2017(H29)入試分析 算数 清風南海中学校 B入試
2017.03.07 21:21|入試問題分析(算数)|
今回は清風南海中学校のB入試です。
まずは数値情報。
男子の 受験者数/S特合格者数(S特倍率)/特進合格者数(S特+特進倍率) は
2015年 248人/50人(5.0倍)/68人(2.1倍)
2016年 261人/54人(4.8倍)/67人(2.2倍)
2017年 284人/57人(5.0倍)/81人(2.1倍)
女子は
2015年 196人/46人(4.3倍)/51人(2.0倍)
2016年 198人/44人(4.5倍)/49人(2.1倍)
2017年 203人/35人(5.8倍)/48人(2.4倍)
算数だけの各平均情報は 男子/女子/全体 の順に,
2015年 68.6/66.4/67.6
2016年 79.4/76.0/77.9
2017年 79.5/81.2/77.1
となっています。
7割が大まかな目標というところでしょうか。
では、各問題をざっと見てみましょう。
1番 計算小問が4問。当然落とせません。
2番 (1)消去算(2)仕事算(3)水問題(4)数字の個数問題(5)平面図形の面積 ここまで全部正解したいところです。
悪くても1個ミスには抑えたいですね。 (6)立体の切断 得意不得意の分かれる問題ですので,できればチャンス!
3番 平面図形の面積比(ベンツ切り) (3)まで合わせれば十分ですが,定番の形なので(4)を合わせればリードを奪えます。
4番 点の移動 (1)①は必須。②まで合わせれば十分でしょう。(2)は正解率がかなり低いはずです。
5番 年令算の発展問題 今回はこれを扱います。
では,5番を見てみましょう。
(問題)H29 清風南海中学校 B入試 算数 大問5
S君の家族はお父さん,お母さん,S君,弟の4人家族で,毎年それぞれの誕生日に,あるホテルに宿泊してお祝いを
することにしています。S君の家族の誕生日は下の表のようになっています。ただし,2017年1月1日時点でのお父さんの
年れいは47才で,S君の年れいは19才未満です。
このホテルの宿泊費は,大人(20才以上)が12000円,子供(19才以下)が6000円で,誕生日に宿泊すると誕生日の人の
宿泊費が(年れい)%引きになるサービスがあります。たとえば,2017年12月1日にS君の家族が宿泊するとき,この日は
お父さんの48才の誕生日なので,お父さんの宿泊費は12000円の48%引きで6240円になり,他の3人の宿泊費は割引
されないので4人の宿泊費の合計は30240円になります。次の問いに答えなさい。
(1) 2017年4月1日に宿泊するとき,4人の宿泊費の合計は35220円になります。この日にS君は何歳になりますか。
(2) 2017年8月1日に宿泊するとき,4人の宿泊費の合計は30840円になります。また,お母さんと弟の年れいの差は
34才です。この日にお母さんは何才になりますか。
(3) □年は8月1日に宿泊するときと,12月1日に宿泊するときの4人の宿泊費の合計が同じになります。
□に当てはまる数を答えなさい。ただし,□は2017から2060までの数とします。
(4) 2017年1月1日から2060年12月31日までの間で,4人の宿泊費の合計が最も安くなるのは何年何月何日ですか。
まず,文章が長いので心が折れる人が続出。そして,年令算で誕生日が違うパターンは整理が難しいので正解率が
ガクンと下がります。が,実はあるポイントをおさえてしまうと(2)まではあっさり取れるはずです。そのポイントとは…
☆大人(20才以上)が値引きされるときは,1才あたり12000×0.01=120円安くなる。
☆子供(19才以下)が値引きされるときは,1才あたり6000×0.01=60円安くなる。
ということです。聞いてしまえば当たり前なのですが,金額×(100-年れい)/100という式がまず頭に浮かびがちなので,
なかなかサッと発想を切り替えるのは難しいですね。では,これを利用して(1)から見ていきましょう。
(1) もしも値引きがなければ12000+12000+6000+6000=36000円ですから,36000-35220=780円
値引いてもらったということになります。4月1日はS君の誕生日なので,1才あたり60円安くなるのですから,
780÷60=13才が答えです。
(2) (1)同様に考えると,36000-30840=5160円値引いてもらったということです。
8月1日はお母さんと弟の誕生日なので,
母×120+弟×60=5160円 ――――(÷60)―――→ 母×2+弟×1=86
また,問題文に二人の年れい差が書かれていますので, 母×1-弟×1=34
この2つの式を足すと, 母×3=120 ですから,母の年れいは120÷3=40才,弟の年れいは40-34=6才です。
ずいぶんとあっさり答えが出るでしょう?単純な値引きの式で解こうとした人はここまででも結構しんどいと思います。
(3) (1)(2)より,2017年8月1日時点の4人の年れいは「父:47才」「母:40才」「S:13才」「弟:6才」
ということがわかりました。母は弟よりも34才年上,父は弟よりも41才年上です。
つまり,□年8月1日の弟の年れいを{1}才とすると,同日の母の年れいは{1}+34才,父の年れいは{1}+41才,
□年12月1日の父は1つ年を取るので{1}+42才となります。
□年に弟が大人料金になっているかどうかで場合分けをしないといけません。
★もしも弟が大人料金になっていた場合
□年8月1日の値引き額=□年12月1日の値引き額 ですから,
120×({1}+34+{1})=120×({1}+42) → {1}+34={1}+42 → {1}=8
これだと,弟が8才で大人料金を払うことになるのでダメですね。
★もしも弟が子供料金のままの場合
先ほどと同様に□年8月1日の値引き額=□年12月1日の値引き額 の形の式を作ると,
120×({1}+34)+60×{1}=120×({1}+42) → 120×8={60} → {1}=16
となりますので,弟が16才になるのは2017年の16-6=10年後,つまり2017+10=2027年となります。
(4) 最後はちょっとややこしいですが、慎重に整理して宿泊費が最も安くなる場合を考えましょう。
単純に考えると,皆が年を取れば取るほど割引率が上がるので宿泊費は安くなりそうですが,
子供料金から大人料金になると6000円値上がりするので,そこで宿泊費がガツンと上がってしまいます。
つまり,大人料金になる直前の4月1日と8月1日と12月1日,あとは2060年の4月1日と8月1日と12月1日を調べれば
よいことになります。
★S君が20才になる直前
(1)より,S君は2017年4月1日に13才になるので,20才になるのはその7年後で2024年4月1日です。
調べるのはその直前の2023年12月1日,2023年8月1日,2023年4月1日。
2023年12月1日は父が48+6=54才の誕生日なので120×54=60×108円,
2023年8月1日は母が40+6=46才,弟が6+6=12才の誕生日なので,120×46+60×12=60×104円,
2023年4月1日はS君が19才の誕生日なので,60×19円の値引きになります。
この中で一番安いのは2023年12月1日で,36000-60×108=29520円です。
★弟が20才になる直前
(3)より,弟は2027年8月1日に16才になるので,20才になるのはその4年後の2031年8月1日です。
調べるのはその直前の2031年4月1日,2030年12月1日,2030年8月1日。
ただし,S君は既に20才になっていますので,値引き前の金額は先ほどよりも6000円アップしていますので,
値引き額が先ほどよりも6000円以上多くないとだめですが,7,8年のずれでは全然足りませんね。
ここはもう計算しなくてよいでしょう。
★問題指示の限界ぎりぎり
調べるのは2060年12月1日,2060年8月1日,2060年4月1日です。
もう4人とも20才以上なので12000×4=48000円からいくら値引きがあるかです。
2060年12月1日は父が54+37=91才の誕生日なので120×91円,
2060年8月1日は母が46+37=83才,弟が12+37=49才の誕生日なので,120×132円
2060年4月1日はS君が19+37=56才の誕生日なので120×56円の値引きになります。
この中で一番安いのは2060年8月1日で48000-120×132=32160円です。
ということで,最安値は2023年12月1日の29520円でした。
上でも書きましたように,誕生日が違うパターンは整理が難しいので正解率が低いのです。
これに対応する手段は,自分でいかに混乱しない整理の仕方を作り上げるかです。
単純に授業を聞いて,理解したということにしているだけでは決して身につきません。
それはあくまでも「先生が整理しやすいやりかた」ですから。
その上で,もう一度自分で解きなおして,こうやったら混乱しにくいなという自分独自のスタイル
(それが結果的に授業のやり方と重なるのは全然かまわないですよ)
をいかに作り上げるか,そういう姿勢で普段から宿題などの課題に向き合ってほしいですね。(池)
まずは数値情報。
男子の 受験者数/S特合格者数(S特倍率)/特進合格者数(S特+特進倍率) は
2015年 248人/50人(5.0倍)/68人(2.1倍)
2016年 261人/54人(4.8倍)/67人(2.2倍)
2017年 284人/57人(5.0倍)/81人(2.1倍)
女子は
2015年 196人/46人(4.3倍)/51人(2.0倍)
2016年 198人/44人(4.5倍)/49人(2.1倍)
2017年 203人/35人(5.8倍)/48人(2.4倍)
算数だけの各平均情報は 男子/女子/全体 の順に,
2015年 68.6/66.4/67.6
2016年 79.4/76.0/77.9
2017年 79.5/81.2/77.1
となっています。
7割が大まかな目標というところでしょうか。
では、各問題をざっと見てみましょう。
1番 計算小問が4問。当然落とせません。
2番 (1)消去算(2)仕事算(3)水問題(4)数字の個数問題(5)平面図形の面積 ここまで全部正解したいところです。
悪くても1個ミスには抑えたいですね。 (6)立体の切断 得意不得意の分かれる問題ですので,できればチャンス!
3番 平面図形の面積比(ベンツ切り) (3)まで合わせれば十分ですが,定番の形なので(4)を合わせればリードを奪えます。
4番 点の移動 (1)①は必須。②まで合わせれば十分でしょう。(2)は正解率がかなり低いはずです。
5番 年令算の発展問題 今回はこれを扱います。
では,5番を見てみましょう。
(問題)H29 清風南海中学校 B入試 算数 大問5
S君の家族はお父さん,お母さん,S君,弟の4人家族で,毎年それぞれの誕生日に,あるホテルに宿泊してお祝いを
することにしています。S君の家族の誕生日は下の表のようになっています。ただし,2017年1月1日時点でのお父さんの
年れいは47才で,S君の年れいは19才未満です。
お父さん | お母さん | S君 | 弟 |
12月1日 | 8月1日 | 4月1日 | 8月1日 |
このホテルの宿泊費は,大人(20才以上)が12000円,子供(19才以下)が6000円で,誕生日に宿泊すると誕生日の人の
宿泊費が(年れい)%引きになるサービスがあります。たとえば,2017年12月1日にS君の家族が宿泊するとき,この日は
お父さんの48才の誕生日なので,お父さんの宿泊費は12000円の48%引きで6240円になり,他の3人の宿泊費は割引
されないので4人の宿泊費の合計は30240円になります。次の問いに答えなさい。
(1) 2017年4月1日に宿泊するとき,4人の宿泊費の合計は35220円になります。この日にS君は何歳になりますか。
(2) 2017年8月1日に宿泊するとき,4人の宿泊費の合計は30840円になります。また,お母さんと弟の年れいの差は
34才です。この日にお母さんは何才になりますか。
(3) □年は8月1日に宿泊するときと,12月1日に宿泊するときの4人の宿泊費の合計が同じになります。
□に当てはまる数を答えなさい。ただし,□は2017から2060までの数とします。
(4) 2017年1月1日から2060年12月31日までの間で,4人の宿泊費の合計が最も安くなるのは何年何月何日ですか。
まず,文章が長いので心が折れる人が続出。そして,年令算で誕生日が違うパターンは整理が難しいので正解率が
ガクンと下がります。が,実はあるポイントをおさえてしまうと(2)まではあっさり取れるはずです。そのポイントとは…
☆大人(20才以上)が値引きされるときは,1才あたり12000×0.01=120円安くなる。
☆子供(19才以下)が値引きされるときは,1才あたり6000×0.01=60円安くなる。
ということです。聞いてしまえば当たり前なのですが,金額×(100-年れい)/100という式がまず頭に浮かびがちなので,
なかなかサッと発想を切り替えるのは難しいですね。では,これを利用して(1)から見ていきましょう。
(1) もしも値引きがなければ12000+12000+6000+6000=36000円ですから,36000-35220=780円
値引いてもらったということになります。4月1日はS君の誕生日なので,1才あたり60円安くなるのですから,
780÷60=13才が答えです。
(2) (1)同様に考えると,36000-30840=5160円値引いてもらったということです。
8月1日はお母さんと弟の誕生日なので,
母×120+弟×60=5160円 ――――(÷60)―――→ 母×2+弟×1=86
また,問題文に二人の年れい差が書かれていますので, 母×1-弟×1=34
この2つの式を足すと, 母×3=120 ですから,母の年れいは120÷3=40才,弟の年れいは40-34=6才です。
ずいぶんとあっさり答えが出るでしょう?単純な値引きの式で解こうとした人はここまででも結構しんどいと思います。
(3) (1)(2)より,2017年8月1日時点の4人の年れいは「父:47才」「母:40才」「S:13才」「弟:6才」
ということがわかりました。母は弟よりも34才年上,父は弟よりも41才年上です。
つまり,□年8月1日の弟の年れいを{1}才とすると,同日の母の年れいは{1}+34才,父の年れいは{1}+41才,
□年12月1日の父は1つ年を取るので{1}+42才となります。
□年に弟が大人料金になっているかどうかで場合分けをしないといけません。
★もしも弟が大人料金になっていた場合
□年8月1日の値引き額=□年12月1日の値引き額 ですから,
120×({1}+34+{1})=120×({1}+42) → {1}+34={1}+42 → {1}=8
これだと,弟が8才で大人料金を払うことになるのでダメですね。
★もしも弟が子供料金のままの場合
先ほどと同様に□年8月1日の値引き額=□年12月1日の値引き額 の形の式を作ると,
120×({1}+34)+60×{1}=120×({1}+42) → 120×8={60} → {1}=16
となりますので,弟が16才になるのは2017年の16-6=10年後,つまり2017+10=2027年となります。
(4) 最後はちょっとややこしいですが、慎重に整理して宿泊費が最も安くなる場合を考えましょう。
単純に考えると,皆が年を取れば取るほど割引率が上がるので宿泊費は安くなりそうですが,
子供料金から大人料金になると6000円値上がりするので,そこで宿泊費がガツンと上がってしまいます。
つまり,大人料金になる直前の4月1日と8月1日と12月1日,あとは2060年の4月1日と8月1日と12月1日を調べれば
よいことになります。
★S君が20才になる直前
(1)より,S君は2017年4月1日に13才になるので,20才になるのはその7年後で2024年4月1日です。
調べるのはその直前の2023年12月1日,2023年8月1日,2023年4月1日。
2023年12月1日は父が48+6=54才の誕生日なので120×54=60×108円,
2023年8月1日は母が40+6=46才,弟が6+6=12才の誕生日なので,120×46+60×12=60×104円,
2023年4月1日はS君が19才の誕生日なので,60×19円の値引きになります。
この中で一番安いのは2023年12月1日で,36000-60×108=29520円です。
★弟が20才になる直前
(3)より,弟は2027年8月1日に16才になるので,20才になるのはその4年後の2031年8月1日です。
調べるのはその直前の2031年4月1日,2030年12月1日,2030年8月1日。
ただし,S君は既に20才になっていますので,値引き前の金額は先ほどよりも6000円アップしていますので,
値引き額が先ほどよりも6000円以上多くないとだめですが,7,8年のずれでは全然足りませんね。
ここはもう計算しなくてよいでしょう。
★問題指示の限界ぎりぎり
調べるのは2060年12月1日,2060年8月1日,2060年4月1日です。
もう4人とも20才以上なので12000×4=48000円からいくら値引きがあるかです。
2060年12月1日は父が54+37=91才の誕生日なので120×91円,
2060年8月1日は母が46+37=83才,弟が12+37=49才の誕生日なので,120×132円
2060年4月1日はS君が19+37=56才の誕生日なので120×56円の値引きになります。
この中で一番安いのは2060年8月1日で48000-120×132=32160円です。
ということで,最安値は2023年12月1日の29520円でした。
上でも書きましたように,誕生日が違うパターンは整理が難しいので正解率が低いのです。
これに対応する手段は,自分でいかに混乱しない整理の仕方を作り上げるかです。
単純に授業を聞いて,理解したということにしているだけでは決して身につきません。
それはあくまでも「先生が整理しやすいやりかた」ですから。
その上で,もう一度自分で解きなおして,こうやったら混乱しにくいなという自分独自のスタイル
(それが結果的に授業のやり方と重なるのは全然かまわないですよ)
をいかに作り上げるか,そういう姿勢で普段から宿題などの課題に向き合ってほしいですね。(池)
スポンサーサイト
