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2012(H24)入試分析 算数 関西学院中学部(第1日)

2012.03.09 16:00|入試問題分析(算数)
池田投手の肩が壊れる前に,私が出ましょう。
あ,「炎のストッパー」宇高です。

さて,私の方は,関西学院大学中学部(以下,「関学」)の算数を見てみましょう。

さて,なんといっても関学の今年の注目ポイントは
「男女共学となることで,入試にどのような影響が出るのか」
ということだったと思いますが,
いざ蓋を開けてみると,多くの方が,門が狭くなることを懸念して敬遠したのか,
かえって例年よりも楽な受験となったようです。
例年A日程での合格最低ラインが7割弱ぐらいのところが,男女とも約5割5分となっていますし,
倍率も例年2.5倍ぐらいのところが,男子は約1.7倍,女子が約1.3倍となりました。
もちろん今年のこの結果を受けて,来年はもう一度変動すると思われますので,
関学志望のお子さんたちは,どのようになっても対応できるよう,
この一年しっかりがんばっていただきたいと思います。

さて,算数について見てみますと,第1日・第2日両日とも,
全体としてはいかにも関学らしい問題が散りばめられた感じではありますが,
合間合間に厄介な問題が挟まっていましたので,
全体としては例年より難しいという印象を持つ受験生が多かったのではないでしょうか。

さて,今日は第1日の問題から見てみましょう。

(問題)H24 関西学院中学部・算数(第1日) 大問6番
A,B,Cの3人はある池の周りをそれぞれ一定の速さで歩き続けます。AとBは同じ向きに,Cは2人とは反対向きに歩きます。
3人は同じ場所から同時に出発しました。出発してから6分後にAとCは初めて出会い,出発してから10分後にAはBを初めて追いぬきました。またBの歩く速さはCの歩く速さの1.5倍です。
(1) Bが池を1周するのに何分かかるかを求めなさい。
(2) A,B,Cの3人が初めて出発地点で同時に出会うのは,3人が何回目に同時に出会うときかを求めなさい。


池の周り1周を6と10のL.C.M.=[30]mとします。
すると,
(Aの速さ)+(Cの速さ)=[30]÷6=[5](m/分)
(Aの速さ)-(Bの速さ)=[30]÷10=[3](m/分)
(Bの速さ)=(Cの速さ)×1.5なので,
(Bの速さ):(Cの速さ)=<3>:<2>

問題は,この比で表された「大きさの関係」をどう整理するか,です。
これができなかった受験生が多かったのではないかと思います。

式で整理すると以下のようになります。
(Aの速さ)+<2>=[5]
(Aの速さ)-<3>=[3]
なので,
(Aの速さ)=[5]-<2>=[3]+<3>
となります。
よって,[2]と<5>が同じ大きさだとわかりますので,L.C.M.の《10》でそろえましょう。
すると,
(Aの速さ)=《21》m/分
(Bの速さ)=《6》m/分
(Cの速さ)=《4》m/分
となりますね。

(1)
池の周り1周が《150》mとなり,Bの速さが《6》m/分ですので,
《150》÷《6》=25(分)
です。

(2)
「A,B,Cの3人が初めて出発地点で同時に出会う」のは,
「A,B,Cの3人が出会う」
ということと,
「Bがスタート地点に戻る」
ということが同時に起きているということです。

AとCは6分毎に出会い,
AはBに10分毎に追いつくので,
A,B,Cが同時に出会うのは6と10のL.C.M.=30(分毎)とわかります。
(1)より,Bがスタート地点に戻るのは25分毎だとわかっていますので,
A,B,Cの3人が出発地点で同時に出会うのは,
25と30のL.C.M.=150(分後)とわかります。
よって,これは
150÷30=5(回目)
となりますね。

(1)の比の関係は以下のように線分図でも整理できます。
これも受験生にはきっと難しかったでしょう。
2012関学1-06-1

(上の,[2]と<5>が同じだとわかりますので,L.C.M.の《10》でそろえると,
さらに下図のようになり,さっきと同じ結果が出てきますね。)

2012関学1-06-2

次回は,大阪星光学院中学校の問題を見てみたいと思います。
CA3H0467.jpg
(それ,お前のクッションやからね?破れてもしらんよ?)
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受験生の幅広い力を見る総合実力テスト?

お待ちしておりました。炎のストッパー(?),宇高先生!
(※昔の広島カープの津田恒美さんを思い出してしまいました<m(__)m>)

さて,H24関学入試(1日目)ですが,受験生の幅広い力を見るテストとしては絶好のセットだと思います。(例年のことですが。。。)このようなセットで来られると,算数が得意/不得意の実力差がそのまま点数に現れてしまう,いわば「一発逆転は不可能なセット」と言えるのではないでしょうか。

H24関学入試(1日目)で「この1問」を取り上げるとすれば,私も【6】を取り上げたかと思います。一見,どこにでもあるような典型的な問題ではありますが,
---------------------------------------------------------------------------------
《文章を一つひとつ噛み砕きながら,「比」を使った条件の整理をしていく》作業
---------------------------------------------------------------------------------
(Aの速さ)+<2>=[5]
(Aの速さ)-<3>=[3]
(Aの速さ)=[5]-<2>=[3]+<3>
[2]=<5>=《10》
(Aの速さ)=《21》m/分
(Bの速さ)=《6》m/分
(Cの速さ)=《4》m/分
----------------------------------------------------------------------------------
この辺りの式処理は,算数が得意な受験生にとっては,日々の努力の成果が報われたのではないでしょうか。(※逆に言うと,算数が苦手な受験生はこの問題はほぼ壊滅的ですねぇ~)非常に良い問題だと思います。

あと,【5】の立体の切断なども,関学受験生にとっては正答率が悪いと予想します。(非常に良問ですが,合否には影響なさそうな感じがします。)

ちなみに,H24関学入試で,私が最も解答出しに自信が持てなかった問題は,【2】(3)です。一瞬,典型的な「継子立て」と思いきや,「2枚ずつ取り出す」という《変則条件》により,式のみで解く解法が見出せず,仕方ないので,円形の絵にカードを並べた絵を書いて,一つ一つ×印をつけながら,解きました。<m(__)m>。

No title

ウルトラマンさん>
いつもありがとうございます(^-^)

そう。津田恒美さんを意識してみました(^-^)
私,野球はまったく知りませんが,
昔,なつかしの「知ってるつもり!?」か何かで
津田さんを取り上げていたのを見て,泣いた記憶があります。

もとい…(笑)。

今年の関学の第1日の問題は関学受験生にはちょっと酷だったかな,
という気がしています。
ウルトラマンさんが書いておられる大問5番や大問2番の(3)などは
壊滅的だったのではないかと思います。
ですので,本当に差が付くのはこの大問6番あたりだったのでしょうね。
(その前にまず,時間配分を失敗してここまでたどり着かなかった子も
いたのではないかという気がしています(^o^;;)
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