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2016(H28)入試分析 算数 洛星中学校(後期)

2016.02.13 09:58|入試問題分析(算数)
さて,今回は洛星中学校(後期)を見てみます。

問題を解いた感想としては,数年前の「えぐい洛星後期の問題」というのは姿を消しています。
が,子どもたちが正解までたどり着くのは結構しんどいのかなという問題が多いですね。
単元の得手不得手,情報整理作業の得手不得手,作図の得手不得手,…
皆が受験勉強を進めていく中で,つい逃げたくなるところで,モロに点数差が出るようなテストに
なっているように感じます。

各問題に目を通してみると,
大問1 (1)の計算はできて当然。(2)の繁分数は練習量が少ないので,これまで出会ったときに逃げなかったかどうかです。
大問2 (1)も問題そのものの難易度よりも,正解にたどり着くまでの道のりが長くて苦戦した子が多いかと思われます。
(2)はフローチャートが描ければ余裕。必ず正解したいところです。
大問3 ニュートン算としては難易度は高くないですが,嫌いな人が多い単元です。
大問4 (1)(ア)の作図は×にされている子が多いんじゃないかなぁ……。普段,ノートで作図するときに,どれくらいマス目を
意識しているかが問われます。(1)(イ)や(2)も作図能力を鍛えていない子にはかなりきつかったのではないでしょうか。
ちなみに,作図ができてしまえば,この手の問題としては十分正解できる難易度です。
大問5 これも苦手な人が多い流水算。数値設定は「秒」があるのが鬱陶しいだけで,比較的親切設計です。
しかし,正解率はそれほど伸びないんだろうなぁ,と予想。
大問6 定番の電球の周期問題。周期時間が長いので,雑な整理をする子にはきついのですが,これも難易度としては
それほどでもない感じ。

と見てみると,大問1と2で簡単な方をしっかり押さえ,大問3~6で得意な単元を中心に半分取る,
これで受験者平均の4割5分は越えますね。できれば6割には持っていきたいところです。

では今回は大問5を見てみましょう。

(問題)H28 洛星中学校(後期) 算数 大問5番
川の上流にA地点,下流にB地点があります。図1のように,船Pの先頭がAを通過してから,川を下り最後尾がBを
通過するまで,26分15秒かかります。また,図2のように,Pの先頭がBを通過してから,川を上り最後尾がAを通過
するまで,35分かかります。
rakuseikouki2016_5_01.png
(1)船Pの静水での速さは,川の流れの速さの何倍ですか。

図3のように,Pの最後尾がBを通過してから,川を上り先頭がAを通過するまで,30分20秒かかります。
rakuseikouki2016_5_02.png
(2)AB間の距離は,船Pの長さの何倍ですか。

図4のように,船Pの先頭がAを通過し川を下り始めたのと同時に,船Qの先頭がBを通過し川を上り始めました。
やがて,図5のように,PとQの先頭が出会いました。ただし,Qの長さおよび静水での速さは,Pと同じとします。
rakuseikouki2016_5_03.png
(3)2つの船が出発してから先頭が出会うまで何分かかりましたか。

2つの船の先頭が出会ったときにPはエンジンを停止し,川の流れで流されて下流へ進みました。その後,図6のように,
Qの最後尾がAを通過したとき,Pの先頭はBまで540mの地点にいました。
rakuseikouki2016_5_04.png
(4)AB間の距離は何mですか。


(1) 「AB間+船の長さ」の距離を,図1では105/4分で,図2では35分で移動しています。
速さの比は逆比ですから,下りの速さ:上りの速さ=4:3,流速や静水時の速さのことも考えて,
上り=[6]m/分,静水時[7]m/分,下り=[8]m/分,流速=[1]m/分としておくとよいですね。
答えは,7÷1=7倍となります。

(2) 同じ上りである図2と図3を比べてみましょう。
移動した距離の違いは「船の長さ×2」,かかった時間の違いは「4分40秒」,つまり,船の長さの移動に2分20秒かかります。
AB間の距離を移動するのにかかる時間は35分-7/3分=98/3分なので,
(98/3)÷(7/3)=14倍が答えです。
なお,この時点で,船の長さ=[6]×7/3=[14],AB間の距離=[14]×14=[196]としておくと,先がとても楽になります。

(3) [196]÷([6]+[8])=14分。単なる出会いの問題です。

(4) 図6は出発してから35分後の状態ですから,Pは14分下った後,35-14=21分流されたことになり,
[8]×14+[1]×21=[133]進んでいます。つまり,[196]-[133]=[63]が540mにあたるので,
540×196/63=1680mが答えですね。

問題の見た目に対して,解説は随分シンプルに見えますが,おそらく(2)のところで書いた,船の長さとAB間の距離を
決めてしまう作業をしていない子が(3)(4)で混乱しやすくなると思われます。

速さ得意!流水算得意!って子は自分ができる形で解いてもらって全然かまわないのですが,ちょっと苦手だなという子や,
具体的な距離がわかっていないと正解率がぐっと下がる子は,速さの比と時間から,距離も同じ種類の比で表しておくという
ような作業を意識してやっておくと取り組みやすくなりますよ。(池)
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