2014(H26)入試分析 洛南高等学校附属中学校 算数
2014.02.06 00:20|入試問題分析(算数)|
さて,今回は洛南高等学校附属中学校の算数から1問取り上げます。
問題数は大問7問と小問30問。例年通りの1問5点の均等配点です。
今年は計算問題が8問に戻り,去年に比べるとスタートは切りやすいテストでした。
しかし,後半は去年と同等,あるいはそれ以上にきつかったと思われます。
5番,6番の後半は重量級,7番は超重量級というところでしょうか。
また,4番は(1)が取れないと全滅です。
「三角形の角の二等分線に関する公式」を知っているかどうかでかかる手間が全く違いましたので,
ちょっと酷なテストかなというのが正直な感想です。
これくらいの難易度の問題が並ぶと,結局のところは「取れるところをしっかり取れ」という極めて
当然のところに至るわけなのですが、制限時間が70分という長丁場ですから,パニックになった気持ちや
途切れた集中力をいかに取り戻すかという精神力がよりいっそう問われるのが洛南算数の大きな特徴です。
今回は一番きつかったと思われる,7番に取り組んでみましょう。
(問題)H26 洛南高等学校附属中学校 大問7番
1辺の長さが1cmの小さな立方体27個をすき間なく積み重ねて,1辺の長さが3cmの大きな立方体を作りました。
側面のすみの正方形を図のように,A,B,C,D,E,Fとしたとき,次の問いに答えなさい。

(1)図1のようにAをDまでまっすぐ動かしたとき,Aが通過した部分を(あ)とします。
(あ)に含まれる部分がある小さな立方体は何個ありますか。
ただし,点や辺のみの場合は含まれたことにはなりません。

(2)図2のように,BをEまでまっすぐ動かしたとき,Bが通過した部分を(い)とします。
(あ)と(い)の重なった部分の体積は何cm^3ですか。

(3)図3のように,CをFまでまっすぐ動かしたとき,Cが通過した部分を(う)とし,
(あ)と(う)の重なった部分を(え)とします。
①(え)に含まれる部分がある小さな立方体は何個ありますか。
ただし,点や辺のみの場合は含まれたことにはなりません。
②(え)の体積は何cm^3ですか。

(1)立方体を積み上げた問題ですから,基本手順にしたがって,段ごとの図を描いてみましょう。
ただ,今回はAからDまで,正方形が斜めに移動するということで,やや複雑ですので,下の図のように
正方形の上の辺(図の赤)と正方形の下の辺(図の青)に分けて考えてみます。

正面からの図を見ると分かるように,正方形の上の辺は●のところで中段から上段に,
下の辺は●のところで下段から中段に移るのがわかります。
これを上から見た段ごとの図に照らし合わせると,上段では4個,中段では7個,下段では4個の立方体にまたがって
いることが確認できますね。よって,4+7+4=15個となります。
(2)既に描かれている線の交点を結べば,重なった部分は作図できるのですが,どの交点を結べばよいのか
悩ましいところだと思います。そこで,大きな立方体を右側から見た平面図を描き,それを利用してみましょう。
(図2)では右から左に移動していくので,今回の平面図も右から見てください。

A→DとB→Eが同じ速さで移動していくと考えると,まず,2つの正方形は★でぶつかります。
さらに進むと,重なり部分の正方形はどんどん大きくなって,真ん中のところで完全に重なります。
ここまでの動きを立体図に反映すると,右下図のようになります。
Aの右上の頂点の軌跡とBの左下の頂点の軌跡がぶつかっているところが★,
AとBの右上同士,右下同士,左上同士,左下同士の頂点の軌跡がぶつかっているところが●です。
さらに進むと,再び★のところで離れますから,立体の図に反映すると左下図のようになります。
つまり2つの四角すいが合体した立体が今回求める体積です。

ここで安心してはいけませんよ。四角すいの高さをきちんと見極めるためには,正面からの図が必要です。
太線の相似比は3:1ですので,♡の長さは3×1/4 =0.75cm,
よって,2つの四角すいの高さの和は3-0.75×2=1.5cmです。
求める体積は1×1.5÷3=0.5cm^3ですね。

(3)これも既に描かれている線の交点を結べば,重なった部分は作図できます。
先ほどと同じように,大きな立方体を右側から見た平面図を描き,それを利用してみましょう。
(図3)では右から左に移動していくので,今回の平面図も右から見てください。

A→DとC→Fが同じ速さで移動していくと考えると,まず,2つの正方形は|でぶつかります。
さらに進むと,重なり部分はどんどん大きくなって,真ん中のところで完全に重なります。
ここまでの動きを立体図に反映すると,右下図のようになります。
Aの右上とCの左上,Aの右下とCの左下の頂点の軌跡同士がぶつかっているところが|の両端,
AとCの右上同士,右下同士,左上同士,左下同士の頂点の軌跡がぶつかっているところが●です。
さらに進むと,再び|のところで離れますから,立体の図に反映すると左下図のようになります。
いずれも三角柱を斜め切りした立体ですが,合体すると,底面がひし形の四角柱を斜め切りしたものになりますね。

①今回できた立体を上から見た図と正面から見た図で分析してみましょう。
上からの図にすると,真ん中のかたまりにしかかかっていないことがわかります。
あとは正面からの図を確認すれば,7個の立方体にまたがっていることがわかりますね。

②底面のひし形の面積は1.5×1÷2=0.75cm^2,高さはいずれも1cmなので,柱体として考えて問題ありません。
0.75×1=0.75cm^3となります。
このような立体の問題で得点するには,頭の中でいろいろ想像することは当然必要なのですが,それだけでは
とても対応できません。普段から「立体の問題をいかに平面の処理に持ち込めるか」ということを意識して
学習することが大切です。
立体に限らず,「自分の取り組みやすい形に持ち込む」ということを常に意識しましょう。(池)
問題数は大問7問と小問30問。例年通りの1問5点の均等配点です。
今年は計算問題が8問に戻り,去年に比べるとスタートは切りやすいテストでした。
しかし,後半は去年と同等,あるいはそれ以上にきつかったと思われます。
5番,6番の後半は重量級,7番は超重量級というところでしょうか。
また,4番は(1)が取れないと全滅です。
「三角形の角の二等分線に関する公式」を知っているかどうかでかかる手間が全く違いましたので,
ちょっと酷なテストかなというのが正直な感想です。
これくらいの難易度の問題が並ぶと,結局のところは「取れるところをしっかり取れ」という極めて
当然のところに至るわけなのですが、制限時間が70分という長丁場ですから,パニックになった気持ちや
途切れた集中力をいかに取り戻すかという精神力がよりいっそう問われるのが洛南算数の大きな特徴です。
今回は一番きつかったと思われる,7番に取り組んでみましょう。
(問題)H26 洛南高等学校附属中学校 大問7番
1辺の長さが1cmの小さな立方体27個をすき間なく積み重ねて,1辺の長さが3cmの大きな立方体を作りました。
側面のすみの正方形を図のように,A,B,C,D,E,Fとしたとき,次の問いに答えなさい。

(1)図1のようにAをDまでまっすぐ動かしたとき,Aが通過した部分を(あ)とします。
(あ)に含まれる部分がある小さな立方体は何個ありますか。
ただし,点や辺のみの場合は含まれたことにはなりません。

(2)図2のように,BをEまでまっすぐ動かしたとき,Bが通過した部分を(い)とします。
(あ)と(い)の重なった部分の体積は何cm^3ですか。

(3)図3のように,CをFまでまっすぐ動かしたとき,Cが通過した部分を(う)とし,
(あ)と(う)の重なった部分を(え)とします。
①(え)に含まれる部分がある小さな立方体は何個ありますか。
ただし,点や辺のみの場合は含まれたことにはなりません。
②(え)の体積は何cm^3ですか。

(1)立方体を積み上げた問題ですから,基本手順にしたがって,段ごとの図を描いてみましょう。
ただ,今回はAからDまで,正方形が斜めに移動するということで,やや複雑ですので,下の図のように
正方形の上の辺(図の赤)と正方形の下の辺(図の青)に分けて考えてみます。

正面からの図を見ると分かるように,正方形の上の辺は●のところで中段から上段に,
下の辺は●のところで下段から中段に移るのがわかります。
これを上から見た段ごとの図に照らし合わせると,上段では4個,中段では7個,下段では4個の立方体にまたがって
いることが確認できますね。よって,4+7+4=15個となります。
(2)既に描かれている線の交点を結べば,重なった部分は作図できるのですが,どの交点を結べばよいのか
悩ましいところだと思います。そこで,大きな立方体を右側から見た平面図を描き,それを利用してみましょう。
(図2)では右から左に移動していくので,今回の平面図も右から見てください。

A→DとB→Eが同じ速さで移動していくと考えると,まず,2つの正方形は★でぶつかります。
さらに進むと,重なり部分の正方形はどんどん大きくなって,真ん中のところで完全に重なります。
ここまでの動きを立体図に反映すると,右下図のようになります。
Aの右上の頂点の軌跡とBの左下の頂点の軌跡がぶつかっているところが★,
AとBの右上同士,右下同士,左上同士,左下同士の頂点の軌跡がぶつかっているところが●です。
さらに進むと,再び★のところで離れますから,立体の図に反映すると左下図のようになります。
つまり2つの四角すいが合体した立体が今回求める体積です。

ここで安心してはいけませんよ。四角すいの高さをきちんと見極めるためには,正面からの図が必要です。
太線の相似比は3:1ですので,♡の長さは3×1/4 =0.75cm,
よって,2つの四角すいの高さの和は3-0.75×2=1.5cmです。
求める体積は1×1.5÷3=0.5cm^3ですね。

(3)これも既に描かれている線の交点を結べば,重なった部分は作図できます。
先ほどと同じように,大きな立方体を右側から見た平面図を描き,それを利用してみましょう。
(図3)では右から左に移動していくので,今回の平面図も右から見てください。

A→DとC→Fが同じ速さで移動していくと考えると,まず,2つの正方形は|でぶつかります。
さらに進むと,重なり部分はどんどん大きくなって,真ん中のところで完全に重なります。
ここまでの動きを立体図に反映すると,右下図のようになります。
Aの右上とCの左上,Aの右下とCの左下の頂点の軌跡同士がぶつかっているところが|の両端,
AとCの右上同士,右下同士,左上同士,左下同士の頂点の軌跡がぶつかっているところが●です。
さらに進むと,再び|のところで離れますから,立体の図に反映すると左下図のようになります。
いずれも三角柱を斜め切りした立体ですが,合体すると,底面がひし形の四角柱を斜め切りしたものになりますね。

①今回できた立体を上から見た図と正面から見た図で分析してみましょう。
上からの図にすると,真ん中のかたまりにしかかかっていないことがわかります。
あとは正面からの図を確認すれば,7個の立方体にまたがっていることがわかりますね。

②底面のひし形の面積は1.5×1÷2=0.75cm^2,高さはいずれも1cmなので,柱体として考えて問題ありません。
0.75×1=0.75cm^3となります。
このような立体の問題で得点するには,頭の中でいろいろ想像することは当然必要なのですが,それだけでは
とても対応できません。普段から「立体の問題をいかに平面の処理に持ち込めるか」ということを意識して
学習することが大切です。
立体に限らず,「自分の取り組みやすい形に持ち込む」ということを常に意識しましょう。(池)
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