豊島岡女子学園中学校 算数 問題 解説&入試分析★2016年(H28年)
2016.05.29 18:45|入試問題分析(算数)|
女子校の記事,1校,書きもらしがありました。
失礼しました。
豊島岡女子学園中学校です。
受験者数1009人、合格者数403人で倍率は2.50倍です。
受験者平均は189.73/300
合格者平均は220.95/300
各教科の平均点は(受験者平均点,合格者平均点)の順で
国語(62.05,69.37) 100点満点
算数(63.86,79.06) 100点満点
社会(33.04,36.70) 50点満点
理科(30.78,35.81) 50点満点
やはり算数での点数差が大きくなっていることがわかりますね。
各問題に目を通すと,
大問1 小問集です。
(1)(2) 共に単なる計算問題。軽くあわせましょう。
(3) 仕事算の基本問題です。これも落とせません。
(4) 地道に出していけば答えは何とか出せるかな…という問題です。
題材として面白いので,今回はこの問題をあつかいます。
大問2 やはり小問集です。
(1) 速さのつるかめ算。この学校の受験生なら楽にあわせましょう。
(2) 3種類の食塩水を混ぜる問題。順に混ぜるもよし,天秤で一気に混ぜるもよし。
(3) 魔方陣系のパズル問題です。今回はこの問題も見てみましょう。
(4) 三角定規と角度の問題。角ア=①,角イ=④とおいて考えましょう。
大問3 筆算を書いてみて規則性をつかむ問題です。
(1) 実際に書いてみれば簡単にあわせられます。
(2) (1)から規則性をつかんでしまえば,それほど難しくありません。
大問4 直角三角形の相似を利用した問題です。
(1) ○×直角の印をしっかりと書き込めば簡単です。
(2) 難易度は上がりますが,決して無茶なレベルの問題ではありません。このあたりまでできるようにしておきたいですね。
大問5 峠越えのよくある速さの問題です。
(1) 状況図が正しく描ければ,あっさり解けるレベルの問題です。
(2) 解法は何通りか考えられます。①まではよく見るパターンですので,取りたいところです。
②は時間がなさそうなら後回しでもよいでしょう。
大問6 影問題です。
(1) 横から見た図を描けばよいということに気づきさえすれば簡単。
(2) 上から見た図の作図ができるようになっているかということが試されます。
この系統の問題としては難易度は低いのですが,影というだけで放棄してしまう人が多いですね・・・(--;
平均点と上記の寸評から見て分かるように,この学校の受験生であれば簡単であろうと思われるレベルまで取れて
6割ちょい。つまり,受験者平均です。その先のちょっとしんどいなぁと他の人が思うレベルまで挑めないと安全ゾーン
まではもっていけませんね。
では,今回の問題解説です。
(問題)H28 豊島岡女子学園中学校 大問1(4)
3÷□を計算したとき,小数第1位でちょうど割り切れました。このとき,□に当てはまる整数は全部で何個ありますか。
実際の試験中には,計算結果が1以上の場合と1未満の場合に分けて地道にやってもいいと思います。
3÷1=3 ⇒×
3÷2=1.5 ⇒○
3÷3=1 ⇒ ×
3/□=1/10 ⇒ □=30
3/□=2/10 ⇒ □=15
3/□=3/10 ⇒ □=10
3/□=4/10 ⇒ ×
3/□=5/10 ⇒ □=6
3/□=6/10 ⇒ □=5
3/□=7/10 ⇒ ×
3/□=8/10 ⇒ ×
3/□=9/10 ⇒ × なので,□=2,5,6,10,15,30の6個です。
ただ,小数第2位までとなったときや割られる数が大きくなったときに,これでは対処できませんので,
次のようなやり方を見ておきましょう。
3÷□=(小数第一位までの数) ということは,□は3の約数ではありません。(わり切れてしまってはまずいので)
ただし,答えが10倍になるように3も10倍して30÷□=(整数)と考えると,□は30の約数ということになります。
つまり,□は30の約数のうち,3の約数ではないものということになるので,
1,2,3,5,6,10,15,30のうちの1,3を除いたもの。
2,5,6,10,15,30の6個です。
「小数第△位で割り切れる」というような問題は,10倍,100倍,1000倍,…して整数になるようにするとよいですね。
これを利用すれば,
24÷□を計算したとき,小数第2位でちょうど割り切れました。このとき,□に当てはまる整数は全部で何個ありますか。
みたいな問題も2400の倍数のうち,240の倍数でないものということで,
(5+1)×(1+1)×(2+1)-(4+1)×(1+1)×(1+1)=16個と出すことができます。
更に,今回はもう一問見てみましょう。
(問題)H28 豊島岡女子学園中学校 大問2(3)
下の図のように,3つの円によってできるア~キの7つの場所に,0,1,2,3,4,5,6の7つの数をそれぞれ1回ずつ
使って入れます。オに6,カに1を入れ,それぞれの円に入っている数の合計がすべて同じになるようにします。
このとき,キに入る数として考えられるものをすべて答えなさい。

オとカに関係する,上の円と左下の円だけに注目しましょう。
ア+イ+ウ+オ=ア+イ+エ+カ ですから,重なっていない部分である
ウ+オ=エ+カ の関係も成り立ちます。(このタイプのパズル問題ではよくある注目の仕方ですので覚えておきましょう。)
つまり,ウ+6=エ+1ですから,エはウよりも5大きいはずなので,エ=5,ウ=0に決まります。
次に左下の円と右下の円だけに注目しましょう。
これが成り立てば,「上の円の和=左下の円の和」「左下の円の和=右下の円の和」より,
「上の円の和=左下の円の和=右下の円の和」ということができます。
先ほどと同じように重なっていない部分に注目すると,
イ+カ=ウ+キです。
イ+1=0+キですから,キはイよりも1大きいはず。残っている数は2,3,4なので,キとして考えられるのは3と4です。
これも類題を紹介しておくと,2006年に東大寺学園中学校で出題された問題です。
以下のような図で,4つの円でできた10個の場所に,0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の数をそれぞれ1回ずつ入れ,
(4と5はすでに入っています)それぞれの円に入っている数の合計が等しくなるようにしなさい。

上の円と真ん中の円で重なっていない部分に注目すると,(A,B)=(1,0)か(0,1)
真ん中の円と右下の円で重なっていない部分に注目すると,C+Dは最小でも2+3=5なので,(C,D,E)=(2,3,9)か(3,2,9)
真ん中の円と左下の円で重なっていない部分に注目すると,D+F+Bは最小でも2+6+0=8なので,
(D,F,B,G)=(2,6,0,8) ここから芋づる式にA=1,C=3,E=9,H=7が決まります。
今回のテストで合格者平均に達するには,小問数が18ですから,3,4個しか間違えられません。
それをどこにもってくるかというと,おそらく4番か5番か6番の後ろの方でしょうから,小問はしっかりと取らなければいけません。
今回取り上げたようなレベルの問題はぱっと対処できるようにしておきたいですね。(池)
失礼しました。
豊島岡女子学園中学校です。
受験者数1009人、合格者数403人で倍率は2.50倍です。
受験者平均は189.73/300
合格者平均は220.95/300
各教科の平均点は(受験者平均点,合格者平均点)の順で
国語(62.05,69.37) 100点満点
算数(63.86,79.06) 100点満点
社会(33.04,36.70) 50点満点
理科(30.78,35.81) 50点満点
やはり算数での点数差が大きくなっていることがわかりますね。
各問題に目を通すと,
大問1 小問集です。
(1)(2) 共に単なる計算問題。軽くあわせましょう。
(3) 仕事算の基本問題です。これも落とせません。
(4) 地道に出していけば答えは何とか出せるかな…という問題です。
題材として面白いので,今回はこの問題をあつかいます。
大問2 やはり小問集です。
(1) 速さのつるかめ算。この学校の受験生なら楽にあわせましょう。
(2) 3種類の食塩水を混ぜる問題。順に混ぜるもよし,天秤で一気に混ぜるもよし。
(3) 魔方陣系のパズル問題です。今回はこの問題も見てみましょう。
(4) 三角定規と角度の問題。角ア=①,角イ=④とおいて考えましょう。
大問3 筆算を書いてみて規則性をつかむ問題です。
(1) 実際に書いてみれば簡単にあわせられます。
(2) (1)から規則性をつかんでしまえば,それほど難しくありません。
大問4 直角三角形の相似を利用した問題です。
(1) ○×直角の印をしっかりと書き込めば簡単です。
(2) 難易度は上がりますが,決して無茶なレベルの問題ではありません。このあたりまでできるようにしておきたいですね。
大問5 峠越えのよくある速さの問題です。
(1) 状況図が正しく描ければ,あっさり解けるレベルの問題です。
(2) 解法は何通りか考えられます。①まではよく見るパターンですので,取りたいところです。
②は時間がなさそうなら後回しでもよいでしょう。
大問6 影問題です。
(1) 横から見た図を描けばよいということに気づきさえすれば簡単。
(2) 上から見た図の作図ができるようになっているかということが試されます。
この系統の問題としては難易度は低いのですが,影というだけで放棄してしまう人が多いですね・・・(--;
平均点と上記の寸評から見て分かるように,この学校の受験生であれば簡単であろうと思われるレベルまで取れて
6割ちょい。つまり,受験者平均です。その先のちょっとしんどいなぁと他の人が思うレベルまで挑めないと安全ゾーン
まではもっていけませんね。
では,今回の問題解説です。
(問題)H28 豊島岡女子学園中学校 大問1(4)
3÷□を計算したとき,小数第1位でちょうど割り切れました。このとき,□に当てはまる整数は全部で何個ありますか。
実際の試験中には,計算結果が1以上の場合と1未満の場合に分けて地道にやってもいいと思います。
3÷1=3 ⇒×
3÷2=1.5 ⇒○
3÷3=1 ⇒ ×
3/□=1/10 ⇒ □=30
3/□=2/10 ⇒ □=15
3/□=3/10 ⇒ □=10
3/□=4/10 ⇒ ×
3/□=5/10 ⇒ □=6
3/□=6/10 ⇒ □=5
3/□=7/10 ⇒ ×
3/□=8/10 ⇒ ×
3/□=9/10 ⇒ × なので,□=2,5,6,10,15,30の6個です。
ただ,小数第2位までとなったときや割られる数が大きくなったときに,これでは対処できませんので,
次のようなやり方を見ておきましょう。
3÷□=(小数第一位までの数) ということは,□は3の約数ではありません。(わり切れてしまってはまずいので)
ただし,答えが10倍になるように3も10倍して30÷□=(整数)と考えると,□は30の約数ということになります。
つまり,□は30の約数のうち,3の約数ではないものということになるので,
1,2,3,5,6,10,15,30のうちの1,3を除いたもの。
2,5,6,10,15,30の6個です。
「小数第△位で割り切れる」というような問題は,10倍,100倍,1000倍,…して整数になるようにするとよいですね。
これを利用すれば,
24÷□を計算したとき,小数第2位でちょうど割り切れました。このとき,□に当てはまる整数は全部で何個ありますか。
みたいな問題も2400の倍数のうち,240の倍数でないものということで,
(5+1)×(1+1)×(2+1)-(4+1)×(1+1)×(1+1)=16個と出すことができます。
更に,今回はもう一問見てみましょう。
(問題)H28 豊島岡女子学園中学校 大問2(3)
下の図のように,3つの円によってできるア~キの7つの場所に,0,1,2,3,4,5,6の7つの数をそれぞれ1回ずつ
使って入れます。オに6,カに1を入れ,それぞれの円に入っている数の合計がすべて同じになるようにします。
このとき,キに入る数として考えられるものをすべて答えなさい。

オとカに関係する,上の円と左下の円だけに注目しましょう。
ア+イ+ウ+オ=ア+イ+エ+カ ですから,重なっていない部分である
ウ+オ=エ+カ の関係も成り立ちます。(このタイプのパズル問題ではよくある注目の仕方ですので覚えておきましょう。)
つまり,ウ+6=エ+1ですから,エはウよりも5大きいはずなので,エ=5,ウ=0に決まります。
次に左下の円と右下の円だけに注目しましょう。
これが成り立てば,「上の円の和=左下の円の和」「左下の円の和=右下の円の和」より,
「上の円の和=左下の円の和=右下の円の和」ということができます。
先ほどと同じように重なっていない部分に注目すると,
イ+カ=ウ+キです。
イ+1=0+キですから,キはイよりも1大きいはず。残っている数は2,3,4なので,キとして考えられるのは3と4です。
これも類題を紹介しておくと,2006年に東大寺学園中学校で出題された問題です。
以下のような図で,4つの円でできた10個の場所に,0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の数をそれぞれ1回ずつ入れ,
(4と5はすでに入っています)それぞれの円に入っている数の合計が等しくなるようにしなさい。

上の円と真ん中の円で重なっていない部分に注目すると,(A,B)=(1,0)か(0,1)
真ん中の円と右下の円で重なっていない部分に注目すると,C+Dは最小でも2+3=5なので,(C,D,E)=(2,3,9)か(3,2,9)
真ん中の円と左下の円で重なっていない部分に注目すると,D+F+Bは最小でも2+6+0=8なので,
(D,F,B,G)=(2,6,0,8) ここから芋づる式にA=1,C=3,E=9,H=7が決まります。
今回のテストで合格者平均に達するには,小問数が18ですから,3,4個しか間違えられません。
それをどこにもってくるかというと,おそらく4番か5番か6番の後ろの方でしょうから,小問はしっかりと取らなければいけません。
今回取り上げたようなレベルの問題はぱっと対処できるようにしておきたいですね。(池)
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