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2016(H28)入試分析 算数 洛星中学校(前期)

2016.02.08 15:38|入試問題分析(算数)
さて,今回は洛星中学校(前期)を見てみます。

昨年は受験者平均が42点(120点満点の3割5分)というとんでもない状況でしたが,
今年はかなり問題の難易度も下がり,まともな点数になったのではないでしょうか。
※この記事を書いている時点ではそのあたりの数字がHPに掲載されておりません。

各問題に目を通してみると,
大問1 (1)(2)はケアレスミスさえしなければ大丈夫。(3)は考え違いをしてしまうと抜け出すのに苦労するかもしれません。
大問2 (1)はそれほど難しくないですが,(2)は罠にはまる可能性大!(というか,私自身が初めて解いたときにはまりました…)
大問3 (1)は楽勝。(2)もよほど立体が苦手でない限りはいけるでしょう。(3)は合否を分けるあたりの問題ですが,
     問題の系統としては真新しいものなわけではないです。
大問5 (1)(2)は確実に押さえておきたいですが,(3)(4)は速さが得意な子でなければ取れなくてもいいかな…
大問6 (1)は書き出して合わせればOK,(2)は根性で書き出す子がいるかな…,(3)は取れなくてもまぁよいでしょう。

と見てみると,得点率5割をはさんで結構上下にぶれそうな感じですね。

では今回は大問4を見てみましょう。

(問題)H28 洛星中学校(前期) 算数 大問4番
図1のような,底面の円の半径が5cm,高さが6cmの円柱があります。
rakusei2016_4_01.png
(1) 図1の円柱に,青色の糸をAからDまで側面を半周し長さが最も短くなるように巻きつけます。
次に,黄色の糸をDからAまで側面を半周し長さが最も短くなるように巻きつけます。すると図2のようになりました。
このとき,側面のうち2色の糸より下の部分の面積を求めなさい。
rakusei2016_4_02.png
(2) 図2の状態の円柱に,さらに赤色の糸をAからCまで側面を1周し長さが最も短くなるように巻きつけます。
このとき,側面のうち3色の糸で囲まれている部分の面積を求めなさい。

(3) (2)の状態から糸をすべてはずします。
図1の円柱に,緑色の糸をAからDまで側面を半周し長さが最も短くなるように巻きつけます。
次に,紫色の糸をBからCまで側面を半周し長さが最も短く,緑色の糸と交わらないように巻きつけます。
最後に,黒色の糸をAからCまで側面を2周し長さが最も短くなるように巻きつけます。
このとき,側面のうち3色の糸で囲まれている部分の面積を求めなさい。


(1) 受験生であれば,「立体・糸巻き・最短距離」と聞いたら,0.1秒後に展開図をかきはじめなければなりません。
今回は円柱の側面に巻きつけていますので,側面の展開図だけかきましょう。
rakusei2016_4_07.png
上図のようになりますので,10×3.14×6÷2=30×3.14=94.2cm^2となります。

(2) (1)の図にAからCまで赤色の糸を書きこんでみましょう。
rakusei2016_4_08.png
Dは長方形の横の辺の中点なので,DC’:AA’=1:2。
△DC’Xと△A’AXの相似比は1:2ですから,DX:XA=1:2となります。
つまり,求める面積は(1)の答えの1/3ですね。94.2÷3=31.4cm^2となります。
なお,赤い線を左上がりに書きこんでも,下のような左右対称の図になるだけなので,答えは変わりません。
rakusei2016_4_09.png

(3) 緑色の糸と紫色の糸の書きこみ方は1通り(左右対称のものもありますが,それは無視してよいでしょう。)ですが,ここに
黒の糸をかきこむのですが,右上がりに書きこむか左上がりに書きこむかの2通りの書きこみ方があります。
まずは右上がりに書きこんだ図を見てみましょう。
rakusei2016_4_12.png
点線FBの長さはEA’の長さの半分で1.5cmですから,FB:EC’=1:2。
△FBXと△EC’Xの相似比は1:2ですから,BX:XC’=1:2となります。
同様に,DY:YA=1:2ですので,網がけ部分は平行四辺形ABC’Dの(2+2)/(1+2+1+2)=2/3倍,
15.7×6×2/3=62.8cm^2が答えですね。

次に左上がりの図を見てみましょう。
rakusei2016_4_14.png
オの部分が3色の糸で囲まれているのはすぐにわかるかと思いますが,ウやエの部分も実は3色の糸で囲まれています。
(右のウとエを,長方形の左側に点線のようにもっていくと分かりやすいですね。)
△AEIと△ACHは相似で,相似比が1:2,面積比が1:4なので,ウ=①,エ=③としましょう。

ア+イ+ウもア+ウ+エも長方形の1/4なので,イ=エ=③となり,
△CHDと△CGC’も相似で,相似比が1:2,面積比が1:4,よって,ア=①とできます。

長方形全体の面積は(①+③+①)×4=⑳,オの面積は⑳-(①+③)×4=④,
色のついた部分の面積は6×10×3.14×12/20=36×3.14=113.04cm^2となります。
※最後の面積比を出すところは,洛星を受ける子であれば何度も見てきている図ですから,様々な解法でサッサと解けるように
しておきたいところです。
(1)(2)くらいまでは合わせておかないと物足りない感じでしょうかね。(3)は答えが2通り出るので,しんどい方で考えた子は
ちょっとかわいそうだったと思います。

いずれにしても,立体の問題は平面上での考え方にもっていくというのはよくある出題ですので,しっかりと練習しておきましょう。
(池)
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