筑波大学附属駒場中学校 算数 問題解説&入試分析★2017年(H29年)
2017.03.25 15:22|入試問題分析(算数)|
自由が丘校の畠田です。
今年も関東の記事を更新していきますので、よろしくお願いします。
今回は筑波大学附属駒場中学校の問題です。
受験者数591人で合格者127人の倍率4.66倍
算数、国語、理科、社会、調査書、各100点ずつの500点満点
最高475点、最低371点
算数は大問4問に対して40分という短い時間設定ですが、難易度も高く、合格最低点も高いので、素早く正確に解く力が求められます。
今年も例年通り,簡単な場合で実験して規則性を見つける問題や、過去問でよく見られる論法が出題されました。
大問1は甲陽の2004年1日目4番でほとんど同じ問題が出ています。
過去問対策に加えて,様々な良問をしっかりと解いてこれたかが、大きく影響したと思います。
それぞれの問題を見ていくと
○大問1 以前解説を書いた2015年度の大問3と同じ考え方を使います。
過去問を研究しておけば、よりスムーズに解くことができたと思います。
(1)約数の個数が奇数、つまりは平方数の番号になります。
(2)素因数分解して100以下の約数の個数だけ開閉されます。101は平方数ではないですが,開いたままになることに注意しましょう。
(3) (2)が誘導になっています。101番以上のロッカーの扉は平方数の場合に閉じていて、平方数でない場合に開いてることになります。
つまり
(100以下の平方数である番号の個数)+(101以上の平方数でない番号の個数)
ですね。
甲陽の2004年1日目4番がほとんど同じ問題で、解いたことある人は有利だったと思います。
○大問2 『白い小立方体と赤い小立方体を8個組み合わせて大立方体を作ると,何通りできますか』というような問題に取り組んだことがあればやりやすかったかもしれないです。
鏡像の関係になる場合を同じとする場合と、異なるとする場合があり、この問題では同じとすることにも注意してください。
(1)一つの頂点は3回カウントされるので、3で割ると1の個数が6÷3=2個とわかります。(イ)では「隣どうし」「正方形の対角線」「立方体の最遠点」の3パターンを考えればよいですね。
(2)1の個数が12÷3=4個なので、8つの頂点から4つ、1の場所を選ぶと何通りできるかです。
○大問3 今回はこの問題を扱います。
○大問4 紙を切って広げる問題は2007年度にも出ています。
操作を重ねるに従い,『元の正六角形』→『小正六角形6個』→『更に小さい正六角形36個』となります。
問題文に下書き用の図があるので、実際に書いてみるような練習を普段からしておきましょう。
大問1、大問2を完答
大問3(1),(2) 大問4(1),(2)まで点数をとることが出来れば合格点です。
それでは大問3です。
(問題)平成29年 筑波大学附属駒場中学 算数 大問3番
図のように、同じ大きさの正三角形をしきつめて、それぞれの三角形に規則的に1,2,3,4,…と数を書きこみます。
例えば、5は3段目の左から2番目の三角形に書かれています。
また、4段目の左から5番目の三角形に書かれている数は15です。
次の問いに答えなさい。

(1)10段目の一番左にある三角形に書かれている数を答えなさい。
(2)2017が書かれている三角形は、何段目の左から何番目の三角形ですか。
(3)しきつめられた図形の一部で、6個の正三角形からなる正六角形に注目し、その中の6つの数のうち最も大きい数と、6つの数の和を考えます。
例えば、右図の太線で囲まれた正六角形において、6つの数のうち最も大きい数は15であり、6つの数の和は61です。
6つの数の和が610であるとき、6つの数の中で最も大きい数を答えなさい。

[解説]
(1)1段目は1
2段目は2×2-1=3
3段目は3×3-2=7
4段目は4×4-3=13
…
10段目は10×10-1=91
(2)一番右にある三角形はその段の平方数で
44×44=1936<2017
45×45=2025>2017
より45段目にあります。
45段目の一番左にある三角形に書かれている数は2025-44=1981
で2017よりも小さいですから,45段目の上向きの三角形に書かれているということです。
左端から数えて,上向きの三角形が2017-1981+1=37個,
下向きの三角形が37-1=36個並んでいますから,
左から37+36=73番目とわかります。
(3)複雑な問題に取り組む際,簡単な例を3つ4つ書き出して,そこから規則性を
発見してスピーディーに解くというのは筑駒に代表される,最難関校で求められる能力です。
例の正六角形にあわせて、一番右にある正六角形を上から求めて

28,61,106,163
これの差を求めると
33,45,57
と12ずつ増えていくので
28+33+45+57+69+81+93+105=511<610
28+33+45+57+69+81+93+105++117=628>610
より上から9つ目の正六角形の左にあることがわかります。
正六角形は左に一つ移動させるとどのマス目も1ずつ減って6小さくなるので
(628-610)÷6=3
よって右端の正六角形から3つ左にずらせばよいということです。
右端の正六角形の中で最も大きい数は11×11-1=120ですから,
120-3=117とわかりますね。
筑駒の規則性の問題は,ある程度書き出したところで見切りをつけて予想しながら
動き出さないと時間不足に陥ってしまう可能性があります。
過去問演習はきちんと時間を測って,この見切りのさじ加減を身につけるという
意識で取り組みましょう。これが必ず大問内最後の小問での差に繋がってきます。
頑張ってください!
(畠田)
今年も関東の記事を更新していきますので、よろしくお願いします。
今回は筑波大学附属駒場中学校の問題です。
受験者数591人で合格者127人の倍率4.66倍
算数、国語、理科、社会、調査書、各100点ずつの500点満点
最高475点、最低371点
算数は大問4問に対して40分という短い時間設定ですが、難易度も高く、合格最低点も高いので、素早く正確に解く力が求められます。
今年も例年通り,簡単な場合で実験して規則性を見つける問題や、過去問でよく見られる論法が出題されました。
大問1は甲陽の2004年1日目4番でほとんど同じ問題が出ています。
過去問対策に加えて,様々な良問をしっかりと解いてこれたかが、大きく影響したと思います。
それぞれの問題を見ていくと
○大問1 以前解説を書いた2015年度の大問3と同じ考え方を使います。
過去問を研究しておけば、よりスムーズに解くことができたと思います。
(1)約数の個数が奇数、つまりは平方数の番号になります。
(2)素因数分解して100以下の約数の個数だけ開閉されます。101は平方数ではないですが,開いたままになることに注意しましょう。
(3) (2)が誘導になっています。101番以上のロッカーの扉は平方数の場合に閉じていて、平方数でない場合に開いてることになります。
つまり
(100以下の平方数である番号の個数)+(101以上の平方数でない番号の個数)
ですね。
甲陽の2004年1日目4番がほとんど同じ問題で、解いたことある人は有利だったと思います。
○大問2 『白い小立方体と赤い小立方体を8個組み合わせて大立方体を作ると,何通りできますか』というような問題に取り組んだことがあればやりやすかったかもしれないです。
鏡像の関係になる場合を同じとする場合と、異なるとする場合があり、この問題では同じとすることにも注意してください。
(1)一つの頂点は3回カウントされるので、3で割ると1の個数が6÷3=2個とわかります。(イ)では「隣どうし」「正方形の対角線」「立方体の最遠点」の3パターンを考えればよいですね。
(2)1の個数が12÷3=4個なので、8つの頂点から4つ、1の場所を選ぶと何通りできるかです。
○大問3 今回はこの問題を扱います。
○大問4 紙を切って広げる問題は2007年度にも出ています。
操作を重ねるに従い,『元の正六角形』→『小正六角形6個』→『更に小さい正六角形36個』となります。
問題文に下書き用の図があるので、実際に書いてみるような練習を普段からしておきましょう。
大問1、大問2を完答
大問3(1),(2) 大問4(1),(2)まで点数をとることが出来れば合格点です。
それでは大問3です。
(問題)平成29年 筑波大学附属駒場中学 算数 大問3番
図のように、同じ大きさの正三角形をしきつめて、それぞれの三角形に規則的に1,2,3,4,…と数を書きこみます。
例えば、5は3段目の左から2番目の三角形に書かれています。
また、4段目の左から5番目の三角形に書かれている数は15です。
次の問いに答えなさい。

(1)10段目の一番左にある三角形に書かれている数を答えなさい。
(2)2017が書かれている三角形は、何段目の左から何番目の三角形ですか。
(3)しきつめられた図形の一部で、6個の正三角形からなる正六角形に注目し、その中の6つの数のうち最も大きい数と、6つの数の和を考えます。
例えば、右図の太線で囲まれた正六角形において、6つの数のうち最も大きい数は15であり、6つの数の和は61です。
6つの数の和が610であるとき、6つの数の中で最も大きい数を答えなさい。

[解説]
(1)1段目は1
2段目は2×2-1=3
3段目は3×3-2=7
4段目は4×4-3=13
…
10段目は10×10-1=91
(2)一番右にある三角形はその段の平方数で
44×44=1936<2017
45×45=2025>2017
より45段目にあります。
45段目の一番左にある三角形に書かれている数は2025-44=1981
で2017よりも小さいですから,45段目の上向きの三角形に書かれているということです。
左端から数えて,上向きの三角形が2017-1981+1=37個,
下向きの三角形が37-1=36個並んでいますから,
左から37+36=73番目とわかります。
(3)複雑な問題に取り組む際,簡単な例を3つ4つ書き出して,そこから規則性を
発見してスピーディーに解くというのは筑駒に代表される,最難関校で求められる能力です。
例の正六角形にあわせて、一番右にある正六角形を上から求めて

28,61,106,163
これの差を求めると
33,45,57
と12ずつ増えていくので
28+33+45+57+69+81+93+105=511<610
28+33+45+57+69+81+93+105++117=628>610
より上から9つ目の正六角形の左にあることがわかります。
正六角形は左に一つ移動させるとどのマス目も1ずつ減って6小さくなるので
(628-610)÷6=3
よって右端の正六角形から3つ左にずらせばよいということです。
右端の正六角形の中で最も大きい数は11×11-1=120ですから,
120-3=117とわかりますね。
筑駒の規則性の問題は,ある程度書き出したところで見切りをつけて予想しながら
動き出さないと時間不足に陥ってしまう可能性があります。
過去問演習はきちんと時間を測って,この見切りのさじ加減を身につけるという
意識で取り組みましょう。これが必ず大問内最後の小問での差に繋がってきます。
頑張ってください!
(畠田)
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