2015(H27)入試分析 算数 灘中学校(第1日)
2015.01.24 14:12|入試問題分析(算数)|
ずいぶん久しぶりのブログ更新となってしまいました。
さて,2015年度入試もほぼ終盤を終え,各学校の合格者も確定してきました。
今回は,2015年度入試分析の第1回目として,灘中の入試分析をします。
今年は,志願者数612名(昨年比-81),受験者数594名(-77),合格者数228(+2),実質倍率は2.61倍(-0.36)となり,ここ5年間で最低で,実質倍率が3倍に近かった昨年と比較して多少合格が取りやすい状況になっていたと考えられます。
ただ,入試問題の方はというと,簡単になるはずもなく,特に算数の1日目の受験者平均は41.9点とここ数年でも最低となりました。問題の難しさがうかがえます(昨年の1日目算数は,受験者平均が57.2点でした)。
ただ,合格最低点は312点と(昨年315点),ほぼ6割に収まっていました。
算数の1日目が思っていたようにできないで頭の中が真っ白になり,それを引きずったまま2日目の突入していまうと,実力があっても合格してくるのは難しい,または算数の1日目の不出来を他教科や2日目のテストで挽回していこうと力み過ぎて,空回りしてしまって失敗する,そんな入試になってしまった人も多いのではないでしょうか。
まさしく,受験会場には魔物が潜んでいるのですね。
さて,それではここから入試問題の解説に入ります。
今回は1日目の11番です。
(問題)H27 灘中学校 算数(第1日) 大問11番
展開図が右の図のような立体の体積は,1辺の長さが4cmの正三角形を底面とし,高さが4cmである三角すいの体積の□倍です。ただし,四角形の面は平行な2辺の長さが4cm,8cmの台形,六角形の面は正六角形で,三角形の面は直角に等辺三角形です。

今まで習ってきた立体で正六角形の面を持つ立体を思い出してください。
これが1つ目のヒントです。
正六角柱,正六角すいがまず思い浮かびますね。
次に立方体を斜めに切断した際にできる切断面に正六角形が現れることがあります。
2つ目のヒントは,これらの立体を切断してみて,問題の立体ができるかどうか考えること。
今回の立体は正六角柱をもとにそれを切断することで作ることができそうです。
見取り図は次のようになります。

さて,この正六角柱の体積は,「1辺の長さが4cmの正三角形を底面とし,高さが4cmである三角すい」の体積を①とすると,底面積が6倍で高さが同じなので,①×6×1/1÷1/3=⑱となります。
ここで,切り取った立体の1つに注目しましょう。
次の図のように切断すると,青の三角すいも赤の三角すいも体積は①です。

残った四角すいは,下の左図の緑色の面で2つに切断すると,下の右図の2つの三角すいに分かれます。

赤い面と青い面は同じ面積ですから,どちらの三角すいも体積は①,したがって,切り取ったうちの一つは体積が①の4つの三角すいに分けられるので,体積は④です。これが2つあるので,④×2=⑧
これを全体から引くと,残りの体積は⑱-⑧=⑩より,10倍となります。
分割できそうでしたので分割して解いてみました。
【別解】として次のようなやり方もあります。
正六角形を正三角形6つに分割した一つの面積を〔3〕とすると,
「1辺の長さが4cmの正三角形を底面とし,高さが4cmである三角すい」の体積・・・〔3〕×4×1/3=〔4〕
正六角柱の体積・・・〔3〕×6×4=〔72〕
切り取る片方の立体は,上の方の青と赤の三角すい(どちらも体積は〔4〕)とその間の立体に分けて,
間の立体を三角柱の斜め切断を利用し,〔3〕×(0+4+4)×1/3=〔8〕と求めると,切り取った立体の体積は
(〔4〕×2+〔8〕)×2=〔32〕
よって,残る立体の体積は,〔72〕-〔32〕=〔40〕
〔40〕÷〔4〕=10(倍)
こちらの方が計算ですっきり答えが導けるのでいいかもしれません。
何度も書きますが,今年度の灘中学校の算数(第1日)はかなり厳しい問題が多く出題されていました。
問題番号で言えば4番(ニュートン算ですが,かなり時間を細かく区切って考えないといけません),6番(循環小数の問題です。一見簡単なようで,かなり手ごわく,手こずればパニックになりそうな問題です),7番(通過算ですが,状況をグラフでまとめないと難しいかも),そしてこの11番です。さらに,最後の影の問題も,単純ですが,細かいところでミスをしてしまう問題です。
合格するためには,難問をいかに攻略するか以上に,できる問題を卒なくきちんと点数にしていく(そして6割を確実に合わせる)ことと,何があっても焦らない強い気持ちが何より重要であることがよくわかる今年の出題でした。(道)
さて,2015年度入試もほぼ終盤を終え,各学校の合格者も確定してきました。
今回は,2015年度入試分析の第1回目として,灘中の入試分析をします。
今年は,志願者数612名(昨年比-81),受験者数594名(-77),合格者数228(+2),実質倍率は2.61倍(-0.36)となり,ここ5年間で最低で,実質倍率が3倍に近かった昨年と比較して多少合格が取りやすい状況になっていたと考えられます。
ただ,入試問題の方はというと,簡単になるはずもなく,特に算数の1日目の受験者平均は41.9点とここ数年でも最低となりました。問題の難しさがうかがえます(昨年の1日目算数は,受験者平均が57.2点でした)。
ただ,合格最低点は312点と(昨年315点),ほぼ6割に収まっていました。
算数の1日目が思っていたようにできないで頭の中が真っ白になり,それを引きずったまま2日目の突入していまうと,実力があっても合格してくるのは難しい,または算数の1日目の不出来を他教科や2日目のテストで挽回していこうと力み過ぎて,空回りしてしまって失敗する,そんな入試になってしまった人も多いのではないでしょうか。
まさしく,受験会場には魔物が潜んでいるのですね。
さて,それではここから入試問題の解説に入ります。
今回は1日目の11番です。
(問題)H27 灘中学校 算数(第1日) 大問11番
展開図が右の図のような立体の体積は,1辺の長さが4cmの正三角形を底面とし,高さが4cmである三角すいの体積の□倍です。ただし,四角形の面は平行な2辺の長さが4cm,8cmの台形,六角形の面は正六角形で,三角形の面は直角に等辺三角形です。

今まで習ってきた立体で正六角形の面を持つ立体を思い出してください。
これが1つ目のヒントです。
正六角柱,正六角すいがまず思い浮かびますね。
次に立方体を斜めに切断した際にできる切断面に正六角形が現れることがあります。
2つ目のヒントは,これらの立体を切断してみて,問題の立体ができるかどうか考えること。
今回の立体は正六角柱をもとにそれを切断することで作ることができそうです。
見取り図は次のようになります。

さて,この正六角柱の体積は,「1辺の長さが4cmの正三角形を底面とし,高さが4cmである三角すい」の体積を①とすると,底面積が6倍で高さが同じなので,①×6×1/1÷1/3=⑱となります。
ここで,切り取った立体の1つに注目しましょう。
次の図のように切断すると,青の三角すいも赤の三角すいも体積は①です。

残った四角すいは,下の左図の緑色の面で2つに切断すると,下の右図の2つの三角すいに分かれます。

赤い面と青い面は同じ面積ですから,どちらの三角すいも体積は①,したがって,切り取ったうちの一つは体積が①の4つの三角すいに分けられるので,体積は④です。これが2つあるので,④×2=⑧
これを全体から引くと,残りの体積は⑱-⑧=⑩より,10倍となります。
分割できそうでしたので分割して解いてみました。
【別解】として次のようなやり方もあります。
正六角形を正三角形6つに分割した一つの面積を〔3〕とすると,
「1辺の長さが4cmの正三角形を底面とし,高さが4cmである三角すい」の体積・・・〔3〕×4×1/3=〔4〕
正六角柱の体積・・・〔3〕×6×4=〔72〕
切り取る片方の立体は,上の方の青と赤の三角すい(どちらも体積は〔4〕)とその間の立体に分けて,
間の立体を三角柱の斜め切断を利用し,〔3〕×(0+4+4)×1/3=〔8〕と求めると,切り取った立体の体積は
(〔4〕×2+〔8〕)×2=〔32〕
よって,残る立体の体積は,〔72〕-〔32〕=〔40〕
〔40〕÷〔4〕=10(倍)
こちらの方が計算ですっきり答えが導けるのでいいかもしれません。
何度も書きますが,今年度の灘中学校の算数(第1日)はかなり厳しい問題が多く出題されていました。
問題番号で言えば4番(ニュートン算ですが,かなり時間を細かく区切って考えないといけません),6番(循環小数の問題です。一見簡単なようで,かなり手ごわく,手こずればパニックになりそうな問題です),7番(通過算ですが,状況をグラフでまとめないと難しいかも),そしてこの11番です。さらに,最後の影の問題も,単純ですが,細かいところでミスをしてしまう問題です。
合格するためには,難問をいかに攻略するか以上に,できる問題を卒なくきちんと点数にしていく(そして6割を確実に合わせる)ことと,何があっても焦らない強い気持ちが何より重要であることがよくわかる今年の出題でした。(道)
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