2015(H27)入試分析 算数 洛星中学校(後期)
2015.03.03 15:26|入試問題分析(算数)|
今回は,2015年度洛星中学校の後期を取り上げます。
全受験者数284名。合格者数40名ですので,実質倍率は7.1倍と狭き門になりました。
4科・3科別でみると,4科は176名中23名合格で,7.65倍,3科は114名受験で17名合格で,6.71倍と,前期とは逆に,若干3科有利になったようです。
合格最低点は,237点/400点,算数の受験者平均は51.4点/120点でした。
それでは,問題解説です。
大問が6問で,小問数は22問(3(4)の②③,5の(1)(2)(3)それぞれ完答として数えた場合)
大問1は計算など小問3問
大問2平均算,大問3図形の規則(フラクタル図形の一種コッホ曲線),大問4が速さ(動く歩道),大問5が立体切断,大問6が数の問題というセットです。
このうち,大問1はすべて合わせて,2以降の大問は,どの問題も完璧に合わせるのが難しい場合でも,前半部分を完全に正解にするというスタンスで6割5分を確保していくというのが現実的でしょうか。
それでは,大問5を解説します。
(問題)H27 洛星中学校(後期) 算数 大問5番
1辺の長さが12cmの立方体ABCD-EFGHがあります。

(1) この立方体の側面に,図のような紙①をPがAに,QがEに重なるように巻きつけたところ,ちょうど1周してRがEに重なりました。この紙を巻きつけたまま3点C,F,Hを通る平面で立方体を切ったとき,紙①は何枚に分かれますか。また,そのうち最も大きい紙の面積を求めなさい。

(2) 立方体の側面に,図のような紙②をSがAに,TがEに重なるように巻きつけたところ,ちょうど2周してUがEに重なりました。この紙を巻きつけたまま3点C,F,Hを通る平面で立方体を切ったとき,紙②は何枚に分かれますか。また,そのうち最も大きい紙の面積を求めなさい。

(3) 紙①と同じ形の紙③を,(1)と同じように立方体に巻きつけました。この紙を巻きつけたまま辺EF,BF,BCそれぞれの真ん中の点を通る平面で立方体を切ったとき,紙③は何枚に分かれますか。また,そのうち最も大きい紙の面積を求めなさい。

立方体の側面に直角三角形を巻きつける問題です。
(1)と(3)ではちょうど1周,(2)ではちょうど2周になります。
(1) 立方体の側面の展開図に直角三角形を重ねて書きましょう。
(図1)
この図に,切断面の線を記入しましょう。

切断面の線はFCとCHを通りますから,(図1)の側面の展開図のCFとCHを結ぶと,次のようになります。
(図2)
紙①は,ア,イ,ウの3つの部分に分かれます。
紙①の面積は12×48÷2=288cm^2
また三角形AICと三角形EIFはちょうちょ相似で,辺の比が2:3なので,三角形IFEの高さは,12×3/(2+3)=7.2cmより
三角形IFEの面積は,36×7.2÷2=129.6cm^2
さらに、三角形AJCと三角形EJHもちょうちょ相似で,辺の比が2:1より,三角形EJHの高さは12×1/(2:1)=4cmより
三角形EJHの面積は12×4÷2=24cm^2
ですから
ア=288-129.6=158.4cm^2
イ=129.6-24=105.6cm^2
ウ=24cm^2
となるので,もっとっも大きい面積はアの158.4cm^2となります。
(2) 紙②は立方体の側面を2周しますから,側面2つ分をつなげて書き,紙②を重ねた図を描きます。
そこに切断面のCF,CHを書き込みましょう。
(図3)
今回は,CF,CHとも2本ずつになりますね。
紙②はア,イ,ウ,エ,オの5つに分かれました。
紙②の面積は12×96÷2=576cm^2
ここからはちょうちょ相似を利用して,
三角形KFEは,高さが12×7/(2+7)=28/3cmより面積は84×28/3÷2=392cm^2
三角形LHEは,高さが12×5/(2+5)=60/7cmより面積は60×60/7÷2=1800/7cm^2
三角形MFEは,高さが12×1/(1+2)=4cmより面積は36×4÷2=72cm^2
三角形NHEは,高さが12×1/(1+6)=12/7cmより面積は12×12/7÷2=72/7cm^2
ですから
アの面積は576-392=184cm^2
イの面積は392-1800/7=944/7cm^2
ウの面積は1800/7-72=1296/7cm^2
エの面積は72-72/7=432/7cm^2
オの面積は72/7cm^2
となります。
以上より,最大の面積はウの1296/7cm^2です。
(3) EF,BC,CDの真ん中をそれぞれO,P,Qとします。
すると切り口の線はHEの真ん中の点を通りますから,この点をRとします。(切断面は正六角形になります。)

このときの側面の展開図を描くと,次のようになりますね。

紙③はPOとQRによって3枚に分かれます。
紙③の面積は288cm^2
ここからちょうちょ型相似を利用して,
三角形SOEの高さは12×7/(7+3)=8.4cmなので,面積は42×8.4÷2=176.4cm^2
三角形TREの高さは12×1/(1+5)=2cmなので,面積は6×2÷2=6cm^2
ですから
アの面積は288-176.4=111.6cm^2
イの面積は176.4-6=170.4cm^2
ウの面積は6cm^2
となります。
以上より,最大の面積はイで170.4cm^2です。
先に,大問を完全攻略できない場合でも,大問1つ1つの前半部分は正解したいと書きました。
この大問5もそうですが,考え方は何となくわかっても,正解にたどり着くまではややこしい計算をしたり,
手間もかかるという問題がよくあります。日ごろの練習で,面倒だと思うような問題もきちんと正面から取り組んで,
得点力を上げていく努力をしてほしいと思います。(道)
全受験者数284名。合格者数40名ですので,実質倍率は7.1倍と狭き門になりました。
4科・3科別でみると,4科は176名中23名合格で,7.65倍,3科は114名受験で17名合格で,6.71倍と,前期とは逆に,若干3科有利になったようです。
合格最低点は,237点/400点,算数の受験者平均は51.4点/120点でした。
それでは,問題解説です。
大問が6問で,小問数は22問(3(4)の②③,5の(1)(2)(3)それぞれ完答として数えた場合)
大問1は計算など小問3問
大問2平均算,大問3図形の規則(フラクタル図形の一種コッホ曲線),大問4が速さ(動く歩道),大問5が立体切断,大問6が数の問題というセットです。
このうち,大問1はすべて合わせて,2以降の大問は,どの問題も完璧に合わせるのが難しい場合でも,前半部分を完全に正解にするというスタンスで6割5分を確保していくというのが現実的でしょうか。
それでは,大問5を解説します。
(問題)H27 洛星中学校(後期) 算数 大問5番
1辺の長さが12cmの立方体ABCD-EFGHがあります。

(1) この立方体の側面に,図のような紙①をPがAに,QがEに重なるように巻きつけたところ,ちょうど1周してRがEに重なりました。この紙を巻きつけたまま3点C,F,Hを通る平面で立方体を切ったとき,紙①は何枚に分かれますか。また,そのうち最も大きい紙の面積を求めなさい。

(2) 立方体の側面に,図のような紙②をSがAに,TがEに重なるように巻きつけたところ,ちょうど2周してUがEに重なりました。この紙を巻きつけたまま3点C,F,Hを通る平面で立方体を切ったとき,紙②は何枚に分かれますか。また,そのうち最も大きい紙の面積を求めなさい。

(3) 紙①と同じ形の紙③を,(1)と同じように立方体に巻きつけました。この紙を巻きつけたまま辺EF,BF,BCそれぞれの真ん中の点を通る平面で立方体を切ったとき,紙③は何枚に分かれますか。また,そのうち最も大きい紙の面積を求めなさい。

立方体の側面に直角三角形を巻きつける問題です。
(1)と(3)ではちょうど1周,(2)ではちょうど2周になります。
(1) 立方体の側面の展開図に直角三角形を重ねて書きましょう。
(図1)

この図に,切断面の線を記入しましょう。

切断面の線はFCとCHを通りますから,(図1)の側面の展開図のCFとCHを結ぶと,次のようになります。
(図2)

紙①は,ア,イ,ウの3つの部分に分かれます。
紙①の面積は12×48÷2=288cm^2
また三角形AICと三角形EIFはちょうちょ相似で,辺の比が2:3なので,三角形IFEの高さは,12×3/(2+3)=7.2cmより
三角形IFEの面積は,36×7.2÷2=129.6cm^2
さらに、三角形AJCと三角形EJHもちょうちょ相似で,辺の比が2:1より,三角形EJHの高さは12×1/(2:1)=4cmより
三角形EJHの面積は12×4÷2=24cm^2
ですから
ア=288-129.6=158.4cm^2
イ=129.6-24=105.6cm^2
ウ=24cm^2
となるので,もっとっも大きい面積はアの158.4cm^2となります。
(2) 紙②は立方体の側面を2周しますから,側面2つ分をつなげて書き,紙②を重ねた図を描きます。
そこに切断面のCF,CHを書き込みましょう。
(図3)

今回は,CF,CHとも2本ずつになりますね。
紙②はア,イ,ウ,エ,オの5つに分かれました。
紙②の面積は12×96÷2=576cm^2
ここからはちょうちょ相似を利用して,
三角形KFEは,高さが12×7/(2+7)=28/3cmより面積は84×28/3÷2=392cm^2
三角形LHEは,高さが12×5/(2+5)=60/7cmより面積は60×60/7÷2=1800/7cm^2
三角形MFEは,高さが12×1/(1+2)=4cmより面積は36×4÷2=72cm^2
三角形NHEは,高さが12×1/(1+6)=12/7cmより面積は12×12/7÷2=72/7cm^2
ですから
アの面積は576-392=184cm^2
イの面積は392-1800/7=944/7cm^2
ウの面積は1800/7-72=1296/7cm^2
エの面積は72-72/7=432/7cm^2
オの面積は72/7cm^2
となります。
以上より,最大の面積はウの1296/7cm^2です。
(3) EF,BC,CDの真ん中をそれぞれO,P,Qとします。
すると切り口の線はHEの真ん中の点を通りますから,この点をRとします。(切断面は正六角形になります。)

このときの側面の展開図を描くと,次のようになりますね。

紙③はPOとQRによって3枚に分かれます。
紙③の面積は288cm^2
ここからちょうちょ型相似を利用して,
三角形SOEの高さは12×7/(7+3)=8.4cmなので,面積は42×8.4÷2=176.4cm^2
三角形TREの高さは12×1/(1+5)=2cmなので,面積は6×2÷2=6cm^2
ですから
アの面積は288-176.4=111.6cm^2
イの面積は176.4-6=170.4cm^2
ウの面積は6cm^2
となります。
以上より,最大の面積はイで170.4cm^2です。
先に,大問を完全攻略できない場合でも,大問1つ1つの前半部分は正解したいと書きました。
この大問5もそうですが,考え方は何となくわかっても,正解にたどり着くまではややこしい計算をしたり,
手間もかかるという問題がよくあります。日ごろの練習で,面倒だと思うような問題もきちんと正面から取り組んで,
得点力を上げていく努力をしてほしいと思います。(道)
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