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2017(H29)入試分析 算数 西大和学園中学校

2017.02.19 14:04|入試問題分析(算数)
今回は西大和学園中学校を見てみましょう。

まずは入試情報から。
受験者→合格者(倍率)
男子:991人→513人(1.93倍)
女子:225人→41人(5.49倍)

合格最低点が男子で324/500点,女子で374/500点ですから,男女の合格難度格差がかなり激しいですね…(;^ω^)

算数の各問題に目を向けると・・・
大問1 計算問題と小問群。(1)(2)(3)(4)①(5)(6)(8)は合わせておきたいです。(4)②(7)あたりはミスし易いので慎重に。
大問2 図形の小問群。(1)(2)は必須。(3)は解き方が色々ありますが,自分の得意な形に持ち込めるかです。
    (4)は得手不得手が分かれる問題なので,できる側に入ると有利になりますね。
    (5)は感覚的に正解を書けるようにしておきたいところです(当然,理詰めで解けるようにもしておきましょう)。
大問3 歯車の問題。歯車の仕組みが正しく理解できていて,長文をしっかりと整理する能力があれば,実質の難易度は
    それほど高くありません。が,歯車が4つも繋がっているので,混乱しそうですね…(^^;
大問4 今回はこれを取り上げます。

では4番です。
(問題)H29 西大和学園中学校 算数 大問4
上から数を入れると,一定の割合で分ける機械A,B,C,Dがあります。(例)のようにAは1:1の比,Bは1:2の比,
Cは3:2の比に分け,Dはどのような比に分けるかわかっていません。これらの機械を組み合わせて枝分かれの道
(この道をルートと呼ぶことにします。)を作り,矢印Eから数を入れて下から出てくる数を調べます。
また,図1のように道が合わさるところでは,それぞれの道からの数の合計をとります。
このとき,次の問いに答えなさい。
2017西大和01
(1) 図2のように,2段すべてをBとして機械を組み合わせてルート①を作りました。矢印Eから1を入れたとき,
  出口「い」から出てくる数を答えなさい。
2017西大和02
(2) 図3のように,1段目をA,2段目をB,3段目をCとして機械を組み合わせてルート②を作りました。
  (ⅰ) 矢印Eから1を入れたとき,出口「あ」から出てくる数と出口「え」から出てくる数の比を最も簡単な
    整数の比で答えなさい。
    (「あ」から出てくる数):(「い」から出てくる数)
  (ⅱ) 最も大きな数が出てくるのは出口「あ」から「え」までの4か所のうちのどれですか。
2017西大和03
(3) 図4のように,1段目と2段目をA,3段目をB,4段目をCとして機械を組み合わせてルート③を作りました。矢印Eから
  1以上の整数を入れます。矢印Eからどんな整数を入れると出口「あ」から「お」の5か所から出てくる数がすべて整数と
  なりますか。矢印Eから入れる最も小さい1以上の整数を答えなさい。
2017西大和04
(4) (3)で作ったルート③の1段目をDに入れかえて新しくルート④を作り,ルート③とルート④の矢印Eからどちらにも
  600を入れて,それぞれの出口「う」から出てきた数を調べました。すると,ルート④の方がルート③のときより5大きく
  なりました。このとき,機械Dは入ってきた数をどのように分ける機会ですか。最も簡単な整数の比で答えなさい。
  (Xから出てくる数):(Yから出てくる数)
2017西大和06
(5) A,B,Cの3つの機械を組み合わせて図5のような3段の枝分かれのルート⑤を作り,矢印Eから900を入れました。
  すると,次のような結果が得られました。
  ・出口「あ」と出口「え」から出てきた数の比は25:36
  ・出口「あ」から「え」の4か所のうち,最も大きい数が出てきたのは出口「う」
  ・出口「い」と出口「う」から出た数の差は11で割り切れる
  3つの機械をすべて1つ以上使ってルートを作っています。考えられる機械の組み合わせを答えなさい。
  [解答例]1段目がA,2段目が左からA,B,3段目が左からA,B,Cとなったときは図6のように答えます。
2017西大和05

まずは量に圧倒されてはいけません(笑)
丁寧にやれば,(2)までは絶対に正解できるはずです。
(1) まずは1段目を通過した時点で1/3と2/3に分かれます。
  次は2段目の通過です。
  「あ」からは1/3×1/3=1/9が出てきます。
  「う」からは2/3×2/3=4/9が出てきます。
  「い」は左からと右からの合計ですので,1/3×2/3+2/3×1/3=4/9が出てきます。
  左端と右端は計算が楽ですが,中は合計しないといけないので計算が少し面倒ですね。

(2) まず1段目を通過した時点で1/2と1/2に分かれます。
  次は2段目の通過です。
  左端は1/2×1/3=1/6,真ん中は1/2×2/3+1/2×1/3=3/6,右端は1/2×2/3=2/6と分かれます。
  最後に3段目の通過。
  「あ」が1/6×3/5=3/30,
  「い」が1/6×2/5+3/6×3/5=11/30,
  「う」が3/6×2/5+2/6×3/5=12/30,
  「え」が2/6×2/5=4/30となります。
  よって,(ⅰ) 3/30:4/30=3:4 (ⅱ) 一番大きな数が出てくるのは「う」ですね
  合計が1になっているかの見直しをしやすかったり,足し算しやすかったりするので,あえて約分はしていません。

(3) (2)の解説で,計算結果が全て○/30になっていましたね。これがヒントになります。
  実は約分しなかったのはこっちが狙い( *´艸`)
  Aを通るときに○/2倍,Bを通るときに○/3倍,Cを通るときに○/5倍になるので,先ほどの計算の分母は全て
  2×3×5=30になっていたわけです。
  今回はどの出口も必ずA→A→B→Cの順に通過しますので,Eから1を入れた場合,出てくる数の分母は必ず
  2×2×3×5=60になるはず。つまり,Eから入れる整数が60の倍数ならばどの出口からも整数が出てきます。
  この時点で最小の整数は60と予想できますね。
  あとは,1を入れたときに各出口から出てくる数が約分できる場合に60よりも小さい数になる可能性があるので,
  それを調べましょう。
  Eから1を入れると,「あ」から出てくる数は1/2×1/2×1/3×3/5=3/60=1/20 約分できてしまいますね…
  「お」から出てくる数は1/2×1/2×2/3×2/5=4/60=1/15 こちらも約分できてしまいました。
  ただ,1/20をかけても1/15をかけても整数になる最小の数はやはり60なので,これを答えとすればよいですね。

(4) ここは力技でやろうとすると時間がかかりすぎますので,ひと工夫してみましょう。
  まずはEから600を入れた場合に「う」から何が出てくるかを考えます。
  1段目を通過した時点で300と300に分かれます。
  この後,2段目3段目4段目に目を向けると,A→B→Cの順番で通っていきますよね。
2017西大和07
  これって,実は図3と同じ形なんです。つまり,左に分かれた300は赤で囲まれた枠に注目すると図3の「う」と同じ割合,
  右に分かれた300は青で囲まれた枠に注目すると図3の「い」と同じ割合で数が排出されるはずですので,合わせて
  300×12/30+300×11/30=230が出てきます。
  ということは,1段目をDに入れ替えてEから600を入れると230+5=235が出てくるということです。
  1段目を通過した時点でどのように分かれるのかはわかりませんが,例えばこれを[30]と<30>としておきましょう。
  とりあえず[30]+<30>=600 … ①
  先ほどと同じように考えると,[30]×12/30+<30>×11/30=[12]+<11>=235 … ②
  この2つの式から消去算をすれば,[1]=15,<1>=5とわかりますので,
  Dによって左と右で3:1に分けられるということです。

(5) 長かった解説もいよいよ最後です。もう一息頑張ってください。
  ヒントの一つ目として,「あ」と「え」から出てきた数の比が25:36とあります。
  「あ」から出てくる数はずっと左のルートを通ってきますので,
  Aの場合は×1/2,Bの場合は×1/3,Cの場合は×3/5,これらを3回組み合わせて(重複することもある)排出されます。
  一方「え」から出てくる数はずっと右のルートを通ってきますので,
  Aの場合は×1/2,Bの場合は×2/3,Cの場合は×2/5,これらを3回組み合わせて(重複することもある)排出されます。
  つまり,○×△×□×36/25=●×▲×■(白い印は左ルート,黒い印は右ルート)となるわけです。
  3つの記号の掛け算のところで,分母の2や3は約分される可能性はありますが,5は約分される可能性がないので,
  左ルートよりも右ルートにCが2つ多く入っていることがわかります。
  ★左ルートにCが1つ,右ルートにCが3つの場合
    3/5×△×□×36/25=2/5×2/5×2/5 より,△×□=2/27ですが,これを満たすことはできません。
  ★左ルートにCがなく,右ルートにCが2つの場合
    〇×△×□×36/25=●×2/5×2/5 となるので,1段目がAの場合とBの場合で調べましょう。
    ♥1段目がAの場合
      1/2×△×□×36/25=1/2×2/5×2/5 より,△×□=1/9で,△=□=1/3の場合に成り立ちます。
    ♥1段目がBの場合
      1/3×△×□×36/25=2/3×2/5×2/5 より,△×□=2/9ですが,これを満たすことはできません。
  ここまでで,左ルートがA→B→B,右ルートがA→C→Cと決定しました。
  あとは残りの条件から3段目の真ん中を決めるだけですので、状況整理をしておきましょう。
2017西大和08
  最後の詰めは慎重に…
  ★3段目真ん中がAの場合
    「い」=100+285=385,「う」=285+108=393で,差が8なので不適。
  ★3段目真ん中がBの場合
    「い」=100+190=290,「う」=380+108=488で,差が198なのでOK!
  ★3段目真ん中がAの場合
    「い」=100+342=442,「う」=228+108=336で,差が106,しかも「い」の方が大きいので不適。

  以上より,3段目真ん中はBと決まります。
  男子なら(3)まで,女子なら(4)まで欲しいなというところでしょう。

去年は大問2の図形小問群が非常にヘビーだったのですが,今年はそれがいくらか軽減されていたので全体としては
取り組みやすかったのではないでしょうか。それだけに,最後の(5)などは無理に取り組まず,見直しに時間を回した方が
良かったかもしれませんね。(池)
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