2017(H29)入試分析 算数 洛南高等学校附属中学校
2017.02.11 16:50|入試問題分析(算数)|
さて,今回は洛南高等学校附属中学校の算数から1問取り上げます。
まずは入試状況から。
受験者数→合格者数(実質倍率)
男子:538人→240人(2.24倍)
女子:245人→72人(3.40倍)
専願の合格者最低点は男子で211点,女子で244点とのことですので,
相変わらず女子には厳しい試験となっています。
合格者平均点は
国語:3科型で84.4 4科型で86.2
算数:3科型で102.0 4科型で90.2
理科:3科型で67.7 4科型で66.8
社会:4科型のみで73.8
総合:3科型で253.0 4科型で246.9
3科と4科で大きく乖離があるのは算数のみですね。
社会の得点率がかなり高いので,3科に切り替えるにはかなり算数で稼げるようにしておかなくてはなりません。
問題数は大問8問と小問30問。例年通りの1問5点の均等配点です。
去年は大問によって難易度の差が大きいなぁという印象でしたが、
今年はどの大問からでも一定の得点は得られそうかなという印象です。
大問1の計算5問は全問合わせることが当然。
大問2の小問群は(1)(2)が取れればOK。
大問3は洛南大好き六角形の問題ですが,ここができたかどうかで大きく差がつきそうです。
大問4は似たような問題で地道な書き出し作業を練習してきた人にとってはなんてことのない問題でしょう。
ちょっとややこしいことが書いてあると逃げてしまってきたタイプの人はここでふるい落とされます。
5番は速さの問題ですが,昔ながらの「難しすぎる速さの問題」ではありません。小問をコツコツ拾いたいですね。
6番は数の性質の問題。よく目にする題材なので,全問正解を狙いたいところです。
7番で突然小問群が出てきたのでびっくりしました。(1)は洛南を受ける人であれば基本レベルの時計算です。
時計算は見ただけで逃げる人がいるので,ここでもふるい落とされます。
(2)はちょっとひねられた濃度の問題。わかってしまえば簡単ですが,正解率は低いでしょう。
では,今回は8番の問題を取り上げてみましょう。
(問題)H29 洛南高等学校附属中学校 算数 大問8
右の図のような,正方形のマスと回転軸でできた図形があります。この図形の中のいくつかの正方形のマスをぬりつぶし,
それを回転軸の周りに360°回転させてできる立体の表面積を(表),体積を(体)と表します。

ただし,図4のような場合は,表面積の和を(表),体積の和を(体)と表すこととします。
図1を回転させたときの(表)をS,(体)をVとするとき,次の問いに答えなさい。
(1) 図2を回転させたときの(表)は,Sの何倍ですか。
(2) 図3を回転させたときの(体)は,Vの何倍ですか。
(3) 図4を回転させたときの(表)と(体)は,それぞれS,Vの何倍ですか。
(4) ある3つのマスをぬりつぶして回転させたときの(表)と(体)は,それぞれSの22倍,Vの48倍です。
どのマスを回転させましたか。解答欄のマスをぬりつぶしなさい。

まず,考えるときは紙を左に45°傾けましょう。回転軸がまっすぐ縦にしたほうがミスが防げそうですね。
相似比と面積比の関係から、それぞれの直角二等辺三角形を回転させたときの表面積の関係は↓の図のように,

相似比と体積比の関係から、それぞれの直角二等辺三角形を回転させたときの体積の関係は↓の図のようになります。

実は,今回の問題はここまで分析できてしまえば,あとはミスしないように解くだけです。
(1) 各辺の表面積は下の図のようになります。

8÷2=4倍ですね。
(2) 各パーツの体積は下の図のようになります。

12÷1=12倍です。
(3) 表面積は左下,体積は右下の図のようになります。

表面積は56÷2=28倍,体積は61÷1=61倍ですね。
(4) 最後はちょびっとだけ苦労しましょう(ほんのちょびっとですけど)。
3マスだけ塗って体積が[48]になるには[24]+[18]+[6]か[24]+[12]+[12]か[18]+[18]+[12]の3パターンしかありません。
・[24]+[18]+[6]の場合
[24]と[18]は必ず1辺がくっつきます。一方,[6]は他のマスとはくっつきませんので,表面積は全て下の図の例と等しくなります。
・[24]+[12]+[12]の場合
[24]と[12]はくっつきませんし,[12]同士もくっつきませんので,表面積は全て下の図の例と等しくなります。
・[18]+[18]+[12]の場合
[18]と[18]はくっつきませんが,[12]を選ぶときには片方の[18]にくっつくか,両方の[18]にくっつくかの選択ができます。

今回,表面積が<2>×22=<44>になっているのは[12]のマスを[18]の両方のマスにくっつけたパターンのみです。
傾いていない正方形群やそれらを対角線で切ったものを回転させる問題はよく見かけますが,45°傾いている正方形群を
回転させる問題はおそらく練習量が少ないのではないかと思います。ただ,本質は同じものですので,それらの問題と
きちんと正面から向き合い,理解できていたかが問われます。
「なんとなく軸に近いほうから1:3:5:7:…」などというようなやり方では応用が全く効かないことがわかりますね。(池)
まずは入試状況から。
受験者数→合格者数(実質倍率)
男子:538人→240人(2.24倍)
女子:245人→72人(3.40倍)
専願の合格者最低点は男子で211点,女子で244点とのことですので,
相変わらず女子には厳しい試験となっています。
合格者平均点は
国語:3科型で84.4 4科型で86.2
算数:3科型で102.0 4科型で90.2
理科:3科型で67.7 4科型で66.8
社会:4科型のみで73.8
総合:3科型で253.0 4科型で246.9
3科と4科で大きく乖離があるのは算数のみですね。
社会の得点率がかなり高いので,3科に切り替えるにはかなり算数で稼げるようにしておかなくてはなりません。
問題数は大問8問と小問30問。例年通りの1問5点の均等配点です。
去年は大問によって難易度の差が大きいなぁという印象でしたが、
今年はどの大問からでも一定の得点は得られそうかなという印象です。
大問1の計算5問は全問合わせることが当然。
大問2の小問群は(1)(2)が取れればOK。
大問3は洛南大好き六角形の問題ですが,ここができたかどうかで大きく差がつきそうです。
大問4は似たような問題で地道な書き出し作業を練習してきた人にとってはなんてことのない問題でしょう。
ちょっとややこしいことが書いてあると逃げてしまってきたタイプの人はここでふるい落とされます。
5番は速さの問題ですが,昔ながらの「難しすぎる速さの問題」ではありません。小問をコツコツ拾いたいですね。
6番は数の性質の問題。よく目にする題材なので,全問正解を狙いたいところです。
7番で突然小問群が出てきたのでびっくりしました。(1)は洛南を受ける人であれば基本レベルの時計算です。
時計算は見ただけで逃げる人がいるので,ここでもふるい落とされます。
(2)はちょっとひねられた濃度の問題。わかってしまえば簡単ですが,正解率は低いでしょう。
では,今回は8番の問題を取り上げてみましょう。
(問題)H29 洛南高等学校附属中学校 算数 大問8
右の図のような,正方形のマスと回転軸でできた図形があります。この図形の中のいくつかの正方形のマスをぬりつぶし,
それを回転軸の周りに360°回転させてできる立体の表面積を(表),体積を(体)と表します。

ただし,図4のような場合は,表面積の和を(表),体積の和を(体)と表すこととします。
図1を回転させたときの(表)をS,(体)をVとするとき,次の問いに答えなさい。
(1) 図2を回転させたときの(表)は,Sの何倍ですか。
(2) 図3を回転させたときの(体)は,Vの何倍ですか。
(3) 図4を回転させたときの(表)と(体)は,それぞれS,Vの何倍ですか。
(4) ある3つのマスをぬりつぶして回転させたときの(表)と(体)は,それぞれSの22倍,Vの48倍です。
どのマスを回転させましたか。解答欄のマスをぬりつぶしなさい。

まず,考えるときは紙を左に45°傾けましょう。回転軸がまっすぐ縦にしたほうがミスが防げそうですね。
相似比と面積比の関係から、それぞれの直角二等辺三角形を回転させたときの表面積の関係は↓の図のように,

相似比と体積比の関係から、それぞれの直角二等辺三角形を回転させたときの体積の関係は↓の図のようになります。

実は,今回の問題はここまで分析できてしまえば,あとはミスしないように解くだけです。
(1) 各辺の表面積は下の図のようになります。

8÷2=4倍ですね。
(2) 各パーツの体積は下の図のようになります。

12÷1=12倍です。
(3) 表面積は左下,体積は右下の図のようになります。

表面積は56÷2=28倍,体積は61÷1=61倍ですね。
(4) 最後はちょびっとだけ苦労しましょう(ほんのちょびっとですけど)。
3マスだけ塗って体積が[48]になるには[24]+[18]+[6]か[24]+[12]+[12]か[18]+[18]+[12]の3パターンしかありません。
・[24]+[18]+[6]の場合
[24]と[18]は必ず1辺がくっつきます。一方,[6]は他のマスとはくっつきませんので,表面積は全て下の図の例と等しくなります。
・[24]+[12]+[12]の場合
[24]と[12]はくっつきませんし,[12]同士もくっつきませんので,表面積は全て下の図の例と等しくなります。
・[18]+[18]+[12]の場合
[18]と[18]はくっつきませんが,[12]を選ぶときには片方の[18]にくっつくか,両方の[18]にくっつくかの選択ができます。

今回,表面積が<2>×22=<44>になっているのは[12]のマスを[18]の両方のマスにくっつけたパターンのみです。
傾いていない正方形群やそれらを対角線で切ったものを回転させる問題はよく見かけますが,45°傾いている正方形群を
回転させる問題はおそらく練習量が少ないのではないかと思います。ただ,本質は同じものですので,それらの問題と
きちんと正面から向き合い,理解できていたかが問われます。
「なんとなく軸に近いほうから1:3:5:7:…」などというようなやり方では応用が全く効かないことがわかりますね。(池)
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