なのでBは623-5=618の約数で5より大きいですが、618=2×3×103なので、5よりも大きい二桁の約数はありません。
わる数とわられる数が一定の問題は「西暦÷年号」の問題などでやってきているはずです。
(1),(2)まではとっておきたいです。

大問3 (1)円の半径と正方形の1辺の長さが一致するので円の部分では円に内接する正六角形の辺上を転がることになります。
(2)対角線の長さは2です。これがAが動く弧の直径で、90+60+30+30+60+90+60+30+30+60=540°回転します。
(3)内側をとり除くのではなく、直角二等辺三角形10個分と半径1cmのおうぎ形540°分の和を直接求めましょう。

計算も簡単なので(1)(2)までは点数をとりたいです。

大問4 今回はこの問題をとりあげます。(1)(2)は後述のような方法でなくても答えは出せるようにしておきましょう。


(問題)H28 駒場東邦中学校 算数 大問4

右の図のような正六角形ABCDEFGがあります。辺BC,CDのまん中の点をそれぞれG,Hとします。

komatou2016m1.jpg

(1)三角形AGEの面積は正六角形ABCDEFの面積の何倍ですか。

(2)FGとAHが交わる点をI,FGとADが交わる点をJ,FGとAEが交わる点をKとします。

komatou2016m2.jpg

次の長さの比を、最も簡単な整数の比で表しなさい。

①BGとAJ
②AKとKE

(3)正六角形ABCDEFの面積を12cm^2とするとき、三角形AIKの面積を求めなさい。




(1)
komatou2016k1.jpg

正六角形の問題は図のように正三角形方眼のように補助線を入れて正三角形何個分か考えましょう。
正六角形の正三角形の個数は24個です。
そのうち三角形AGEは正三角形10個分です。

よって10/24=5/12倍となります。

(2)
komatou2016k2.jpg

同じように補助線を入れると
BGは正三角形の辺1つ分
AJは辺1.5つ分なので
BG:AJ=1:1.5=2:3

またFEは辺2つ分なので
△AJK∽△EFKに注目して
AK:KE=AJ:FE=1.5:2=3:4

(3)

komatou2016k3.jpg

△AGE=12×5/12=5cm^2で、△AGEと△AIKを比べます。
AK:KE=3:4とわかっているので、GI:IKがわかると求まりますね。

△GHIと三角形KAIの相似に目を向けるためにGHとAKの比を考えてみましょう。
GHは正三角形の高さ2つ分、AEが正三角形の高さ4つ分なので、AKは4×3/7=12/7つ分
よってGI:IK=GH:AK=2:12/7=7:6

だから△AIK=△AKG×6/13=△AGE×3/7×6/13=90/91cm^2となります。


正六角形の問題では、平行な線がたくさん出てくるので、それを利用した相似が頻繁に出題されます。
そこで飛び道具として正三角形のマス目を引くことができれば、急に見通しがよくなる問題も多々あります。
是非使いこなせるようにしておきましょう!
(畠田)
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麻布中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.05.12 14:33|入試問題分析(算数)
今回は麻布中学校をとりあげます。

受験者数894人
合格者数390人
実質倍率2.29
合格最低点103/200

配点は国語60点算数60点理科40点社会40点となっております。

算数はひとまず6割を目標にしましょう。


【各問寸評】

大問1 水量の問題、と見せかけた単純な計算問題です。確実にとりたいところです。

大問2 大問2 (高さの比)=(面積の比)÷(底辺の比)を利用して解く平面図形の問題です。基本的な問題ですのでばっちり合わせましょう。

大問3 速さの問題。(1)は時間一定で「速さの比=距離の比 」を利用,(2)は距離一定で「時間の比と速さの比は逆比」を利用します。(3)次郎君が20分で到着するので、太郎君が歩いたのは20+2-7=15分間。これを使って鶴亀算です。基本的な問題なのでサっと取りたいです。

大問4 (1)で縦じま、(2)で横じまをまとめているので、(3)はこれらを組み合わせて考えます。
(1)は(0-20,40-60)と(0-12,24-36,48-60)の重なりを調べます。(2)は(15-30,45-60)と(0-10,20-30,40-50)を重ねた結果に(0-30)を重ねると考えるとわかりやすいですね。(3)は(1)と(2)の組み合わせで考えますが、いずれも黒は黒、灰色は灰色、白は白でまとめておくと計算が楽になります。
 
大問5 場合の数。(1)千の位が1の場合と2の場合に分けて考えましょう。(2)125の倍数,かつ,9の倍数のものを小さいものから順に考えていきましょう。(3)32×9×(奇数)の形です。一つずつ計算して調べていきましょう。(1)と(2)はとりたいです。

大問6,今回はこの問題を扱います。

大問1、2、3を確実に押さえ、大問4(1),(2)、大問5(1),(2)、大問6(1)までとることができれば合格に近づきます!

(問題)H28 麻布中学校 算数 大問7
黒い正方形がいくつかあたえられたとき、それぞれの黒い正方形を9等分し、図1のように5個の正方形を白く塗る操作を操作Aと呼びます。また、図2のように4個の正方形を白く塗る操作を操作Bと呼びます。

azabum1.jpg

例1 1つの黒い正方形に対し、操作Aを続けて2回行うと、下のようになります。このとき、黒い正方形が16個と、白のつながっている部分が5個(正方形4個と他の白い部分1個)現れます。

azabum2.jpg


例2 1つの黒い正方形に対し、操作Aを行った後に操作Bを行うと、下のようになります。このとき、黒い正方形が20個と、白のつながっている部分が9個現れます。

azabum3.jpg

(1) 例2の結果の図形に操作Aを行いました。黒い正方形はいくつできますか。また、白のつながっている部分はいくつできますか。


(2) (1)の結果の図形に、操作Bを行いました。白のつながっている部分はいくつできますか。

(3) (2)の結果の図形に、操作Aを行い、さらにその後に操作Bを行ったとき、白のつながっている部分はいくつできますか。



解説
(1)
実際に書いてみると

azabuk1.jpg

こうなります。

黒い正方形の個数は、例2の黒い正方形がそれぞれ4個に分裂するので20×4=80個

白のつながっている部分の個数は、例2の黒い正方形の中に各1個ずつでき、あとは外側に1つあるので
21個

です。
外側の1つを忘れないように注意しましょう。

(2),(3)
Aの操作により、
黒い正方形は「操作前の黒い正方形の個数×4」になり、
白のつながっている部分は「操作前の黒い正方形の個数+1」
となることがわかりました。

Bの操作では何が起こるのか考えてみましょう。
例2を見ると

azabuk2.jpg

黒い正方形は「操作前の黒い正方形の個数×5」となっています。
白のつながっている部分は、操作前からあった部分はそのまま残って、外枠に接している黒い正方形の辺に1つずつできています(例2の場合だと5+4=9個となります)。

ということは、外枠に接する正方形の辺の数がどのように変わるのかも考える必要がありますね。

Aの操作では辺の数はかわりません。
Bの操作では辺の数は図のように2倍になります。

よって、(黒い正方形の個数、白いつながっている部分の個数、外枠に接する正方形の辺の数)の形で表すと、
(1)の時点で(80,21,8)
(2)の時点で(80×5,21+8,8×2)=(400,29,16)
(2)に操作Aを行うと(400×4,400+1,16)=(1600,401,16)
更に操作Bを行うと(1600×5,401+16,16×2)=(8000,417,32)となります。
答えは(2)が29個、(3)が417個ですね。

一見すると典型問題ではないように見えますが、コッホ曲線の問題を解いたことがあると参考になったかもしれません。
ただ、それを思い出せなくても、操作によって色々なものの個数がどのような規則で変化するかということを操作回数が少ないところでつかむという発想を身につけておけば回数が増えたときに対応できるようになります。
他の人に差をつけるチャンス!頑張りましょう!(畠田)
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栄光学園中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.05.09 20:24|入試問題分析(算数)
今回は栄光学園中学校です。
算数の問題が難しいことでも有名ですが,今年は一段ときつかったようです。

受験者数は611人で合格者数264人の実質倍率2.31倍。
合格最低点140/240、合格者平均点154/240

各教科の平均点は(受験者平均点/合格者平均点)の順で
国語70点満点(45.3/49.6)
算数70点満点(32.8/41.8)
理科50点満点(27.6/31.4)
社会50点満点(28.5/31.2)

算数は6割5分が目標です!


【各問寸評】

大問1 正方形が移動する際に,辺が通過する部分を求める問題です。
(1)は取れないといけません。
(2)も取れる問題ですが,ここでミスした人はふるい落とされるでしょう。
(3)が合否を分ける感じですね。作図を普段からしっかりとやらなければいけません。
(4)は解ける人が少ないですから,解けなくても合否には直接影響なさそうです。

大問2 ある数を和や積に分解する問題です。
(1)は取れる問題。ミスなく慎重にあわせましょう。
(2)も難易度的には取れる問題ですが,ミスや考え忘れを含めると,合否を分ける問題と言えそうです。
(3)はなかなか面白い問題です。きちんと考え方を整理できていないと,正解までたどり着くのは難しいかな。

大問3 立体の頂点の数え方に関する問題です。
今回はこの問題を扱います。

大問4 通過算(踏切通過)です。
(1)は取らなければいけません。(通過算が苦手な人は間違えそう・・・)
(2)はガクッと正解率が下がりそうですね。このあたりが合否をわけそうです。
(3)はここまでが正解していなくても単独で合わせられる問題です。今年の問題の中では一番簡単。
(4)は上りと下りの列車の重なり部分が規則的にずれていくことを利用するのですが,解ける人は少ないでしょうね。

全体的にはとてもおもしろい入試問題のセットになっていると思います。
大問4つあって,4つとも記事にしたいなぁと思うことはあまりありませんので(^^;

それでは問題を見ていきましょう。

(問題)H28 栄光学園中学校 大問3
図1のような立方体があります。(●は辺の真ん中の点)。この角をいくつか切り取った立体を考えます。
角を切るときは,その周りにある立方体の3つの辺の真ん中の点を通る平面で切り取ります。
例えば,Aの角を切り取る場合は,図2のように切り取るものとします。
2016_eiko_3_01.png
立方体の8つの角のうち,いくつかの角を切り取った立体の頂点の数を考えます。
例えば,図2のようにAの角のみ切り取った立体の頂点の数は10個です。
次の問に答えなさい。
(1) 2つの角を切り取った立体の頂点の数はいくつですか。考えられるものをすべて答えなさい。
(2) 3つの角を切り取った立体の頂点の数はいくつですか。考えられるものをすべて答えなさい。
(3) 4つの角を切り取った立体の頂点の数はいくつですか。考えられるものをすべて答えなさい。
(4) Aの角とCの角を切り取った立体から,さらに1つか2つの角を切り取ったところ,頂点の数が
  13個になる立体ができました。切り取った角の組み合わせとして考えられるものを,答え方の
  例にならってすべて答えなさい。
  答え方の例 : (B),(B,D)

まず,例で書かれている切断から考えてみます。立方体の元の頂点の個数は8個ですね。
頂点Aを切り取ることで,Aの1個分が減るかわりに,●の3個分が新たな頂点として現れました。
つまり,3-1=2個増えたので,8個→10個となったわけです。

ただ,隣の頂点が切り落とされているときは少し事情が変わります(図2の状態からBやDやEを切り取るような場合)。
1個分が減るのは変わりませんが,新たに表れる●の頂点は2個だけ。つまり2-1=1個しか増えません。
同様に考えると,隣が2個切り落とされている場合は増減なし,隣が3個切り落とされている場合は1個減少します。
ただし,切り落とす順番を決めておかないと混乱しますので,つながっている場合は端から順に切り落とすこととしましょう。
(例えば、AとBとCを切り落とす場合はA⇒B⇒CやC⇒B⇒Aの順で切り落とします。)
これらを踏まえて問題に取り組んでみましょう。

(1) 2つの頂点が隣り合っている場合,8+2+1=11個
  2つの頂点が隣り合っていない場合,8+2+2=12個
  この2通りが答えですね。

(2) 3つの頂点が順に隣り合っている場合(例えばAとBとC),8+2+1+1=12個
  2つだけ隣り合っていて,残りの1つだけ離れている場合(例えばAとBとG),8+2+1+2=13個
  3つとも隣り合っていない場合(例えばAとCとF),8+2+2+2=14個
  この3通りが答えとなります。

(3) 4つの頂点がすべて隣り合っていて,輪っか状に繋がる場合(例えばAとBとCとD),8+2+1+1+0=12個
  4つの頂点がすべて隣り合っていて,輪っか状に繋がらない場合(例えばAとBとCとG),8+2+1+1+1=13個
  3つの頂点が隣り合っていて,残りの1つだけ離れている場合(例えばAとBとCとH),8+2+1+1+2=14個
  2つの頂点が隣り合っている組が2組ある場合(例えばAとBとGとH),8+2+1+2+1=14個,先ほどと同じ個数ですね。
  4つとも隣り合っていない場合(例えばAとCとFとH),8+2+2+2+2=16個
  この4通りが答えです。
  2つだけ隣り合って,残りの2つがバラバラという,8+2+2+2+1=15個のパターンが存在しないことに注意ですね。

(4) AとCを切り取った時点で8+2+2=12個ですから,あと1個増やせばよいわけです。
 ★さらに1つだけ切り取って1個増やす場合
  隣が1個だけ切り落とされている頂点を選べばよいですね。
  EとGがこれに該当します。
 ★さらに2つ切り取って1個増やす場合
  切り取る順番によって混乱してしまいそうになりますので,アルファベット順に切り取るとルールを決めましょう。
  (B→Dと切り取るのはOK,D→Bと切り取るのはダメ。)
  残っている6つの頂点のうち,2つを切り取るだけなので,全パターン考えても6×5÷2=15通り。
  大した手間ではありません。
  ・Bを切り取ると12個のまま増減なし。
   ここから隣が1個だけ切り落とされている頂点を選べばよいですから,EとFとGがこれに該当します。
  ・Dを切り取ると12個のまま増減なし。
   ここから隣が1個だけ切り落とされている頂点を選べばよいですから,EとGとHがこれに該当します。
  ・Eを切り取ると12+1=13個。
   ここからF,G,Hのいずれを切り取っても頂点の個数は増えてしまうのでダメですね。
  よって,(E),(G),(B,E),(B,F),(B,G),(D,E),(D,G),(D,H)が答えです。
  <別解>
  (2)で考えたことを利用して,片方に隣り合って片方に隣合わない頂点
  (3)で考えたことを利用して,とりあえずはAとC両方に隣り合うBかDを選び,
  あと1個は輪っかにならないように選ぶというやり方でも良いですね。

  立体図形の単元が苦手な人にありがちなのが,見取図を与えられていて,それを見ながら実際に数え上げる
  という解き方しかできないということです。
  単純な立体の頂点・辺・面の数を数えるときは,規則正しく数えること。
  複雑な立体の頂点・辺・面の数を数えるときは,「どのようにそれらが増減しているか」や「いくつ集まってきているか」
  ということに注目して,ある程度は計算で出せるようにするということが重要です。
  答えが出ればまぁいいやという状態から脱却することが大切ですよ。(池)
  
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渋谷教育学園幕張中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.05.04 18:18|入試問題分析(算数)
今回は渋谷教育学園幕張中学校です。

受験者、男子1319人、女子533人、計1852人
合格者、男子567人、女子192人、計759人
倍率は2.4となっています。

各教科の平均点は(受験者平均点/合格者平均点)の順で
国語(57.4/66.0)
算数(51.2/61.8)
社会(31.9/36.1)
理科(29.4/36.8)
合格最低点が350点満点で179点です。

いずれの教科でもバランスよく得点できることが求められていますね。

【各問寸評】
大問1 平方数を8個ほど書き出し,その中から2つを選んで足し合わせていくだけの簡単な作業で解ける問題です。
     が,問題文が長いので,読むことを拒否しているような子は取り組めないので,差がついた問題です。
大問2 自転と公転の問題で,この単元の問題としては難易度はそれほど高くないです。
     が,この単元自体に拒否感を持つ人が多いので,出来不出来の差がついた問題でしょう。
大問3 場合の数。地道な書き出し作業が必要で,せっかく書き出しても正解できなかったという可能性も高そう。
     (1)を短時間で取って,後で(3)だけでもあわせにいくのが最も効率的かも。
大問4 平面図形の問題。二十四角形として解けば非常に簡単。
大問5 影の問題。大問2と同様,苦手な人の多い単元で,作図もからむので,ボーダーライン上の人同士では
     あまり差がつかないかもしれません。解ければ一気に突き抜けられる可能性あり。今回はこの問題を扱います。

(問題)H28渋谷教育学園幕張中学校 一次 大問5
図のような四角柱ABCD-EFGHがあり,底面は1辺が4cmのひし形です。また,点Pと点Qはそれぞれ辺AB,BCの
真ん中の点で,点Rは辺BF上にありBRの長さが1cmです。この四角柱を平面上に置き,点Dから6cm真上の
ところにある電球Oでこの四角柱に光を当てます。
このとき,次の各問いに答えなさい。なお,必要があれば,正三角形の高さは,1辺の長さの0.87倍として計算しなさい。
2016shibumaku_5_01.png
(1) 平面上にできるかげ(図のしゃ線部分)の面積は何cm^2ですか。
(2) 3点P,Q,Rを通る平面でこの四角柱を切り,点Bを含む立体を取りのぞくと,
  平面上にできるかげの面積は何cm^2になりますか。
(3) さらに3点P,Q,Fを通る平面でこの立体を切り,点Rを含む立体を取りのぞくと,
  平面上にできるかげの面積は何cm^2になりますか。

(1) まず,横からの図を作図し,(光源から物体までの距離):(物体から影の先までの距離)をつかみましょう。
今回は9cmの高さから3cmの高さのものを照らすので,次のような図になります。
2016shibumaku_5_02.png
(光源から物体までの距離):(物体から影の先までの距離)=2:1となっていることがわかりますね。
次に,上から見た図を作図します。( )内は地面からの高さです。
2016shibumaku_5_05.png
真上から見ると,OA,OB,OCはいずれも4cmに見えるので,それぞれ4÷2=2cmずつ延長すればよいですね。
1辺1cmの正三角形の面積を[1]=1×0.87÷2=0.435cm^2とすると,
かげの部分は一辺6cmの正三角形から一辺4cmの正三角形を引いたものの2倍なので,
[1]×(6×6-4×4)×2=[40]=0.435×40=17.4cm^2となります。

(2) 切断することで頂点Bが切り取られ,P・Q・Rが新しい頂点として登場します。
  頂点P・Qは他の点と同様に地面からの高さは3cmですが,Rは地面からの高さが2cmなので,
  先ほどと同様に横からの図をかいてみましょう。
2016shibumaku_5_03.png
(光源から物体までの距離):(物体から影の先までの距離)=7:2となっていることがわかりますね。
今度も上から見た図を作図します。A・Cについては先ほどと同じですので,P・Q・Rについて作図しましょう。
2016shibumaku_5_09.png
真上から見ると,ORは4cmに見えるので,4×2/7=8/7cm延長すればよいですね。
(1)の図と比べると,0.435×3×6/7×2=783/350cm^2だけ小さくなっているので,
17.4-783/350=15と57/350cm^2となります。

(3) 作図が正しくできれば(2)よりも簡単です。Fが地面から0cmの高さなので下の×のような図にしてしまいがちですが,
  実際は辺PQのかげはP’とQ’を結ぶ直線になるので,下ののような図になります。
  ※厳密には,FRが1cm以下であれば下の○のような図になり,1cm以上であれば(2)のような図になります。
2016shibumaku_5_11.png
(1)の図と比べると,0.435×3×1.5×2=3.915cm^2だけ小さくなっているので,
17.4-3.915=13.485cm^2となります。

かげの問題の基本作業は
・横からの図でかげの長さをつかみ,
・上からの図でかげの広さをつかむ
です。作図は一朝一夕でできるようになるものではありません。日々の鍛錬あるのみです。面倒くさがらずがんばりましょう!
(池)
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