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2017(H29)入試分析 算数 六甲学院中学校 B日程

2017.02.28 16:47|入試問題分析(算数)
今回は六甲学院中学校のB日程です。

今年は292人の受験者数に対して104人の合格者。実質倍率が2.81倍で去年よりも大幅に上がりました。
やはり高槻中学と日程が被るかどうかが倍率に大きく影響するようですね。
受験者平均が,国語91.2/150点,算数104.0/150点に対して
合格者平均が,国語104.2/150点,算数127.5/150点。
各教科の点差が,国語13.0/150点,算数23.5/150点ですから,
A日程と同様,算数の出来が合否への影響が大きく,また,倍率が高い分,点差も大きいですね。
他校との日程の重なり(特に高槻)を考慮に入れて受験するかどうかの判断をしたほうがよさそうです。

各問題に目を向けると…
大問1 計算問題が2つ。さらっと合わせましょう。
大問2 パズル問題です。こういう問題に慣れていればあっさりいけますね。
大問3 倍数算の典型問題。この辺りを落としてしまっていては合格は見えてきません。
大問4 平面図形の面積問題。これもよく見るタイプの問題です。こういう問題を典型問題であると思えるような
    勉強の仕方をしてきていないとしんどいですね。
大問5 不定方程式の問題。出てくる解答候補からの絞り方があまり見ない形なので,戸惑った子が多いかも?
大問6 今回はこれを取り上げます。
大問7 倍数問題。典型問題なのですが,6年の春~夏にかけてまだ力がついておらず,夏過ぎからエンジンを
    かけたような子は,ひょっとすると練習量が足りていない問題かもしれません。
大問8 影の問題。これもよく見る問題です。少なくとも(2)までは取れるようにしておきたいです。
    問題に与えられた図に書き込むのではなく、自力で図を描き上げる練習をしっかりしておきましょう。
大問9 水入れの問題。蛇口が2本あって,グラフが2つあるので,混乱した子が多いんでしょうかね。
    きちんと前からの図を描きながら,気持ちを落ち着かせて(1)(2)までは合わせたいところです。

A日程もB日程も,クセのある問題はどんどん減ってきているなぁという印象です。
そのうえで,皆がわからないまま,あいまいなままにしておきそうなタイプのところをついてきているように思います。

では,今回は6番の問題を見てみましょう。
(問題)H29 六甲学院中学校 B日程 算数 大問5
図のような四角形ABCDと三角形DEFがあります。辺ADと辺BCは平行であり,Cは辺EF上にあります。
また,辺ABと辺EF,辺DCと辺DEはそれぞれ同じ長さです。(ア),(イ)の角の大きさはそれぞれ何度ですか。
2017六甲B01

(ア)は普通にわかる角度を書き込んでいけばいけそうです。
2017六甲B02
問題文より,赤い三角形は二等辺三角形ですから,角DEFは50+18=68°
次に水色の外角定理に注目して18+68=86°がわかります。
ADとBCが平行なので,角(ア)はこの86°と等しいですね。

(イ)は悩んだ人が多かったと思います。
角度の,ある種「ひらめき」というものが求められる問題は気づかなければどうしようもないということが多いですが,
一応,ひらめくためにもいくつかのパターンがあることは知っておかなくてはいけません。
まずは、準備作業として,必要となりそうな角度を書き込んでおきましょう。
2017六甲B03
この手の問題の場合,手掛かりとなるのが「同じ長さ」と「合計180°」です。
前者は移動したときにぴったり重なる,後者は移動したときに直線を作ることができるということにつながります。
今回,辺ABと辺EFが同じ長さということですが,ここを重ねても何もなさそうです。
一方,辺DCと辺DEが同じ長さということに注目すると,この2本の辺がDで重なっているので,点Dを中心に反時計回りに
三角形DEF(上図の緑の三角形)を44°回してみると面白そうです。
2017六甲B04
ADF´が86+44+6+44=180°,つまり一直線になることが分かりますね。
回転移動によってできた四角形(オレンジ色の四角形)は等脚台形になりますから,(イ)は62°となります。

このひらめくためのパターンを多く持っていると,他の人が正解しにくい問題で得点できる可能性がぐっと上がります。
「こんなん,ひらめかなかったら解けないわ~」と片付けるのではなく,どういうパターンに分類できるのかを
意識して探してみましょう。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 六甲学院中学校 A日程

2017.02.26 13:28|入試問題分析(算数)
今回は六甲学院中学校のA日程です。

今年は314人の受験者数に対して172人の合格者。実質倍率が1.83倍で去年とほぼ横ばいでした。
各教科の受験者平均が,国語86.6/150点,算数84.5/150点,理科62.3/100点に対して
合格者平均が,国語92.4/150点,算数100.9/150点,理科67.7/100点。
各教科の点差が,国語5.8/150点,算数16.4/150点,理科5.4/100点ですから,
やはり算数の出来が合否への影響が大きいということが言えそうです。

各問題に目を向けると…
大問1 計算問題が2つ。当然しっかり合わせましょう。
大問2 2個の正方形を同時に眺めて,手が進まない子がいそうですね。
    「直角二等辺三角形と正方形①」「直角二等辺三角形と正方形②」にわけて分析した後でまとめると考えやすく
    なります。「ややこしいときはシンプルな状態から考える」の典型題です。
大問3 円と角度の問題。見た目はそれほど難しくなさそうな問題ですが,中心角と円周角の関係を算数の段階では
    教えていないケースが多いので,意外と解けなかったのではないかなと思われます。
    実際解くときにも,中心角と円周角の関係は使いません。
大問4 よくあるカード並べの問題ですが,カードのサイズが3.5cm×6.5cm,間隔が0.7cmと小数になっていることで,
    正解率がガクンと下がったはずです。小数や分数の最小公倍数探しは練習する機会も少ないでしょうから,
    出会ったときにしっかりとマスターしておきたいですね。
大問5 狂った定規の問題。類題として狂った巻尺・歩幅など,何問かやってきているはずですが,逃げちゃった子が
    多いはず。そしてしっかりとそこをついてくる出題です(笑)
大問6 折った紙を切り取って広げる問題。丁寧にやれば正解できるはずですから,正解率は高そうです。
    定規とコンパスを用いて書きなさいとのことなので,時間を取られすぎないかが勝負かな。
大問7 鶴亀算3連発。六甲受験者ならばここは軽く全問合わせておきたいところです。
大問8 数の操作の問題です。1歩1歩戻っていくだけですが,全操作を書くと大変なので,どのように端折るかが勝負です。
大問9 速さの問題。わざわざ,ここまできれいなダイヤグラムを描いてくれているということは,
    「普段は速さの問題は状況図で取り組む」→「今回はダイヤグラムで解いてほしい」
    →「受験者に描かせるのはしんどいかもしれない」→「きれいなダイヤグラムを載せておこう」という判断でしょう。
    それによって,問題の難易度がぐっと下がったように思います(因みに,状況図でも十分対応可能です)。
算数の先生から見ると,全体的に難易度は大幅に下がったかのように見えるのですが,受験生から見ると少し下がった
という程度なのかなと思います。そういう意味でも今回はどれを取り上げたものか悩みましたが,5番を見てみましょうか。

(問題)H29 六甲学院中学校 A日程 算数 大問5
正確なものさしAと,正確でないものさしB,Cがあります。B,Cは,それぞれ目盛りは等間隔についていますが,
伸びるかまたは縮むかしていて,正しい長さが測れません。B,Cでそれぞれ10cmとなるまっすぐな線を引いて,
Aでこれら2本の線の長さを測ったところ,差は7mmでした。次に,B,Cで,ある正方形の1辺の長さを測ったところ,
Bでは15cm,Cでは14cmになりました。この正方形の1辺の長さをAで測ると何cmですか。

上でも書きましたが,これ系の問題って,逃げちゃう子が多いんですよね。理由は簡単。
解いているうちに混乱するからです。10cmの線を引いたって書いているくせにBの10cmとCの10cmで長さが違う。
同じ正方形の1辺を測ったはずなのに,Bでは15cm,Cでは14cm。同じ「cm」で見ているので混乱するはずです。

そこで,正確な長さ以外はcmを使わずに表すようにしようと考えることが手掛かりになります。
Aのものさしは正確なのでそのまま。Bのものさしの1cmを①,Cのものさしの1cmを[1]としましょう。
引いた線の長さは⑩と[10]なので,これらの差が7mmとなります。 … ☆
また,正方形の1辺は⑮=[14]なので,比合わせして,⑮=[14]=<210>としましょう。
すると,⑩=<140>,[10]=<150>ですから,☆より,<10>=7mmということになります。
今回求めるのは正方形の1辺の正確な長さですので,<210>=147mm→14.7cmが答えです。

解説してしまうと,この問題自体は簡単ですが,ややこしい問題に対応するための思考が盛り込まれていますよね。
・なぜ自分はこの問題を解くときに混乱してしまうのか(混乱してしまったのか)
・それを防ぐためには何をすればよいのかorどうすればよいのか
の分析の積み重ねが大切です。
ただただ「わからない」「むずかしい」だけで済ませずに,その一歩先に踏み込むことで解ける問題の幅が広がります。
(池)
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2017(H29)入試分析 算数 四天王寺中学校

2017.02.24 13:59|入試問題分析(算数)
今回は四天王寺中学校を見てみましょう。

現時点でHPに入試関連の数値情報が載っていませんので,
各問題の方に目を向けてみます。

大問1 計算問題が2つ。1つ目は計算の工夫ですが,この辺りは難なく合わせてしまいたいところです。
大問2 平面図形の小問2つです。(1)は似たような問題で補助線の引き方を1通りしか知らない人は
    解けなかったんじゃないかなと思います。普段から色々な解放に目を向けておきましょう。
    (2)はよくある付け足し問題。斜線部に挟まれた白いところをつけ足せばよいですね。
大問3 (1)の濃度は良くある問題の組み合わせです。慎重に合わせておきたいところです。
    (2)は下の面が見えていないということで難易度がぐっと上がったと思います。
    (3)は四天頻出の推理問題。表をしっかり使って合わせられるようにしておきたいですね。
大問4 場合の数です。今回はこの問題を扱います。
大問5 規則性(等差数列)の問題です。が,問題文を正しく読み取るのが結構難しいかも。
    (1)は合わせておきたいです。(2)はおそらく,正しい答えに+1しちゃった人が多いんじゃないかな…
大問6 点の移動をグラフにする問題です。四天ではよく出てくる形式なので,テストに挑むときには定規と
    とがった鉛筆をきちんと用意しておきたいですね。
大問7 立方体の積み上げ問題。段ごとの図をきちんと使いこなせているかです。
    (1)(2)まではしっかりと合わせましょう。(3)は切断の絡む問題です。苦手な人は多いですが,
    医志志望ならばとれるようにしておきたいところです。

では,大問4番を見てみましょう。
(問題)H29 四天王寺中学校 算数 大問4
整数Aを4でわったときの余りを[A]で表します。
例えば,[2]=2,[4]=0,[15]=3 となります。
A,Bはそれぞれ1以上18以下の整数で,AとBは等しくてもかまいません。次の問いに答えなさい。
(1) [A]=3となる整数Aは何個ありますか。
(2) 整数A,Bの組を,例えばAが1,Bが5ならば,(1,5)と表すことにします。[[A]+[B]]=2となる整数A,Bの組は
  何組ありますか。
(3) [[A]+[B]]=[A]+[B]となる整数A,Bの組は何組ありますか。

(1) これは簡単。「4でわったときの余りが3になる整数Aは何個ありますか。」ということですから,
  3,7,11,15の4個です。

  そもそも,4でわったときの余りなので0か1か2か3の4通りしか考えられません。
  [A]=0となる → A=4,8,12,16 の4個 (以下,グループ⓪とします。)
  [A]=1となる → A=1,5,9,13,17 の5個 (以下,グループ①とします。)
  [A]=2となる → A=2,6,10,14,18 の5個 (以下,グループ②とします。)
  [A]=3となる → A=3,7,11,15 の4個 (以下,グループ③とします。)
  という4つのグループにあらかじめ分けておくとこの後も非常に考えやすくなります。

(2) 今回,[A]+[B]が2や6になれば問題の式を満たすので,(A,B)の組み合わせは
  (⓪,②)(①,①)(②,⓪)(③,③)が考えられます。それぞれの場合の数は
  (⓪,②)→4×5=20組
  (①,①)→5×5=25組
  (②,⓪)→5×4=20組
  (③,③)→4×4=16組
  なので,20+25+20+16=81組が答えですね。

(3) 今度は,[A]+[B]を4でわっても,余りはそのまま[A]+[B]ということですので,[A]+[B]が0か1か2か3です。
  つまり,[A]が⓪なら[B]はどれでもよいので4×18=72組
  [A]が①なら[B]は⓪①②のいずれかなので5×(4+5+5)=70組
  [A]が②なら[B]は⓪①のいずれかなので5×(4+5)=45組
  [A]が③なら[B]は⓪なので4×4=16組です。
  よって,72+70+45+16=203組ですね。

こうやって見てしまうと非常に簡単に見えますが,きちんと場合分けを自分で見やすいように書かないと混乱してしまう,
これが場合の数の難しいところです。また,グループを⓪①②③としましたが,私はあまり同士の足し算をした結果が
見やすいのでこのように名付けました。逆にグループ名が数になっていることによって混乱してしまうという人も
いるでしょうから、そういう人は(ア)(イ)(ウ)(エ)としてもよいと思います。どのようにするとミスをしやすいかなどということは
人それぞれ。細かいことですが,そういうことを意識しながらより自分にフィットした表記法を見つけていきましょう。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 神戸女学院中等部

2017.02.21 15:13|入試問題分析(算数)
今回は神戸女学院です。


受験者254名に対して合格者が158名。実質倍率は1.61倍です。

合格最低点は体育実技(20点)を含めて,251点/460点。筆記で6割取れればおつりが来ます。
そう考えると,取れるところをしっかり取れれば十分に届きそうな気がしませんか?

各問題に目を通してみると,
大問1 カレンダー&日暦算。(1)は余裕。(2)は「31日まで」という指定を見落とさなければ大丈夫でしょう。
大問2 速さの問題。比合わせをするときにミスをしなければ(1)~(3)まで取れそうです。
大問3 神女お得意の整数条件の絡む範囲問題です。問題文をしっかり読んで(1)だけは押さえておきましょう。
大問4 平面上の点の移動の問題。(1)(2)をしっかりと作図して取りたいですね。(3)は微妙…
大問5 立体図形のくりぬき問題。今回はこれを取り上げます。
大問6 サイコロ問題。よくある問題ですが,多くの子が嫌がる問題なので,逃げずに挑んできた子は貯金できたかも。
    少なくとも(1)だけは取っておきたいです。


(問題)H29 神戸女学院中等部 算数 大問5
1辺10cmの立方体から,図のように斜線をつけた1辺4cmの正方形をたてと横の2方向に反対の面まで
まっすぐ2つくりぬきます。
2017神戸女学院01
(1) くりぬいた後の立体の体積を求めなさい。
(2) くりぬいた後の立体の表面積を求めなさい。

(1) くりぬいた体積を考えるために,与えられた見取図の上面・前面・右面に透かした穴を描き込んでみましょう。
  縦・横・高さ方向の平行線に注意しながら書き込むとより見やすい図になります。
2017神戸女学院02
  こんな感じになりました。これだけではいまいち頭の中で把握しづらいという人はくりぬき部分の見取図を描きましょう。
2017神戸女学院03
  これらの図より,2本の直方体の一部が重なっているのがわかるかと思います。
  重なり部分の体積は2×4×4=32cm^2なので,4×4×10×2-32=288cm^2がくりぬいた体積です。
  10×10×10-288=712cm^3となります。
  (1)を解くだけなら,段ごとのスライス図を描くのも手ですが,(2)をスライス図で解こうとするとおそらくミスが多発するので,
  あえてこちらの解法をお勧めしておきます。

(2) くりぬいた後の表面積ということなので,元の立方体の表面積(10×10×6=600cm^2)からどれだけ増減したかを
  考えてみましょう。
  くりぬき問題の表面積増減は,くりぬいた立体の表面積のうち,どの部分が【増】にあたり,どの部分が【減】にあたるか,
  これをつかむことがカギになります。
  今回は上の見取図の4つの正方形(4×4×4=64cm^2)が【減】にあたり,残りが【増】ということになります。
  くりぬいた立体の表面積は,
  上下…4×10+4×4-4×2=48cm^2 → 上下で2倍して96cm^2
  前後…同じく96cm^2
  左右…4×10×2-4×4=64cm^2 → 左右で2倍して128cm^2
  96+96+128=320cm^2です。
  
  そのうち,【減】が64cm^2 【増】が320-64=256cm^2ですから,求める答えは600-64+256=792cm^2です。

  見取図が上手く描ければずいぶん楽に解けた問題だったと思います。
  過去問では2003年の1番でほぼ同じような立体が出題されていますので,普段から見取図を描く練習をしていた
  人にはなおさら有利だったでしょう。平面図を駆使したり,段ごとのスライス図を使っても解くことはできますが,
  武器は多いにこしたことはありません。特に5年生のうちからしっかりと見取図を描く練習をしておきましょう。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 西大和学園中学校

2017.02.19 14:04|入試問題分析(算数)
今回は西大和学園中学校を見てみましょう。

まずは入試情報から。
受験者→合格者(倍率)
男子:991人→513人(1.93倍)
女子:225人→41人(5.49倍)

合格最低点が男子で324/500点,女子で374/500点ですから,男女の合格難度格差がかなり激しいですね…(;^ω^)

算数の各問題に目を向けると・・・
大問1 計算問題と小問群。(1)(2)(3)(4)①(5)(6)(8)は合わせておきたいです。(4)②(7)あたりはミスし易いので慎重に。
大問2 図形の小問群。(1)(2)は必須。(3)は解き方が色々ありますが,自分の得意な形に持ち込めるかです。
    (4)は得手不得手が分かれる問題なので,できる側に入ると有利になりますね。
    (5)は感覚的に正解を書けるようにしておきたいところです(当然,理詰めで解けるようにもしておきましょう)。
大問3 歯車の問題。歯車の仕組みが正しく理解できていて,長文をしっかりと整理する能力があれば,実質の難易度は
    それほど高くありません。が,歯車が4つも繋がっているので,混乱しそうですね…(^^;
大問4 今回はこれを取り上げます。

では4番です。
(問題)H29 西大和学園中学校 算数 大問4
上から数を入れると,一定の割合で分ける機械A,B,C,Dがあります。(例)のようにAは1:1の比,Bは1:2の比,
Cは3:2の比に分け,Dはどのような比に分けるかわかっていません。これらの機械を組み合わせて枝分かれの道
(この道をルートと呼ぶことにします。)を作り,矢印Eから数を入れて下から出てくる数を調べます。
また,図1のように道が合わさるところでは,それぞれの道からの数の合計をとります。
このとき,次の問いに答えなさい。
2017西大和01
(1) 図2のように,2段すべてをBとして機械を組み合わせてルート①を作りました。矢印Eから1を入れたとき,
  出口「い」から出てくる数を答えなさい。
2017西大和02
(2) 図3のように,1段目をA,2段目をB,3段目をCとして機械を組み合わせてルート②を作りました。
  (ⅰ) 矢印Eから1を入れたとき,出口「あ」から出てくる数と出口「え」から出てくる数の比を最も簡単な
    整数の比で答えなさい。
    (「あ」から出てくる数):(「い」から出てくる数)
  (ⅱ) 最も大きな数が出てくるのは出口「あ」から「え」までの4か所のうちのどれですか。
2017西大和03
(3) 図4のように,1段目と2段目をA,3段目をB,4段目をCとして機械を組み合わせてルート③を作りました。矢印Eから
  1以上の整数を入れます。矢印Eからどんな整数を入れると出口「あ」から「お」の5か所から出てくる数がすべて整数と
  なりますか。矢印Eから入れる最も小さい1以上の整数を答えなさい。
2017西大和04
(4) (3)で作ったルート③の1段目をDに入れかえて新しくルート④を作り,ルート③とルート④の矢印Eからどちらにも
  600を入れて,それぞれの出口「う」から出てきた数を調べました。すると,ルート④の方がルート③のときより5大きく
  なりました。このとき,機械Dは入ってきた数をどのように分ける機会ですか。最も簡単な整数の比で答えなさい。
  (Xから出てくる数):(Yから出てくる数)
2017西大和06
(5) A,B,Cの3つの機械を組み合わせて図5のような3段の枝分かれのルート⑤を作り,矢印Eから900を入れました。
  すると,次のような結果が得られました。
  ・出口「あ」と出口「え」から出てきた数の比は25:36
  ・出口「あ」から「え」の4か所のうち,最も大きい数が出てきたのは出口「う」
  ・出口「い」と出口「う」から出た数の差は11で割り切れる
  3つの機械をすべて1つ以上使ってルートを作っています。考えられる機械の組み合わせを答えなさい。
  [解答例]1段目がA,2段目が左からA,B,3段目が左からA,B,Cとなったときは図6のように答えます。
2017西大和05

まずは量に圧倒されてはいけません(笑)
丁寧にやれば,(2)までは絶対に正解できるはずです。
(1) まずは1段目を通過した時点で1/3と2/3に分かれます。
  次は2段目の通過です。
  「あ」からは1/3×1/3=1/9が出てきます。
  「う」からは2/3×2/3=4/9が出てきます。
  「い」は左からと右からの合計ですので,1/3×2/3+2/3×1/3=4/9が出てきます。
  左端と右端は計算が楽ですが,中は合計しないといけないので計算が少し面倒ですね。

(2) まず1段目を通過した時点で1/2と1/2に分かれます。
  次は2段目の通過です。
  左端は1/2×1/3=1/6,真ん中は1/2×2/3+1/2×1/3=3/6,右端は1/2×2/3=2/6と分かれます。
  最後に3段目の通過。
  「あ」が1/6×3/5=3/30,
  「い」が1/6×2/5+3/6×3/5=11/30,
  「う」が3/6×2/5+2/6×3/5=12/30,
  「え」が2/6×2/5=4/30となります。
  よって,(ⅰ) 3/30:4/30=3:4 (ⅱ) 一番大きな数が出てくるのは「う」ですね
  合計が1になっているかの見直しをしやすかったり,足し算しやすかったりするので,あえて約分はしていません。

(3) (2)の解説で,計算結果が全て○/30になっていましたね。これがヒントになります。
  実は約分しなかったのはこっちが狙い( *´艸`)
  Aを通るときに○/2倍,Bを通るときに○/3倍,Cを通るときに○/5倍になるので,先ほどの計算の分母は全て
  2×3×5=30になっていたわけです。
  今回はどの出口も必ずA→A→B→Cの順に通過しますので,Eから1を入れた場合,出てくる数の分母は必ず
  2×2×3×5=60になるはず。つまり,Eから入れる整数が60の倍数ならばどの出口からも整数が出てきます。
  この時点で最小の整数は60と予想できますね。
  あとは,1を入れたときに各出口から出てくる数が約分できる場合に60よりも小さい数になる可能性があるので,
  それを調べましょう。
  Eから1を入れると,「あ」から出てくる数は1/2×1/2×1/3×3/5=3/60=1/20 約分できてしまいますね…
  「お」から出てくる数は1/2×1/2×2/3×2/5=4/60=1/15 こちらも約分できてしまいました。
  ただ,1/20をかけても1/15をかけても整数になる最小の数はやはり60なので,これを答えとすればよいですね。

(4) ここは力技でやろうとすると時間がかかりすぎますので,ひと工夫してみましょう。
  まずはEから600を入れた場合に「う」から何が出てくるかを考えます。
  1段目を通過した時点で300と300に分かれます。
  この後,2段目3段目4段目に目を向けると,A→B→Cの順番で通っていきますよね。
2017西大和07
  これって,実は図3と同じ形なんです。つまり,左に分かれた300は赤で囲まれた枠に注目すると図3の「う」と同じ割合,
  右に分かれた300は青で囲まれた枠に注目すると図3の「い」と同じ割合で数が排出されるはずですので,合わせて
  300×12/30+300×11/30=230が出てきます。
  ということは,1段目をDに入れ替えてEから600を入れると230+5=235が出てくるということです。
  1段目を通過した時点でどのように分かれるのかはわかりませんが,例えばこれを[30]と<30>としておきましょう。
  とりあえず[30]+<30>=600 … ①
  先ほどと同じように考えると,[30]×12/30+<30>×11/30=[12]+<11>=235 … ②
  この2つの式から消去算をすれば,[1]=15,<1>=5とわかりますので,
  Dによって左と右で3:1に分けられるということです。

(5) 長かった解説もいよいよ最後です。もう一息頑張ってください。
  ヒントの一つ目として,「あ」と「え」から出てきた数の比が25:36とあります。
  「あ」から出てくる数はずっと左のルートを通ってきますので,
  Aの場合は×1/2,Bの場合は×1/3,Cの場合は×3/5,これらを3回組み合わせて(重複することもある)排出されます。
  一方「え」から出てくる数はずっと右のルートを通ってきますので,
  Aの場合は×1/2,Bの場合は×2/3,Cの場合は×2/5,これらを3回組み合わせて(重複することもある)排出されます。
  つまり,○×△×□×36/25=●×▲×■(白い印は左ルート,黒い印は右ルート)となるわけです。
  3つの記号の掛け算のところで,分母の2や3は約分される可能性はありますが,5は約分される可能性がないので,
  左ルートよりも右ルートにCが2つ多く入っていることがわかります。
  ★左ルートにCが1つ,右ルートにCが3つの場合
    3/5×△×□×36/25=2/5×2/5×2/5 より,△×□=2/27ですが,これを満たすことはできません。
  ★左ルートにCがなく,右ルートにCが2つの場合
    〇×△×□×36/25=●×2/5×2/5 となるので,1段目がAの場合とBの場合で調べましょう。
    ♥1段目がAの場合
      1/2×△×□×36/25=1/2×2/5×2/5 より,△×□=1/9で,△=□=1/3の場合に成り立ちます。
    ♥1段目がBの場合
      1/3×△×□×36/25=2/3×2/5×2/5 より,△×□=2/9ですが,これを満たすことはできません。
  ここまでで,左ルートがA→B→B,右ルートがA→C→Cと決定しました。
  あとは残りの条件から3段目の真ん中を決めるだけですので、状況整理をしておきましょう。
2017西大和08
  最後の詰めは慎重に…
  ★3段目真ん中がAの場合
    「い」=100+285=385,「う」=285+108=393で,差が8なので不適。
  ★3段目真ん中がBの場合
    「い」=100+190=290,「う」=380+108=488で,差が198なのでOK!
  ★3段目真ん中がAの場合
    「い」=100+342=442,「う」=228+108=336で,差が106,しかも「い」の方が大きいので不適。

  以上より,3段目真ん中はBと決まります。
  男子なら(3)まで,女子なら(4)まで欲しいなというところでしょう。

去年は大問2の図形小問群が非常にヘビーだったのですが,今年はそれがいくらか軽減されていたので全体としては
取り組みやすかったのではないでしょうか。それだけに,最後の(5)などは無理に取り組まず,見直しに時間を回した方が
良かったかもしれませんね。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 洛星中学校 前期

2017.02.15 22:52|入試問題分析(算数)
今回は洛星中学校の前期の問題を見てみましょう。

まずは入試情報から。
受験者数:517人→482人→419人→491人→425人→478人
合格者数:270人→266人→259人→268人→264人→268人
実質倍率:1.91倍→1.81倍→1.62倍→1.83倍→1.61倍→1.78倍
3科受験倍率:2.48倍→1.83倍→1.88倍→2.37倍→1.68倍→2.08倍
4科受験倍率:1.81倍→1.60倍→1.57倍→1.74倍→1.60倍→1.74倍

3科受験者が一昨年ほどではないにしてもきつい状況になったので、
「算数が難しかったのかな?」と思ったのですが・・・

各教科の受験者平均はこんな感じ。
国語:65.9→56.8→69.4→76.4→62.2→65.2
算数:55.4→70.0→54.9→42.2→55.5→69.9
理科:57.3→56.5→56.8→71.2→73.4→69.1
社会:69.6→72.3→73.4→70.4→69.3→67.8
総合:244.8→253.0→251.2→258.0→258.7→270.7

おいおい、算数の平均点上がってますやん。
しかも、理科の平均点も社会より高いですやん。

ということで、算数や理科が得意だから3科にしたというよりも、「社会が苦手だから」や「勉強する科目数を絞りたいから」
という理由で3科受験にしたのに、その3教科が伸びきらなかったというような子が多かったのでしょうかね…

まぁ、あくまで数字からの推測でしかないのですが、消極的理由で社会を捨てるのは先のことを考えてもよくないという
一般論が改めて頭の中をよぎりました…。

肝心の問題の方に目を向けてみましょう。
大問1 (1)計算問題(2)時間の計算問題は必須。(3)でつまづく子が多そうですね。
    とりあえず飛ばそうという判断ができなかった子は後がしんどくなったと思います。
大問2 (1)角度の問題は、折り返しの問題を解くときに意識して錯角や同位角を使っている子には易しく,
    ただただわかる角を書き込みながら解いている子にはしんどかったのかなと思います。
    (2)円の転がりは必ず取りましょう。
大問3 (1)容器の展開図の問題は,普段から断面図を書くようにしていた子にはそれほどしんどくなかったと思われます。
    (2)平面図形の典型題。洛星受験者ならサラッと解けるようにしておきたいです。
大問4 (1)倍数算。きちんと整理すればこれもそれほどの難易度ではありません。
    (2)濃度の問題。比のかけ算・わり算が複雑に絡み合っているので、ここもつまづきポイントになります。
    さっと後回しにしたいところです。
大問5 流水算ですが、落ち着いて解けば全問正解まで狙えるレベルだと思います。ここまでのつまづきポイントで時間を
    取られた子は,落ち着いて考えられずにここで取れたはずの点数を落としたのではないでしょうか。
大問6 おそらく洛星の受験者であればだれもが見たことがある問題のちょびっと応用編です。今回はこれを取り上げます。

(問題)H29 洛星中学校 前期 算数 大問6
次の問いに答えなさい。
(1) 正三角形の板をすきまなく並べて平行四辺形をつくり,2本の対角線のうち長い方の線で切断します。
 図1は,5列3段に並べたときで,切断された正三角形の板の枚数は14枚です。
2017洛星01
(ア) 9列4段に並べたとき,切断された正三角形の板の枚数は何枚ですか。
(イ) 41列17段に並べたとき,切断された正三角形の板の枚数は何枚ですか。
(ウ) 189列84段に並べたとき,切断された正三角形の板の枚数は何枚ですか。

(2) 正三角形の板をすきまなく並べて平行四辺形をつくり,2本の対角線のうち短い方の線で切断します。
 図2は,5列3段に並べたときです。
2017洛星02
833列476段に並べたとき,切断された正三角形の板の枚数は何枚ですか。


これとよく似た問題で,正方形のタイルをたくさん並べてできた長方形を対角線で切断するというものがあります。
おそらく洛星受験者であればほぼ皆さん解いたことがあるんじゃないかな…。

例えば,横に5列,縦に3段正方形を並べた長方形を対角線で切ると,
2017洛星03
こんな図になって,切断枚数は横+縦-(横と縦のL.C.M.)で5+3-1=7枚となります。
(詳しい解説は省きますが,この公式自体は仕組みとともに覚えてしまいましょう。)
図1はこれと密接な関係があって,
2017洛星04
赤い線に注目すると,先ほどの正方形タイルの切断と全く同じなのがわかりますよね。
ひし形が7枚切られているので、正三角形はその倍で7×2=14枚の切断となっています。

これと同様に考えると,
(1)(ア) 9列4段のひし形タイルを並べた場合は9+4-1=12枚の切断。その倍なので12×2=24枚が答え。
  (イ) 41列17段のひし形タイルを並べた場合は41+17-1=57枚の切断。その倍なので57×2=114枚が答え。
  (ウ) 189列84段のひし形タイルを並べた場合は189+84-21=252枚の切断。その倍なので252×2=504枚が答え。
あっさりできてしまいました。

(2)は向きが違うのでちょっと悩みますが,同様に解くことができます。
図2の図でも同じような赤線を入れると,
2017洛星05
この部分だけに注目すればよいわけです。
横の列数は縦-横で5-3=2列,縦はそのまま3段。
2+3-1=4枚のひし形が切られているので,正三角形はその倍で4×2=8枚の切断となっています。

これを利用すると,横の列数が833-476=357列,縦はそのまま476段。
357+476-119=714枚のひし形が切られているので,正三角形はその倍で714×2=1438枚が答えです。

似たような問題をやったことがあるなぁというときに,いかにそれと結びつけるかという発想は,この問題に限らずとても
重要な武器となります。ただただ目の前の問題の解き方を覚えていくだけではなく,自分の知っていることとどうつながって
いるのかを常に意識しましょう。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 高槻中学校 A日程

2017.02.13 21:41|入試問題分析(算数)
今回は高槻中学校を見てみましょう。

まずは入試情報から。
受験者→合格者(倍率)
男子:292人→107人(2.73倍)
女子:163人→59人(2.76倍)
ちなみに去年は男子のみで
372人→166人(2.24倍)
とのことでした。

共学になったことで,男子の人気も上がったという感じでしょうか。
女子初年度ということで、気合を入れ過ぎて問題の難易度が上がりすぎるのではないかと懸念していましたが,
程よい難易度だったのではないかと思います。

大問1 計算問題4問と速さの基本問題1問。高槻受験者であれば計算の練習はしっかりやっておきたいところです。
大問2 仕事算の典型題。登場人物は4人ですが、丁寧に整理すればそれほど難しくはありません。
大問3 数の操作の問題。(1)は必須。(2)(3)は逆からたどる際にミスが出ないように慎重な操作が求められます。
    似たような問題をやったことはあるはずなので,普段からミスを防ぐために何をすればいいかを考えながら
    取り組んでおかないと,本番でうまくできるはずもないですね。
大問4 立体の切断。今回取り上げます。
大問5 面積の問題(1)は必須。(2)まで取れれば十分。(3)は高槻第一志望者にはちょっときつい問題かなと思います。
    こちらを取り上げようかなとも思いましたが、他塾のページに掲載されていた解法と全く同じなので避けました。
    (^^;

では4番です。
(問題)H29 高槻中学校 A日程 算数 大問4
図のような正六角形を底面とする六角柱があります。この六角柱の頂点12点のうちAを含む4点を選び,その4点を通る
平面でこの六角柱の体積が半分になるように切断します。このとき,次の問いに答えなさい。
2017高槻01

(1) 切り口が四角形となるようなA以外の3頂点の組を全て答えなさい。
※ 頂点の組の書き方の例
 選んだ4点がABCDのときは(BCD)のようにA以外の3頂点を( )でまとめて書くこと。
 ただし,(BCD)と(CBD)のような順番だけの違いは同じものと考えます。

(2) 四角形とならないときの切り口は何角形になりますか。
また,そのときのA以外の3頂点の組をすべて答えなさい。


正六角形は点対称な図形ですから,今回の六角柱の切断では平均の高さを利用することができます。体積が2等分される
ということは、平均の高さが六角柱の高さの半分ということになりますので、向い合った頂点どうしの高さの平均が半分の
高さになればよい,つまり,切断面がAを通るならばJを通らないといけないということになります。
AJを確定させたうえで,残りの2点は(FI)(EH)(DG)(CL)(BK)のいずれの組み合わせを選べばよいか。
このようにすれば,モレも少なくなりそうですね。

(1) 切り口が四角形となるのは(EH)(CL)(DG)のいずれかの組み合わせを選んだときですね。
確定していたJも加えて(JEH)(JCL)(JDG)とすればOKです。

(2) (FI)を選択した場合,辺BHと辺EKが中点で切断されるので切断面が六角形に、
(BK)を選択した場合も,辺CIと辺FLが中点で切断されるので切断面は六角形になります。
答えるときはJを加えて(JFI)(JBK)ですね。

今回の問題は書き漏らしがないかという点で不安になった子が多かったかと思いますが,
自分が知っている知識とちょっと結びつけることができれば,綺麗に整理できましたね。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 洛南高等学校附属中学校

2017.02.11 16:50|入試問題分析(算数)
 さて,今回は洛南高等学校附属中学校の算数から1問取り上げます。
まずは入試状況から。
受験者数→合格者数(実質倍率)
男子:538人→240人(2.24倍)
女子:245人→72人(3.40倍)
専願の合格者最低点は男子で211点,女子で244点とのことですので,
相変わらず女子には厳しい試験となっています。

合格者平均点は
国語:3科型で84.4 4科型で86.2
算数:3科型で102.0 4科型で90.2
理科:3科型で67.7 4科型で66.8
社会:4科型のみで73.8
総合:3科型で253.0 4科型で246.9
3科と4科で大きく乖離があるのは算数のみですね。
社会の得点率がかなり高いので,3科に切り替えるにはかなり算数で稼げるようにしておかなくてはなりません。

問題数は大問8問と小問30問。例年通りの1問5点の均等配点です。
去年は大問によって難易度の差が大きいなぁという印象でしたが、
今年はどの大問からでも一定の得点は得られそうかなという印象です。
大問1の計算5問は全問合わせることが当然。
大問2の小問群は(1)(2)が取れればOK。
大問3は洛南大好き六角形の問題ですが,ここができたかどうかで大きく差がつきそうです。
大問4は似たような問題で地道な書き出し作業を練習してきた人にとってはなんてことのない問題でしょう。
ちょっとややこしいことが書いてあると逃げてしまってきたタイプの人はここでふるい落とされます。
5番は速さの問題ですが,昔ながらの「難しすぎる速さの問題」ではありません。小問をコツコツ拾いたいですね。
6番は数の性質の問題。よく目にする題材なので,全問正解を狙いたいところです。
7番で突然小問群が出てきたのでびっくりしました。(1)は洛南を受ける人であれば基本レベルの時計算です。
時計算は見ただけで逃げる人がいるので,ここでもふるい落とされます。
(2)はちょっとひねられた濃度の問題。わかってしまえば簡単ですが,正解率は低いでしょう。

では,今回は8番の問題を取り上げてみましょう。
(問題)H29 洛南高等学校附属中学校 算数 大問8
右の図のような,正方形のマスと回転軸でできた図形があります。この図形の中のいくつかの正方形のマスをぬりつぶし,
それを回転軸の周りに360°回転させてできる立体の表面積を(表),体積を(体)と表します。
2017洛南01
ただし,図4のような場合は,表面積の和を(表),体積の和を(体)と表すこととします。
図1を回転させたときの(表)をS,(体)をVとするとき,次の問いに答えなさい。
(1) 図2を回転させたときの(表)は,Sの何倍ですか。
(2) 図3を回転させたときの(体)は,Vの何倍ですか。
(3) 図4を回転させたときの(表)と(体)は,それぞれS,Vの何倍ですか。
(4) ある3つのマスをぬりつぶして回転させたときの(表)と(体)は,それぞれSの22倍,Vの48倍です。
どのマスを回転させましたか。解答欄のマスをぬりつぶしなさい。
2017洛南02


まず,考えるときは紙を左に45°傾けましょう。回転軸がまっすぐ縦にしたほうがミスが防げそうですね。
相似比と面積比の関係から、それぞれの直角二等辺三角形を回転させたときの表面積の関係は↓の図のように,
2017洛南04
相似比と体積比の関係から、それぞれの直角二等辺三角形を回転させたときの体積の関係は↓の図のようになります。
2017洛南03

実は,今回の問題はここまで分析できてしまえば,あとはミスしないように解くだけです。
(1) 各辺の表面積は下の図のようになります。
2017洛南05
8÷2=4倍ですね。

(2) 各パーツの体積は下の図のようになります。 
2017洛南06
12÷1=12倍です。

(3) 表面積は左下,体積は右下の図のようになります。
2017洛南07
表面積は56÷2=28倍,体積は61÷1=61倍ですね。

(4) 最後はちょびっとだけ苦労しましょう(ほんのちょびっとですけど)。
3マスだけ塗って体積が[48]になるには[24]+[18]+[6]か[24]+[12]+[12]か[18]+[18]+[12]の3パターンしかありません。
・[24]+[18]+[6]の場合
 [24]と[18]は必ず1辺がくっつきます。一方,[6]は他のマスとはくっつきませんので,表面積は全て下の図の例と等しくなります。
・[24]+[12]+[12]の場合
 [24]と[12]はくっつきませんし,[12]同士もくっつきませんので,表面積は全て下の図の例と等しくなります。
・[18]+[18]+[12]の場合
 [18]と[18]はくっつきませんが,[12]を選ぶときには片方の[18]にくっつくか,両方の[18]にくっつくかの選択ができます。
2017洛南08
今回,表面積が<2>×22=<44>になっているのは[12]のマスを[18]の両方のマスにくっつけたパターンのみです。

傾いていない正方形群やそれらを対角線で切ったものを回転させる問題はよく見かけますが,45°傾いている正方形群を
回転させる問題はおそらく練習量が少ないのではないかと思います。ただ,本質は同じものですので,それらの問題と
きちんと正面から向き合い,理解できていたかが問われます。
「なんとなく軸に近いほうから1:3:5:7:…」などというようなやり方では応用が全く効かないことがわかりますね。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 大阪星光学院中学校

2017.02.09 09:47|入試問題分析(算数)
今回は、大阪星光学院です。

2017年度の入試概要は
志願者数:804名→741名→683名
受験者数:765名→713名→653名
合格者数:313名→298名→311名
実質倍率:2.4倍→2.4倍→2.1倍
となっています。
競争率で見る限りは例年よりも受かりやすかったと言えそうです。

点数情報は
国語(120点満点)
 受験者平均:76.4→76.9→73.3
 合格者平均:82.1→84.2→79.7
算数(120点満点)
 受験者平均:77.4→79.7→72.8
 合格者平均:95.0→91.6→87.4
理科(80点満点)
 受験者平均:63.0→51.8→54.4
 合格者平均:66.8→56.5→60.1
社会(80点満点)
 受験者平均:59.1→55.9→55.0
 合格者平均:62.1→59.3→58.2
総点(400点満点)
 受験者平均:275.6→267.9→257.6
 合格者平均:307.7→297.8→289.1

理科と社会であまり差が出ていないことからも,4科受験と3科受験での有利不利は少なそうです。
単純に自分の有利な形での受験を考えればよいですね。

算数に目を向けると,合格者平均-受験者平均が17.6→11.9→14.6と少し戻りました。
誘導にきれいに乗れるかどうかで正答率が大きく変わりそうな問題が目立ったからでしょうかね・・・

問題の難易度も,ここ数年同様,手も足も出ないというような難易度の問題はありませんでした。
大問1,2,4をしっかり確保し,大問3,5でしっかり誘導に乗れれば高得点まで期待できます。
大問6は場合の数なので,得点しにくいでしょう。(1)だけで十分,(2)までとれれば大きく差をつけることができます。

では,今回は大問6を取り上げます。

(問題)H29 大阪星光学院中学校 算数 大問6
1番から5番まで番号がついている5つの箱があります。これらの箱に白玉1個と区別のつかない赤玉4個を入れます。
玉が入っていない箱があってもよく,1つの箱には最大で2個までしか入らないものとします。
(1) 5番の箱だけが空箱となる入れ方は[     ]通りです。
(2) 空箱が2つとなる入れ方は[     ]通りです。

ここで,赤玉4個に1から4の数字を書いて4個の赤玉を区別します。
(3) 空箱が2つとなる入れ方は[     ]通りです。


白玉→W 赤玉→RRRR と表しましょう。
更に,Nという玉を5個用意します。これは玉を入れないということを表します。
これら10個の玉を2個ずつ,5つの箱に割り振ると考えてみます。

(1) 5番にとりあえずNの玉を2個入れます。
この時点で残っているのはW R R R R N N Nの8個。
1番から4番にこの8個を割り振りますが,N2個を同じ箱に入れてはいけないので,
N N Nの入れ方は4通り,Wの入れ方も4通りあるので,4×4=16通りとなります。

(2) N2個を入れる箱を2箱選びます。選び方は5C2=10通りですね。
残りの3箱にW R R R R Nを2個ずつ割り振ります。
Wの入れ方は3通り,Nの入れ方も3通りあるので,3×3=9通りですね。
先ほどの10通りとの組み合わせで9×10=90通りとなります。

(3) N2個を入れる箱を2箱選びます。選び方は5C2=10通りで,ここまではさっきと同じ。
残りの3箱にはW 1 2 3 4 Nという6個を割り振ります(6個とも区別できるのが先ほどと違うところですね)。
1箱目に入れる玉の選び方は6C2=15通り,2箱目に入れる玉の選び方は4C2=6通り,3箱目は残り物なので,
これらを全部組み合わせて15×6×10=900通りとなります。

Nの玉を用意するというのはなかなか思いつかないですよね。
実際私も最初に解いたときは赤と白をどのように割り振るかで場合分けしました。
入試の本番でもそれで解ければ十分かと思いますが,今回は「こんな考え方もあるよ」というものを紹介しました。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 甲陽中学校(2日目) その1

2017.02.08 00:26|入試問題分析(算数)
今回は甲陽学院中学校2日目です。

問題の題材としては,見たことがあるものばかりという感じです。
が,実際に解いてみると一ひねりされており,大問完答まで持っていくのはなかなか難しいですね。
受験者平均もその影響で53.4とやや低めですが,問題としては非常にいい問題がそろったという印象です。
今回は,これらの問題の中から6番を見てみましょう。

(問題)H29 甲陽学院中学校 算数(第2日) 大問6番
図のように,水平な地面の上に,底面の円の半径が3m,高さが3mの円柱が立っています。この円柱の底面の中心から
6m離れた地点に高さ6mの柱が地面と垂直に立っていて,その先に小さな電灯がついています。ただし,円周率は3.14
とし,1辺が6mの正三角形の面積は15.6m^2とします。
2017甲陽2日目03
(1) 円柱の側面のうち,電灯の光が当たらない部分の面積を求めなさい。
(2) 電灯の光によって地面にできた円柱の影の面積を求めなさい。ただし,円柱の真下の地面は除きます。


影の問題でまずやらないといけない準備作業が横から見た図を書くことです。今回は6mの高さから3mの高さの物体を
照らすので,まずはこの図。
2017甲陽2日目01
(光源~物体):(物体~影の先端)=1:1 となっていることをしっかりとつかんでおきましょう。

次に上からの図を書いてみましょう。
光源から円柱の中心までの距離は6mなので,影となる円の中心は光源から12m離れます。
光源から円柱の左端までは3mなので,影となる円の左端は光源から6m,
光源から円柱の右端までは9mなので,影となる円の右端は光源から18mとなります。
つまり,影となる円の直径は18-6=12mとなることがわかりますね。
あとは光源から出る直線が元の円と影の円の両方に接するように引いてあげれば図は完成です。
赤で書かれた数が長さ,緑のところが光の当たらない側面となっているのがわかるかと思います。
2017甲陽2日目02
(1) 6×3.14×2/3×3=37.68m^2
(2) 白い部分と図形全体は相似比1:2で面積比が1:4となっていますので,色つき部分は白い部分の3倍の面積です。
(15.6+3×3×3.14×2/3)×3=103.32m^2

2013年の1日目に円柱(円筒)に太陽光線があたる問題が出ましたが,今回は円柱と点光源なので,作図の違いで
ちょっと戸惑った子がいたかもしれませんね。
解説としては非常にシンプルにまとまりますが,なかなか(2)まで取るのは難しいかなと思います。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 甲陽中学校(1日目) その2

2017.02.07 01:23|入試問題分析(算数)
今回は5番の問題を見てみます。
(問題)H29 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問5番
図1,図2は1辺が1cmの立方体ABCD-EFGHとそれと同じ大きさの立方体4つの計5つでできています。図1,図2において,
それぞれの黒丸印の3点を通る平面で立方体ABCD-EFGHを切断するとき,その平面は辺AB上の点P,辺AD上の点Qを
通ります。図1,図2のそれぞれの場合において,AP,AQの長さを求めなさい。
2017甲陽1日目04

図1ではおそらく、切断面を一生懸命かきこもうとして,図がぐちゃぐちゃになってしまったということが多かったと思われます。
2017甲陽1日目05

上段が全ての切り口を書き込んだもの(長さは書き込んでいません),
下段が最小限の切り口を書き込んだもの(長さまで書き込んでいます)です。
今回は長さが分数のため,図に書きこみにくいですから,切り口は最低限に抑えないと辛そうだというのがわかりますね。(^^
AP=1/2cm,AQ=3/4cmが答えです。

図2は、切断面を考える手掛かりが見つけにくかったのではないでしょうか。
下の図のように,黒丸印と黒丸印を結んだ直線が面に刺さる★のような点を見つけなければいけません。
ただ、これができてしまえばあとは図1と同じように解けます。
2017甲陽1日目06
AP=2/5cm,AQ=2/3cmが答えです。

角度の問題などでもそうですが、むやみやたらにわかった情報を書き込んでいくと、与えてもらった貴重な図がぐちゃぐちゃに
なってしまって、逆に混乱することなどがあります。どうしても方針が立たない場合はそうせざるを得ない場合もありますが、
方針を探しているような段階では必要最低限の情報に抑えて書き込むのも重要なテクニックの1つですね。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 甲陽中学校(1日目) その1

2017.02.06 17:35|入試問題分析(算数)
今回は甲陽学院中学校を取り上げます。

まずは入試概要を見てみましょう。

受験者数 389名→363名→350名→349名→317名→382名→369名
合格者数 218名→216名→219名→219名→215名→220名→219名
実質倍率 1.78倍→1.68倍→1.60倍→1.59倍→1.47倍→1.74倍→1.68倍
倍率に関しては去年から少々戻しましたが、おそらくこのあたりの水準を
キープしたいと学校は考えていそうですね。

各科目の得点情報は
受験者平均
国語① 64.9→49.4→63.1→62.0→56.5→53.6
国語② 59.9→59.0→69.5→49.3→60.7→59.7
算数① 56.0→49.8→60.3→62.1→58.3→58.9
算数② 54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3
理科  54.7→52.1→67.9→53.7→59.8→56.9
合格者平均
国語 132.0→114.9→138.1→117.7→125.4→119.9
算数 128.6→122.6→138.3→127.2→119.0→130.5
理科 58.8→58.1→71.7→57.1→59.8→60.6
全体的に5割5分~6割5分におさまっているきれいな平均点情報です。
受験生の力がきれいにはかれていそうですね。

では,今回は1日目の6番を見てみましょう。
(問題)H29 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問6番
図のように35個の正方形の区画でできた街路があります。それらの正方形の1辺を通過するのに同じだけの時間がかかります。
ただし,途中で左右に曲がるときは,正方形の1辺を通過する時間の1割の時間を必要とします。
2017甲陽1日目01

(1) AからBへ一番早く着く道順は2通りです。2番目に早い時間で着く道順は何通りありますか。
(2) AからBへ3番目に早い時間で着く道順は何通りありますか。


見た目は非常にシンプルですが、同じ道順の問題でもいろいろな考え方に触れてきたかどうかで差がつく問題です。
どこで曲がるかに注目し,その場合の数をどのように求めればよいか考えましょう。

(1)1番早く着く2通りの道順は長方形の辺に沿って移動する2通り,つまり,1回だけ曲がることになります。
では,2番目に早い時間というのは1回だけ曲がればよいことになりますね。
2017甲陽1日目02
例えば,赤い道で移動する場合はのところで曲がればよいことになります。
1回目の曲がり角が決まってしまえば,あとは反対側の辺まで行って曲がるしかありません。
●をつけたところがその1回目の曲がり角になりますので全部で4+6=10通りとなります。

(2)3番目に早い時間というのは3回曲がればよいことになります。
1回目と2回目の曲がり角に注目しても解けますが,実は2回目の曲がり角だけに注目すると,よりスピーディーに
解けるかと思います。
2017甲陽1日目03
のところで2回目に曲がる方法は赤い道と青い道の2通りあります。
2回目の曲がり角が決まってしまえば,1回目と3回目は左端と右端にするか,下端と上端にするしかありません。
●をつけたところがその2回目の曲がり角になりますので全部で4×6×2=48通りとなります。

先ほども書きましたように、受験生が皆見たことがあるような非常にシンプルな問題に見えますが,
問いが少し変わるだけで難易度がぐっと変わります。
同じような問題でも,様々な切り口で,様々な解法に積極的に触れていくようにしましょう。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 灘中学校(2日目)

2017.02.05 03:18|入試問題分析(算数)
今回は灘中学校 算数2日目を取り上げます。
算数2日目の点数に目を向けると,
受験者平均が(H24)71.4⇒(H25)54.9⇒(H26)49.7⇒(H27)52.7⇒(H28)50.8⇒(H29)48.4
合格者平均が(H24)86.2⇒(H25)70.3⇒(H26)63.9⇒(H27)64.6⇒(H28)61.2⇒(H29)62.4
合格者平均は上がるが受験者平均は下がるという不思議な現象が(笑)
まぁ、誤差の範囲で去年と変わらずというところですね。

では,今回は5番の問題を取り上げてみましょう。
(問題)H29 灘中学校 算数(第2日) 大問5番
[1],[2],[3],[4]と書かれた4枚のカードが横一列に並んでいます。この列に,次のA,B,Cのうちのいずれか1つだけ
行なうことを1回の操作として,この操作を繰り返し行います。

A:左端にあるカードを,左から2番目にあるカードと左から3番目にあるカードの間に移動させる。
B:左端にあるカードを,左から3番目にあるカードと左から4番目にあるカードの間に移動させる。
C:左端にあるカードを,右端に移動させる。

[1] [2] [3] [4]の順にカードを並べた状態から,この操作を始めます。
例えば,BACの順に操作を行うとカードの並びは
[1] [2] [3] [4]→[2] [3] [1] [4]→[3] [2] [1] [4]→[2] [1] [4] [3]
と変化します。

(1) この操作を3回繰り返し行うことにします。
 (ア) ACBの順に操作を行った後のカードの並びは[  ] [  ] [  ] [  ]です。
 (イ) 操作を3回行う方法は,各回ごとにA,B,Cのどれを選択するかで,全部で27通りあります。
    このうち,3回の操作後に左端のカードが

    [4]であるような操作の方法は[  ]通り,
    [3]であるような操作の方法は[  ]通り,
    [2]であるような操作の方法は[  ]通り,
    [1]であるような操作の方法は[  ]通りあります。
 (ウ) 27通りの操作方法のうち,例えばAAAのときも,BABのときも,操作後のカードの並びは[2] [1] [3] [4]となります。
    このように2通り以上の操作方法で実現できるカードの並びで[2] [1] [3] [4]以外のものは,[  ] [  ] [  ] [  ]と
    [  ] [  ] [  ] [  ]です。

(2) この操作を3回繰り返し行うと左端のカードが[2]になり,さらに3回繰り返し行うとカードの並びが[1] [2] [3] [4]となるような
  計6回の操作方法は全部で何通りありますか。

(3) この操作を全部で6回繰り返した後,カードの並びが[1] [2] [3] [4]となるような6回の操作方法は全部で何通りありますか。


(1)(ア) まずはルールがしっかり把握できているかという問題です。
ここでしっかりとカードの動きをつかみたいですね。
[1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]-C→[1] [3] [4] [2]-B→[3] [4] [1] [2]

(イ) 左端に持っていきたいカードがどのタイミングで移動するかによって場合分けしてみましょう。
★右端にある[4]が3回で左端まで移動するには,3回とも[4]のカードが左に1つずつ移動しないといけません。
1回目はCの操作,2回目はBかCの操作,3回目はAかBかCどれでもOKですので,1×2×3=6通りとなります。

★左から3番目にある[3]が3回で左端まで移動するには,
「移動+移動+停止」か「移動+停止+移動」か「停止+移動+移動」の3パターンがあります。
が、実は左端や左から2番目にいる状態から停止することはできません。よって,「停止+移動+移動」だけ考えればOKです。
1回目はAの操作,2回目はBかCの操作,3回目はAかBかCどれでもOKですので,1×2×3=6通りとなります。

★左から2番目にある[2]が3回で左端まで移動するには,
上の話より,1回目と2回目は必ず移動することになります(しかも2回目の移動はどこかに飛ばされることになる)。
よって,「移動+左から2番目に移動+移動」しかありません。
1回目はAかBかCの操作,2回目はAの操作,3回目はAかBかCですので,3×2×3=9通りとなります。

★左端の[1]が左端に戻ってくるには,
「左から3番目に移動+移動+移動」しかありません。
1回目はBの操作,2回目はBかCの操作,3回目はAかBかCどれでもOKですので,1×2×3=6通りとなります。

(ウ) (イ)を解いた時点で,左端が[2]の場合だけ9通りとなっている所に違和感を感じてもらいたいですね。
[1] [2] [3] [4]の4枚のカードを並べるとき,左端が[2]になる方法は1×3×2×1=6通りですから,少なくともこの9通りの中に
9-6=3通りはダブる並びがあるはずです。まずはここから調べていきましょう。2回目の操作はAで決まっているので,
AAA … [1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]-A→[1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]
AAB … [1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]-A→[1] [2] [3] [4]-B→[2] [3] [1] [4]
AAC … [1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]-A→[1] [2] [3] [4]-C→[2] [3] [4] [1]
BAA … [1] [2] [3] [4]-B→[2] [3] [1] [4]-A→[3] [2] [1] [4]-A→[2] [3] [1] [4]
BAB … [1] [2] [3] [4]-B→[2] [3] [1] [4]-A→[3] [2] [1] [4]-B→[2] [1] [3] [4]
BAC … [1] [2] [3] [4]-B→[2] [3] [1] [4]-A→[3] [2] [1] [4]-C→[2] [1] [4] [3]
CAA … [1] [2] [3] [4]-C→[2] [3] [4] [1]-A→[3] [2] [4] [1]-A→[2] [3] [4] [1]
CAB … [1] [2] [3] [4]-C→[2] [3] [4] [1]-A→[3] [2] [4] [1]-B→[2] [4] [3] [1]
CAC … [1] [2] [3] [4]-C→[2] [3] [4] [1]-A→[3] [2] [4] [1]-C→[2] [4] [1] [3]
となり,[2] [1] [3] [4]と[2] [3] [1] [4][2] [3] [4] [1]については2通りずつ操作方法があるということがわかります。
※(2)以降に備えて…
問題でなければ他のものも調べる必要があるのですが,問題文に[2] [1] [3] [4]以外のものは2種類しかないとあるので,
これを答えとしてかまいません。
更にこれ以外のものはダブらないということですので,[1] [2] [3] [4]に3回操作を行うと,27-3=24通りのならべ方を作ることが
できる,即ち,4×3×2×1=24通りすべてのならべ方を作ることができると言えます。

(2) 3回の操作ごとにまとめて考えます。前の3回の操作の後,どの3回の操作を行えばよいかと考えましょう。
[2] [1] [3] [4]となるのはAAAかBAB,ここに[1] [2] [3] [4]→[2] [1] [3] [4]と同じ操作を行えばよいので,2×2=4通り。
[2] [1] [4] [3]となるのはBAC,ここに[1] [2] [3] [4]→[2] [1] [4] [3]と同じ操作を行えばよいので,1×1=1通り。
[2] [3] [1] [4]となるのはAABかBAA,ここに[1] [2] [3] [4]→[3] [1] [2] [4]と同じ操作を行えばよいので,2×1=2通り。
[2] [3] [4] [1]となるのはAACかCAA,ここに[1] [2] [3] [4]→[4] [1] [2] [3]と同じ操作を行えばよいので,2×1=2通り。
[2] [4] [1] [3]となるのはCAC,ここに[1] [2] [3] [4]→[3] [1] [4] [2]と同じ操作を行えばよいので,1×1=1通り。
[2] [4] [3] [1]となるのはCAB,ここに[1] [2] [3] [4]→[4] [1] [3] [2]と同じ操作を行えばよいので,1×1=1通り。
よって,4+1+2+2+1+1=11通りとなります。

(3) (2)と同様に前の3回の操作と後の3回の操作に分けて考えましょう。
ここまでの考え方により,前の3回のかけ算の形として2×で始まるものが3通り,1×で始まるものが21通りあるはずです。
また,後の3回のかけ算の形として×2で終わるものが3通り,×1で終わるものが21通りあるはずです。
(ⅰ)2×2
(ⅱ)2×1
(ⅲ)1×2
(ⅳ)1×1
のうち,(2)で(ⅰ)パターンは1通り,(ⅱ)パターンは2通りあるということがわかっています。
(ⅰ)パターンと(ⅲ)パターンが合わせて3通りですから,(ⅲ)パターンが3-1=2通り。
(ⅲ)パターンと(ⅳ)パターンは合わせて21通りですから,(ⅳ)パターンが21-2=19通り。
よって,4×1+2×2+2×2+1×19=31通りとなります。

今回,大問3は典型的な切断問題でしたが、それ以外はなかなか関西では見かけない面白い問題でした。
しっかりと味わってみてください。(^^ (池)
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2017(H29)入試分析 算数 東大寺学園中学校 その2

2017.02.04 00:01|入試問題分析(算数)
今回はちょっとおまけ的な感じで小問を1つ取り上げます。

(問題)H29 東大寺学園中学校 算数 大問1番(3)
右図のように点Oを中心,ABを直径とする半径5cmの半円があります。この半円の円周の部分を5等分した点を取り,
Aから近い順にC,D,E,Fとするとき,図の斜線部分の面積を求めなさい。ただし,円周率は3.14とします。
2017東大寺06


等積変形を駆使すれば非常にシンプルにまとまります。
2017東大寺07

赤の三角形→青の三角形→緑の三角形 と等積変形し,右上のちょろっとしたやつを左下に移せば,
180×2/5=72°分のおうぎ形となるので,5×5×3.14×1/5=15.7cm^2が答えです。

円ではなく,半円で出題されたことで難易度がぐっと上がった感じがしますね。
ちなみに1番(4)の切断の問題も,よくある立方体の切断を半分に割ったことで難易度がぐっと上がっていました。

問題の難易度を上げる手法としてよくあるものですので,頭の片隅に置いておくといいかもしれませんね。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 東大寺学園中学校 その1

2017.02.03 06:17|入試問題分析(算数)
今回は東大寺学園を取り上げます。

まずは入試の概要から。
受験者数 791名→834名→894名
合格者数 325名→347名→364名
実質倍率 2.43 →2.40 →2.46

受験者数と合格者数が増えて,実質倍率は大きく変わらずという結果になりました。

算数は受験者平均が51.9点→62.4点→53.4ですので,魔の難易度アップダウン現象再び!
といったところでしょうか(^^;

ただ,問題の質としては非常に良かったのではないでしょうか。
これらの問題が別々の年に出ていたらなぁという感想です。

今回は,4番の速さの問題を取り上げてみます。
(問題)H29 東大寺学園中学校 算数 大問4番
2017東大寺01
図のように,2点A,Bと,その真ん中の点Oがあり,AB=480cmとします。直線ABの上を点Pと点Qが往復していて,次の規則を
満たしているものとします。
[規則1]PはOからBに向かって毎秒[あ]cmの速さで出発し,QはPと同時にOからAに向かって毎秒[い]cmの速さで出発し,
     1回目にすれ違うまでそれぞれ一定の速さで動きます。
[規則2]PとQはすれ違った瞬間に,Pはその速さを,それまでのQの速さに毎秒[う]cmだけ加えた速さに変え,Qはその速さを,
     それまでのPの速さに毎秒[え]cmだけ加えた速さに変えます。これをすれ違うたびにくり返し,PとQは直線ABの上を
     往復しています。ただし,すれ違ってから次にすれ違うまではそれぞれ一定の速さで動いているものとし,すれ違うとは,
     互いが逆向きに進んでいるときに同じ位置に来ることを意味するものとします。

 PとQが1回目にすれ違ったのはOからBに向かってちょうど120cm離れた点で,そのときPはBで,QはAでそれぞれ1回ずつ
折り返していました。図にはその様子が書かれています。また,3回目にすれ違ったのはOからBに向かってちょうど180cm
離れた点で,4回目にすれ違ったのはOからAに向かってちょうど180cm離れた点でした。4回目のすれ違いまでは,すべての
すれ違いからその次のすれ違いまでの間において,PもQもそれぞれ1回ずつAまたはBで折り返したものとします。
 このとき,次の表を埋めながら,以下の問いに答えなさい。
2017東大寺02
(1) [あ]にあてはまる数と[い]にあてはまる数の比を求めなさい。ただし,もっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(2) PとQが2回目にすれ違ったのは,OからA,Bのどちらに向かって何cm離れた点ですか。
(3) [あ],[い],[う],[え],それぞれにあてはまる数の比を求めなさい。ただし,もっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(4) PとQが7回目にすれ違ったのは,OからBに向かって何cm離れた点ですか。
(5) PとQが5回目にすれ違ったのが,P,Qが出発してから145秒後であったとき,[あ],[い],[う],[え],それぞれにあてはまる
  数を求めなさい。


(1) これは簡単。Pの進んだ距離480-120=360cmに対して,Qの進んだ距離が960-360=600cmですから,
  360:600=3:5ですね。

(2) ここからハードルがグンと上がるので,受験者平均が下がってしまったのかなと予想されます。
  (実は(2)だけなら勘で当ててしまう子も一定数いそうですが…(^^;)
2017東大寺03
2017東大寺04
4回目までの状況図と速さの表をまとめたものが上のものになります。
今回、情報が一番多く集まっている「3回目にすれ違ってから4回目にすれ違うまで」に注目してみましょう(図の緑の線)。
Pの進んだ距離が480-180+180=480cm,Qの進んだ距離が960-480=480cmですから,速さの比が1:1,
つまり,⑤+う×2+え=③+う+え×2なので,え-う=②ということがわかります。
これによって,「1回目にすれ違ってから2回目にすれ違うまで」のそれぞれの速さ,⑤+う③+えが等しくなりますから,
図の赤色の線もP・Qともに480cmで等しくなり,OからAに向かって480-(480-120)=120cm離れた点で出会うことになります。

(3) 次は,「2回目にすれ違ってから3回目にすれ違うまで」に注目しましょう(図の青色の線)。
Pの進んだ距離は120+480-180=420cm,Qの進んだ距離は960-420=540cmなので,速さの比は420:540=7:9,
③+(う+え)⑤+(う+え)の比が7:9ですから,う+え=④。よって和差算で,え=③,う=①となり,
求める答えは③:⑤:①:③です。

(4) 速さの表をまとめなおすと,次のようになります。
2017東大寺05
毎回進む距離の合計は960cmなので,Pの進んだ距離は
960×(3/8+1/2+7/16+1/2+11/24+1/2+15/32)=960×311/96=960×(3+23/96)
なので,OからBに向かって960×23/96=230cm離れた点となります。

(5) 5回目の出会いまでにかかるそれぞれの時間の比は⑧:⑫:⑯:⑳:㉔の逆比になるので,30:20:15:12:10です。
これらの和が145秒ですから,1回目の出会いにかかる時間は145×30/87=50秒,
つまり,P・Qの速さの和である⑧=960÷50=19.2となるので,
[あ]:③=7.2
[い]:⑤=12
[う]:①=2.4
[え]:③=7.2
です。

速さの問題ですが,状況図やダイヤグラムをそれほど使わずに解ける,なかなか面白い問題かなと思います。
ただ、この問題を見た瞬間に吐き気をもよおした人は多かったのではないでしょうか(やや大げさ)。
・見たことない問題(実はしょっちゅうやっている問題)、
・本来ならヒントになるはずの表に何を書いていいのかが分からない、
・そもそも問題文が長すぎる、
等々・・・
(3)まで取れれば十分かなという感じです。

全体の得点配分としても、おそらく出題者の計算としては大問1番で4問中平均3問,大問2番3番4番で11問中平均6,7問
というところが,大問1番で平均2.5問程,大問2,3,4番で5.5問となってしまって平均が下がったのかも。

入試問題の難易度設定は難しいですね…(^^; (池)
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2017(H29)入試分析 算数 灘中学校(1日目) その2

2017.02.02 00:00|入試問題分析(算数)
今回は5番の問題を取り上げてみましょう。
(問題)H29 灘中学校 算数(第1日) 大問5番
一定の速さで流れる川でボートをこぎます。静水でボートが進む速さは一定です。ある地点Aでボールを川の下流に流すと
同時に上流に向かってボートをこぎ始めました。そして,地点Aから上流に300mのところでボートを川岸につなぎとめて
10分間休んだのち,下流に向かってこぎました。すると,地点Aから下流に1030mのところでボールに追いつきました。
下流に向かってこいだ時間は,上流に向かってこいだ時間より4分長くかかりました。このとき,静水でボートが進む速さは
川の流れの速さの[①   ]倍で,川の流れの速さは毎分[②   ]mです。

2017灘1日目07
まずは,問題文の内容をそのまま上図のように表してみましょう(ダイヤグラムでやっても大差ありません)。
流水算でよく取り上げられる題材で、流速と上りが逆方向に進む場合(というか、逆にしか進めませんが(^^;)の距離の
和や,流速と下りが同じ方向に進む場合(これも、同じ方向にしか進みませんね(^^;)の距離の差が静水時の速さでの
移動距離と等しくなるというものがあります。
自分の図(やダイヤグラム)の中で,これらをどのように表現するかを決めておくと気づきやすいですね。
これらを図の中に書きこむと,下の図のようになります。
2017灘1日目08
つまり,静水時の速さ×4=流速×10ということになりますので、静水時の速さは流速の10÷4=2.5倍です。
さらに,静水時の速さを⑤,流速を②とすると,上りの速さが③,下りの速さが⑦となりますので,これを利用して分かる
距離を書きこんでいきましょう。
2017灘1日目09
流速×10=1030-200-380=450mですから,流速は450÷10=45m/分となります。

このようなことに気付きやすくするためには、普段から漫然と図をかくのではなく、自分で厳密なルールを決め、
それに従って図をかいていくことが大切です。
例えば、私の場合、距離はヒゲみたいなのをつけて、時間は線の上、速さは線の下に書く。
流速や遅い速度を表すときには波線、速い速度を表すときは二重線などと自分ルールを決めています。
(必ずしもこうしなければいけないというわけではありません。自分で混乱しない・気づきやすい整理法を見つけましょう。)

日々問題を解きながら、自分の道具を磨き上げていきたいですね。(池)
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2017(H29)入試分析 算数 灘中学校(1日目) その1

2017.02.01 02:34|入試問題分析(算数)
毎年恒例の入試問題解説記事の季節がやってまいりました。

今年も灘中学校から見ていきたいと思います。
資料情報をまず見てみると,
実質倍率は(H24)2.81⇒(H25)2.81⇒(H26)2.97⇒(H27)2.61⇒(H28)2.67⇒(H29)2.76
と微増です。まぁ、あまり倍率云々を考えて受験する学校でもないというのが正直なところですが。(^^;

平均点は受験者平均で6割,合格者平均で6割5分ですから,全体的に受験生の力を測るのには
程よいテストになっていたのだろうと思われます。
私個人の感覚として,算数6割,国語・理科7割,全体で6割5分だと綺麗だなぁというのがあるので,
今回は完全にそれにマッチしたというテストでした。

今回解説記事にする算数1日目の点数に目を向けると,
受験者平均が(H24)66.5⇒(H25)45.0⇒(H26)57.2⇒(H27)41.9⇒(H28)42.7⇒(H29)49.1
合格者平均が(H24)79.4⇒(H25)58.6⇒(H26)73.3⇒(H27)54.4⇒(H28)54.8⇒(H29)63.1
去年,一昨年ときつかったのが幾らか和らいだという感じです。
一通り解いた時点で,解答欄の半分しか埋まっていないというような状況ではないでしょうから,
比較的心穏やかに問題に向い合えたのではないでしょうか。
(当然,埋めたところが全部正解しているわけではないのですけどね。)

問題数は大問12問(小問数16問程)なので小問数で10問は取りたいところですね。
1日目の算数の難易度をつけると、(灘を受けるレベルの子から見た難易度☆~☆☆☆☆☆で5個が最高レベル。)
1番☆
2番☆☆
3番☆☆
4番☆☆☆☆
5番☆☆☆☆
6番☆☆☆
7番☆☆☆
8番☆☆(①だけなら☆)
9番☆☆☆
10番☆☆
11番☆☆☆
12番☆☆☆☆
当然、得意単元・不得意単元によって変わるでしょうが、こんな感じでしょうか。
☆☆以下の7問ほどを確実にあわせて、☆☆☆の5問の中からどれだけ取れるか。
☆☆や☆☆☆でも,気づきがないと時間を取られたり,引っかかりポイントがあったりしますので,
普段から様々な解法に触れておく事が必要ですね。

では,今回は3番の問題を取り上げてみましょう。
(問題)H29 灘中学校 算数(第1日) 大問3番
次のように,ある規則にしたがって数が並んでいます。
2017灘1日目01
このとき,はじめから100番目の数は( ① )です。また,はじめから( ② )番目に3回目の2017灘1日目03が現れます。


上で難易度を☆☆としましたが,数列の問題なので,規則に気付かなければ無駄に時間が取られてしまうでしょう。
どのような点に注目すれば規則を見つけやすいかを考えていきましょう。
2017灘1日目02
まずは,整数1,2,3,4,5,6,7に○をつけてみましょう。
よくある群数列っぽい区切りが浮かんで来ますね。
ここまでが上の図です。

次に、帯分数が混じっているので,仮分数に直しましょう。これもよくある手法です。
②,1③,3/2,1④,2,4/3,1⑤,5/2,5/3,5/4,1⑥,3,2,3/2,6/5,1⑦,7/2,7/3,・・・

⑤グループとか⑦グループとかに目を向けると,分子固定で分母が1ずつ増えていっているのがわかりますね。

これを元に他の数も変形させてみると,
1/12/1,2/23/1,3/2,3/34/1,4/2,4/3,4/45/1,5/2,5/3,5/4,5/56/1,6/2,6/3,6/4,6/5,6/67/1,7/2,7/3,・・・

あらら…一気にわかりやすくなってしまいました。
あとはただ解くだけ。
100=1+2+…+13+9 なので⑭グループの9番目の数 → 14/9=1と5/9(①) ※帯分数に直しましょう。
1回目は⑦グループの3番目で7/3のところ,
2回目は⑭グループの6番目で14/6のところ,
3回目は㉑グループの9番目で21/9のところ。 → 1+2+…+20+9=219番目(②)

・グループ番号をつけて区切る
・帯分数は仮分数に直す
という基本作業をきちんとやった上で,気づくことができるかという問題でした。
約分されているので気づきにくいですが,その前に基本作業ができていなければ解けません。
灘の問題といえども,基本作業はおろそかにできないですね。

う~ん、ちょっと取り上げる問題が軽すぎたかな・・・?
次回は5番を取り上げてみます。(池)
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