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慶応中等部 理科 問題解説★2015(H27)

2015.06.19 21:16|入試問題分析(理科)
こんにちは。今日は慶応中等部の問題解説を行いたいと思います。

第1問 力学 モーメント・慣性
1円硬貨、10円硬貨を使った実験について、あとの問いに答えなさい。
(1) 上皿てんびんの一方の皿に10円硬貨を10枚のせ、もう一方の皿にはつりあうように、1円硬貨をのせました。このときに皿にのっていた10円硬貨と1円硬貨をそれぞれすべて、水を満たしたコップに入れると、あふれる水が多いのはどちらの硬貨を入れたときですか。次の中から選びなさい。
1 10円硬貨のほうがあふれる水は多い。
2 1円硬貨のほうがあふれる水は多い。
3 どちらもあふれる水の量は変わらない。


(2) 10円硬貨を10枚重ねてテーブルのはしに置き、一番上の硬貨がテーブルから完全にはみ出して落ちないようにするには、どのように重ねればよいですか。次の1~3から選びなさい。
慶応中等部2015理科図1

(3) 1円硬貨と10円硬貨をそれぞれ10枚まっすぐに重ねて山にしたものを台車にのせて、台車を動かすと、図1のように10円硬貨だけが台車の進行方向と反対の向きにずれました。また、動いている台車を止めたときには、図2のように10円硬貨だけが台車の進行方向と同じ向きにずれました。また、台車を急に動かしたり、止めたりすると、1円硬貨の山も10円硬貨の山もくずれました。このことを参考にして、次の問いに答えなさい。
慶応中等部2015理科図2
ア 10円硬貨5枚の上に1円硬貨5枚を重ねて台車にのせ、台車を動かし始めたとき、硬貨がずれました。そのときの様子を示す図を下の1~6から選びなさい。
イ 1円硬貨5枚の上に10円硬貨5枚を重ねて台車にのせ、動いている台車を止めたときに、硬貨がずれました。その様子を示す図を下の1~6から選びなさい。
慶応中等部2015理科図3

(4) 回転させることができる丸イスの上の、図3のような位置に1円硬貨と10円硬貨を10枚重ねた山をそれぞれ2つずつ作り、イスを回転させたときに、硬貨の山がくずれる様子を観察しました。次の問いに答えなさい。
① ア:イスを回しはじめるとき、イ:イスをだんだんと速く回すとき、ウ:イスの回転をとめたとき、一番初めにくずれる硬貨の山はどれですか。それぞれ図3の1~4から選びなさい。
② ア:イスを回しはじめるとき、イ:イスをだんだんと速く回すとき、ウ:イスの回転をとめたとき、硬貨の山のくずれる向きはどちらですか。それぞれ図4の1~4から選びなさい。

慶応中等部2015理科図4

(1) 10円硬貨10枚(A)と同じ重さの1円硬貨(B)を用意すると、かなりの枚数になることは感覚的に分かりますね。あふれる水の量は(A)と(B)の体積で決まります。当然(B)の方が大きいですよね。 答 2
※ちなみに、10円硬貨はほぼ銅でできており、直径23.5g、厚み1.5mm、重さ4.5g、1円硬貨は全てアルミニウムでできており、直径20㎜、厚さ1.2㎜、重さ1gです。10円硬貨10枚と1円硬貨45枚、どちらの体積が大きいのか明らかですね!

(2)2の10円硬貨10枚の重心は、全体を平行四辺形として見たときの、対角線の交点になります。一番上がテーブルから完全にはみ出すと、重心も机からはみ出すので落ちてしまいます。1はさらに重心が右によっているので当然アウト。答えは3です。
答 3

(3)ア 台車を動かし始めたとき、進行方向と反対向きに10円硬貨だけずれます。
上半分:1円硬貨…ずれません
下半分:10円硬貨…進行方向とは反対向き(右向き)にずれます
よって答は1になります。答 1
イ 10円硬貨と1円硬貨の積み方がアと逆になっているのと、台車を止めたときの話だということに注意しましょう。
上半分:10円硬貨…進行方向と同じ向き(左向き)にずれます
下半分:1円硬貨…ずれません
よって答は6になります。答 6
 
(4)①ア、イ、ウ 丸イスが回転する場合、円の中心から離れている方がはやくくずれるので1か4のどちらかになります。
(3)の問題文より、1円硬貨よりも10円硬貨の方がはやくくずれるので答はすべて4になります。答 ア:4、イ:4、ウ:4
②ア:イスを回し始めたとき、硬貨は1へ進もうとします。(3)アの場合と同じで進行方向とは反対の向きにくずれることから答は3になります。
イ:イスをだんだんと早く回し始めるとき、硬貨は中心から離れる方へ引っ張られる力が働きます。聞いたことがある人も多いと思いますが、これは遠心力という力です。遠心力という名前のとおり、中心から離れる方へ引っ張られるので答は2になります。
ウ:イスの回転を止めたときは(3)イの場合と同じなので、答は1になります。答 ア:3、イ:2、ウ:1

第1問は慣性の法則がメインテーマでしたが、(4)②イで遠心力をイメージ出来なかったら完答は難しいので、これは取れなくてもよいでしょう。普段から、『なぜこうなるのか』という関心を強く持つ、前の問題から類推する、計算だけに頼らず感覚的なものを磨いておくことに注意して問題演習をつんでいきましょう。(和)
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