2016(H28)入試分析 算数 東大寺学園中学校
2016.02.01 14:35|入試問題分析(算数)|
今回は東大寺学園を取り上げます。
まずは入試の概要から。
出願者数 884名 (昨年度 845名)
受験者数 834名 (昨年度 791名)
合格者数 347名 (昨年度 325名)
実質競争率 2.4倍 (昨年度 2.4倍)
受験者が多かった分合格者数も増えたので、競争率自体は昨年度とほぼ同じとなりました。
算数は受験者平均が62.4点(昨年度51.9点)でした。
今年度の合格最低点は公表されていませんが、公表された資料から見ると、280点+αと考えられます。
昨年度は254/400点でしたから、算数と理科の易化もあって、合格最低点は25点ほど上がったようです。
さて、昨年度から平均点が10点以上上がった算数ですが、入試資料によると、満点が47人。
実際取り組み易い良問が多かったように思います。
大問1 計算・和差の文章題・平面図形 (小問数4)
大問2 場合の数 (小問数3)
大問3 流水算 (小問数3)
大問4 立体図形と比 (小問数3)
大問5 水問題 (小問数4)
合格最低点の7割を確保するためには小問17題中12題は取っておきたいところです。
そのためには、大問3と大問4の攻略が不可欠ですね。
そこで、今回は大問3を見てみましょう。
(問題)H28 東大寺学園中学校 算数 大問3番
南北に流れるまっすぐな川があります。川の下流のA地点と,上流のB地点との間をモーターボートで往復します。川の流れのないところでのモーターボートの速さは一定です。午前11時にA地点からB地点に向かって出発しましたが,途中で2分間エンジンを止めて川に流されていたため,予定より3分遅れてB地点に到着しました。午前11時からモーターボートがB地点に着くまでの川の流れの速さは分速200mでした。
(1) 流れのないところでのモーターボートの速さは分速何mですか。
B地点で昼食休憩をした後,ちょうど午後2時にA地点に着くように,B地点を出発しました。このときの川の流れの速さは上りのときと同じでした。B地点を出発してから10分後に川の流れの速さが増しました。この後モーターボートがA地点に着くまで川の流れの速さは変わりませんでした。川の流れの速さが増したときにエンジンを止め,しばらく川に流されていましたが,その後エンジンを動かして予定通り午後2時にA地点に着きました。川の流れの速さが増した後,エンジンを動かしていた時間はエンジンを止めていた時間のちょうど5倍でした。
(2) 川の流れの速さが増した後の,川の流れの速さは分速何mになりましたか。
エンジンを止めて川に流されていた距離は400mでした。
(3) A地点とB地点との間の距離を求めなさい。
(1) 流され始めた地点をC地点、再びエンジンを動かし始めた地点をD地点とすると、
C→DとD→Cの時間の合計が3分,C→Dが2分なのでD→Cが1分です。
つまり、流れの速さと上りの速さの比は1:2なので,上りの速さは200×2=400m/分
静水時の速さは400+200=600m/分
(2) B地点からA地点まで600+200=800m/分で進むと予定通り、午後2時に到着します。
ですから、川の流れの速さが増した地点(E地点とします)からA地点までを、平均分速800mで進めばよいことが分かります。
再びエンジンを動かし始めた地点をF地点、速くなった流れの速さを☆m/分とすると
E→F ☆m/分で[1]分進む …㋐
F→A (600+☆)m/分で[5]分進む …㋑
E→Aの平均の速さは800m/分 …㋒
ここで、㋐㋑㋒を使って、この速さの関係を「てんびん」に整理すると

となります。
①+⑤=⑥が600m/分なので⑤=500m/分
したがって、速くなった流れの速さ☆=800-500=300m/分となります。
(3) E~FとF~Aの距離の比は、300×[1]:900×[5]=1:15なので、E~Aは
400×(1+15)/1=6400m
B~Eの距離は800×10=8000m
よって、6400+8000=14400mです。
昨年、一昨年と難度の高い問題が出題されていて、受験者平均も低かったのですが、今年は大きく様変わりした印象です。
ただ、満点が想定より多かったとしたら、来年度の算数のレベルは再び上がる可能性もあります(今までの東大寺がそうでしたから)。
易しい問題でも気を抜かず1問1問大切に解き切るという姿勢とともに、ある程度の難問対応のトレーニングも欠かせないということでしょう。(道)
まずは入試の概要から。
出願者数 884名 (昨年度 845名)
受験者数 834名 (昨年度 791名)
合格者数 347名 (昨年度 325名)
実質競争率 2.4倍 (昨年度 2.4倍)
受験者が多かった分合格者数も増えたので、競争率自体は昨年度とほぼ同じとなりました。
算数は受験者平均が62.4点(昨年度51.9点)でした。
今年度の合格最低点は公表されていませんが、公表された資料から見ると、280点+αと考えられます。
昨年度は254/400点でしたから、算数と理科の易化もあって、合格最低点は25点ほど上がったようです。
さて、昨年度から平均点が10点以上上がった算数ですが、入試資料によると、満点が47人。
実際取り組み易い良問が多かったように思います。
大問1 計算・和差の文章題・平面図形 (小問数4)
大問2 場合の数 (小問数3)
大問3 流水算 (小問数3)
大問4 立体図形と比 (小問数3)
大問5 水問題 (小問数4)
合格最低点の7割を確保するためには小問17題中12題は取っておきたいところです。
そのためには、大問3と大問4の攻略が不可欠ですね。
そこで、今回は大問3を見てみましょう。
(問題)H28 東大寺学園中学校 算数 大問3番
南北に流れるまっすぐな川があります。川の下流のA地点と,上流のB地点との間をモーターボートで往復します。川の流れのないところでのモーターボートの速さは一定です。午前11時にA地点からB地点に向かって出発しましたが,途中で2分間エンジンを止めて川に流されていたため,予定より3分遅れてB地点に到着しました。午前11時からモーターボートがB地点に着くまでの川の流れの速さは分速200mでした。
(1) 流れのないところでのモーターボートの速さは分速何mですか。
B地点で昼食休憩をした後,ちょうど午後2時にA地点に着くように,B地点を出発しました。このときの川の流れの速さは上りのときと同じでした。B地点を出発してから10分後に川の流れの速さが増しました。この後モーターボートがA地点に着くまで川の流れの速さは変わりませんでした。川の流れの速さが増したときにエンジンを止め,しばらく川に流されていましたが,その後エンジンを動かして予定通り午後2時にA地点に着きました。川の流れの速さが増した後,エンジンを動かしていた時間はエンジンを止めていた時間のちょうど5倍でした。
(2) 川の流れの速さが増した後の,川の流れの速さは分速何mになりましたか。
エンジンを止めて川に流されていた距離は400mでした。
(3) A地点とB地点との間の距離を求めなさい。
(1) 流され始めた地点をC地点、再びエンジンを動かし始めた地点をD地点とすると、
C→DとD→Cの時間の合計が3分,C→Dが2分なのでD→Cが1分です。
つまり、流れの速さと上りの速さの比は1:2なので,上りの速さは200×2=400m/分
静水時の速さは400+200=600m/分
(2) B地点からA地点まで600+200=800m/分で進むと予定通り、午後2時に到着します。
ですから、川の流れの速さが増した地点(E地点とします)からA地点までを、平均分速800mで進めばよいことが分かります。
再びエンジンを動かし始めた地点をF地点、速くなった流れの速さを☆m/分とすると
E→F ☆m/分で[1]分進む …㋐
F→A (600+☆)m/分で[5]分進む …㋑
E→Aの平均の速さは800m/分 …㋒
ここで、㋐㋑㋒を使って、この速さの関係を「てんびん」に整理すると

となります。
①+⑤=⑥が600m/分なので⑤=500m/分
したがって、速くなった流れの速さ☆=800-500=300m/分となります。
(3) E~FとF~Aの距離の比は、300×[1]:900×[5]=1:15なので、E~Aは
400×(1+15)/1=6400m
B~Eの距離は800×10=8000m
よって、6400+8000=14400mです。
昨年、一昨年と難度の高い問題が出題されていて、受験者平均も低かったのですが、今年は大きく様変わりした印象です。
ただ、満点が想定より多かったとしたら、来年度の算数のレベルは再び上がる可能性もあります(今までの東大寺がそうでしたから)。
易しい問題でも気を抜かず1問1問大切に解き切るという姿勢とともに、ある程度の難問対応のトレーニングも欠かせないということでしょう。(道)
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