駒場東邦中学校 理科 問題 解説★2015年(H27年)
2015.05.20 15:08|入試問題分析(理科)|
こんにちは。今日は2015年駒場東邦中学の理科第5問の解説です。
第5問 以下の文章を読み、問いに答えなさい。
(1) 図1のように、太さがどこでも同じ鉄の棒(長さ30㎝)の両はしの点あ、いに、それぞれ軽くて細い(重さと体積を考えなくてもよい)ひもで、鉄のおもりA(重さ55g、体積7㎝^3)と鉄のおもりB(重さ110g、体積14㎝^3)をつり下げ、点うを軽くて細いひもでつるしたところ、棒は水平になって静止しました。点うから棒の中心えまでの長さは、3㎝でした。なお、棒の重さは、点えにかかると考えてよいものとします。
① 棒の重さは、何gですか。
② 手がひもを引く力の大きさは、何gですか。
③ 棒の体積は、何㎝^3ですか。

(2) 水中の物体には、その物体が押しのけた水の重さに等しい大きさの上向きの力〈浮力〉がはたらきます。浮力は物体の中心の点(重さがかかる点と同じ点)にかかります。また、水1㎝^3の重さは1gです。さて、棒を水平に保つように手で支えながら、おもりA、Bをゆっくりと水そうの水の中に入れ、そっと手をはずし、図2の状態にしました。このあと棒のかたむきはどうなりますか。正しいものを1つ選び、ア~ウの記号で答えなさい。
ア あが上がる。
イ いが上がる。
ウ 棒は水平のままである。

(3) 次に、棒を水平に保つように手で支えながら、おもりA、Bと棒をゆっくりと水そうの水の中にいれ、そっと手をはずし、図3の状態にしました。このあと、棒のかたむきはどうなりますか。(2)と同じ選択肢から、正しいものを1つ選び、ア~ウの記号で答えなさい。

(4) (3)と同じ実験を、鉄の棒を太さがどこでも同じアルミニウムの棒(長さ30㎝、重さ76g、体積28㎝^3)に変えて行いました。おもりA、Bとそれらをつり下げる位置あ、い、棒をつり下げる位置うは図3と同じです。すると、図4のように、棒の中心の点えに軽くて細いひもで、ある重さの鉄のおもりCをつり下げたとき、棒を水平に静止させることができました。おもりCの重さは、何gですか。

(1) ①モーメントのつり合いの問題です。棒の重さを求めたいので、点うまわりのモーメントを考えます。棒の重さを□と置くと、左回りのモーメントは55×18+□×3、右回りのモーメントは110×12になるので、水平になって静止するとき
55×18+□×3=110×12が成り立つので、□=110gと求まります。答110g
(2) 浮力がはたらいた場合のモーメントのつり合いの問題です。 問題文にあるように、水中の物体には浮力がはたらくのでおもりAの重さは55-1×7=48g、おもりBの重さは110-1×14=96gとして考えましょう。
左回りのモーメント=48×18+110×3=864+330=1194、右回りのモーメント=96×12=1152より左回りのモーメントの方が、右回りのモーメントよりも大きいので、点いのほうが上がります。答イ
(3) 今度は鉄の棒も水の中に入ってしまっているので、鉄の棒にも浮力がはたらきます。鉄の棒の体積は14㎝^3なので、重さを110-14=96gとして考えましょう。左回りのモーメント=864+96×3=864+288=1152、
右回りのモーメント=96×12=1152であるので、棒はかたむきません。答ウ
(4) あ、いのところで発生するモーメントは変わらないので、えのところには(3)と同様に288のモーメントが発生するはずです。アルミニウムの棒には浮力が働いて76-28=48gとして考えると、モーメントは48×3=144にしかならないので、おもりCであと144、つまり、(3)の半分のモーメントが必要となります。(3)では110gの棒に浮力が働いて288のモーメントが発生しましたから、同じ鉄でできているおもりCをその半分の55gにすると浮力込みで144のモーメントが新たに発生することになります。答55g
最後は考え方が思いつきにくい計算問題でしたが、全体的にはとりこぼすと合格が難しくなるような問題で構成されていました。難関校を受けるからといっていたずらに難問集ばかりを解くのではなく、基本事項をすぐ思い浮かべることができて、それをしっかりと説明できるようになることが、合格へつながります。(和)
第5問 以下の文章を読み、問いに答えなさい。
(1) 図1のように、太さがどこでも同じ鉄の棒(長さ30㎝)の両はしの点あ、いに、それぞれ軽くて細い(重さと体積を考えなくてもよい)ひもで、鉄のおもりA(重さ55g、体積7㎝^3)と鉄のおもりB(重さ110g、体積14㎝^3)をつり下げ、点うを軽くて細いひもでつるしたところ、棒は水平になって静止しました。点うから棒の中心えまでの長さは、3㎝でした。なお、棒の重さは、点えにかかると考えてよいものとします。
① 棒の重さは、何gですか。
② 手がひもを引く力の大きさは、何gですか。
③ 棒の体積は、何㎝^3ですか。

(2) 水中の物体には、その物体が押しのけた水の重さに等しい大きさの上向きの力〈浮力〉がはたらきます。浮力は物体の中心の点(重さがかかる点と同じ点)にかかります。また、水1㎝^3の重さは1gです。さて、棒を水平に保つように手で支えながら、おもりA、Bをゆっくりと水そうの水の中に入れ、そっと手をはずし、図2の状態にしました。このあと棒のかたむきはどうなりますか。正しいものを1つ選び、ア~ウの記号で答えなさい。
ア あが上がる。
イ いが上がる。
ウ 棒は水平のままである。

(3) 次に、棒を水平に保つように手で支えながら、おもりA、Bと棒をゆっくりと水そうの水の中にいれ、そっと手をはずし、図3の状態にしました。このあと、棒のかたむきはどうなりますか。(2)と同じ選択肢から、正しいものを1つ選び、ア~ウの記号で答えなさい。

(4) (3)と同じ実験を、鉄の棒を太さがどこでも同じアルミニウムの棒(長さ30㎝、重さ76g、体積28㎝^3)に変えて行いました。おもりA、Bとそれらをつり下げる位置あ、い、棒をつり下げる位置うは図3と同じです。すると、図4のように、棒の中心の点えに軽くて細いひもで、ある重さの鉄のおもりCをつり下げたとき、棒を水平に静止させることができました。おもりCの重さは、何gですか。

(1) ①モーメントのつり合いの問題です。棒の重さを求めたいので、点うまわりのモーメントを考えます。棒の重さを□と置くと、左回りのモーメントは55×18+□×3、右回りのモーメントは110×12になるので、水平になって静止するとき
55×18+□×3=110×12が成り立つので、□=110gと求まります。答110g
(2) 浮力がはたらいた場合のモーメントのつり合いの問題です。 問題文にあるように、水中の物体には浮力がはたらくのでおもりAの重さは55-1×7=48g、おもりBの重さは110-1×14=96gとして考えましょう。
左回りのモーメント=48×18+110×3=864+330=1194、右回りのモーメント=96×12=1152より左回りのモーメントの方が、右回りのモーメントよりも大きいので、点いのほうが上がります。答イ
(3) 今度は鉄の棒も水の中に入ってしまっているので、鉄の棒にも浮力がはたらきます。鉄の棒の体積は14㎝^3なので、重さを110-14=96gとして考えましょう。左回りのモーメント=864+96×3=864+288=1152、
右回りのモーメント=96×12=1152であるので、棒はかたむきません。答ウ
(4) あ、いのところで発生するモーメントは変わらないので、えのところには(3)と同様に288のモーメントが発生するはずです。アルミニウムの棒には浮力が働いて76-28=48gとして考えると、モーメントは48×3=144にしかならないので、おもりCであと144、つまり、(3)の半分のモーメントが必要となります。(3)では110gの棒に浮力が働いて288のモーメントが発生しましたから、同じ鉄でできているおもりCをその半分の55gにすると浮力込みで144のモーメントが新たに発生することになります。答55g
最後は考え方が思いつきにくい計算問題でしたが、全体的にはとりこぼすと合格が難しくなるような問題で構成されていました。難関校を受けるからといっていたずらに難問集ばかりを解くのではなく、基本事項をすぐ思い浮かべることができて、それをしっかりと説明できるようになることが、合格へつながります。(和)
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