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2017(H29)入試分析 算数 灘中学校(2日目)

2017.02.05 03:18|入試問題分析(算数)
今回は灘中学校 算数2日目を取り上げます。
算数2日目の点数に目を向けると,
受験者平均が(H24)71.4⇒(H25)54.9⇒(H26)49.7⇒(H27)52.7⇒(H28)50.8⇒(H29)48.4
合格者平均が(H24)86.2⇒(H25)70.3⇒(H26)63.9⇒(H27)64.6⇒(H28)61.2⇒(H29)62.4
合格者平均は上がるが受験者平均は下がるという不思議な現象が(笑)
まぁ、誤差の範囲で去年と変わらずというところですね。

では,今回は5番の問題を取り上げてみましょう。
(問題)H29 灘中学校 算数(第2日) 大問5番
[1],[2],[3],[4]と書かれた4枚のカードが横一列に並んでいます。この列に,次のA,B,Cのうちのいずれか1つだけ
行なうことを1回の操作として,この操作を繰り返し行います。

A:左端にあるカードを,左から2番目にあるカードと左から3番目にあるカードの間に移動させる。
B:左端にあるカードを,左から3番目にあるカードと左から4番目にあるカードの間に移動させる。
C:左端にあるカードを,右端に移動させる。

[1] [2] [3] [4]の順にカードを並べた状態から,この操作を始めます。
例えば,BACの順に操作を行うとカードの並びは
[1] [2] [3] [4]→[2] [3] [1] [4]→[3] [2] [1] [4]→[2] [1] [4] [3]
と変化します。

(1) この操作を3回繰り返し行うことにします。
 (ア) ACBの順に操作を行った後のカードの並びは[  ] [  ] [  ] [  ]です。
 (イ) 操作を3回行う方法は,各回ごとにA,B,Cのどれを選択するかで,全部で27通りあります。
    このうち,3回の操作後に左端のカードが

    [4]であるような操作の方法は[  ]通り,
    [3]であるような操作の方法は[  ]通り,
    [2]であるような操作の方法は[  ]通り,
    [1]であるような操作の方法は[  ]通りあります。
 (ウ) 27通りの操作方法のうち,例えばAAAのときも,BABのときも,操作後のカードの並びは[2] [1] [3] [4]となります。
    このように2通り以上の操作方法で実現できるカードの並びで[2] [1] [3] [4]以外のものは,[  ] [  ] [  ] [  ]と
    [  ] [  ] [  ] [  ]です。

(2) この操作を3回繰り返し行うと左端のカードが[2]になり,さらに3回繰り返し行うとカードの並びが[1] [2] [3] [4]となるような
  計6回の操作方法は全部で何通りありますか。

(3) この操作を全部で6回繰り返した後,カードの並びが[1] [2] [3] [4]となるような6回の操作方法は全部で何通りありますか。


(1)(ア) まずはルールがしっかり把握できているかという問題です。
ここでしっかりとカードの動きをつかみたいですね。
[1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]-C→[1] [3] [4] [2]-B→[3] [4] [1] [2]

(イ) 左端に持っていきたいカードがどのタイミングで移動するかによって場合分けしてみましょう。
★右端にある[4]が3回で左端まで移動するには,3回とも[4]のカードが左に1つずつ移動しないといけません。
1回目はCの操作,2回目はBかCの操作,3回目はAかBかCどれでもOKですので,1×2×3=6通りとなります。

★左から3番目にある[3]が3回で左端まで移動するには,
「移動+移動+停止」か「移動+停止+移動」か「停止+移動+移動」の3パターンがあります。
が、実は左端や左から2番目にいる状態から停止することはできません。よって,「停止+移動+移動」だけ考えればOKです。
1回目はAの操作,2回目はBかCの操作,3回目はAかBかCどれでもOKですので,1×2×3=6通りとなります。

★左から2番目にある[2]が3回で左端まで移動するには,
上の話より,1回目と2回目は必ず移動することになります(しかも2回目の移動はどこかに飛ばされることになる)。
よって,「移動+左から2番目に移動+移動」しかありません。
1回目はAかBかCの操作,2回目はAの操作,3回目はAかBかCですので,3×2×3=9通りとなります。

★左端の[1]が左端に戻ってくるには,
「左から3番目に移動+移動+移動」しかありません。
1回目はBの操作,2回目はBかCの操作,3回目はAかBかCどれでもOKですので,1×2×3=6通りとなります。

(ウ) (イ)を解いた時点で,左端が[2]の場合だけ9通りとなっている所に違和感を感じてもらいたいですね。
[1] [2] [3] [4]の4枚のカードを並べるとき,左端が[2]になる方法は1×3×2×1=6通りですから,少なくともこの9通りの中に
9-6=3通りはダブる並びがあるはずです。まずはここから調べていきましょう。2回目の操作はAで決まっているので,
AAA … [1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]-A→[1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]
AAB … [1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]-A→[1] [2] [3] [4]-B→[2] [3] [1] [4]
AAC … [1] [2] [3] [4]-A→[2] [1] [3] [4]-A→[1] [2] [3] [4]-C→[2] [3] [4] [1]
BAA … [1] [2] [3] [4]-B→[2] [3] [1] [4]-A→[3] [2] [1] [4]-A→[2] [3] [1] [4]
BAB … [1] [2] [3] [4]-B→[2] [3] [1] [4]-A→[3] [2] [1] [4]-B→[2] [1] [3] [4]
BAC … [1] [2] [3] [4]-B→[2] [3] [1] [4]-A→[3] [2] [1] [4]-C→[2] [1] [4] [3]
CAA … [1] [2] [3] [4]-C→[2] [3] [4] [1]-A→[3] [2] [4] [1]-A→[2] [3] [4] [1]
CAB … [1] [2] [3] [4]-C→[2] [3] [4] [1]-A→[3] [2] [4] [1]-B→[2] [4] [3] [1]
CAC … [1] [2] [3] [4]-C→[2] [3] [4] [1]-A→[3] [2] [4] [1]-C→[2] [4] [1] [3]
となり,[2] [1] [3] [4]と[2] [3] [1] [4][2] [3] [4] [1]については2通りずつ操作方法があるということがわかります。
※(2)以降に備えて…
問題でなければ他のものも調べる必要があるのですが,問題文に[2] [1] [3] [4]以外のものは2種類しかないとあるので,
これを答えとしてかまいません。
更にこれ以外のものはダブらないということですので,[1] [2] [3] [4]に3回操作を行うと,27-3=24通りのならべ方を作ることが
できる,即ち,4×3×2×1=24通りすべてのならべ方を作ることができると言えます。

(2) 3回の操作ごとにまとめて考えます。前の3回の操作の後,どの3回の操作を行えばよいかと考えましょう。
[2] [1] [3] [4]となるのはAAAかBAB,ここに[1] [2] [3] [4]→[2] [1] [3] [4]と同じ操作を行えばよいので,2×2=4通り。
[2] [1] [4] [3]となるのはBAC,ここに[1] [2] [3] [4]→[2] [1] [4] [3]と同じ操作を行えばよいので,1×1=1通り。
[2] [3] [1] [4]となるのはAABかBAA,ここに[1] [2] [3] [4]→[3] [1] [2] [4]と同じ操作を行えばよいので,2×1=2通り。
[2] [3] [4] [1]となるのはAACかCAA,ここに[1] [2] [3] [4]→[4] [1] [2] [3]と同じ操作を行えばよいので,2×1=2通り。
[2] [4] [1] [3]となるのはCAC,ここに[1] [2] [3] [4]→[3] [1] [4] [2]と同じ操作を行えばよいので,1×1=1通り。
[2] [4] [3] [1]となるのはCAB,ここに[1] [2] [3] [4]→[4] [1] [3] [2]と同じ操作を行えばよいので,1×1=1通り。
よって,4+1+2+2+1+1=11通りとなります。

(3) (2)と同様に前の3回の操作と後の3回の操作に分けて考えましょう。
ここまでの考え方により,前の3回のかけ算の形として2×で始まるものが3通り,1×で始まるものが21通りあるはずです。
また,後の3回のかけ算の形として×2で終わるものが3通り,×1で終わるものが21通りあるはずです。
(ⅰ)2×2
(ⅱ)2×1
(ⅲ)1×2
(ⅳ)1×1
のうち,(2)で(ⅰ)パターンは1通り,(ⅱ)パターンは2通りあるということがわかっています。
(ⅰ)パターンと(ⅲ)パターンが合わせて3通りですから,(ⅲ)パターンが3-1=2通り。
(ⅲ)パターンと(ⅳ)パターンは合わせて21通りですから,(ⅳ)パターンが21-2=19通り。
よって,4×1+2×2+2×2+1×19=31通りとなります。

今回,大問3は典型的な切断問題でしたが、それ以外はなかなか関西では見かけない面白い問題でした。
しっかりと味わってみてください。(^^ (池)
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