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2015(H27)入試分析 算数 ラ・サール中学校

2015.03.08 16:49|入試問題分析(算数)
今回は,ラ・サール中学校を取り上げます。

今年の問題に関して言えば,幅広い単元の基礎力がきちんとついていれば十分に対応できる問題だったという感想です。
とびぬけてきついという問題もなく,苦手分野以外のものをしっかりと確保できれば,皆に合格ライン到達の可能性が
あったのではないでしょうか。そういう意味では,算数で失敗したという子にとっては悔いの残るテストになったでしょうね。
各問題に目を通してみると,
大問1 計算3題。
大問2 数の性質,比や割合,平面図形の小問5題。ここまでは全問合わせておきたい。
大問3 時計算の定番問題です。時計算は苦手とする子が多いですが,ラ・サールを受ける子であれば少なくとも
(2)までは取らなければいけません(実際に時計を見ればわかることなので)。(3)についても,長針と短針の進んだ
角度の差が一定量ずつ増えていくということを学習していれば簡単な問題です。
大問4 平面図形の面積比の問題です(ベンツ切りと呼ばれることが多いですね)。よく見る切り方なのですが,
中途半端な理解だと(1)も取れません。後程解説します。
大問5 立体の影問題です。難易度は低め。もともとこの手の問題が苦手な人はどうしようもないですが,基本的な
問題ができる子にとっては(2)まで正解することは難しくありません。
大問6 速さの問題ですが,グラフを描いても状況図を描いても解ける問題です。得意な方でやればよいでしょう。
グラフでやる子は延長することができるか,状況図でやる子は比を使いこなせるかが出来に大きく影響します。

3番や5番の問題が手も足も出ないというタイプの子は何よりも苦手単元を作らないようにする意識が大切です。
4番と6番が合否を分けそうな感じですね。

では,今回は4番の平面図形の問題を取り上げます。
(問題)H27 ラサール中学校 大問4番
右図の三角形ABCにおいて,AD:DC=1:3,三角形BCEと三角形ABCの面積の比は2:5です。
次の問いに答えなさい。
(1)三角形CDEと三角形ABCの面積の比を,最も簡単な整数の比で表しなさい。
(2)CEの延長と辺ABとの交点をFとします。AF:FBを最も簡単な整数の比で表しなさい。
2015ラサール4番

定番の形の問題なので,「どこの辺の比」が「どこの面積の比」と等しいのかをしっかりと押さえておく必要があります。
まず,三角形BCEと三角形ABCの面積の比は2:5ということですから,下の図の赤い部分と青い部分の面積比は3:2
ですね。この面積の比は,AE:EGと等しいです。(GはAEの延長とBCとの交点)
ベンツ切りで応用問題が解けない子はこの形の比を理解していないことが多いです。
2015ラサール00


AE:EG=3:2ということは,下の図の赤の部分と青の部分の面積比も3:2です。
先の計算を簡単にするために,ここでは三角形ABE=<24>,三角形EBG=<16>としておきます。
2015ラサール01

次はAD:DC=1:3に注目します。下図の赤い部分と青い部分の面積比も1:3ですから,
三角形ABE=<24>に対して三角形EBC=<24>×3=<72>,
そのうち,三角形EBG=<16>ですから,残りの三角形EGC=<72>-<16>=<56>となります。
2015ラサール02

再びAE:EG=3:2に注目すると,下図の赤い部分と青い部分の面積比も3:2です。
三角形ECG=<56>に対して三角形ACE=<84>,それが1:3の面積比に分割されているので,
三角形AED=<84>×1/4=<21>,三角形CED=<84>×3/4=<63>となります。
2015ラサール03

三角形CDE=<63>,三角形ABCは<24>+<72>+<84>=<180>ですから,63:180=7:20となります。

(2)AF:FBは三角形AEC:三角形BECと等しいですから,84:72=7:6となります。

(1)ができれば(2)まで解ける問題ですので、小問2題分の差がつきやすかったのではないでしょうか。
ベンツ切りの問題ではこのようなタイプの出題になることが多いので、理解があいまいな受験を迎えると
いざ出題されたときに命取りになる可能性があります。
普段の学習の中で「ここ,ちょっと難しいなぁ」というところを出題者は狙ってきます。
壁にぶつかったときに踏ん張って理解できたか,あきらめてしまったかを見るにはそこを出題すればよいですからね。
あきらめずに粘る姿勢が試験結果に反映される可能性が高いということがこういうところからもわかりますね。
(池)
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