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フェリス女学院中学校 算数 問題解説&入試分析★2016年(H28年)

2016.04.10 10:00|入試問題分析(算数)
今回はフェリス女学院中学校です。

数値関連に目を向けてみると,
受験者数433人に対して合格者数200人。実質倍率は2.17倍ですね。

各教科の受験者平均は
国語:68/100 算数:50/100 理科:40/60 社会:44/60
となっており,算数が取りにくいというのが見て取れます。

逆に言えば,点数的には算数が一番伸びしろがあるので,取れればものすごく武器になるということですね。

では,各問題について見てみましょう。

大問1 小問集です。
 (1) 計算問題。当然落としてはいけません。
 (2) 角度の問題。(あ)は簡単ですが,(い)は意外とできないのかな・・・
 (3) 速さの問題。①は必ず取りましょう。②の正解率は低そうです。
 (4) 論理・論証の問題。情報を混乱しないように整理することができれば,十分満点を狙えます。
 (5) 角度と面積の問題。解ける子はサッと解けそうなので,差がつきそうな問題です。
小問集のわりに結構きついですね。(4)(5)あたりをしっかり取れる子が受かっていきそうです。

大問2 比の文章題。
 (1)は簡単。(2)は比のわり算の基本的な仕組みがわかっていれば取れるでしょう。
 (3)も比のわり算なのですが,正解までの道が長いので,正解率はグッと下がるでしょう。

大問3 図形の平行移動の問題。
 この手の問題はこれまでたくさん解いてきたでしょうから,(1)~(3)はしっかり取っておきたいところです。
 (4)はちょっと難しいですね。

大問4 立体図形の展開図の問題。
 (1)は簡単です。(2)(3)は両方できる人とどちらもできない人に分かれそうです。

大問5 平均の問題。
 (1)は何となくでも正解したいところ。実は(2)を飛ばして(3)を解いたほうが点数が取りやすいかも?
 今回はこの問題を扱います。

(問題)H28 フェリス女学院中学校 算数 大問5
ある学年の男子の人数と女子の人数は等しいです。この学年をAグループとBグループに分け,テストをしました。
それぞれのグループの男女の人数の差は7人です。各グループの男女の平均点は,表のようになりました。
この学年の男子の平均点は,女子の平均点よりも低くなりました。次の問いに答えなさい。
2016ferris_5_01.png
(1) 各グループの男女の人数について述べた①~④の中から正しいものを1つ選びなさい。
 ① どちらのグループも男子が女子より7人多い。
 ② どちらのグループも男子が女子より7人少ない。
 ③ Aグループでは男子が女子より7人多く,Bグループでは男子が女子より7人少ない。
 ④ Aグループでは男子が女子より7人少なく,Bグループでは男子が女子より7人多い。

(2) この学年の人数は最も少ない場合で[ア]人,最も多い場合で[イ]人です。
 [ア],[イ]にあてはまる数をそれぞれ求めなさい。

(3) この学年の人数が60人であるとすると,学年全体の平均点は最も低い場合で何点ですか。


まず,この問題の主文を読んで,「あれっ?」と感じてほしいですね。

どちらのグループを見ても男子の平均点が女子の平均点よりも高い。
にもかかわらず,男子全体の平均点が女子全体の平均点よりも低い・・・?

この違和感を解き明かすカギになるのが、
「男子の人数と女子の人数は等しい」「各グループの男女の人数の差は7人」
というこの2つの条件です。

(1) 上の2つの条件から,どちらかのグループで男子の人数が7人,他方のグループで女子の人数が7人多いことが
  わかります。どちらのグループでも男子が(女子が)7人多ければ,全体では男子が(女子が)14人多いことになって
  しまいますからね。この時点で解答は③か④に絞られます。

  また,「男子の人数と女子の人数は等し」く「男子全体の平均点が女子全体の平均点よりも低い」ということは,
  男子の合計点が女子の合計点よりも低くなっていればよいということです。

  あとは簡単な例を考えてみましょう。
  ③の場合の例
   男子:70点が8人 40点が1人 女子:65点が1人 35点が8人
   男子の合計点が600点,女子の合計点が345点になるのでダメ。
  ④の場合の例
   男子:70点が1人 40点が8人 女子:65点が8人 35点が1人
   男子の合計点が390点,女子の合計点が555点となりOK。
  よって,答えはとなります。

  ※厳密には下のおまけ解説の面積図のようなもので,全体の人数は多くなりすぎてはいけないということが
  理解できた上での簡単な例になるのでしょうが,なかなかそこまでは難しいかな・・・?

(3) を先に解いてみましょう。
  学年全体が60人なので,男女とも30人ずついることになります。また,学年全体の平均点が最も低いということは,
  Aグループの人数が少なく,Bグループの人数が多いということになります。
  つまり,Aグループの男子を最小の1人,Aグループの女子を1+7=8人,
  Bグループの男子を30-1=29人,Bグループの女子を30-8=22人とすればよいですね。
  (70×1+65×8+40×29+35×22)÷60=42点が全体の平均点です。

(2) さて,今回の最難問です。
  先ほど(1)で考えた例が最も少ない場合ですね。よって,[ア]は(1+8)×2=18人です。
  この場合,男子の合計点が女子の合計点よりも555-390=165点少ないのですが,
  ここから女子が男子に追いつかれない範囲で,どこまで人数を増やすことができるのかと考えましょう。

  もし,Aグループの女子を1人増やすと,Aグループの男子を1人増やさなくてはいけません。
  このとき,全体の人数は2人増えますが,点数差は70-65=5点縮まります。
  また,Bグループの女子を1人増やすと,Bグループの男子を1人増やさなくてはいけません。
  このときも,全体の人数は2人増えますが,点数差は40-35=5点縮まります。

  いずれにしても人数が2人増えると5点縮まるということです。この操作を1回とすると,
  165÷5=33回の操作では追いつかれてしまいますので,33-1=32回まではできますね。
  18+2×32=82人,これが最も多い場合で[イ]の答えとなります。

  平均算といえば「面積図」や「天秤図」と考えてしまうと,かなりしんどかったのではないかなと思います。
  (かくいう私も天秤図と面積図で,どう解説したものかと悩みましたが・・・^^;)
  鶴亀算などの表解法にも繋がりますが,極端な状態から少しずつずらしていくという手法は困ったときの
  解決策として使えますので,頭の片隅に置いておきましょう。(池)

※※※おまけ 面積図※※※
縦軸を点数,横軸を人数とした面積図を考えます。
上半分が男子,下半分が女子となりますので,上2つの長方形の面積の和が下2つの長方形の面積の和よりも
小さくなるということです。
2016ferris_5_02.png
面積を比較するため,下半分を上に折り返してみましょう。
2016ferris_5_03.png
ピンクが女子のはみ出し部分,水色が男子のはみ出し部分なので,ピンク>水色となればよいわけです。
455>5×□+280 なので,5×□が455-280=175より小さければよいわけです。

最も少ない場合は,図より□=2で,(2+7)×2=18人…[ア]
最も多い場合は,□=175÷5-1=34で,(34+7)×2=82人…[イ]

この図を描くのが難しいですね…(^^;

天秤図でも解けなくはないのですが,かなりハードルが高いので,今回は省略します。

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