筑波大学附属駒場中学校 理科 問題解説その1★2015年(H27年)
2015.04.05 13:20|入試問題分析(理科)|
今日は2015筑波大学附属駒場中学の理科の解説です。
今回は第6問を解説します。
第6問
あきら君と弟のまさる君は木材を加工して、1枚の板と4つの同じ形をした木へん(木へん1~4)を作った。板は体積も重さも木へんの4倍である。また、下図のように点線を引いて板を4つに区分し、それぞれにA、B、C、Dと名前をつけた。これらを使って二人で行ったゲームについて、後の各問いに答えなさい。

【ゲーム前の実験】水平な机の上に木へんを1つだけ置き、その上に板をのせて静かに手を離した。すると、アとエでは板はかたむいて机の上に落ちたが、イとウでは板は水平のままだった。

【ゲーム】右図のように水平な机の上に木へん1~4を密着させて並べ、その上に板をのせ以下の操作①~③を行った。
そして、操作中および直後に板をかたむけた方を「負け」、他方を「勝ち」とした。また操作③後に板が水平のままなら
「引き分け」とした。

操作①:あきら君(兄)が板の下にある木へん1~4の中から1つを取り出し、A~Dの上面の1つに静かにのせる。
操作②:まさる君(弟)が板の下にある3つの木へんの中から1つを取り出し、木へんがまだのっていないA~Dの上面の1つに静かにのせる。板がかたむいたらゲームを終わりにし、水平のままならば次の操作を行う。
操作③:あきら君(兄)が板の下にある2つの木へんの中から1つを取り出し、木へんがまだのっていないA~Dの上面の1つに静かにのせる。板がかたむいても水平のままであっても、これでゲームを終わりにする。
1. 「引き分け」のときの板と木へんのようすとして正しいのはどれですか。すべて選びなさい。

2. まさる君が操作②でどのような置き方をしても、あきら君が必ず勝つ方法があるか考えた。しかし、なかった。では、まさる君が操作②でどのような置き方をしても、あきら君が絶対に負けない(勝つか引き分ける)方法がありますか。あれば、そのときの操作①の方法を例にならってすべて答えなさい。なければ、「なし」と答えなさい。
(例:木へん2をBの上にのせる場合は「2→B」と答える)
3.弟思いのあきら君は、まさる君を必ず勝たせる(あきら君が必ず負ける)方法を考えた。まさる君が操作②でどのような置き方をしても板がかたむくことがなく、あきら君が操作③で板をかたむけることができる方法はありますか。あれば、そのときの操作①の方法を上の例にならってすべて答えなさい。なければ、「なし」と答えなさい。
1. ア~クすべての選択肢についてモーメントを考えていけば、答えは求まりますが、時間はかなりかかります。図をよく見てみると、アとクは左右対象で実質同じ積み方と考えられます(イとキ、ウとカ、エとオも同様ですね)。
1ブロック分の重さを①として、ア~エの図で重心がどこになるのかを考えてみましょう。板の重心は赤で描いたところ、木へん3つの重心は青で描いたところになります。全体の重心は赤い矢印と青い矢印の間になるので、アやイは木へんの上に乗っていますが、ウやエは右に回ってしまいます。よって答えはア、イ、キ、クです。

この時点で引き分けになるときは、
・最後の木へんはB(かC)の下である。
・上に置く木へんのうち、1個は板の下にある木へんの上、残り2個は左右に分けて置かれている状態であることをつかんでおくと、この先考えやすくなります。
2. 1.と同様に左右対称を利用して、考える手間を半減させましょう。
操作①であきら君が木へん2(木へん3)をとる場合
操作②でまさる君が木へん3(木へん2)をとると、操作③では残る2つのどちらをとっても崩れてしまうのであきら君は負けます。
操作①であきら君が木へん1(木へん4)をとる場合
「1→A」(「4→D」)のとき
操作②で木へん2を抜くと崩れます。
操作②で「3→B」のあと、操作③は「4→C」としても「4→D」としても引き分けになります。
操作②で「3→C」のあと、操作③は「4→B」とすれば引き分けです。
操作②で「3→D」のあと、操作③は「4→B」とすれば引き分けです。
操作②で「4→B」のあと、操作③は「3→C」としても「3→D」としても引き分けになります。
操作②で「4→C」のあと、操作③は「3→B」とすれば引き分けです。
操作②で「4→D」のあと、操作③は「3→B」としても「2→C」としても引き分けになります。
つまり、操作①で「1→A」(「4→D」)とすれば、あきら君は絶対に負けません。
「1→B」(「4→C」)のとき
操作②で「3→D」のあと、操作③で4をとると崩れるので×です。
「1→C」(「4→B」)のとき
操作②で「3→D」のあと、操作③で4をとると崩れるので×です。
「1→D」(「4→A」)のとき
操作②で「3→B」や「3→C」のあと、操作③で4をとると崩れるので×です。
答 「1→A」、「4→D」
3. 同様に左右対称を利用します。
操作①で木へん1(木へん4)をとった場合
「1→A」(「4→D」)のとき
操作②で「2→B」とすると崩れるので×です。
「1→B」(「4→C」)のとき
操作②で「2→A」とすると崩れるので×です。
「1→C」(「4→B」)のとき
操作②で「2→A」とすると崩れるので×です。
「1→D」(「4→A」)のとき
操作②でまさる君がどんなとり方をしても崩れず、操作③で崩すことができます。
操作①で木へん2(木へん3)を取った場合
「2→A」(「3→D」)のとき
操作②で「1→B」とすると崩れるので×です。
「2→B」(「3→C」)のとき
操作②で「1→A」とすると崩れるので×です。
「2→C」(「3→B」)のとき
操作②で「1→A」とすると崩れるので×です。
「2→D」(「3→A」)のとき
操作②でまさる君がどんなとり方をしても崩れず、操作③で崩すことができます。
答 「1→D」、「2→D」、「3→A」、「4→A」
第6問は解くのに時間がかかる問題ですが、そのなかでも、1.は比較的考えやすい問題でこれは確実にとりたいですね。
第7問は次回に解説します。(和)
今回は第6問を解説します。
第6問
あきら君と弟のまさる君は木材を加工して、1枚の板と4つの同じ形をした木へん(木へん1~4)を作った。板は体積も重さも木へんの4倍である。また、下図のように点線を引いて板を4つに区分し、それぞれにA、B、C、Dと名前をつけた。これらを使って二人で行ったゲームについて、後の各問いに答えなさい。

【ゲーム前の実験】水平な机の上に木へんを1つだけ置き、その上に板をのせて静かに手を離した。すると、アとエでは板はかたむいて机の上に落ちたが、イとウでは板は水平のままだった。

【ゲーム】右図のように水平な机の上に木へん1~4を密着させて並べ、その上に板をのせ以下の操作①~③を行った。
そして、操作中および直後に板をかたむけた方を「負け」、他方を「勝ち」とした。また操作③後に板が水平のままなら
「引き分け」とした。

操作①:あきら君(兄)が板の下にある木へん1~4の中から1つを取り出し、A~Dの上面の1つに静かにのせる。
操作②:まさる君(弟)が板の下にある3つの木へんの中から1つを取り出し、木へんがまだのっていないA~Dの上面の1つに静かにのせる。板がかたむいたらゲームを終わりにし、水平のままならば次の操作を行う。
操作③:あきら君(兄)が板の下にある2つの木へんの中から1つを取り出し、木へんがまだのっていないA~Dの上面の1つに静かにのせる。板がかたむいても水平のままであっても、これでゲームを終わりにする。
1. 「引き分け」のときの板と木へんのようすとして正しいのはどれですか。すべて選びなさい。

2. まさる君が操作②でどのような置き方をしても、あきら君が必ず勝つ方法があるか考えた。しかし、なかった。では、まさる君が操作②でどのような置き方をしても、あきら君が絶対に負けない(勝つか引き分ける)方法がありますか。あれば、そのときの操作①の方法を例にならってすべて答えなさい。なければ、「なし」と答えなさい。
(例:木へん2をBの上にのせる場合は「2→B」と答える)
3.弟思いのあきら君は、まさる君を必ず勝たせる(あきら君が必ず負ける)方法を考えた。まさる君が操作②でどのような置き方をしても板がかたむくことがなく、あきら君が操作③で板をかたむけることができる方法はありますか。あれば、そのときの操作①の方法を上の例にならってすべて答えなさい。なければ、「なし」と答えなさい。
1. ア~クすべての選択肢についてモーメントを考えていけば、答えは求まりますが、時間はかなりかかります。図をよく見てみると、アとクは左右対象で実質同じ積み方と考えられます(イとキ、ウとカ、エとオも同様ですね)。
1ブロック分の重さを①として、ア~エの図で重心がどこになるのかを考えてみましょう。板の重心は赤で描いたところ、木へん3つの重心は青で描いたところになります。全体の重心は赤い矢印と青い矢印の間になるので、アやイは木へんの上に乗っていますが、ウやエは右に回ってしまいます。よって答えはア、イ、キ、クです。

この時点で引き分けになるときは、
・最後の木へんはB(かC)の下である。
・上に置く木へんのうち、1個は板の下にある木へんの上、残り2個は左右に分けて置かれている状態であることをつかんでおくと、この先考えやすくなります。
2. 1.と同様に左右対称を利用して、考える手間を半減させましょう。
操作①であきら君が木へん2(木へん3)をとる場合
操作②でまさる君が木へん3(木へん2)をとると、操作③では残る2つのどちらをとっても崩れてしまうのであきら君は負けます。
操作①であきら君が木へん1(木へん4)をとる場合
「1→A」(「4→D」)のとき
操作②で木へん2を抜くと崩れます。
操作②で「3→B」のあと、操作③は「4→C」としても「4→D」としても引き分けになります。
操作②で「3→C」のあと、操作③は「4→B」とすれば引き分けです。
操作②で「3→D」のあと、操作③は「4→B」とすれば引き分けです。
操作②で「4→B」のあと、操作③は「3→C」としても「3→D」としても引き分けになります。
操作②で「4→C」のあと、操作③は「3→B」とすれば引き分けです。
操作②で「4→D」のあと、操作③は「3→B」としても「2→C」としても引き分けになります。
つまり、操作①で「1→A」(「4→D」)とすれば、あきら君は絶対に負けません。
「1→B」(「4→C」)のとき
操作②で「3→D」のあと、操作③で4をとると崩れるので×です。
「1→C」(「4→B」)のとき
操作②で「3→D」のあと、操作③で4をとると崩れるので×です。
「1→D」(「4→A」)のとき
操作②で「3→B」や「3→C」のあと、操作③で4をとると崩れるので×です。
答 「1→A」、「4→D」
3. 同様に左右対称を利用します。
操作①で木へん1(木へん4)をとった場合
「1→A」(「4→D」)のとき
操作②で「2→B」とすると崩れるので×です。
「1→B」(「4→C」)のとき
操作②で「2→A」とすると崩れるので×です。
「1→C」(「4→B」)のとき
操作②で「2→A」とすると崩れるので×です。
「1→D」(「4→A」)のとき
操作②でまさる君がどんなとり方をしても崩れず、操作③で崩すことができます。
操作①で木へん2(木へん3)を取った場合
「2→A」(「3→D」)のとき
操作②で「1→B」とすると崩れるので×です。
「2→B」(「3→C」)のとき
操作②で「1→A」とすると崩れるので×です。
「2→C」(「3→B」)のとき
操作②で「1→A」とすると崩れるので×です。
「2→D」(「3→A」)のとき
操作②でまさる君がどんなとり方をしても崩れず、操作③で崩すことができます。
答 「1→D」、「2→D」、「3→A」、「4→A」
第6問は解くのに時間がかかる問題ですが、そのなかでも、1.は比較的考えやすい問題でこれは確実にとりたいですね。
第7問は次回に解説します。(和)
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