2015(H27)入試分析 算数 六甲中学校 B日程
2015.03.01 19:02|入試問題分析(算数)|
六甲中学校のB日程算数の問題を概観してみましょう。
毎年,六甲中学校の算数の問題には,たいてい1問か2問,算数科の講師として言えば面白い問題(ですから受験する生徒の立場から言えば厳しい問題)が出題されます。
ですから,六甲の算数の問題を見るのを、毎年心待ちにしているわけです。
ところが,大変残念なことに,今年の問題はそれほどではありませんでした。
ということは,つまり,受験生にとってみれば,比較的取り組み易い問題が多かったと言うことになります。
どんな問題が出題されたか,1枚目から見ていきましょう。
1枚目。
大問1は計算が2題,いずれもごく普通の計算問題です。
大問2は小数点移動。塾で何度も取り組んでいる見慣れた問題です。計算ミスに注意しましょう。
大問3も見慣れた相当算的な問題。図を利用し,慎重に解いていけば,正解するのは難しいことではありません。
大問4は、植木算の応用。これも計算を注意深く進めれば,どうということの無い問題。
ここまでは,問題を読んだ瞬間,方針の決まるようなものばかりです。
ただ,けっこう計算がきついものが多いので,注意しないといけません。
大問5と6は図形の問題。
5は角度の問題で,二等辺三角形に注意を向けられるかどうか。
6は台形の面積を求める問題ですが,個人的には一番面白いと思った問題です。(難問ではありませんが。)
上底も下底も高さも分からない台形の面積を,三角形の相似を利用して解いていきます。冷静に対処できれば,決して難しくありません。
ここまでが1枚目。
できれば,ここまではすべて取りきるつもりで取り組んでほしいところです。
そして2枚目。
大問7は比と面積に関する問題。
これもどこかで見たような問題で,設問の順にひとつひとつ丁寧に解いていけば問題なく解き終えます。
大問8は速さの問題。
(2)は少し面倒かもしれません。あとで詳しく解説します。
最後の大問9は,図形の移動。
(1)(2)ともおうぎ形が直線上を転がる問題。塾で何度も取り組んでいる問題で,取りこぼしはできません。
(3)は中心角90度のおうぎ形が,中心角270度のおうぎ形の周囲を回る問題です。
一見難問に見えますが,問題に描かれている図を手掛かりに解けば,正解にたどり着けるはずです。
以上,簡単に2015年度B日程の算数の問題を見てきましたが,先にも書いた通り,今年の問題は,難問奇問の類もなく,どの問題も対処が難しくありませんから,高得点を狙えそうな問題でした。
では、前置きが長くなりましたが、問題の解説です。
(問題)H27 六甲中学校 B日程 算数 大問8番
図のようにA,B,C,D,Eの5つの駅があり,A駅とB駅の間の距離は3kmです。A駅とB駅の間の線路沿いに一郎君の家があります。A駅とE駅には特急電車も普通電車も止まりますが,B駅,C駅,D駅には普通電車しか止まりません。電車が駅で停車する時間はそれぞれ1分です。
A駅を出発してからE駅に到着するまでにかかる時間は,特急電車の方が普通電車よりも15分短いです。また,一郎君が家を出てからE駅に着くまでにかかる時間は,B駅まで歩いてから普通電車に乗るよりも,A駅まで歩いてから特急電車に乗る方が6分短くなります。
特急電車,普通電車の速さはそれぞれ時速60km,36kmで,一郎君の歩く速さは時速4kmです。一郎君が電車に乗るときに駅で待つ時間は考えないものとし,電車は一郎君が乗るとすぐに出発するものとします。次の(1),(2)の問いに答えなさい。
(1) B駅とE駅の間の距離は何kmですか。
(2) 一郎君の家とA駅の間の距離は何kmですか。

(1) 普通電車はB駅,C駅,D駅と停車するので,これで3分余分に時間がかかっています。
特急電車も普通電車も,途中停車しないでA駅からE駅に行ったとすると,かかる時間の差は15-3=12分ですね。
特急電車と普通電車の速さの比は60:36=5:3ですから,AE間にかかる時間の比は③:⑤となります。
この差の②=12分ですから,特急電車がAE間にかかる時間は 12×3/2=18分
したがって,AE間の距離は 60×18/60=18km となりますから,BE間の距離は
18-3=15kmですね。
(2) 実際に電車に乗っている時間を求めます。
特急電車でAE間を進むと(1)より18分。
普通電車でBE間を進むと,15÷36×60=25分(走っている時間)。これにC,D2駅での停車時間が加わるので,
25+2=27分。
(☆1)ということは,特急電車がA駅を,普通電車がB駅を同時に発車したとして,かかる時間の差は27-18=9分。
ところが実際にかかった時間の差は,これより3分短い6分(特急の方が早い)。
つまり,一郎君の家からA駅までかかる時間(△)と,一郎君の家からB駅までかかる時間(◇)とで,かかる時間の差が3分(B駅に行く方が3分早い)ということが分かります。・・・ア (☆2)
また,△と◇の和は,3÷4×60=45分・・・イ
アとイから,和差算で,ア=(45+3)÷2=24分なので,その間に進む距離は,4×24/60=1.6kmとなります。
(注意)☆1~☆2の部分が考えづらい人は,次のような図で考えたり,式を作ってみるといいですね。

上の図で,△と◇の差が3分と分かりますね。
式だと,◇+27分=△+18分+6分
この式から,△=◇+3分(つまり,△と◇の差は3分)
いずれにせよ,最後は和差算で考えればいいですね。
さて,今解説をした(2)の問題は,別解で「時間の状況図」をかきました。この時間の状況図は,ふだんの勉強では,まずかく機会はないと思います。ですが,今回のような問題を解く上では役に立ちますから,自分でも描いてみるなどして馴れておくといいですね。
また,今年の問題は,極端に難しい問題が無い分,どれだけミスをせず,1問1問きちんと答えられたかで点差が開く問題だったと言えるでしょう。ふだんの勉強で,特に入試問題を扱うようになったときは,一問一問を確実に解ききるという練習も必ずやっていきましょう。(道)
毎年,六甲中学校の算数の問題には,たいてい1問か2問,算数科の講師として言えば面白い問題(ですから受験する生徒の立場から言えば厳しい問題)が出題されます。
ですから,六甲の算数の問題を見るのを、毎年心待ちにしているわけです。
ところが,大変残念なことに,今年の問題はそれほどではありませんでした。
ということは,つまり,受験生にとってみれば,比較的取り組み易い問題が多かったと言うことになります。
どんな問題が出題されたか,1枚目から見ていきましょう。
1枚目。
大問1は計算が2題,いずれもごく普通の計算問題です。
大問2は小数点移動。塾で何度も取り組んでいる見慣れた問題です。計算ミスに注意しましょう。
大問3も見慣れた相当算的な問題。図を利用し,慎重に解いていけば,正解するのは難しいことではありません。
大問4は、植木算の応用。これも計算を注意深く進めれば,どうということの無い問題。
ここまでは,問題を読んだ瞬間,方針の決まるようなものばかりです。
ただ,けっこう計算がきついものが多いので,注意しないといけません。
大問5と6は図形の問題。
5は角度の問題で,二等辺三角形に注意を向けられるかどうか。
6は台形の面積を求める問題ですが,個人的には一番面白いと思った問題です。(難問ではありませんが。)
上底も下底も高さも分からない台形の面積を,三角形の相似を利用して解いていきます。冷静に対処できれば,決して難しくありません。
ここまでが1枚目。
できれば,ここまではすべて取りきるつもりで取り組んでほしいところです。
そして2枚目。
大問7は比と面積に関する問題。
これもどこかで見たような問題で,設問の順にひとつひとつ丁寧に解いていけば問題なく解き終えます。
大問8は速さの問題。
(2)は少し面倒かもしれません。あとで詳しく解説します。
最後の大問9は,図形の移動。
(1)(2)ともおうぎ形が直線上を転がる問題。塾で何度も取り組んでいる問題で,取りこぼしはできません。
(3)は中心角90度のおうぎ形が,中心角270度のおうぎ形の周囲を回る問題です。
一見難問に見えますが,問題に描かれている図を手掛かりに解けば,正解にたどり着けるはずです。
以上,簡単に2015年度B日程の算数の問題を見てきましたが,先にも書いた通り,今年の問題は,難問奇問の類もなく,どの問題も対処が難しくありませんから,高得点を狙えそうな問題でした。
では、前置きが長くなりましたが、問題の解説です。
(問題)H27 六甲中学校 B日程 算数 大問8番
図のようにA,B,C,D,Eの5つの駅があり,A駅とB駅の間の距離は3kmです。A駅とB駅の間の線路沿いに一郎君の家があります。A駅とE駅には特急電車も普通電車も止まりますが,B駅,C駅,D駅には普通電車しか止まりません。電車が駅で停車する時間はそれぞれ1分です。
A駅を出発してからE駅に到着するまでにかかる時間は,特急電車の方が普通電車よりも15分短いです。また,一郎君が家を出てからE駅に着くまでにかかる時間は,B駅まで歩いてから普通電車に乗るよりも,A駅まで歩いてから特急電車に乗る方が6分短くなります。
特急電車,普通電車の速さはそれぞれ時速60km,36kmで,一郎君の歩く速さは時速4kmです。一郎君が電車に乗るときに駅で待つ時間は考えないものとし,電車は一郎君が乗るとすぐに出発するものとします。次の(1),(2)の問いに答えなさい。
(1) B駅とE駅の間の距離は何kmですか。
(2) 一郎君の家とA駅の間の距離は何kmですか。

(1) 普通電車はB駅,C駅,D駅と停車するので,これで3分余分に時間がかかっています。
特急電車も普通電車も,途中停車しないでA駅からE駅に行ったとすると,かかる時間の差は15-3=12分ですね。
特急電車と普通電車の速さの比は60:36=5:3ですから,AE間にかかる時間の比は③:⑤となります。
この差の②=12分ですから,特急電車がAE間にかかる時間は 12×3/2=18分
したがって,AE間の距離は 60×18/60=18km となりますから,BE間の距離は
18-3=15kmですね。
(2) 実際に電車に乗っている時間を求めます。
特急電車でAE間を進むと(1)より18分。
普通電車でBE間を進むと,15÷36×60=25分(走っている時間)。これにC,D2駅での停車時間が加わるので,
25+2=27分。
(☆1)ということは,特急電車がA駅を,普通電車がB駅を同時に発車したとして,かかる時間の差は27-18=9分。
ところが実際にかかった時間の差は,これより3分短い6分(特急の方が早い)。
つまり,一郎君の家からA駅までかかる時間(△)と,一郎君の家からB駅までかかる時間(◇)とで,かかる時間の差が3分(B駅に行く方が3分早い)ということが分かります。・・・ア (☆2)
また,△と◇の和は,3÷4×60=45分・・・イ
アとイから,和差算で,ア=(45+3)÷2=24分なので,その間に進む距離は,4×24/60=1.6kmとなります。
(注意)☆1~☆2の部分が考えづらい人は,次のような図で考えたり,式を作ってみるといいですね。

上の図で,△と◇の差が3分と分かりますね。
式だと,◇+27分=△+18分+6分
この式から,△=◇+3分(つまり,△と◇の差は3分)
いずれにせよ,最後は和差算で考えればいいですね。
さて,今解説をした(2)の問題は,別解で「時間の状況図」をかきました。この時間の状況図は,ふだんの勉強では,まずかく機会はないと思います。ですが,今回のような問題を解く上では役に立ちますから,自分でも描いてみるなどして馴れておくといいですね。
また,今年の問題は,極端に難しい問題が無い分,どれだけミスをせず,1問1問きちんと答えられたかで点差が開く問題だったと言えるでしょう。ふだんの勉強で,特に入試問題を扱うようになったときは,一問一問を確実に解ききるという練習も必ずやっていきましょう。(道)
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